2009/05/04(月) - 22:38
5月9日に開幕する第92回ジロ・デ・イタリアのコースを分析。まずは初日のヴェネツィア・チームタイムトライアルから第11ステージまで、ドロミテやアルプスの山岳を越える前半戦のステージを紹介します!
第1ステージ 5月9日(土)リード・ディ・ヴェネツィア チームTT 20.5km
23日間の闘いの火ぶたが切って落とされるのは、ヴェネツィアの沖に浮かぶリード島でのチームタイムトライアル。直線基調のコースは完全にフラットで、個々の平坦独走力とチームワークがそのままタイムに反映される。ここで大きくタイムを失えば、マリアローザ争いにおいて不利な闘いが強いられる。
昨年の初日チームTTはガーミン・スリップストリームがトップタイムを叩き出し、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ)がマリアローザを着用した。今年はロマンディのチームTTを制したチームコロンビアがマリアローザ獲得の最有力候補に挙げられる。ジロ初出場のランス・アームストロング(アメリカ)擁するアスタナにも注目が集まる。
第2ステージ 5月10日(日)イェーゾロ〜トリエステ 156km
ロードステージ初日はピュアスプリンター向きのド平坦ステージ。ベネト平野をひたすら東へ進み、最後はトリエステに設定された11km周回コースを3周する。しかし平坦と侮るなかれ、季節風が思わぬ集団分裂を起こすことも考えられる。
トリエステ周回コース中盤には標高95mのカテゴリー山岳が設定されており、2度目の通過時には山岳ポイントが与えられる。ステージ優勝に届かないまでも、マリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)狙いの選手が積極的にアタックを仕掛けるだろう。山岳通過後はゴールまで4kmの下り。スプリンターチームを先頭に高速ダウンヒルをこなし、最終ストレートになだれ込む。
第3ステージ 5月11日(月)グラード〜ヴァルドッビアーデネ 198km
レース序盤にスプリンターに与えられたチャンスは僅かに2回。第3ステージはアドリア海沿いの港町グラードをスタートし、プロセッコ(発泡ワイン)で有名な内陸部のヴァルドッビアーデネにゴールする。一旦ゴール地点を通過し、標高差100mほどの山岳ポイントを含む23km周回コースをこなしてゴール。2日連続でピュアスプリンターの激しいバトルが見物だ。
ゴール地点ヴァルドッビアーデネはドロミテの入り口に位置しており、翌日からはピュアスプリンターの出番のない山岳地帯に突入する。この2連続平坦ステージで今年のマリアチクラミーノの行方はいくらか占えるだろう。
第4ステージ 5月12日(火)パドヴァ〜サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ 162km
北イタリアから南下する第92回ジロ・デ・イタリアの最大の特徴は、レース序盤から難関山岳が登場すること。パドヴァをスタートする第4ステージは、早くもドロミテ山岳に突入する。レース4日目にして難関頂上ゴールが登場するのだ。
ゴール42km手前で平均勾配7.9%のクローチェ・ドウネ(標高1015m)を通過し、最後はサンマルティーノ・ディ・カストロッツァ(標高1466m)に向かって駆け上がる。最後の上りは13.7kmと長く、勾配はコンスタントに6%(最大10%)を刻む。スプリンターの間で争奪戦が繰り広げられていたマリアローザは、早速オールラウンダーの手に渡るだろう。
第5ステージ 5月13日(水)サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ〜アルペ・ディ・シウジ 125km
ドロミテの洗礼は2日連続で選手たちを襲う。前日のゴール地点サンマルティーノ・ディ・カストロッツァのスタート後すぐに始まるロッレ峠(標高1972m)では逃げを狙う選手がアタック合戦を繰り広げる。一旦標高200m台のアディジェ川沿いまで下り、最後は距離24.9kmのアルペ・ディ・シウジ(標高1844m)を駆け上がる。
アルペ・ディ・シウジ全体の平均勾配は6.1%と厳しくはないが、ラスト7kmを切ってから勾配は8.6%(最大11%)を刻む。ジロ前半戦最大の山場であり、マリアローザ争いは早くも本格化。近隣のトレント出身のジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)は地元で錦を飾れるか。
第6ステージ 5月14日(木)ブレッサノーネ〜マイヤーホーフェン(オーストリア)248km
ワンディクラシックに匹敵するほどの248kmのロングコースの大半は、イタリアではなくオーストリア国内だ。頂上ゴールは設定されないが、標高1500mオーバーの山岳を2つ越えなければゴールまで辿り着けない。
いずれも平均4〜5%ほどの山岳で、この2つの上りで絞られた集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)に代表される山岳をこなすスプリンターにはチャンスだ。2連続頂上ゴールで消耗した総合狙いの選手たちは、アシストたちに守られながらロングステージをこなす。
第7ステージ 5月15日(金)インスブルック(オーストリア)〜キアヴェンナ 244km
オーストリア、スイス、イタリアの3カ国をまたぐ第7ステージは、再び244kmのロングコース。ゴール36km手前に位置するマロヤ峠(標高1815m)に向かって徐々に高度を上げ、峠通過後はゴール地点キアヴェンナまで標高差1500mを一気に下る。
山岳地帯を貫くステージだが、大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性も高い。スプリンターチームの統率が崩れた場合は、総合に影響が出ない程度に大逃げが決まることも考えられる。前日と同様、ワンディレーサーが序盤から果敢に飛び出すハズだ。
第8ステージ 5月16日(土)モルベーニョ〜ベルガモ 209km
2つの山岳ポイントが設定された中級山岳ステージは、ジロ・ディ・ロンバルディアでお馴染みのコモ湖近くをスタート。山岳ポイントのサンピエトロ(標高1254m)を含む山岳地帯を抜け、ロンバルディア平野の北端ベルガモに降り立つ。
ゴール27km手前に佇むガッロ峠(標高763m)は長さ6.2km・平均7%で、総合を動かすような破壊力はないものの、ピュアスプリンターにとっては厄介な存在だ。ゴール3.4km手前の短い上りも曲者で、ここで飛び出した選手がスプリンターのチャンスを奪うことも考えられる。
第9ステージ 5月17日(日)ミラノショー100 163km
その名の通りミラノでのショータイム。例年ジロの終着地として登場するミラノで、平坦ハイスピードバトルが繰り広げられる。さすがジロ・デ・イタリア100年大会。世界有数の大都市ミラノ中心に大規模な交通規制を敷き、15.4kmのスペシャル周回コースを用意した。
ドゥオモ広場前をパレードスタートし、完全フラットな15.4km周回を11周する。連続するコーナーは落車を誘発するため、総合争いの選手も気が抜けない。ゴール地点は例年と同じくヴェネツィア通りだが、今年は逆方向からの進入。テクニカルな最終コーナーを抜けると、ラスト1800mは真っすぐなストレートだ。最終ステージではないが、ここでの勝利は非常に意味のあるものになるだろう。
休息日 5月18日(月)
第10ステージ 5月19日(火)クーネオ〜ピネローロ 262km
今大会唯一アルプス山岳を通過する第10ステージ。1949年にファウスト・コッピが先頭通過して優勝した5つの峠(マッダレーナ峠、ヴァル峠、イゾアール峠、モンジネヴロ峠、セストリエーレ)を通過する250kmの難関山岳コースが予定されていたが、通行止めと無線の問題でコース変更がなされた。
スタート地点とゴール地点は変わらずクネオとピネローロ。しかしフランスに入国せず、モンチェニシオ峠を経てセストリエーレに向かい、ラスト8kmでプラマルティーノ峠を越えてゴールに辿り着く。山岳の標高や難易度は下がったが、距離は今大会最長の262kmに伸びた。
第11ステージ 5月20日(水)トリノ〜アレンツァーノ 214km
内陸部のトリノをスタートし、ミラノ〜サンレモでも登場するトゥルキーノ峠を越えてアドリア海へ。下りと平坦路を経て、ジェノヴァ近くのアレンツァーノにゴールする。トゥルキーノ峠の難易度は低く、問題なく集団スプリントに持ち込まれるだろう。
優勝候補に挙げられるのは、地元が近いアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)。レース前半の山岳で、すでにマリアチクラミーノ候補が絞られている可能性もある。総合狙いの選手は、翌日の重要な個人タイムトライアルに備えてリカバリーに励む。
第1ステージ 5月9日(土)リード・ディ・ヴェネツィア チームTT 20.5km
23日間の闘いの火ぶたが切って落とされるのは、ヴェネツィアの沖に浮かぶリード島でのチームタイムトライアル。直線基調のコースは完全にフラットで、個々の平坦独走力とチームワークがそのままタイムに反映される。ここで大きくタイムを失えば、マリアローザ争いにおいて不利な闘いが強いられる。
昨年の初日チームTTはガーミン・スリップストリームがトップタイムを叩き出し、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ)がマリアローザを着用した。今年はロマンディのチームTTを制したチームコロンビアがマリアローザ獲得の最有力候補に挙げられる。ジロ初出場のランス・アームストロング(アメリカ)擁するアスタナにも注目が集まる。
第2ステージ 5月10日(日)イェーゾロ〜トリエステ 156km
ロードステージ初日はピュアスプリンター向きのド平坦ステージ。ベネト平野をひたすら東へ進み、最後はトリエステに設定された11km周回コースを3周する。しかし平坦と侮るなかれ、季節風が思わぬ集団分裂を起こすことも考えられる。
トリエステ周回コース中盤には標高95mのカテゴリー山岳が設定されており、2度目の通過時には山岳ポイントが与えられる。ステージ優勝に届かないまでも、マリアヴェルデ(山岳賞ジャージ)狙いの選手が積極的にアタックを仕掛けるだろう。山岳通過後はゴールまで4kmの下り。スプリンターチームを先頭に高速ダウンヒルをこなし、最終ストレートになだれ込む。
第3ステージ 5月11日(月)グラード〜ヴァルドッビアーデネ 198km
レース序盤にスプリンターに与えられたチャンスは僅かに2回。第3ステージはアドリア海沿いの港町グラードをスタートし、プロセッコ(発泡ワイン)で有名な内陸部のヴァルドッビアーデネにゴールする。一旦ゴール地点を通過し、標高差100mほどの山岳ポイントを含む23km周回コースをこなしてゴール。2日連続でピュアスプリンターの激しいバトルが見物だ。
ゴール地点ヴァルドッビアーデネはドロミテの入り口に位置しており、翌日からはピュアスプリンターの出番のない山岳地帯に突入する。この2連続平坦ステージで今年のマリアチクラミーノの行方はいくらか占えるだろう。
第4ステージ 5月12日(火)パドヴァ〜サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ 162km
北イタリアから南下する第92回ジロ・デ・イタリアの最大の特徴は、レース序盤から難関山岳が登場すること。パドヴァをスタートする第4ステージは、早くもドロミテ山岳に突入する。レース4日目にして難関頂上ゴールが登場するのだ。
ゴール42km手前で平均勾配7.9%のクローチェ・ドウネ(標高1015m)を通過し、最後はサンマルティーノ・ディ・カストロッツァ(標高1466m)に向かって駆け上がる。最後の上りは13.7kmと長く、勾配はコンスタントに6%(最大10%)を刻む。スプリンターの間で争奪戦が繰り広げられていたマリアローザは、早速オールラウンダーの手に渡るだろう。
第5ステージ 5月13日(水)サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ〜アルペ・ディ・シウジ 125km
ドロミテの洗礼は2日連続で選手たちを襲う。前日のゴール地点サンマルティーノ・ディ・カストロッツァのスタート後すぐに始まるロッレ峠(標高1972m)では逃げを狙う選手がアタック合戦を繰り広げる。一旦標高200m台のアディジェ川沿いまで下り、最後は距離24.9kmのアルペ・ディ・シウジ(標高1844m)を駆け上がる。
アルペ・ディ・シウジ全体の平均勾配は6.1%と厳しくはないが、ラスト7kmを切ってから勾配は8.6%(最大11%)を刻む。ジロ前半戦最大の山場であり、マリアローザ争いは早くも本格化。近隣のトレント出身のジルベルト・シモーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)は地元で錦を飾れるか。
第6ステージ 5月14日(木)ブレッサノーネ〜マイヤーホーフェン(オーストリア)248km
ワンディクラシックに匹敵するほどの248kmのロングコースの大半は、イタリアではなくオーストリア国内だ。頂上ゴールは設定されないが、標高1500mオーバーの山岳を2つ越えなければゴールまで辿り着けない。
いずれも平均4〜5%ほどの山岳で、この2つの上りで絞られた集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)に代表される山岳をこなすスプリンターにはチャンスだ。2連続頂上ゴールで消耗した総合狙いの選手たちは、アシストたちに守られながらロングステージをこなす。
第7ステージ 5月15日(金)インスブルック(オーストリア)〜キアヴェンナ 244km
オーストリア、スイス、イタリアの3カ国をまたぐ第7ステージは、再び244kmのロングコース。ゴール36km手前に位置するマロヤ峠(標高1815m)に向かって徐々に高度を上げ、峠通過後はゴール地点キアヴェンナまで標高差1500mを一気に下る。
山岳地帯を貫くステージだが、大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性も高い。スプリンターチームの統率が崩れた場合は、総合に影響が出ない程度に大逃げが決まることも考えられる。前日と同様、ワンディレーサーが序盤から果敢に飛び出すハズだ。
第8ステージ 5月16日(土)モルベーニョ〜ベルガモ 209km
2つの山岳ポイントが設定された中級山岳ステージは、ジロ・ディ・ロンバルディアでお馴染みのコモ湖近くをスタート。山岳ポイントのサンピエトロ(標高1254m)を含む山岳地帯を抜け、ロンバルディア平野の北端ベルガモに降り立つ。
ゴール27km手前に佇むガッロ峠(標高763m)は長さ6.2km・平均7%で、総合を動かすような破壊力はないものの、ピュアスプリンターにとっては厄介な存在だ。ゴール3.4km手前の短い上りも曲者で、ここで飛び出した選手がスプリンターのチャンスを奪うことも考えられる。
第9ステージ 5月17日(日)ミラノショー100 163km
その名の通りミラノでのショータイム。例年ジロの終着地として登場するミラノで、平坦ハイスピードバトルが繰り広げられる。さすがジロ・デ・イタリア100年大会。世界有数の大都市ミラノ中心に大規模な交通規制を敷き、15.4kmのスペシャル周回コースを用意した。
ドゥオモ広場前をパレードスタートし、完全フラットな15.4km周回を11周する。連続するコーナーは落車を誘発するため、総合争いの選手も気が抜けない。ゴール地点は例年と同じくヴェネツィア通りだが、今年は逆方向からの進入。テクニカルな最終コーナーを抜けると、ラスト1800mは真っすぐなストレートだ。最終ステージではないが、ここでの勝利は非常に意味のあるものになるだろう。
休息日 5月18日(月)
第10ステージ 5月19日(火)クーネオ〜ピネローロ 262km
今大会唯一アルプス山岳を通過する第10ステージ。1949年にファウスト・コッピが先頭通過して優勝した5つの峠(マッダレーナ峠、ヴァル峠、イゾアール峠、モンジネヴロ峠、セストリエーレ)を通過する250kmの難関山岳コースが予定されていたが、通行止めと無線の問題でコース変更がなされた。
スタート地点とゴール地点は変わらずクネオとピネローロ。しかしフランスに入国せず、モンチェニシオ峠を経てセストリエーレに向かい、ラスト8kmでプラマルティーノ峠を越えてゴールに辿り着く。山岳の標高や難易度は下がったが、距離は今大会最長の262kmに伸びた。
第11ステージ 5月20日(水)トリノ〜アレンツァーノ 214km
内陸部のトリノをスタートし、ミラノ〜サンレモでも登場するトゥルキーノ峠を越えてアドリア海へ。下りと平坦路を経て、ジェノヴァ近くのアレンツァーノにゴールする。トゥルキーノ峠の難易度は低く、問題なく集団スプリントに持ち込まれるだろう。
優勝候補に挙げられるのは、地元が近いアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)。レース前半の山岳で、すでにマリアチクラミーノ候補が絞られている可能性もある。総合狙いの選手は、翌日の重要な個人タイムトライアルに備えてリカバリーに励む。
フォトギャラリー