2011/05/15(日) - 15:41
コースの見どころにも書いたが、イタリア半島を長靴に例えるならば、この日のコースは弁慶の泣き所からつま先まで。北イタリア・ピエモンテ州のトリノをスタートしたジロは、8日間かけて南イタリア・カラブリア州のトロペーアに達した。
海岸線を直線的に南下する第8ステージは、クルマで移動するフォトグラファーに撮影チャンスを与えてくれない。というのも、山が海岸線までせり出している地域が多くて、コースと並行する道が無い。レースを追い越せない車両は、内陸部の高速道路を通らなくてはならない。
しかも追い風基調で平均スピードが速いものだから、高速道路を使っても先回りが難しい。ラスト60km地点での撮影を試みたが、レース通過時間が早くて止むなくパス。工事区間が連続してスピードが思いのほか出ない高速に飛び乗って、ラスト35km地点でコースインした。
ラスト60km地点で撮影したかった理由は、特別なスプリントポイントが設定されていたから。その場所こそ、昨年12月10日に7名のアマチュアサイクリストが交通事故で他界したラメツィアで、事故現場には7名の名前が刻まれたモニュメントが建立されている。協力関係にあるモトフォトグラファーのリカルド・スカンフェルラに電話して、モニュメントの撮影をお願いした。
ティレニア海に突き出た崖の上に、ゴール地点のトロペーアはある。基本的に、イタリアには英語を喋る人が少ないが、意外や意外、この日は地元の警備員に流暢な英語で注意された(悪いことはしていません)。
周りを見ると金髪の観光客が沢山いる。その多くがドイツ人や北欧人で、観光業が街の主産業なのは明らか。美しいビーチをもつトロペーアは定番の観光地。バカンスシーズンには観光客でごった返すらしい。どうりで英語を話すイタリア人が多いわけだ。
それにしても第8ステージは全然簡単なコースじゃない。難易度1の平坦コースに分類されているが、大集団で最終ストレートに突入するようなコースレイアウトとはほど遠い。
ラスト5kmを切ると緩やかなアップダウンが始まって、ラスト3.5kmでテクニカルなダウンヒル。そしてラスト2kmで平均勾配7.8%の登りが始まり、ラスト1300mでトロペアの旧市街に到着。そこから短い下りを経てラスト1kmのアーチを迎え、ダラダラと登ってゴールする。
テクニカルなダウンヒルで縦一列に伸びた集団が、ハイスピードで登りに突入。しかも登りの中盤に2つの鋭いスイッチバックがあって、そこで集団のスピードはガクンと落ちる。
狙いすましたようにそこでアタックを仕掛けたオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)が先頭で頂上をクリアする。マリアローザの最有力候補アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)がサプライズアタックでかき乱したが、ガットは最後までリードを守り抜いた。
自分はラスト1300mの登りで撮影していたので、ゴールシーンは見ていない。急いでプレスセンターに向かうと、そこに有頂天のリカルド・スカンフェルラがいた。
フォトグラファーのリカルドは、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリの広報写真を担当している。曰く、リカルドとガットはご近所さんで、ガットがゲロルシュタイナー解散時にチームを探しているとき、リカルドがガットをISDチームに紹介したらしい。ご機嫌のリカルドは終始笑顔で撮影データを編集していた。
別府史之(レディオシャック)はミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)の隣でゴール前の登りをクリア。「ポポ、カルドソと自分が4番手で下りをくだって、良いポジションで坂を登って、最後の100mはペタッキの番手に付けてた。でも登りでガットとコンタドールが飛び出してたので、タイミングがずれてしまった」。フミは21位でゴールしている。
いよいよジロはシチリア島に渡る。エトナ火山を2回登る第9ステージがジロ前半戦のクライマックス。火山噴火の影響が心配されたが、今のところ予定通りレースは行なわれる。選手たちはフェリーで本土からシチリア島へ。レース後はカターニア空港から飛行機でテルモリに向かい、そこで1回目の休息日を迎える。レース後の関係者には、もちろん、テルモリまでの800km移動が待っている。
text&photo:Kei Tsuji in Tropea, Italy
海岸線を直線的に南下する第8ステージは、クルマで移動するフォトグラファーに撮影チャンスを与えてくれない。というのも、山が海岸線までせり出している地域が多くて、コースと並行する道が無い。レースを追い越せない車両は、内陸部の高速道路を通らなくてはならない。
しかも追い風基調で平均スピードが速いものだから、高速道路を使っても先回りが難しい。ラスト60km地点での撮影を試みたが、レース通過時間が早くて止むなくパス。工事区間が連続してスピードが思いのほか出ない高速に飛び乗って、ラスト35km地点でコースインした。
ラスト60km地点で撮影したかった理由は、特別なスプリントポイントが設定されていたから。その場所こそ、昨年12月10日に7名のアマチュアサイクリストが交通事故で他界したラメツィアで、事故現場には7名の名前が刻まれたモニュメントが建立されている。協力関係にあるモトフォトグラファーのリカルド・スカンフェルラに電話して、モニュメントの撮影をお願いした。
ティレニア海に突き出た崖の上に、ゴール地点のトロペーアはある。基本的に、イタリアには英語を喋る人が少ないが、意外や意外、この日は地元の警備員に流暢な英語で注意された(悪いことはしていません)。
周りを見ると金髪の観光客が沢山いる。その多くがドイツ人や北欧人で、観光業が街の主産業なのは明らか。美しいビーチをもつトロペーアは定番の観光地。バカンスシーズンには観光客でごった返すらしい。どうりで英語を話すイタリア人が多いわけだ。
それにしても第8ステージは全然簡単なコースじゃない。難易度1の平坦コースに分類されているが、大集団で最終ストレートに突入するようなコースレイアウトとはほど遠い。
ラスト5kmを切ると緩やかなアップダウンが始まって、ラスト3.5kmでテクニカルなダウンヒル。そしてラスト2kmで平均勾配7.8%の登りが始まり、ラスト1300mでトロペアの旧市街に到着。そこから短い下りを経てラスト1kmのアーチを迎え、ダラダラと登ってゴールする。
テクニカルなダウンヒルで縦一列に伸びた集団が、ハイスピードで登りに突入。しかも登りの中盤に2つの鋭いスイッチバックがあって、そこで集団のスピードはガクンと落ちる。
狙いすましたようにそこでアタックを仕掛けたオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)が先頭で頂上をクリアする。マリアローザの最有力候補アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)がサプライズアタックでかき乱したが、ガットは最後までリードを守り抜いた。
自分はラスト1300mの登りで撮影していたので、ゴールシーンは見ていない。急いでプレスセンターに向かうと、そこに有頂天のリカルド・スカンフェルラがいた。
フォトグラファーのリカルドは、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリの広報写真を担当している。曰く、リカルドとガットはご近所さんで、ガットがゲロルシュタイナー解散時にチームを探しているとき、リカルドがガットをISDチームに紹介したらしい。ご機嫌のリカルドは終始笑顔で撮影データを編集していた。
別府史之(レディオシャック)はミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)の隣でゴール前の登りをクリア。「ポポ、カルドソと自分が4番手で下りをくだって、良いポジションで坂を登って、最後の100mはペタッキの番手に付けてた。でも登りでガットとコンタドールが飛び出してたので、タイミングがずれてしまった」。フミは21位でゴールしている。
いよいよジロはシチリア島に渡る。エトナ火山を2回登る第9ステージがジロ前半戦のクライマックス。火山噴火の影響が心配されたが、今のところ予定通りレースは行なわれる。選手たちはフェリーで本土からシチリア島へ。レース後はカターニア空港から飛行機でテルモリに向かい、そこで1回目の休息日を迎える。レース後の関係者には、もちろん、テルモリまでの800km移動が待っている。
text&photo:Kei Tsuji in Tropea, Italy
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