ツアー・オブ・カリフォルニア2011第3ステージは、ようやく予定通りのコースで行われたものの、相変わらず天候がすぐれずアクシデントが続く。ゴール前の混戦を制したのは、昨日発射台の役目を果たしたグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)だった。

今日のステージはオーバーンをスタートして、スプリントポイント3箇所を通過、モデスト市内の周回コースを2周してゴールする196.2kmの長距離平坦コースだ。

スタート前にインタビューを受けるリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)スタート前にインタビューを受けるリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) (c)CorVosセクシーなBMCガールセクシーなBMCガール (c)CorVos
アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) (c)CorVosインパクトのあるコスプレで応援はさすがアメリカ?インパクトのあるコスプレで応援はさすがアメリカ? (c)CorVos


オーバーンからレーススタートオーバーンからレーススタート (c)CorVosオーバーンは雨がぱらつき、気温も低そうだ。長袖ウェアや防寒具を着用した選手達が寒そうにスタートラインに並ぶ。予定より少し遅れて午前11時前にスタート。この長い平坦ステージは、逃げとスプリントで勝利を狙う選手達のものになるはずだ。総合争いの選手達は集団で脚を休める。

序盤に逃げを決めた7名には、アメリカ籍のノンプロチームがまんべんなく入った。クリスティアン・メイアー(カナダ、ユナイテッドヘルスケア)、ヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)、ウィリアム・ディッキンソン(オーストラリア、ジェリーベリー)、マイケル・クリード(アメリカ、ケリーベネフィット)、フィリップ・ガイモン(アメリカ、ケンダ・5アワーエナジープロ)、昨日逃げたベンの双子の弟、アンディー・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)、そして昨日に引き続き、ジェイムズ・ドリスコール(アメリカ、ジェイミス・シャッターホーム)らだ。

実力的にプロツアーチームに劣るこれらのチームは逃げることで可能性にかける。カメラに長く映ることでスポンサーアピールとしても意義ある動きだ。このツアー・オブ・カリフォルニア以外では、なかなか目にすることは出来ないが、ジェリーベリーのジャージはカラフルで集団内でも良く目立つ。思わずジェリーベリーを食べたくなる観客や視聴者も多いことだろう。

この日、集団内では次々と前輪のパンクが発生した。何か路面に問題でもあったのだろうか?アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)、ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)、ベンジャミン・キング(アメリカ、レディオシャック)、クリス・ホーナー(同)などが次々とパンクの餌食になった。それも、例外なく前輪のパンクというところがミステリアスだ。

ゴールまで残り20km を過ぎて横風が強くなり、チームスカイが先頭を引いたことで集団がバラバラに分断した。一時は先頭は20人程度に絞られ、フースホフトやアンディ・シュレクが第2集団に取り残される場面もあったが、遅れたグループも必死の追走で遅れを取り戻した。

車で何百マイルも移動しているアンディ・シュレクの熱烈な追っかけ車で何百マイルも移動しているアンディ・シュレクの熱烈な追っかけ (c)CorVos中間スプリントポイント通過順位
第1スプリントポイント
1位 ヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)
2位 フィリップ・ガイモン(アメリカ、ケンダ・5アワーエナジープロ)
3位 アンディー・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)
第2スプリントポイント
1位 ヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)
2位 クリスティアン・メイアー(カナダ、ユナイテッドヘルスケア)
3位 アンディー・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)
第3スプリントポイント
1位 クリスティアン・メイアー(カナダ、ユナイテッドヘルスケア)
2位 マイケル・クリード(アメリカ、ケリーベネフィット)
3位 アンディー・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)

結局集団は一団のままゴールのあるモデスト市内の周回コースへと入っていく。ここでも意欲を見せたのはスパイダーテックやジェイミス・シャッターホームなどの地元アメリカンチーム。スカイ、HTCなど有力勢が後方に下がってしまう。

落車に巻き込まれ、手を痛めたイェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック)落車に巻き込まれ、手を痛めたイェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック) (c)CorVosゴールまで7km地点で発生したジェリーベリーの選手の落車を避けきれず、イェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック)とユーレ・コジャン(スロベニア、チームタイプワン)も落車してしまう。フォイクトは怪我の状態が思わしくないようで、その後左肩をかばいながら、集団から大きく遅れてゴールする姿が見られた。その後のチームの発表では、手を痛めている物の、翌日もスタート出来るだろうとのことだ。

ゴールまで残り距離が少なくなり、道路巾が広いこともあってポジション争いは熾烈を極め、カオスの状態になる。チームスカイ、HTCハイロード、サクソバンクらが組織だって列車を組んでスピードを上げ、オスカル・フレイレ(ラボバンク)らもつけ入ろうと隙を窺う。

落車の跡が痛々しいバーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)落車の跡が痛々しいバーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク) (c)CorVosゴールまで2kmを切り、速度が上がった集団内でバーデン・クック(サクソバンク)とマイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)も落車、それにタイミングを崩される形で、ポジションを下げる選手達が続出した。

ラスト1kmまで強いリードアウトを見せたチームスカイだが、前日に強さを見せたベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)に勢いがなく、前にあがれない。その他トップ3に入った選手達も出遅れる形となり、本来スウィフトの発射台であるグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)がロングスプリントに入った。後輪につけていたフレイレが失速すると、フースホフトらはそれに阻まれる形でスプリントのタイミングを逸してしまう。

ロングスプリントを制したグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)ロングスプリントを制したグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) (c)CorVos

リードアウトだったのかスプリントだったのか、機転を利かせてアタックして早めの先行を決めたヘンダーソンには誰も追いつくことが出来なかった。
結果、ステージと個人総合両方をヘンダーソンが獲得し、チームスカイとしては2日連続の嬉しい勝利となった。

優勝したグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)のコメント
「僕らはスウィフティ(ベン・スウィフト)のために全員で前に上がって、僕がラスト500mで最後の牽引に入った。しかしラスト100mで誰もついてくる選手がいなかったんだ。だからそのまま頑張り続けたんだ。僕はただラッキーだったね。でもゴールでは脚を使い果たしていた。乳酸がいっぱいになるまでたまって、目を開けていられなかったよ(笑)。だからゴールでのガッツポーズさえ出来なかった。」

ツアー・オブ・カリフォルニアの表彰式は、ヨーロッパで行われるそれとは、少し違った形式で行われる。ステージ入賞3位までがポディウムにあがったり、優勝者がステージ上でインタビューを受けたりと、より会場の観客が楽しめる構成になっているようだ。

リーダージャージも獲ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)リーダージャージも獲ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) ポイント賞はペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)ポイント賞はペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)


新人賞もペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)新人賞もペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 今日の敢闘賞はヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)今日の敢闘賞はヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)



ツアー・オブ・カリフォルニア2011第3ステージ結果
1位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) 5h14'29"
2位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク)
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
5位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)
6位 ケビン・ラコンブ(カナダ、チームスパイダーテック)
7位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、ユナイテッドヘルスケア)
8位 タイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
9位 ユーレ・コチャン(スロバキア、チームタイプ1)
10位 アレクサンダー・キャンデラリオ(アメリカ、ケリーベネフィット)

個人総合成績
1位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ) 8h01'31"
2位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +4
4位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、チームサクソバンク) +4
5位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) +6
6位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) +6
7位 ケビン・ラコンブ(カナダ、チームスパイダーテック) +10
8位 タイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) +10
9位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、ユナイテッドヘルスケア) +10
10位 アレクサンダー・キャンデラリオ(アメリカ、ケリーベネフィット) +10

スプリント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

新人賞(1988年1月1日以降生まれが対象)
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

敢闘賞
ヤン・バルタ(チェコ、チームネットアプ)

text:Alisa.Okazaki
photo:CorVos