ツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージはようやく西海岸らしい天候に恵まれ、総合争いの選手たちが最初の山岳に挑んだ。ツール・ド・フランスに照準を合わせるアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)らを交わし、40歳のベテラン、クリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック)が登りゴールを制した。

本格的に登り始めるまでは集団で走行する本格的に登り始めるまでは集団で走行する (c)CorVosリバモアをスタートしてサンノゼまでの131.6kmで行われた第4ステージは今大会初の山岳コース。平均勾配8.4%のハミルトン山を越え、最後はグランツールさながら平均勾配9.4%のシエラロードを登りきってゴールする山頂フィニッシュステージだ。4日目にして総合順位が大きく動くのは必至だ。

先日、ジロ・デ・イタリア第3ステージ走行中に落車事故で亡くなったワウテル・ウェイラント(ベルギー、レオパード・トレック)の葬儀がベルギーのヘントで同日行われていたため、このツアー・オブ・カリフォルニアでもスタート前に改めて1分間の黙祷が捧げられた。


登りをこなすラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)ら登りをこなすラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)ら (c)CorVosスタート後すぐに10名が飛び出す。今日も逃げでアピールしたいノンプロチームが中心となり、レースが動き出した。
逃げたのは次に挙げる選手たち。

マルティン・ペデルセン(デンマーク、レオパード・トレック)
ルーベンス・ベルトリアティ(スイス、チームタイプ1)
ウィル・ラウトリー(カナダ、チームスパイダーテック)
ベン・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)
ジェレミー・ヴェネル(ニュージーランド、ビッセル)
アレイステア・ルーティット(オーストラリア、ジェリーベリー)
ジェス・アンソニー(アメリカ、ケリーベネフィット)
ジェイムズ・ステンパー(アメリカ、ケンダ・5アワーエナジープロ)
ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)

終始好調さを見せたレディオシャック終始好調さを見せたレディオシャック (c)CorVosシクロクロスとピストのマルチ選手のボーム、そして世界王者のフースホフトを含むこの集団は逃げを目論むが、この日どのチームよりも勝利にこだわったのがレディオシャックだ。過去3度総合優勝を飾っているリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)と、好調のクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック) のステージ勝利に向けて集団をコントロールし、この逃げをレース中盤に入る前に潰した。

集団の前方をレディオシャックのメンバーが固め、しかも登りでハイペースを刻むために集団は一時30人弱まで絞られ、昨年大活躍したペーター・サガン(チェコ、リクイガス)なども遅れかける展開に。

背中のポケットから補給食を出すトル・フースホフト(ノルウェー)背中のポケットから補給食を出すトル・フースホフト(ノルウェー) (c)CorVosゴールまで残り29km、レディオシャック勢が完全支配する集団から登りでアタックしたのはレイダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ) 。ポール・マルテンス(ベルギー、ラボバンク)が追走し、2人で逃げる。
クライミング能力に長けたヘジダルはガーミンのエースであることを走りで証明。かつてマウンテンバイクの選手だったテクニックをフルに発揮して下りも攻めこむ。これに遅れかけたのはマルテンス。

マルテンスはヘジダルに付いて行こうとして下りのコーナーで曲がりきれずにコースアウトしたが、コースの草地に出ただけで事なきを得る。そして再びヘジダルに合流した。

2人で逃げるポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)とライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)2人で逃げるポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)とライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ) (c)CorVos追走グループのレディオシャックの2人も同じ地点でコースアウトし、あわやと思わせたが、どうやらコーナーのアールが予想以上のものだったようだ。

ゴールまでラスト6kmを切って、サンノゼの街を見下ろす小高い山がこの日の山頂ゴールだ。逃げるヘジダルとマルテンスはメイン集団に45秒差をつけて2人で登りに突入するが、すぐにマルテンスが遅れる。ヘジダルはひとりゴールを目指す。

追走集団はやはりレディオシャックの選手だけでペースを上げ、上りに入る。すぐにホーナーを先頭に、ライプハイマー、ブシェの3人でペースを作って登る。そのスピードは明らかに速い。

シエラロードで抜け出したクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、チームレディオシャック)シエラロードで抜け出したクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、チームレディオシャック) (c)CorVosラスト4kmでホーナーとライプハイマーのレディオシャックの2人がヘジダルに追いつき、3人に。ライプハイマーをエースとした順列で登っていたホーナーだが、勝負どころになってみると明らかにホーナーのほうが強かった。ライプハイマーとヘジダルをゴール前3.5kmで置き去りにしたホーナーはそのままひとりハイペースを刻み山頂を目指す。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) 、ローリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)、トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) 、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) が第2グループを形成して追うが、ホーナーひとりのペースが抜きん出ていた。その差はまったく縮まらず。

山頂ゴールを制したクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック)山頂ゴールを制したクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック) (c)Team RadioShackホーナーはお得意の指を開いた両手上げポーズでフィニッシュ。ランス・アームストロングと同期、40歳にして衰えを知らぬ山岳スペシャリストは総合でも首位にたった。

2位争いはゴール前200mでダッシュを決めたアンディ・シュレクがサザーランドとライプハイマーを引き離してゴール。脚の違いを見せつけたが、この日ウェイラントへ捧げたかったステージ勝利には至らなかった。

ホーナーのコメント
今日はレースをかき回すことを考えていた。そしてチームは素晴らしい働きをした。キング、イリサール、スベルディアで早めの逃げを追走して、僕らチームは登りでハードに攻めた。
リーヴァイ(ライプハイマー)とともに勝利を勝ち取るためにただハードに攻めた。リーヴァイか僕か、どっちが先に行くかは問題じゃ無かった。僕のすべてのキャリアにおいて、まずチームが勝つことが一番の目標だ。その次に自分がある。
リーヴァイは3度のチャンピオンで、僕は彼のために働いている。しかし今日シェラロードでは僕の脚がとても好調だっただけだ。これからタイムトライアルまで、絶対的な優勝候補である彼のことをアシストし続ける。でも僕の調子もいいから、1-2が狙えるかも知れないね。

ライプハイマーのコメント
クリスの調子がびっくりするほど良かったね。今日は「レディオシャックここにあり」が証明できた。チームにとってこんなにいいことはないね。

ツアー・オブ・カリフォルニア2011第4ステージ結果
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック) 3h27'51"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +1'15"
3位 ローリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、チームレディオシャック)
5位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'22"
6位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'29"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ) +1'36"
8位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +1'45"
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'50"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)

リーダージャージを着るクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック)リーダージャージを着るクリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック) (c)CorVos個人総合成績
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、チームレディオシャック) 11h29'32"
2位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、チームレディオシャック) +1'15"
3位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'22"
4位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'29"
5位 ローリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) +1'30"
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ) +1'36"
8位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) +1'50"
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
10位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +2'00"

スプリント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞
ジョナサン・パトリック・マカーティー(アメリカ、チームスパイダーテック)

新人賞(1988年1月1日以降生まれが対象)
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)

敢闘賞
ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・サーヴェロ)


text:Alisa.Okazaki
photo:CorVos