2011/08/08(月) - 10:05
8月3日から7日までの5日間、スペインで第33回ブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.HC)が開催された。総合優勝は、連日の起伏に富んだステージで総合リードを築いたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)。4月に大怪我を負い、長いリハビリを強いられた土井雪広(日本、スキル・シマノ)が第4ステージで9位に入り、復活をアピールした。
スペイン北部、カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス近郊を舞台に第33回ブエルタ・ア・ブルゴスは開催された。毎年8月上旬から中旬にかけて開催される中級ステージレースであり、2週間後に控えたブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦としての位置づけだ。
レースは連日スペイン人クライマーによるバトルが繰り広げられた。ディフェンディングチャンピオンのサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が初日の3級山岳頂上ゴールを制すも、同ステージ2位のロドリゲスが翌日の3級山岳で優勝を飾って首位に。
カチューシャはチームTTで2位に入ってロドリゲスの総合首位を堅守。第4ステージで優勝したダニエル・モレーノ(スペイン)とともに、ロドリゲスがワンツー体制で総合優勝を飾った。ロドリゲスはダニーロ・ディルーカ(イタリア)とともにブエルタ・ア・エスパーニャに挑む予定だ。
そして日本からは土井雪広がブルゴスに出場した。今シーズン土井は春先から好調さを見せていたが、アルデンヌ・クラシック直前の4月13日に開催されたブラバンツ・ペイルで落車し、膝蓋骨を骨折してしまう。3ヶ月に及ぶリハビリを経て、7月のツール・ド・ワロニーでレースに復帰していた。
「コンディションも上げたいし、リザルトも残したいし、逃げたいし、でも転びたくないという思いでスタートしました。格闘技のような(位置取りの)ベルギーレースとは違って、スペインのレースは位置取りが楽なので走りやすいです」。
そう語る土井は、エースとして3級山岳の頂上ゴールが設定された第1ステージに挑んだ。しかし、チームメイトに守られて好位置でラスト1kmに差し掛かりながらも、サンチェスとロドリゲスのペースアップに遅れてしまう。「今のパワーでは彼らのスピードに太刀打ちできなかった。もう少し勾配があれば付いていけた」。
スキル・シマノは第3ステージのチームタイムトライアルで9位に。土井は「追い風基調だったので最後まで53x11を踏みっぱなし。良いタイムだと思っていたら、優勝したモビスターは平均70km/hオーバーだと聞いて驚いた」と語る。
リハビリ期間中にウェイトトレーニングを積極的に取り入れ、筋力アップを目指したという土井。「自分は登坂距離が10kmを超えるような山岳を得意とするピュアクライマーではない。それよりも、パンチ力が必要な2〜3kmの登りが得意。その分野ではチーム内で評価を得ている」。
その言葉は第4ステージの登りフィニッシュで証明される。6%の登りが1kmにわたって続くゴールで、ペースの上がったメイン集団に土井は最後まで食らいついてゴール。デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)やイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)の前でゴールラインを切った。「最後はメンショフをパスして9位でゴール。自分の特技を活かせた日になりました。怪我から復帰後初のリザルト。苦しいリハビリ期間を思い出して泣きそうになった」。
第4ステージを終えた時点で総合25位につけていた土井は、超級山岳の頂上ゴールが設定された最終ステージで序盤からのアタック合戦に参戦する。結果的に逃げに乗れず、アタックで力を使った土井は74位でゴール。総合49位で5日間の闘いを終えた。
「もう膝は問題ない」。土井が怪我から完全に復活した。そして、やはり気になるのは「出場することを考えてリハビリを続けてきた」と語るブエルタ・ア・エスパーニャへの出場だ。
「このブルゴスと、先日閉幕したツール・ド・ポローニュを最後にブエルタのセレクションは終了。焦りは無かったけど、このレースで結果を残すことができてよかった。チームの中にはコンディションを落としている選手もいる。でもまだなんとも言えない。ここまで妥協することなく、できることをできるだけやってきた」。スキル・シマノのブエルタ出場メンバーは今週中に発表される見通しだ。
第1ステージ ビジャルカヨ〜ミランダ・デ・エブロ 168km
1位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 3h51'07"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター) +04"
4位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)
5位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、モビスター)
52位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +54"
第2ステージ ブルゴス 144km
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 3h26'22"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +03"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +07"
4位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン) +09"
5位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +10"
44位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +1'22"
第3ステージ プラドルエンゴ〜ベロラド 11.6km(チームTT)
1位 モビスター 9'54"
2位 カチューシャ +10"
3位 アックア・エ・サポーネ +13"
4位 ソール・ソジャサン +17"
5位 カハルーラル +19"
9位 スキル・シマノ +23"
第4ステージ ロア・デ・ドゥエロ〜クルニア・ローマ遺跡 168km
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) 3h44'28"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +01"
3位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)
4位 リカルド・ガルシアアンブロア(スペイン、オルベア)
5位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)
9位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
第5ステージ アレニスカス・デ・ロス・ピナレス 155km
1位 ミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル) 4h00'20"
2位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +03"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +12"
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +17"
5位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン) +33"
74位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +13'52"
個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 15h12'34"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +36"
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +45"
4位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'23"
5位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン) +1'52"
49位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +16'09"
text:Kei Tsuji
photo:www.vueltaburgos.com
スペイン北部、カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス近郊を舞台に第33回ブエルタ・ア・ブルゴスは開催された。毎年8月上旬から中旬にかけて開催される中級ステージレースであり、2週間後に控えたブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦としての位置づけだ。
レースは連日スペイン人クライマーによるバトルが繰り広げられた。ディフェンディングチャンピオンのサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が初日の3級山岳頂上ゴールを制すも、同ステージ2位のロドリゲスが翌日の3級山岳で優勝を飾って首位に。
カチューシャはチームTTで2位に入ってロドリゲスの総合首位を堅守。第4ステージで優勝したダニエル・モレーノ(スペイン)とともに、ロドリゲスがワンツー体制で総合優勝を飾った。ロドリゲスはダニーロ・ディルーカ(イタリア)とともにブエルタ・ア・エスパーニャに挑む予定だ。
そして日本からは土井雪広がブルゴスに出場した。今シーズン土井は春先から好調さを見せていたが、アルデンヌ・クラシック直前の4月13日に開催されたブラバンツ・ペイルで落車し、膝蓋骨を骨折してしまう。3ヶ月に及ぶリハビリを経て、7月のツール・ド・ワロニーでレースに復帰していた。
「コンディションも上げたいし、リザルトも残したいし、逃げたいし、でも転びたくないという思いでスタートしました。格闘技のような(位置取りの)ベルギーレースとは違って、スペインのレースは位置取りが楽なので走りやすいです」。
そう語る土井は、エースとして3級山岳の頂上ゴールが設定された第1ステージに挑んだ。しかし、チームメイトに守られて好位置でラスト1kmに差し掛かりながらも、サンチェスとロドリゲスのペースアップに遅れてしまう。「今のパワーでは彼らのスピードに太刀打ちできなかった。もう少し勾配があれば付いていけた」。
スキル・シマノは第3ステージのチームタイムトライアルで9位に。土井は「追い風基調だったので最後まで53x11を踏みっぱなし。良いタイムだと思っていたら、優勝したモビスターは平均70km/hオーバーだと聞いて驚いた」と語る。
リハビリ期間中にウェイトトレーニングを積極的に取り入れ、筋力アップを目指したという土井。「自分は登坂距離が10kmを超えるような山岳を得意とするピュアクライマーではない。それよりも、パンチ力が必要な2〜3kmの登りが得意。その分野ではチーム内で評価を得ている」。
その言葉は第4ステージの登りフィニッシュで証明される。6%の登りが1kmにわたって続くゴールで、ペースの上がったメイン集団に土井は最後まで食らいついてゴール。デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)やイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)の前でゴールラインを切った。「最後はメンショフをパスして9位でゴール。自分の特技を活かせた日になりました。怪我から復帰後初のリザルト。苦しいリハビリ期間を思い出して泣きそうになった」。
第4ステージを終えた時点で総合25位につけていた土井は、超級山岳の頂上ゴールが設定された最終ステージで序盤からのアタック合戦に参戦する。結果的に逃げに乗れず、アタックで力を使った土井は74位でゴール。総合49位で5日間の闘いを終えた。
「もう膝は問題ない」。土井が怪我から完全に復活した。そして、やはり気になるのは「出場することを考えてリハビリを続けてきた」と語るブエルタ・ア・エスパーニャへの出場だ。
「このブルゴスと、先日閉幕したツール・ド・ポローニュを最後にブエルタのセレクションは終了。焦りは無かったけど、このレースで結果を残すことができてよかった。チームの中にはコンディションを落としている選手もいる。でもまだなんとも言えない。ここまで妥協することなく、できることをできるだけやってきた」。スキル・シマノのブエルタ出場メンバーは今週中に発表される見通しだ。
第1ステージ ビジャルカヨ〜ミランダ・デ・エブロ 168km
1位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) 3h51'07"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター) +04"
4位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)
5位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、モビスター)
52位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +54"
第2ステージ ブルゴス 144km
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 3h26'22"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +03"
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +07"
4位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン) +09"
5位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +10"
44位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +1'22"
第3ステージ プラドルエンゴ〜ベロラド 11.6km(チームTT)
1位 モビスター 9'54"
2位 カチューシャ +10"
3位 アックア・エ・サポーネ +13"
4位 ソール・ソジャサン +17"
5位 カハルーラル +19"
9位 スキル・シマノ +23"
第4ステージ ロア・デ・ドゥエロ〜クルニア・ローマ遺跡 168km
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) 3h44'28"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +01"
3位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)
4位 リカルド・ガルシアアンブロア(スペイン、オルベア)
5位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)
9位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
第5ステージ アレニスカス・デ・ロス・ピナレス 155km
1位 ミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル) 4h00'20"
2位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +03"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +12"
4位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +17"
5位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン) +33"
74位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +13'52"
個人総合成績
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 15h12'34"
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +36"
3位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) +45"
4位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +1'23"
5位 ファブリス・ジャンデボス(フランス、ソール・ソジャサン) +1'52"
49位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +16'09"
text:Kei Tsuji
photo:www.vueltaburgos.com
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