2011/05/23(月) - 15:33
ジロ・デ・イタリア2011山岳三連戦の最終日。最高峰チマコッピを擁する第15ステージはニエベが勝利を手にした。選手たちのコメントにも疲労感が目立ち、山岳ステージの過酷さが伺える。
ステージ優勝したミケルニエベ・イトゥラルデ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
――ジロをものにした?
今回のジロでは、ベストを尽くして、できるだけエースのイゴール・アントンの成績に近づくことが目標だった。昨日から調子がよくて、今朝のミーティングで、アントンを含むチーム全員がぼくが逃げることに合意してくれたんだ。
――キャリアについて
ぼくにとっては、このジロのクイーンステージでの勝利で、夢がひとつ実現したことになる。プロ選手になったときには、こんな成績を実現できるなんて思わなかった。
――ゴールについて
最後の1kmは永遠のようだった。だから、ゴールを越えたときには、まったく力がなくて、腕を空に上げることすらできなかった。
――ガルゼッリについて
ジャウ峠でステファノ・ガルゼッリと1対1の勝負になった。そこまでの100kmの距離で、向かい風と登りと格闘していた。だから、いまは本当に疲れている。
――エウスカルテルのリーダー変更について
なにも変わらないよ。チームのエースはつねにイゴール・アントンだ。ぼくは上位10人に入れたら満足だ。それ以外は望まないね。(記者会見)
最後の1kmは、どこまでも永遠に続くかと思った。この3日間をなんとか終えたので、自分が勝ったなんて本当に信じられない。このレベルのレースで勝つとか絶対に考えたことがないよ。でも、今日は起きたときから調子がよかったので、逃げに加わってみたかったんだ。
ステージ3位、マリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
今日のステージを語るには、一晩じゃ足りないくらいだ。長くて、とても厳しいステージだった。本当にすごかった。
――逃げ集団について
最初の登りで逃げができた。リクイガスがいい仕事をしていたけれど、ぼくのチームも休まずよく働いたよ。
――ライバルについて
ジャウ峠では、アローヨとロドリゲスと一緒に警戒態勢に入っていた。ニーバリがアタックすると思っていたんだ。自分の判断で静かにしていた。それでよかったと思う。
――モビスターの働きについて
モビスターのアローヨのためだけに働いていたんだ。誰だって自分のチームのために走っている。アンドローニ・ジョカトリとモビスターの働きを利用できたのは幸運だったし、それが結果につながったのは確かだ。
――最後の登りについて
ガルデッチャはタイムトライアルのように登った。とてもきつかった。
――昨日のクロスティスのキャンセルについて(コンタドールがコースからの除外を要請したとされる)
ぼくがクロスティスについて語る資格があるかはわからないんだ。実は、いままでクロスティスについて話したこともない。メディアはぼくが言ってないことを口にしたと伝えている。それは、ぼくのせいじゃない。(ステージオーガナイザーの)エンツォ・カイネロ氏にはあらためてこう伝えてほしい。ぼくはクロスティスを下ることに反対などしていなかった
――昨日のブーイングについて
ブーイングがあったのは事実だ。一方で、ぼくに拍手を送ってくれた人も多い。
――ジロは決まった?
アクシデントがゼロなら、ミラノでのマリアローザを獲得できると思う。だけど、いま結論を下せるほど、残っているのが簡単なステージばかりじゃない。
――山岳タイムトライアルについて
すごく好ましい。あの登りは、ぼくの脚質に最適だね。勝てると思うよ。(記者会見)
きつい一日だった。本当にきつかった。ぼくのキャリアの中で一番きついステージだったんじゃないかな。ぼくたちはここ数日、かなり苦しんできた。
最初の登りでリクイガスが速いペースで走ったから、集団が大きく分かれた。この大きな逃げ集団ができたせいで、一日中きつくて速いレースになった。チームはよく働いてくれた。作戦面でもね。でも、ジャウ峠に入ったときに、ライバルたちの本当のアタックが始まった。
ぼくはニーバリがロドリゲスやアローヨと一緒に逃げることは阻止した。3人が一緒にいるのは危険だからね。逆にニーバリが単独で先行したときは追わなかった。先は長いから、危険だとは思わなかったんだ。
フェダイアにとても速いペースで登ったのは、事態を収拾したかったのと、他の選手のアタックを防ぐ意味もあった。その後のガルデッチャでは、総合成績だけを考えて、個人タイムトライアルのように走った。できるだけタイム差をつけておきたかった。
みんなは、ぼくがジロを決めてしまったと口にするけど、それはちがうよ。逆に2週間のハードなレースをこなして、このタイム差がついたと言われたらうれしいけどね。でも、まだレースは終わってない。ミラノまでは遠い、きついステージもいくつか残ってる。優勝を決めたなんて言えないよ。このジロでは、わずか1分ですらリラックスできないんだ。
レース距離に上限を設けるべきかはわからない。でもたぶん、登りの量には上限が必要だろう。ぼくにとっては、今日のステージはパーフェクトだった。得たものは大きかったし、ジロに向けて準備を整えてきたおかげで、今も調子は落ちていない。
でもぼくよりも1時間遅れてゴール地点にたどり着いた選手たちに聞いてみるといい。彼らにとってはこの上なく厳しい日だった。休養日があってとてもうれしい。今日走った状態から回復する必要があるからね。
総合2位に上昇したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
満足している。ぼくにとってはいい日だったよ。とても過酷なステージだったけれど、一定のペースでペダルを踏んで立ち向かった。これはベストな選択だったよ。おかげで、このステージのどの場面でもレースができたからね。
今ぼくは総合で2位につけている。でもジロはまだ1週間ある。厳しいステージが続くだろう。チームメイトのマルツァーノが熱を出してリタイアせざるを得なくなったのが残念だ。これまでとても重要な働きをしてくれたんだ。そのことに感謝したいと思う。
総合3位となったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
ジロ最大の、そしてもっとも名高い山岳ステージで結果を残そうとしてアタックした。総合2位争いじゃなくて、ステージ優勝争いをしたんだ。
コンタドールを疲れさせようとしてアタックしたけれど、モビスターのラストラスが彼を助けていた。アローヨがステージ優勝を狙っていたからだと思う。
(コンタドールたちを引き離したあとで)追いつかれてからは、フェダイアの登りで苦しんだ。でも、難しい下りだからまた取り戻せると思っていた。フェダイアを下ったところで追いついたとき、彼らは驚いたと思う。ぼくが追いつかないように、懸命に走っていたからね。ぼくをまた見ることになって、がっかりしていた。
でも最後の登りでは注意深く、自分のペースを守って走った。この位置にまだとどまっていられることを、誇らしく思う。
ペースを守って辛抱強く走ったことが功を奏した。正直なところ、昨日のような脚は残っていなかった。でも、最後の登りでスカルポーニに付いていこうとはしたんだ。
一日中補給につとめたおかげで、深刻なダメージにはならずに済んだ。今日のステージは長くて厳しくて寒かったけれど、他の選手たちもこのステージで消耗することはわかっていた。そして、こうなった。期待していたほどではなかったけれど、それでも大きく引き離されずに済んだ。だから今日の自分の走りには満足しているよ。
不調に苦しみながらゴールした別府史之(日本、レディオシャック)
一日中脚に力が入らなくて体調が好ましくない状況の中なんとか走りきった。そしてコースが過酷で自分のキャリアの中でもっとも厳しい経験をした日でもあった。何度も諦めそうになったけど、道は永遠に続いても山は永遠には続かない。という思いでペダルを踏んだ。
いまだかつてこんなにグッタリしたことない。 グランツールで誰もが一度は訪れるバッドデイが今日のハードステージなんて。一昨日、昨日と調子は良かったけど、突然その日はやってきた。
translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla,CorVos
ステージ優勝したミケルニエベ・イトゥラルデ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
――ジロをものにした?
今回のジロでは、ベストを尽くして、できるだけエースのイゴール・アントンの成績に近づくことが目標だった。昨日から調子がよくて、今朝のミーティングで、アントンを含むチーム全員がぼくが逃げることに合意してくれたんだ。
――キャリアについて
ぼくにとっては、このジロのクイーンステージでの勝利で、夢がひとつ実現したことになる。プロ選手になったときには、こんな成績を実現できるなんて思わなかった。
――ゴールについて
最後の1kmは永遠のようだった。だから、ゴールを越えたときには、まったく力がなくて、腕を空に上げることすらできなかった。
――ガルゼッリについて
ジャウ峠でステファノ・ガルゼッリと1対1の勝負になった。そこまでの100kmの距離で、向かい風と登りと格闘していた。だから、いまは本当に疲れている。
――エウスカルテルのリーダー変更について
なにも変わらないよ。チームのエースはつねにイゴール・アントンだ。ぼくは上位10人に入れたら満足だ。それ以外は望まないね。(記者会見)
最後の1kmは、どこまでも永遠に続くかと思った。この3日間をなんとか終えたので、自分が勝ったなんて本当に信じられない。このレベルのレースで勝つとか絶対に考えたことがないよ。でも、今日は起きたときから調子がよかったので、逃げに加わってみたかったんだ。
ステージ3位、マリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
――今日のステージについて
今日のステージを語るには、一晩じゃ足りないくらいだ。長くて、とても厳しいステージだった。本当にすごかった。
――逃げ集団について
最初の登りで逃げができた。リクイガスがいい仕事をしていたけれど、ぼくのチームも休まずよく働いたよ。
――ライバルについて
ジャウ峠では、アローヨとロドリゲスと一緒に警戒態勢に入っていた。ニーバリがアタックすると思っていたんだ。自分の判断で静かにしていた。それでよかったと思う。
――モビスターの働きについて
モビスターのアローヨのためだけに働いていたんだ。誰だって自分のチームのために走っている。アンドローニ・ジョカトリとモビスターの働きを利用できたのは幸運だったし、それが結果につながったのは確かだ。
――最後の登りについて
ガルデッチャはタイムトライアルのように登った。とてもきつかった。
――昨日のクロスティスのキャンセルについて(コンタドールがコースからの除外を要請したとされる)
ぼくがクロスティスについて語る資格があるかはわからないんだ。実は、いままでクロスティスについて話したこともない。メディアはぼくが言ってないことを口にしたと伝えている。それは、ぼくのせいじゃない。(ステージオーガナイザーの)エンツォ・カイネロ氏にはあらためてこう伝えてほしい。ぼくはクロスティスを下ることに反対などしていなかった
――昨日のブーイングについて
ブーイングがあったのは事実だ。一方で、ぼくに拍手を送ってくれた人も多い。
――ジロは決まった?
アクシデントがゼロなら、ミラノでのマリアローザを獲得できると思う。だけど、いま結論を下せるほど、残っているのが簡単なステージばかりじゃない。
――山岳タイムトライアルについて
すごく好ましい。あの登りは、ぼくの脚質に最適だね。勝てると思うよ。(記者会見)
きつい一日だった。本当にきつかった。ぼくのキャリアの中で一番きついステージだったんじゃないかな。ぼくたちはここ数日、かなり苦しんできた。
最初の登りでリクイガスが速いペースで走ったから、集団が大きく分かれた。この大きな逃げ集団ができたせいで、一日中きつくて速いレースになった。チームはよく働いてくれた。作戦面でもね。でも、ジャウ峠に入ったときに、ライバルたちの本当のアタックが始まった。
ぼくはニーバリがロドリゲスやアローヨと一緒に逃げることは阻止した。3人が一緒にいるのは危険だからね。逆にニーバリが単独で先行したときは追わなかった。先は長いから、危険だとは思わなかったんだ。
フェダイアにとても速いペースで登ったのは、事態を収拾したかったのと、他の選手のアタックを防ぐ意味もあった。その後のガルデッチャでは、総合成績だけを考えて、個人タイムトライアルのように走った。できるだけタイム差をつけておきたかった。
みんなは、ぼくがジロを決めてしまったと口にするけど、それはちがうよ。逆に2週間のハードなレースをこなして、このタイム差がついたと言われたらうれしいけどね。でも、まだレースは終わってない。ミラノまでは遠い、きついステージもいくつか残ってる。優勝を決めたなんて言えないよ。このジロでは、わずか1分ですらリラックスできないんだ。
レース距離に上限を設けるべきかはわからない。でもたぶん、登りの量には上限が必要だろう。ぼくにとっては、今日のステージはパーフェクトだった。得たものは大きかったし、ジロに向けて準備を整えてきたおかげで、今も調子は落ちていない。
でもぼくよりも1時間遅れてゴール地点にたどり着いた選手たちに聞いてみるといい。彼らにとってはこの上なく厳しい日だった。休養日があってとてもうれしい。今日走った状態から回復する必要があるからね。
総合2位に上昇したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
満足している。ぼくにとってはいい日だったよ。とても過酷なステージだったけれど、一定のペースでペダルを踏んで立ち向かった。これはベストな選択だったよ。おかげで、このステージのどの場面でもレースができたからね。
今ぼくは総合で2位につけている。でもジロはまだ1週間ある。厳しいステージが続くだろう。チームメイトのマルツァーノが熱を出してリタイアせざるを得なくなったのが残念だ。これまでとても重要な働きをしてくれたんだ。そのことに感謝したいと思う。
総合3位となったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
ジロ最大の、そしてもっとも名高い山岳ステージで結果を残そうとしてアタックした。総合2位争いじゃなくて、ステージ優勝争いをしたんだ。
コンタドールを疲れさせようとしてアタックしたけれど、モビスターのラストラスが彼を助けていた。アローヨがステージ優勝を狙っていたからだと思う。
(コンタドールたちを引き離したあとで)追いつかれてからは、フェダイアの登りで苦しんだ。でも、難しい下りだからまた取り戻せると思っていた。フェダイアを下ったところで追いついたとき、彼らは驚いたと思う。ぼくが追いつかないように、懸命に走っていたからね。ぼくをまた見ることになって、がっかりしていた。
でも最後の登りでは注意深く、自分のペースを守って走った。この位置にまだとどまっていられることを、誇らしく思う。
ペースを守って辛抱強く走ったことが功を奏した。正直なところ、昨日のような脚は残っていなかった。でも、最後の登りでスカルポーニに付いていこうとはしたんだ。
一日中補給につとめたおかげで、深刻なダメージにはならずに済んだ。今日のステージは長くて厳しくて寒かったけれど、他の選手たちもこのステージで消耗することはわかっていた。そして、こうなった。期待していたほどではなかったけれど、それでも大きく引き離されずに済んだ。だから今日の自分の走りには満足しているよ。
不調に苦しみながらゴールした別府史之(日本、レディオシャック)
一日中脚に力が入らなくて体調が好ましくない状況の中なんとか走りきった。そしてコースが過酷で自分のキャリアの中でもっとも厳しい経験をした日でもあった。何度も諦めそうになったけど、道は永遠に続いても山は永遠には続かない。という思いでペダルを踏んだ。
いまだかつてこんなにグッタリしたことない。 グランツールで誰もが一度は訪れるバッドデイが今日のハードステージなんて。一昨日、昨日と調子は良かったけど、突然その日はやってきた。
translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla,CorVos
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