2011/08/08(月) - 15:39
8月8日から14日までの7日間、ベルギーとオランダを舞台に第7回エネコ・ツアー(UCIワールドツアー)が開催される。レースにはクラシックレーサーやスプリンターが数多く出場。全日本チャンピオンの別府史之(レディオシャック)は4年ぶり2度目の出場となる。
平野部を駆ける前半3ステージ、丘陵地帯を駆ける後半4ステージ
オランダとベルギーを舞台にしたエネコ・ツアー。1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」が大会の前身であり、2005年のUCIプロツアー発足に伴ってオランダの電力会社がスポンサーにつき、現在の名称に改められた。
現在はオランダとベルギーの二ヶ国に限定しているが、過去には隣国ルクセンブルクも通過したため「ベネルクス・ツアー」とも呼ばれた。ベネルクスとは、ベルギー(Belgie)、オランダ(Nederland)、ルクセンブルク(Luxembourg)の集合体の名称だ。
初日はオランダのアメルスフォールトで行われる5.7kmのプロローグ。オランダとベルギーの海側に広がる広大な平野を舞台にした2つの平坦ステージを経て、レースは内陸部の丘陵地帯へと入って行く。
いわゆるベルギーのアルデンヌ地方、そしてオランダのリンブルグ地方と呼ばれる一帯は、春の「アルデンヌ・クラシック」が通過する地域だ。第3ステージにはフレーシュ・ワロンヌ名物のミュール・ド・ユイ(ユイの壁)や、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでお馴染みのサンロッシュが登場。断続的なアップダウンを繰り返してベルギーのアンダンヌにゴールする。
ルールモントでの14.7km個人タイムトライアルを挟んで、その後も丘陵地帯を駆ける。このさながら「連日ワンデークラシック」の締めくくりは、合計22カ所の登りが詰め込まれた最終第6ステージ。アムステルゴールドレースさながらの起伏に富んだコースで総合争いは決する。
エネコ・ツアー2011レース日程
8月8日(月)プロローグ アメルスフォールト(オランダ)5.7km 個人TT
8月9日(火)第1ステージ オーステルハウト(オランダ)〜シント・ウィッレブロルト(オランダ)192.1km
8月10日(水)第2ステージ アールテル(ベルギー)〜アルドーイェ(ベルギー)173.7km
8月11日(木)第3ステージ ヘールス(ベルギー)〜アンダンヌ(ベルギー)191.2km
8月12日(金)第4ステージ ルールモント(オランダ)14.7km 個人TT
8月13日(土)第5ステージ ヘンク(ベルギー)〜ヘンク(ベルギー)189.2km
8月14日(日)第6ステージ シッタートへレーン(オランダ)〜シッタートへレーン(オランダ)201.2km
クラシックレーサーとスプリンターが集結
出場するのは18のプロチームに、トップスポート・フラーンデレン、スキル・シマノ、コフィディス、ベランダスヴィレムスを加えた合計22チーム。昨年総合優勝を果たしたトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)は欠場する。
総合優勝の最有力候補は、今年のツール・ド・フランスでステージ2勝の活躍を見せたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)だろう。ボアッソンは2009年に総合優勝を果たし、昨年総合3位に入っている。
スプリント力と独走力、そして登坂力をバランスよく兼ね備えるボアッソンの脚質は、完璧にエネコ・ツアーにマッチする。ボアッソンは初日のプロローグからリードを広げる走りを見せてくれることだろう。平坦ステージではジェレイント・トーマス(イギリス)やベン・スウィフト(イギリス)を従えてスプリントに挑む。
ツールで連日果敢な走りを見せ、クラシカ・サンセバスティアンで初優勝したばかりのベルギーチャンピオン、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は登りの爆発力で突破口を開く。2つのTTは距離が短いため、致命的なタイムロスは被らないだろう。
勢いに乗るジルベールは、ツールで活躍したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー)とアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)を従えてステージ優勝、そして総合優勝を目指す。
もう一つの開催国オランダはラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)に期待を寄せる。元シクロクロス世界チャンピオンは、ツアー・オブ・カタールとクリテリウム・ドゥ・ドーフィネのプロローグで優勝。セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ)らのバックアップを得る。
同じシクロクロス出身選手としては、2年連続世界チャンピオンに輝いているゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップ)にも注目したい。
今年ロンド・ファン・フラーンデレンを制したニック・ナイエンス(ベルギー、サクソバンク・サンガード)やステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)らも、ワンデークラシックで磨いた脚で見せ場を作りたいところだ。
前半の平坦な2ステージでは、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)やホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)といったスプリンターに注目。フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)やロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)らもスプリントに絡んでくるだろう。
そして今年は全日本チャンピオンの別府史之(レディオシャック)の出場が決まった。フミはディスカバリーチャンネル時代の2007年大会に初出場し、第5ステージでエスケープ。一時はバーチャルリーダーになったが、ラスト4kmで吸収されている(最終的に総合38位)。平坦ステージではマキュアンらのアシストを務めることになりそうだ。
エネコ・ツアー歴代優勝者
2010年 トニ・マルティン(ドイツ)
2009年 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)
2008年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2007年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2006年 ステファン・シューマッハー(ドイツ)
2005年 ボビー・ジュリック(アメリカ)
ツール・デ・ペイ・バ歴代優勝者
2004年 エリック・デッケル(オランダ)
2003年 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア)
2002年 キム・キルシェン(ルクセンブルク)
2001年 レオン・ファンボン(オランダ)
2000年 エリック・デッケル(オランダ)
text:Kei Tsuji
平野部を駆ける前半3ステージ、丘陵地帯を駆ける後半4ステージ
オランダとベルギーを舞台にしたエネコ・ツアー。1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」が大会の前身であり、2005年のUCIプロツアー発足に伴ってオランダの電力会社がスポンサーにつき、現在の名称に改められた。
現在はオランダとベルギーの二ヶ国に限定しているが、過去には隣国ルクセンブルクも通過したため「ベネルクス・ツアー」とも呼ばれた。ベネルクスとは、ベルギー(Belgie)、オランダ(Nederland)、ルクセンブルク(Luxembourg)の集合体の名称だ。
初日はオランダのアメルスフォールトで行われる5.7kmのプロローグ。オランダとベルギーの海側に広がる広大な平野を舞台にした2つの平坦ステージを経て、レースは内陸部の丘陵地帯へと入って行く。
いわゆるベルギーのアルデンヌ地方、そしてオランダのリンブルグ地方と呼ばれる一帯は、春の「アルデンヌ・クラシック」が通過する地域だ。第3ステージにはフレーシュ・ワロンヌ名物のミュール・ド・ユイ(ユイの壁)や、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでお馴染みのサンロッシュが登場。断続的なアップダウンを繰り返してベルギーのアンダンヌにゴールする。
ルールモントでの14.7km個人タイムトライアルを挟んで、その後も丘陵地帯を駆ける。このさながら「連日ワンデークラシック」の締めくくりは、合計22カ所の登りが詰め込まれた最終第6ステージ。アムステルゴールドレースさながらの起伏に富んだコースで総合争いは決する。
エネコ・ツアー2011レース日程
8月8日(月)プロローグ アメルスフォールト(オランダ)5.7km 個人TT
8月9日(火)第1ステージ オーステルハウト(オランダ)〜シント・ウィッレブロルト(オランダ)192.1km
8月10日(水)第2ステージ アールテル(ベルギー)〜アルドーイェ(ベルギー)173.7km
8月11日(木)第3ステージ ヘールス(ベルギー)〜アンダンヌ(ベルギー)191.2km
8月12日(金)第4ステージ ルールモント(オランダ)14.7km 個人TT
8月13日(土)第5ステージ ヘンク(ベルギー)〜ヘンク(ベルギー)189.2km
8月14日(日)第6ステージ シッタートへレーン(オランダ)〜シッタートへレーン(オランダ)201.2km
クラシックレーサーとスプリンターが集結
出場するのは18のプロチームに、トップスポート・フラーンデレン、スキル・シマノ、コフィディス、ベランダスヴィレムスを加えた合計22チーム。昨年総合優勝を果たしたトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)は欠場する。
総合優勝の最有力候補は、今年のツール・ド・フランスでステージ2勝の活躍を見せたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)だろう。ボアッソンは2009年に総合優勝を果たし、昨年総合3位に入っている。
スプリント力と独走力、そして登坂力をバランスよく兼ね備えるボアッソンの脚質は、完璧にエネコ・ツアーにマッチする。ボアッソンは初日のプロローグからリードを広げる走りを見せてくれることだろう。平坦ステージではジェレイント・トーマス(イギリス)やベン・スウィフト(イギリス)を従えてスプリントに挑む。
ツールで連日果敢な走りを見せ、クラシカ・サンセバスティアンで初優勝したばかりのベルギーチャンピオン、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は登りの爆発力で突破口を開く。2つのTTは距離が短いため、致命的なタイムロスは被らないだろう。
勢いに乗るジルベールは、ツールで活躍したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー)とアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)を従えてステージ優勝、そして総合優勝を目指す。
もう一つの開催国オランダはラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)に期待を寄せる。元シクロクロス世界チャンピオンは、ツアー・オブ・カタールとクリテリウム・ドゥ・ドーフィネのプロローグで優勝。セバスティアン・ラングヴェルト(オランダ)らのバックアップを得る。
同じシクロクロス出身選手としては、2年連続世界チャンピオンに輝いているゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップ)にも注目したい。
今年ロンド・ファン・フラーンデレンを制したニック・ナイエンス(ベルギー、サクソバンク・サンガード)やステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)らも、ワンデークラシックで磨いた脚で見せ場を作りたいところだ。
前半の平坦な2ステージでは、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)やホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)といったスプリンターに注目。フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)やロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)らもスプリントに絡んでくるだろう。
そして今年は全日本チャンピオンの別府史之(レディオシャック)の出場が決まった。フミはディスカバリーチャンネル時代の2007年大会に初出場し、第5ステージでエスケープ。一時はバーチャルリーダーになったが、ラスト4kmで吸収されている(最終的に総合38位)。平坦ステージではマキュアンらのアシストを務めることになりそうだ。
エネコ・ツアー歴代優勝者
2010年 トニ・マルティン(ドイツ)
2009年 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)
2008年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2007年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2006年 ステファン・シューマッハー(ドイツ)
2005年 ボビー・ジュリック(アメリカ)
ツール・デ・ペイ・バ歴代優勝者
2004年 エリック・デッケル(オランダ)
2003年 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア)
2002年 キム・キルシェン(ルクセンブルク)
2001年 レオン・ファンボン(オランダ)
2000年 エリック・デッケル(オランダ)
text:Kei Tsuji
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