2011/05/09(月) - 10:17
5月8日、244km の最長平坦コースで行われたジロ・デ・イタリア第2ステージは、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)が力強いスプリントで勝利、ステージ 2位となったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がマリアローザに袖を通した。
レース序盤に単独で飛び出したセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Kei Tsuji
レース序盤の丘陵地帯を走るメイン集団 photo:Kei Tsuji
集団前方で隊列を組むレディオシャック photo:Riccardo Scanferla今年のジロ最長となる平坦ステージ。昼前にアルバをスタートし、244km 先のパルマを目指す。天候は今日も晴れ。選手達のウェアを見ると気温も高そうだ。ゴール前33km地点にある4級山岳を除いてコースはほぼ真っ平で、スプリンター勢が勝利を狙える数少ないコースプロフィールだ。
平坦ステージの常として何人かの逃げが出ることが予想されたが、序盤にセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)が飛び出すと、独走状態になる。ラングは一時、集団と20分近い差をつけてひたすらペダルを漕ぎ続けた。ラングは、上半身を微動だにしない美しいフォームと無駄のないスムースなペダリングが特徴的な、TT を得意とするクロノマンである。近年ステージ優勝などはないが、グランツールで逃げに入る事も多く、昨年のジロを 71位で完走している。
しかし、さすがのラングも残り100kmを切ったあたりから疲労の色が見えてくる。長距離の単独走行は孤独で、体力も奪われていくのであろう。何度もチームカーと無線でコミュニケーションを取りながら走る。
一方、集団は徐々にラングとの差を詰めながら平穏に走行しており、スプリンター勢もゴールに向けて脚を温存しているようだ。途中、マリアローザを着るマルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)がトイレ休憩する場面もあったが、このステージでHTC・ハイロードのエースはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)だ。例えマリアローザを着ていても、アシスト達がピノッティを待つことはなく、逆に集団に戻る際にボトルを運んでチームをアシストするピノッティの姿も見られた。
残り50km を切り、集団とラングのタイム差は 4分台に。ここまで逃げてきたラングとしては、4級山岳まで粘りたいところ。差を1分台に縮めながらも、ラングが今年初の山岳ポイントをトップ通過し、マリアヴェルデを獲得。後は集団に戻ってゴールまで脚を休めるだけだ。
残り30kmを切ってラングが捕まると同時に、ミカル・ゴラス(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)、レオナルド・ジョルダーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)ら3名の選手が飛び出した。
さらに、集団から各チームの選手が次々と飛び出し、総勢 8名の逃げに。追いついた5名は、イワン・ロフニー(ロシア、レディオシャック)、ルッジェーロ・マルツォーリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ・ISD)ら。ピノーといえば、昨年のジロ第5ステージで新城と共に逃げ、ステージを獲った事が記憶に新しい。
HTC・ハイロードが牽引し続けるメイン集団 photo:Kei Tsuji
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)がアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)を追い上げる photo:Kei Tsuji
この残り距離でのフレッシュな逃げをスプリント狙いのチームが許すはずはなく、ガーミン・サーヴェロ、HTC・ハイロードを先頭に、集団は一列棒状のフォーメーションとなって高速で追いかける。
残り11km。逃げの8名のなかで落車が発生。先頭交代について言い争っていたヴォルガノフが接触したようだ。幸い大きな怪我はなかったものの、逃げからは脱落。その後、残りの7名も吸収され、集団はスプリント体勢に向け、一気に加速する。
まず、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)擁するランプレ・ISDと、ボルト・ボジッチ(スロベニア)擁するヴァカンソレイユ・DCMが集団を引き、続いてタイラー・ファラー(アメリカ)のガーミン・サーヴェロ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のHTC・ハイロードも出てくる。
一時は、ガーミン・サーヴェロの完璧な位置取りとアシストに守られているように見えたファラーだったが、途中でアシストが失速し、後方に沈む。
ゴール前で強かったのはやはりこの 2人。マーク・レンショー(オーストラリア)に引かれたカヴェンディッシュと、ペタッキだ。カヴェンディッシュを引き連れて先行するレンショーを右から交わしたペタッキがロングスプリントで勝利を飾った。カヴェンディッシュはゴール直後にペタッキの進路妨害をアピールするものの認められず、ペタッキのステージ優勝が決まった。
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)がカヴェンディッシュを押さえて勝利 photo:Kei Tsuji
悔しい2位となったカヴェンディッシュだが、個人総合ではトップに立ち、マリアローザに袖を通した。
ペタッキはマリアロッサ・パッシオーネも獲得。200km 以上逃げたラングが笑顔でのマリアヴェルデ着用となった。
また、別府史之は、集団と共に 30位でゴール。昨日と変わらず、個人総合で8位に位置している。
マリアローザを受け取ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Kei Tsuji
マリアロッソ・パッシォーネはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)の手に photo:Kei Tsuji
長時間に渡って逃げたセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)がマリアヴェルデ獲得 photo:Kei Tsuji
ジロ・デ・イタリア2011第2ステージ順位
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
3位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
5位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
9位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、レオパード・トレック)
10位 マッテオ・モンタグティ (イタリア、アージェードゥーゼル)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) 6:06:39
2位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード)+12
3位 クレイグ・ルイス(アメリカ、HTC・ハイロード) +12
4位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード) +12
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +12
6位 アレッサンドロ・ペタッキ (イタリア、ランプレ・ISD) +16
7位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) +22
8位 別府史之(日本、レディオシャック) +22
9位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック) +22
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +22
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞 マリアヴェルデ
セバスティアン・ラング (ドイツ、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ビョルン・セレンダー(アメリカ、レディオシャック)
チーム総合成績
レオパード・トレック
text : Alisa Okazaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla
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平坦ステージの常として何人かの逃げが出ることが予想されたが、序盤にセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)が飛び出すと、独走状態になる。ラングは一時、集団と20分近い差をつけてひたすらペダルを漕ぎ続けた。ラングは、上半身を微動だにしない美しいフォームと無駄のないスムースなペダリングが特徴的な、TT を得意とするクロノマンである。近年ステージ優勝などはないが、グランツールで逃げに入る事も多く、昨年のジロを 71位で完走している。
しかし、さすがのラングも残り100kmを切ったあたりから疲労の色が見えてくる。長距離の単独走行は孤独で、体力も奪われていくのであろう。何度もチームカーと無線でコミュニケーションを取りながら走る。
一方、集団は徐々にラングとの差を詰めながら平穏に走行しており、スプリンター勢もゴールに向けて脚を温存しているようだ。途中、マリアローザを着るマルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)がトイレ休憩する場面もあったが、このステージでHTC・ハイロードのエースはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)だ。例えマリアローザを着ていても、アシスト達がピノッティを待つことはなく、逆に集団に戻る際にボトルを運んでチームをアシストするピノッティの姿も見られた。
残り50km を切り、集団とラングのタイム差は 4分台に。ここまで逃げてきたラングとしては、4級山岳まで粘りたいところ。差を1分台に縮めながらも、ラングが今年初の山岳ポイントをトップ通過し、マリアヴェルデを獲得。後は集団に戻ってゴールまで脚を休めるだけだ。
残り30kmを切ってラングが捕まると同時に、ミカル・ゴラス(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)、レオナルド・ジョルダーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)ら3名の選手が飛び出した。
さらに、集団から各チームの選手が次々と飛び出し、総勢 8名の逃げに。追いついた5名は、イワン・ロフニー(ロシア、レディオシャック)、ルッジェーロ・マルツォーリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)、ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)、ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ・ISD)ら。ピノーといえば、昨年のジロ第5ステージで新城と共に逃げ、ステージを獲った事が記憶に新しい。
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この残り距離でのフレッシュな逃げをスプリント狙いのチームが許すはずはなく、ガーミン・サーヴェロ、HTC・ハイロードを先頭に、集団は一列棒状のフォーメーションとなって高速で追いかける。
残り11km。逃げの8名のなかで落車が発生。先頭交代について言い争っていたヴォルガノフが接触したようだ。幸い大きな怪我はなかったものの、逃げからは脱落。その後、残りの7名も吸収され、集団はスプリント体勢に向け、一気に加速する。
まず、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)擁するランプレ・ISDと、ボルト・ボジッチ(スロベニア)擁するヴァカンソレイユ・DCMが集団を引き、続いてタイラー・ファラー(アメリカ)のガーミン・サーヴェロ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のHTC・ハイロードも出てくる。
一時は、ガーミン・サーヴェロの完璧な位置取りとアシストに守られているように見えたファラーだったが、途中でアシストが失速し、後方に沈む。
ゴール前で強かったのはやはりこの 2人。マーク・レンショー(オーストラリア)に引かれたカヴェンディッシュと、ペタッキだ。カヴェンディッシュを引き連れて先行するレンショーを右から交わしたペタッキがロングスプリントで勝利を飾った。カヴェンディッシュはゴール直後にペタッキの進路妨害をアピールするものの認められず、ペタッキのステージ優勝が決まった。
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ジロ・デ・イタリア2011第2ステージ順位
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)
3位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
5位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)
9位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、レオパード・トレック)
10位 マッテオ・モンタグティ (イタリア、アージェードゥーゼル)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) 6:06:39
2位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード)+12
3位 クレイグ・ルイス(アメリカ、HTC・ハイロード) +12
4位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード) +12
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +12
6位 アレッサンドロ・ペタッキ (イタリア、ランプレ・ISD) +16
7位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) +22
8位 別府史之(日本、レディオシャック) +22
9位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック) +22
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +22
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
山岳賞 マリアヴェルデ
セバスティアン・ラング (ドイツ、オメガファーマ・ロット)
新人賞 マリアビアンカ
ビョルン・セレンダー(アメリカ、レディオシャック)
チーム総合成績
レオパード・トレック
text : Alisa Okazaki
photo : Kei Tsuji, Riccardo Scanferla
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