2011/06/07(火) - 17:47
マウンテンバイクの公式大会となる、長野県・富士見パノラマで行われたJシリーズ。土曜日のダウンヒル開幕戦に足を運んでみた。今回はピットから新しい体勢でシーズンのスタートを切ったDHライダーたちやエキップメントを紹介しよう。
栗瀬裕太(チームマングース)が見事なライディングを見せる photo:Harumichi SATO
PIVOTを駆る阿藤寛の華麗なジャンプ photo:Harumichi SATO
ダウンヒル男子エリートで優勝した井本はじめ(チーム トランジション レーシング) photo:Harumichi SATO
見事なテクニックを披露する九島賛汰選手 photo:Harumichi SATO
今年は例年のダウンヒル開幕である函館山(滋賀)が震災の影響で中止となり、この富士見パノラマ大会が初戦になる。今シーズンは10年度の年間ランキングトップやベテラン選手が引退したり、体制が大きく変わったチームもあることから、上位陣の争いが特に注目で、楽しみだった。
また、レースともなると普段見慣れた富士見パノラマの駐車場には各メーカーやチームのブーステントがひしめき、新しい機材もチラホラ。こちらを見て回るのもイベントの醍醐味だ。
今回は注目の3選手に聞く愛車の話と、ブースで気になったアイテムのピックアップをしたい。
ショップチームながら気合の入ったサポート体制となった 阿藤寛
今シーズンから1-jyoTelescopeという、ショップ主体ながら事前にPVを作成したりと気合の入れ方が素晴らしいチームから出走する阿藤寛(あとうひろし)。普段はショップ店員として働く若きライダーだ。
彼が乗るバイクはピボットのフェニックスDH。日本にはまだ台数があまりないレアバイクで、データとして未知数な点が多いバイクだ。そのフェニックスDHについてまず彼の意見を聞いてみた。
阿藤寛(1-jyoTelescope) photo:Harumichi SATO
「重さはあるバイクです。しかし剛性があって、踏んだ分だけきちんと前に進みます」「フレーム前三角が硬いのが特に良く、そのおかげでハンドルとペダルを中心とした身体の位置がブレる事がなく、ライントレースもとてもしやすい」ということだ。
今シーズの抱負などについても尋ねてみた。
「今シーズンは気合いの入った体制にもなり、シーズンを通してトップ5は狙いたいです。それと一度は表彰台に登りたいですね」と、やや控えめながら熱の入ったコメントをしてくれた。
気になる今大会の成績は、予選12位、決勝9位と次戦以降が楽しみな結果だ。
移籍後の今シーズン「楽しんで走れればベスト」と言う 小山航
昨年のチームトランジションから移り、今期はバンシーを駆ってシーズンを闘う小山航(こやまわたる)。実はほとんどプロフィールを知らなかったのだが、若く見えてなんとサラリーマンライダーだそうだ。(まだ学生さんだと思っていました)。
バンシー・レジェンドMkIIを駆る小山航 photo:Harumichi SATO
彼が乗るバンシーは、トップモデルになる"レジェンドMkII"。代理店のオーナーでありながらレジェンドライダーでもある塚本岳も昨年から乗っていたモデルだ。
特徴を聞いてみると、「漕ぎに対する反応が良く、とても進むバイクです。また、ユニットやリンクを下部に集中させた低重心が好バランスを生み出しています」とのこと。
筆者もこのバンシーには昨年、ひとつ下のモデルになる“サイズ”に乗った事があるが、確かにとてもバランスがよく安定感もあり、それでいて取り回しにも優れたバイクだった。この取り回しに関連して、小山選手は長身だが敢えてSサイズを選択していて、「振り回し易さを重視してのチョイス」ということだ。
また、昨今では珍しい、ペダルにSPDを使っていて、こちらは「漕ぎ重視とやはり足が離れない事が理由です。ぼくは"足出さない派"なので」という理由からだそうだ。
移籍した今シーズンについての抱負は、「なによりサラリーマンライダーですので、まず出来る範囲で楽しく乗れれば」と、控え目だが自転車に乗る原点のようなコメントをもらった。レース結果は予選6位、決勝8位と、侮れない成績を叩き出していた。
チームマングース復活で期待高まる 栗瀬裕太
かつて日本のDH界を賑やかしたマングースは、ここ数年オフィシャルの活動は休止していたが、今期とうとう、名ライダーである栗瀬裕太(くりせゆうた)を迎え復活した。駆るバイクは、「即闘えるフルパッケージ」=完成車で29万9,250円と驚異的コストパフォーマンスを誇るブーダー フォアマンだ。
栗瀬裕太(チームマングース) photo:Harumichi SATO
このバイクを1週間前に受け取ったばかりという栗瀬は、「(富士見パノラマ敷地内にある)クロスコースの作成で忙しくて乗る時間もなく、パトロールを兼ねてAコースを2回下ってきただけで、その感触でサスペンスセッティング出した」という、ドタバタの中でのスタートだった。
その少ない乗車時間の中から受けたバイクの印象は、「軽くてかつ剛性感があります(マングースのバイクは年々軽くなっているという)。それと、ダートジャンプやBMXのテクニックを多用するぼくとしてはハンドルが低いほうがメリットが大きく、このバイクはその好みにぴったりあった低さでした」ということだ。
確かに、今回新設されたセンターゲレンデ下のジャンプセクションを彼一人だけ、車体を寝かして低く飛ぶ「スクラブ」と呼ばれるテクニックでクリアしていて、このコメントに納得。
「いじった」というサスペンションについては、「このバイクのフロントサスペンションはロックショックスのボクサーの中で一番アンダーなグレードが付いていますが、標準よりソフトになる黄色スプリングに交換し、リアはそのままです」と驚きのコメントが飛び出した。
ポジションや好みの変更以外、ほぼストック状態でレースに挑んだということだ(ホイールはスペアの別物を使用)。
ちなみに、彼だけはレース後に話を伺ったのだが、リザルトは予選が4位、決勝は10位と、共に彼の戦歴の中で自己ベストを更新していて、「たいへんうれしいし、ワールドでも成績を出しているこのバイクの能力の高さが実証できて、ダウンヒルバイク購入時には有力な選択肢になるでしょう」と、自信満々なアピールを寄せてくれた。
シーズンの抱負については、当然「今シーズン、もっと乗り込んでいけばもっと上位を狙えるはずです」と成績を裏付ける強気の意気込みを聞かせてくれた。
新たな取り組みで賑わった今回のJシリーズ
今大会は、コースの後半が大幅に修正され、ジャンプセクションの新設や高速セクションレイアウトへの変更などがあり、正面ゲレンデからあまり距離を歩かずにしてダウンヒルの迫力を楽しめる取り組みが行われていた。
また表彰式ののち、目の前に広がるメーカーブーステントで各ライダーによるサイン会や豪華な景品が当たるじゃんけん大会などが実施され、いつまでも観客の波が引かず、大盛り上がりの様相を見せ、これまでにない楽しみもあった。
翌日のクロスカントリー/フォークロスと合わせ、震災の影響をものともせずエントリーは昨年大会より増加したという話もあり、幸先の良いMTBデイとなった。
青木卓也を相手にしたジャンケン大会 photo:Harumichi SATO
マヴィックのサポートはいつでも頼もしい photo:Harumichi SATO
KHSの新型フレームが登場!
海外で目撃されていたKHSの新型フレームが早くも日本にも上陸していた。まだ詳細は不明だが、BB+リンク周りの処理が気になる。九島兄弟の兄の方が、今週末(6/11-12)の春の草津大会(MTBフェスタin草津)で乗る予定だという。
海外で目撃されていたKHSの新型フレームが早くも日本に上陸 photo:Harumichi SATO
ズーバブデザインのヘルメット"urge"
会場で見かけた面白いデザインのヘルメット。サブリナ・ジョニエ、アン・カロリン・ショソン、ファビアン・バレルら名だたるライダーが被っているそうで、フランスのurge(日本語読み:アージ)というブランドだ。
サン→コメンサルと移ってきた元デザイナーであるズーバブ氏が興したブランドで、これらのメーカーと確かに共通したデザインが感じられ、今後の展開が楽しみだ。特殊な内部構造をしており、たいへん軽かった。
ズーバブがデザインするヘルメット「urge」 photo:Harumichi SATO
デザイン的にも非常に面白い photo:Harumichi SATO
アンカーのフルカーボンハードテール"XIS9"
筆者の勉強不足でお恥ずかしい限りだが、アンカーがいつのまにカーボンバイクXIS9を完成させ、ライダー達が駆っていた。すでに市販もされている。
平野星矢のアンカーのフルカーボンハードテール XIS9 photo:Harumichi SATO
平野のバイクにセットされたSRサンツアーのサスペンション photo:Harumichi SATO写真は10年シリーズチャンピオンである平野星矢(ひらのせいや)が駆るバイクだ。開発が停まったと思っていたハードテールバイクだが、アンカーの本気度と、その完成度の高さに驚いた。
フロントフォークはSRサンツアーのサスペンションで、シェアを伸ばしている実情が窺いしれた。XCレースの結果は堂々の2位。
photo&report : Harumichi SATO
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また、レースともなると普段見慣れた富士見パノラマの駐車場には各メーカーやチームのブーステントがひしめき、新しい機材もチラホラ。こちらを見て回るのもイベントの醍醐味だ。
今回は注目の3選手に聞く愛車の話と、ブースで気になったアイテムのピックアップをしたい。
ショップチームながら気合の入ったサポート体制となった 阿藤寛
今シーズンから1-jyoTelescopeという、ショップ主体ながら事前にPVを作成したりと気合の入れ方が素晴らしいチームから出走する阿藤寛(あとうひろし)。普段はショップ店員として働く若きライダーだ。
彼が乗るバイクはピボットのフェニックスDH。日本にはまだ台数があまりないレアバイクで、データとして未知数な点が多いバイクだ。そのフェニックスDHについてまず彼の意見を聞いてみた。
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「重さはあるバイクです。しかし剛性があって、踏んだ分だけきちんと前に進みます」「フレーム前三角が硬いのが特に良く、そのおかげでハンドルとペダルを中心とした身体の位置がブレる事がなく、ライントレースもとてもしやすい」ということだ。
今シーズの抱負などについても尋ねてみた。
「今シーズンは気合いの入った体制にもなり、シーズンを通してトップ5は狙いたいです。それと一度は表彰台に登りたいですね」と、やや控えめながら熱の入ったコメントをしてくれた。
気になる今大会の成績は、予選12位、決勝9位と次戦以降が楽しみな結果だ。
移籍後の今シーズン「楽しんで走れればベスト」と言う 小山航
昨年のチームトランジションから移り、今期はバンシーを駆ってシーズンを闘う小山航(こやまわたる)。実はほとんどプロフィールを知らなかったのだが、若く見えてなんとサラリーマンライダーだそうだ。(まだ学生さんだと思っていました)。
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彼が乗るバンシーは、トップモデルになる"レジェンドMkII"。代理店のオーナーでありながらレジェンドライダーでもある塚本岳も昨年から乗っていたモデルだ。
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筆者もこのバンシーには昨年、ひとつ下のモデルになる“サイズ”に乗った事があるが、確かにとてもバランスがよく安定感もあり、それでいて取り回しにも優れたバイクだった。この取り回しに関連して、小山選手は長身だが敢えてSサイズを選択していて、「振り回し易さを重視してのチョイス」ということだ。
また、昨今では珍しい、ペダルにSPDを使っていて、こちらは「漕ぎ重視とやはり足が離れない事が理由です。ぼくは"足出さない派"なので」という理由からだそうだ。
移籍した今シーズンについての抱負は、「なによりサラリーマンライダーですので、まず出来る範囲で楽しく乗れれば」と、控え目だが自転車に乗る原点のようなコメントをもらった。レース結果は予選6位、決勝8位と、侮れない成績を叩き出していた。
チームマングース復活で期待高まる 栗瀬裕太
かつて日本のDH界を賑やかしたマングースは、ここ数年オフィシャルの活動は休止していたが、今期とうとう、名ライダーである栗瀬裕太(くりせゆうた)を迎え復活した。駆るバイクは、「即闘えるフルパッケージ」=完成車で29万9,250円と驚異的コストパフォーマンスを誇るブーダー フォアマンだ。
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このバイクを1週間前に受け取ったばかりという栗瀬は、「(富士見パノラマ敷地内にある)クロスコースの作成で忙しくて乗る時間もなく、パトロールを兼ねてAコースを2回下ってきただけで、その感触でサスペンスセッティング出した」という、ドタバタの中でのスタートだった。
その少ない乗車時間の中から受けたバイクの印象は、「軽くてかつ剛性感があります(マングースのバイクは年々軽くなっているという)。それと、ダートジャンプやBMXのテクニックを多用するぼくとしてはハンドルが低いほうがメリットが大きく、このバイクはその好みにぴったりあった低さでした」ということだ。
確かに、今回新設されたセンターゲレンデ下のジャンプセクションを彼一人だけ、車体を寝かして低く飛ぶ「スクラブ」と呼ばれるテクニックでクリアしていて、このコメントに納得。
「いじった」というサスペンションについては、「このバイクのフロントサスペンションはロックショックスのボクサーの中で一番アンダーなグレードが付いていますが、標準よりソフトになる黄色スプリングに交換し、リアはそのままです」と驚きのコメントが飛び出した。
ポジションや好みの変更以外、ほぼストック状態でレースに挑んだということだ(ホイールはスペアの別物を使用)。
ちなみに、彼だけはレース後に話を伺ったのだが、リザルトは予選が4位、決勝は10位と、共に彼の戦歴の中で自己ベストを更新していて、「たいへんうれしいし、ワールドでも成績を出しているこのバイクの能力の高さが実証できて、ダウンヒルバイク購入時には有力な選択肢になるでしょう」と、自信満々なアピールを寄せてくれた。
シーズンの抱負については、当然「今シーズン、もっと乗り込んでいけばもっと上位を狙えるはずです」と成績を裏付ける強気の意気込みを聞かせてくれた。
新たな取り組みで賑わった今回のJシリーズ
今大会は、コースの後半が大幅に修正され、ジャンプセクションの新設や高速セクションレイアウトへの変更などがあり、正面ゲレンデからあまり距離を歩かずにしてダウンヒルの迫力を楽しめる取り組みが行われていた。
また表彰式ののち、目の前に広がるメーカーブーステントで各ライダーによるサイン会や豪華な景品が当たるじゃんけん大会などが実施され、いつまでも観客の波が引かず、大盛り上がりの様相を見せ、これまでにない楽しみもあった。
翌日のクロスカントリー/フォークロスと合わせ、震災の影響をものともせずエントリーは昨年大会より増加したという話もあり、幸先の良いMTBデイとなった。
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KHSの新型フレームが登場!
海外で目撃されていたKHSの新型フレームが早くも日本にも上陸していた。まだ詳細は不明だが、BB+リンク周りの処理が気になる。九島兄弟の兄の方が、今週末(6/11-12)の春の草津大会(MTBフェスタin草津)で乗る予定だという。
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ズーバブデザインのヘルメット"urge"
会場で見かけた面白いデザインのヘルメット。サブリナ・ジョニエ、アン・カロリン・ショソン、ファビアン・バレルら名だたるライダーが被っているそうで、フランスのurge(日本語読み:アージ)というブランドだ。
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アンカーのフルカーボンハードテール"XIS9"
筆者の勉強不足でお恥ずかしい限りだが、アンカーがいつのまにカーボンバイクXIS9を完成させ、ライダー達が駆っていた。すでに市販もされている。
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フロントフォークはSRサンツアーのサスペンションで、シェアを伸ばしている実情が窺いしれた。XCレースの結果は堂々の2位。
photo&report : Harumichi SATO
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