2011/05/13(金) - 11:58
216kmにわたるジロ・デ・イタリア第6ステージ。最後の登りゴールでのスプリントは、ディルーカ、ペタッキと役者が揃うなか、モビスターのベントソが気力で競り勝った。レース後の各選手のコメントから。
ステージ優勝したフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスターチーム)
表彰台に上がるフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji嬉しい。本当に嬉しい。最近は運がなくて、昨日は前方30人に入っていて勝利のチャンスがあったのにパンクしてしまった。でも、今日の勝利ですべてが吹き飛んだ。ジロがはじまる前からチェックしていたステージだから、とくに満足だ。
今日はきっと選択肢がいくつかあると思っていた。チームの動きがすばらしく、ぼくに賭けてくれた。オヤルスンとコノヴァロヴァスが抑えにまわり、サモイラウは最後の登りで力強くサポートしてくれた。彼には敬意を表するよ。残り10kmから5kmにかけては、斜度はそんなにきつくなかったけれど、ペースが速くて何度も置いて行かれそうになった。トンネルを過ぎたところで、また強気になって、今日のステージの一番きつい部分が過ぎたことがわかった。
残り1kmでペタッキの後ろについた。彼のチームメイトのホンドが最後のアタックをコントロールしていたからね。あと500mというところで、ディルーカがアタックしたけれど、自分がスプリントを始める場所は決めていた。アタックをしかけると、ペタッキがついてきて、負けるかも知れないと思った。でも、最後の最後まで長く苦しいスプリントで踏み続けて、勝利を手にできた。
チームにとってもぼく自身にとっても、とても大きな喜びだ。ぼくがグランツールで勝ったのは4年ぶりだったからね。勝利の瞬間、たくさんの人たちの顔が頭に浮かんだ。ここでその名をいうと偏りそうだよ。何人かは忘れてしまっているからね。でも、きびしい局面で顔が浮かんだ人たちの名は覚えているよ。忘れられないからね。そこにはウェイラントもいた。彼はぼくたちと同様、レースに賭けていたから。ぼくたちは彼を忘れないだろうね。
ぼくは今年すでに5勝している。モビスターチームにいられて幸せだ。モビスターは穏やかなチームでレースでのサポートも落ち着いている。彼らの支えがあるなら、何でも自信をもって実行できるだろう。
(モビスターのリリースより)
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)の脚が止まり、フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)が伸びる photo:Kei Tsujiペタッキの後につくことにした。それがベストだったんだ。大事なのは、集団先頭の「(有力選手が並ぶ)ギャラリー」に入ること。実は何度もやめようと思った。(ペタッキのアシストの)ダニーロ・ホンドが見事な仕事をしていて、いくつかのアタックを潰していた。だからラスト200mでペタッキにうまくついていけたんだ。幸運なことに、ゴールまであと20mのところで、ペタッキがあきらめたのがわかった。それでなんとか勝てたんだ。
こういう登りゴールはぼくに向いている。平坦だと少し不安になって、前にいようとしてもがき苦しんでしまうからね。
(ポイント賞マリアロッサ・パッシオーネについて)
最後の週にある山を全部走ってミラノにたどり着けるかわからない。それにペタッキはかなりポイントを稼いで、ポイント賞のトップを走っている。どうなるだろうね…。
(自分のキャリアについて)
大人になったよ…。前はプレッシャーを抱え込みすぎていた。ジロやツールではいつもステージ優勝を目指していた。1年目で何勝かして、2年目には無理なスケジュールでレースをしてしまい、いつもプレッシャーを受けていた。勝ったら当たり前、負けたら自分はクズだと思ってしまった。満足できたことはなかった。太っていて登れないとか、やせていてスプリントできないとか……。今はチームの一員として自信を持つことができている。勝利はプレッシャーをはね返す一番の方法なんだ。(記者会見)
スプリントが届かなかったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
勝てなかったけれど、申し分のないスプリントができた。だから満足している。こういう難しいゴールで、このタイプのコースにとても強いベントソに勝つために、ぼくはベストを尽くさなければならなかった。フランシスコ(ベントソ)に追いついていたと言われたけど、力を使い果たしていて、それもわからなかったんだ。
ロドリゲスのアシストを務めるダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ) photo:Kei Tsujiゴール前に仕掛けたダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)
今日ぼくが勝つとは誰も予想していなかったけれど、それに反して勝とうとして、スプリントの機をうかがっていた。後ろについていたホンドが動いて、集団を不意打ちしようとした。でもペタッキやベントソのような高速の選手たちは、ぼくよりもはるかに爆発力があって、抜き去られてしまった。明日に向けての脚ならしだったのかって? まさか。明日は明日でまったく別のステージだ。明日は注意を要するステージで、全力を尽くすつもりではいる。でも、ぼくの目標はリーダーのロドリゲスをサポートすることだ。
最後まで逃げ続けたクリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ) photo:Riccardo Scanferla最後まで逃げたクリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)
挑戦してみたんだ。今日は脚の調子がとてもよかったから。逃げ集団の中では、協調がとてもうまくいっていた。みんなで懸命に走ったけれど、メイン集団はあまりリードを許してくれなかった。終盤にアタックして全力を尽くしたけれど、ロードレースでは追うほうが有利。勝利はまだ夢のまま。チャンスがあり次第、ぼくのいまのゴールは、できるだけ早い段階で再挑戦することだね。
レース展開が予想と違ったロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
(レース前)
今日のステージは平坦とは言いがたい。コースマップでは比較的平坦なステージと言われているけれど、登りがほんとうに多い。ステージ終盤はなおさらだ。3.5kmの登りに続いて5kmの登りがある。平坦とは名ばかりの区間があって、そこからゴールまでさらに登る。総合で脅威になる選手がいなければ、逃げが容認されるだろう。
ランプレがペタッキを守って走るのかはわからない。明日は山岳ステージだからね。先頭集団が逃げ切ったほうが、彼らにとっては都合がいい展開になる。
(80人以下の集団スプリントになれば勝機があると語った後で)選手の半分にも満たない人数だ。でも集団分裂の可能性に賭けるつもりでいるよ。
今日チャンスがあるかどうか、あまり楽観的には考えていない。登りが多すぎるからね。
(レース後)
そんなに平坦じゃなかったな。第10と第12ステージはちゃんと平坦ステージになっているみたいだ。トロペアゴールの第8ステージはラスト1kmの平坦に入る前に650mの登りがある。
マリアローザを着るピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) photo:Riccardo Scanferlaマリアローザを維持したピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)
ジロ・デ・イタリアで勝利するのは、自分には難しいと考えていた。この数年は大きく努力していたけど、ジロで勝つ機会には恵まれなかった。われわれは悪い日々だとは思っていない。チームは強くなるべきで、足も一流になる必要があったんだ。それでも充分じゃないかもしれない。マリアローザの防衛にがんばるつもりだ。でも、自分にとってはミラノでトップ10にいることが大きな目標なんだ。
明日は上位20選手の中にいるようにしたい。そうすれば、ステージ優勝もマリアローザのチャンスもある。難しいだろうね。でも、マリアローザをキープするのは、自分のモチベーションにもなるし、とくにチームへの効果も大きい。白状すると、ときどき自分がマリアローザを着るのを忘ちゃうんだ。
メイン集団の前方で登りをクリアする別府史之(日本、レディオシャック) photo:Kei Tsuji57位でゴールした別府史之(日本、レディオシャック)
距離が長くてアップダウンを繰り返すタフなステージだった。序盤からポポヴィッチが逃げグループに入ってチームとしては良い展開だったけど、予想外にラボバンクの引きが速くてタイム差があまり付かなくてポポには苦しい展開になってしまった。明日は山岳だ!
不満をもらすロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)
スプリンターにとっちゃ、もうたくさんな日だ! ペタとベントソは残っていたが、それ以外のスプリンターはそんなに多くないよね……おれは気楽にやったよ。今日何かできるなんて思ってなかったからね。
2500m近くも登ったんだ。平坦じゃないだろコレ!! コースをよく見たけど、おれには山しか見えないよ :(
総合9位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) (c)CorVos総合9位につけるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
(明日の第7ステージについて)短いけれど緊張感のあるステージだ。最初から動きがあるだろうし、逃げが形成されても動きがおさまることはないだろう。選手たちの調子のよしあし、特に走れないのが誰なのか、明日はっきりすることになる。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
ステージ優勝したフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスターチーム)
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今日はきっと選択肢がいくつかあると思っていた。チームの動きがすばらしく、ぼくに賭けてくれた。オヤルスンとコノヴァロヴァスが抑えにまわり、サモイラウは最後の登りで力強くサポートしてくれた。彼には敬意を表するよ。残り10kmから5kmにかけては、斜度はそんなにきつくなかったけれど、ペースが速くて何度も置いて行かれそうになった。トンネルを過ぎたところで、また強気になって、今日のステージの一番きつい部分が過ぎたことがわかった。
残り1kmでペタッキの後ろについた。彼のチームメイトのホンドが最後のアタックをコントロールしていたからね。あと500mというところで、ディルーカがアタックしたけれど、自分がスプリントを始める場所は決めていた。アタックをしかけると、ペタッキがついてきて、負けるかも知れないと思った。でも、最後の最後まで長く苦しいスプリントで踏み続けて、勝利を手にできた。
チームにとってもぼく自身にとっても、とても大きな喜びだ。ぼくがグランツールで勝ったのは4年ぶりだったからね。勝利の瞬間、たくさんの人たちの顔が頭に浮かんだ。ここでその名をいうと偏りそうだよ。何人かは忘れてしまっているからね。でも、きびしい局面で顔が浮かんだ人たちの名は覚えているよ。忘れられないからね。そこにはウェイラントもいた。彼はぼくたちと同様、レースに賭けていたから。ぼくたちは彼を忘れないだろうね。
ぼくは今年すでに5勝している。モビスターチームにいられて幸せだ。モビスターは穏やかなチームでレースでのサポートも落ち着いている。彼らの支えがあるなら、何でも自信をもって実行できるだろう。
(モビスターのリリースより)
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こういう登りゴールはぼくに向いている。平坦だと少し不安になって、前にいようとしてもがき苦しんでしまうからね。
(ポイント賞マリアロッサ・パッシオーネについて)
最後の週にある山を全部走ってミラノにたどり着けるかわからない。それにペタッキはかなりポイントを稼いで、ポイント賞のトップを走っている。どうなるだろうね…。
(自分のキャリアについて)
大人になったよ…。前はプレッシャーを抱え込みすぎていた。ジロやツールではいつもステージ優勝を目指していた。1年目で何勝かして、2年目には無理なスケジュールでレースをしてしまい、いつもプレッシャーを受けていた。勝ったら当たり前、負けたら自分はクズだと思ってしまった。満足できたことはなかった。太っていて登れないとか、やせていてスプリントできないとか……。今はチームの一員として自信を持つことができている。勝利はプレッシャーをはね返す一番の方法なんだ。(記者会見)
スプリントが届かなかったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
勝てなかったけれど、申し分のないスプリントができた。だから満足している。こういう難しいゴールで、このタイプのコースにとても強いベントソに勝つために、ぼくはベストを尽くさなければならなかった。フランシスコ(ベントソ)に追いついていたと言われたけど、力を使い果たしていて、それもわからなかったんだ。
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今日ぼくが勝つとは誰も予想していなかったけれど、それに反して勝とうとして、スプリントの機をうかがっていた。後ろについていたホンドが動いて、集団を不意打ちしようとした。でもペタッキやベントソのような高速の選手たちは、ぼくよりもはるかに爆発力があって、抜き去られてしまった。明日に向けての脚ならしだったのかって? まさか。明日は明日でまったく別のステージだ。明日は注意を要するステージで、全力を尽くすつもりではいる。でも、ぼくの目標はリーダーのロドリゲスをサポートすることだ。
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挑戦してみたんだ。今日は脚の調子がとてもよかったから。逃げ集団の中では、協調がとてもうまくいっていた。みんなで懸命に走ったけれど、メイン集団はあまりリードを許してくれなかった。終盤にアタックして全力を尽くしたけれど、ロードレースでは追うほうが有利。勝利はまだ夢のまま。チャンスがあり次第、ぼくのいまのゴールは、できるだけ早い段階で再挑戦することだね。
レース展開が予想と違ったロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
(レース前)
今日のステージは平坦とは言いがたい。コースマップでは比較的平坦なステージと言われているけれど、登りがほんとうに多い。ステージ終盤はなおさらだ。3.5kmの登りに続いて5kmの登りがある。平坦とは名ばかりの区間があって、そこからゴールまでさらに登る。総合で脅威になる選手がいなければ、逃げが容認されるだろう。
ランプレがペタッキを守って走るのかはわからない。明日は山岳ステージだからね。先頭集団が逃げ切ったほうが、彼らにとっては都合がいい展開になる。
(80人以下の集団スプリントになれば勝機があると語った後で)選手の半分にも満たない人数だ。でも集団分裂の可能性に賭けるつもりでいるよ。
今日チャンスがあるかどうか、あまり楽観的には考えていない。登りが多すぎるからね。
(レース後)
そんなに平坦じゃなかったな。第10と第12ステージはちゃんと平坦ステージになっているみたいだ。トロペアゴールの第8ステージはラスト1kmの平坦に入る前に650mの登りがある。
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ジロ・デ・イタリアで勝利するのは、自分には難しいと考えていた。この数年は大きく努力していたけど、ジロで勝つ機会には恵まれなかった。われわれは悪い日々だとは思っていない。チームは強くなるべきで、足も一流になる必要があったんだ。それでも充分じゃないかもしれない。マリアローザの防衛にがんばるつもりだ。でも、自分にとってはミラノでトップ10にいることが大きな目標なんだ。
明日は上位20選手の中にいるようにしたい。そうすれば、ステージ優勝もマリアローザのチャンスもある。難しいだろうね。でも、マリアローザをキープするのは、自分のモチベーションにもなるし、とくにチームへの効果も大きい。白状すると、ときどき自分がマリアローザを着るのを忘ちゃうんだ。
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距離が長くてアップダウンを繰り返すタフなステージだった。序盤からポポヴィッチが逃げグループに入ってチームとしては良い展開だったけど、予想外にラボバンクの引きが速くてタイム差があまり付かなくてポポには苦しい展開になってしまった。明日は山岳だ!
不満をもらすロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)
スプリンターにとっちゃ、もうたくさんな日だ! ペタとベントソは残っていたが、それ以外のスプリンターはそんなに多くないよね……おれは気楽にやったよ。今日何かできるなんて思ってなかったからね。
2500m近くも登ったんだ。平坦じゃないだろコレ!! コースをよく見たけど、おれには山しか見えないよ :(
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(明日の第7ステージについて)短いけれど緊張感のあるステージだ。最初から動きがあるだろうし、逃げが形成されても動きがおさまることはないだろう。選手たちの調子のよしあし、特に走れないのが誰なのか、明日はっきりすることになる。
ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation &text : Seiya Yamasaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla, Graham Watson, Cor Vos
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