2011/05/05(木) - 17:32
イタリア統一150周年を祝うジロ・デ・イタリアが、5月7日、統一時の首都トリノで開幕する。前半はイタリア半島の西岸をひたすら南下。9日目にシチリア島に上陸し、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の山頂フィニッシュをこなす。ここでは前半のステージをチェックしておこう。
5月7日(土)第1ステージ ★★★
ヴェナリア・レアーレ〜トリノ 19.3km(チームTT) →コースマップ
イタリア統一150周年を祝うジロは、150年前に最初に首都が置かれたトリノで開幕する。初日はチームタイムトライアル。トリノの街の外れにあるヴェナリア・レアーレをスタートし、トリノの中心街や駅前の目抜き通りを走ってヴィットリオ・ヴェネト広場にゴールする19.3km。コースはほぼ真っ平らで、TTスペシャリストやスプリンターを揃えたチームが上位に絡む。逆に山岳コースを見据えてクライマーを揃えたチームは数十秒のタイムロスを被るだろう。
第1走のチームは16時15分スタート。最終走のチームのゴールは17時45分を予定。主催者が予想する優勝タイムは21〜22分で、直線路を60km/h近いスピードで駆け抜ける計算になる。
5月8日(日)第2ステージ ★★
アルバ〜パルマ 244km →コースマップ
今年のジロに用意されたスプリンター向きのステージは合計7ステージ。後半にかけて山岳の厳しさが増すことを考えると、スプリンターたちは少しでも早いうちにステージ優勝をマークしておきたいと願っていることだろう。アルバからパルマまで、ロンバルディア平原を西から東に駆け抜ける第2ステージは完全にスプリンター向きだ。
ゴールの34km手前に設定された標高315mの4級山岳は、今大会最初のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ=カテゴリー山岳)。つまりここを先頭で通過すればマリアヴェルデに袖を通すことができる。しかしスプリンターの脚を弱らせる難易度ではなく、大集団はゴールまでに逃げを吸収し、スプリント勝負に持ち込むだろう。
5月9日(月)第3ステージ ★★
レッジョ・エミリア〜ラパッロ 173km →コースマップ
前日に引き続いてスプリンター向きのステージ。アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)の地元コースだが、終盤にかけて2つのGPMが設定されているため、単純なスプリントステージにはならない。
レッジョ・エミリアをスタート後、イタリア半島を縦貫するアペニン山脈に向かってジワリジワリと標高を上げ、ラスト40km地点で3級山岳ボッコ峠をクリア。そこから一気にティレニア海まで下り、ゴールの9km手前で平均勾配6.4%・登坂距離2.8kmの4級山岳マドンナ・デッレ・グラッツィエを越える。これらの終盤の登り、もしくは下りでアタックした選手が、スプリンターのチャンスを奪う可能性も。
5月10日(火)第4ステージ ★★★
クアルト・デイ・ミッレ〜リヴォルノ 216km →コースマップ
ティレニア海に沿って、ジェノヴァからリヴォルノまで、イタリア半島西岸を南下する第4ステージ。岬が海に突き出た海岸線を走るレース前半はアップダウンの連続で、62km地点の3級山岳ブラッコ峠までに逃げが決まるだろう。その後は真っ平らな平野を駆け抜け、ピサの斜塔の近くを通り、4級山岳カステラッチョで折り返して港町リヴォルノにゴールする。
一見すると単純な平坦コースだが、主催者は中級山岳ステージに格付けしている。その理由は、ゴール16km手前の4級山岳カステラッチョ。頂上が近づくにつれて徐々に勾配が増す登りで、中盤にかけて最大勾配18%の急勾配区間も登場。頂上手前は平均勾配13.2%の登りが続く。ここで飛び出した選手とスプリンターチームの熾烈なバトルに注目だ。
5月11日(水)第5ステージ ★★★
ピオンビーノ〜オルヴィエート 191km →コースマップ
近年ジロの主催者RCSスポルトは奇抜なコースを取り入れがち。昨年大会の第7ステージに引き続いて、今年もトスカーナ州の未舗装路がコースに組み込まれた。昨年10月のコース発表時、未舗装区間は1カ所だけだったが、変更が加えられて最終的に3カ所に。全長は19kmに達し、雨が降れば「白い道」が「茶色い道」になる。特にゴール36km手前の3級山岳クローチェ・ディ・フィギーネは、最大勾配15%の難所で、登りと下りともに未舗装路。メカトラや落車で有力選手が離脱する危険をはらむ。
未舗装バトルを終えた選手たちを待ち構えるのが、丘の上のオルヴィエートへの登り。平均勾配11.9%の登りを経て、城塞都市にゴールする。ステージの難易度は3つ星だが、その危険度は5つ星。様々なドラマが生まれる可能性がある。
5月12日(木)第6ステージ ★★
オルヴィエート〜フィウッジ・テルメ 216km →コースマップ
未舗装バトルを終えたジロは南へ急ぐ。今年のジロでは珍しく、前日のゴール地点がスタート地点。トスカーナ州のオルヴィエートから、首都ローマをかすめてフィウッジまで南下する。登場するGPMは前半の4級山岳ソリアーノ・ネル・チミーノだけだが、緩やかなアップダウンが繰り返される。
しかもラスト10kmからラスト5kmまで、平均勾配4.4%の登りが続く。決してピュアスプリンター向きのステージとは言えず、登りでのアタックを得意とするクラシックレーサーの独壇場となる可能性は充分にある。この日のゴール後、選手たちは180km南下して翌日のスタート地点マッダローニを目指す。選手たちにとって長い一日になりそうだ。
5月13日(金)第7ステージ ★★★★
マッダローニ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 110km(頂上) →コースマップ
今大会に登場する山頂フィニッシュは合計7つ。その1つ目、モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの山頂フィニッシュが7日目に早くも登場する。ナポリ近郊のマッダローニをスタートするこの中級山岳ステージは、グランツールにしては珍しい110kmのショートコース。中盤に2級山岳セッラ・デッラ・ストラーダを越え、最後は2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを駆け上がってゴール。5%の勾配が17.1kmに渡って延々と続くこの登りで、総合有力勢が最初の動きを見せる。
「聖母の山」と名付けられたモンテヴェルジネは、2004年と2007年大会にも登場。それぞれダミアーノ・クネゴ(イタリア)とダニーロ・ディルーカ(イタリア)が優勝している。両者はその年に総合優勝を飾っており、今年もマリアローザの行方を占う上でも重要な登りになることは間違いない。
5月14日(土)第8ステージ ★
サプリ〜トロペア 217km →コースマップ
海沿いを一直線に南下する第8ステージ。イタリア半島を長靴に例えるならば、弁慶の泣き所から足の甲まで、と言ったところ。GPMが一つも設定されず、ひたすら平坦路が続く。海から吹き付ける風が集団を分断する可能性はあるが、スプリンターチームは鼻息荒くチャンスを狙っているはずだ。
難易度は1つ星だが、ジロはそんなに生易しくない。ゴール地点トロペアは海を見下ろす丘の上に位置しており、ラスト2kmを切ってから650mに渡って平均勾配7.8%の登りが続く。ラスト1kmからゴールまでは平坦だが、体重のあるピュアスプリンターたちが登りで苦しむのは目に見えている。2005年大会に登場した際は、登りでのアタックを成功させたパオロ・ベッティーニ(イタリア)が優勝を飾っている。
5月15日(日)第9ステージ ★★★★
メッシーナ〜エトナ 169km(頂上) →コースマップ
ジロは2008年大会以来3年ぶりにシチリア島に上陸。昨年のコース発表時から話題を集めていたエトナ山の山頂フィニッシュが登場する。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)の出身地メッシーナをスタート後、崖の上のタオルミーナの登坂を経て、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山を北と南から2度登るのだ。
最初に登場する北側の登りは、平均勾配6.1%で登坂距離18km。そこから一旦海岸線近くまで下り、再び南側から標高3323mの活火山目がけて登り返す。岩肌むき出しの荒涼とした平均勾配6.2%・登坂距離19.4kmの登りの先に待つのは、標高1892mの山頂フィニッシュ。ここで早くも総合上位陣の面子が絞り込まれる。エトナ山を登頂した選手たちは、空路で本土に戻り、長い1週目の疲れを癒す。
5月16日(月)休息日
5月17日(火)第10ステージ ★
テルモリ〜テーラモ 159km →コースマップ
1回目の休息日を終えたジロは、決戦の地、ドロミテとアルプスに向けて北上を開始する。アドリア海に沿って159km走る第10ステージは、純然たるスプリントステージ。スプリンターに残されたチャンスはこの日と第12ステージだけであり、どのチームもトレインを組んでエースをスプリントに誘導する。
標高255mのテーラモに向かって登り基調が20kmに渡って続くが、スプリンターは問題なくこなせるはず。しかし、それよりもスプリンターを悩ませるのが、登り基調の最終ストレート。ラスト100mから勾配4%の登りが続くため、ハイスピード持続型のビッグスプリンターには不利。爆発的な加速力を有する俊敏なスプリンターが勝利を掴むだろう。
5月18日(水)第11ステージ ★★★
トルトレート・リード〜カステルフィダルド 142km →コースマップ
とにかくスタートからゴールまで登りと下りを繰り返す第11ステージ。4つの4級山岳を含むアップダウンを繰り返しながら、丘の上のカステルフィダルドを目指す。スプリンターが太刀打ちできないコースレイアウトであり、それでいて総合バトルが激化するほどの難易度ではない。ずばり、逃げが決まりやすいレイアウトであると言える。大逃げが決まった昨年大会の第11ステージのように、サプライズが起こる可能性を秘めている。
登場する4級山岳はどれも標高300〜500mクラスで、最後はラスト4kmから標高差160mを駆け上がってゴール。ラスト1kmの平均勾配は6%で、総合に関係のない逃げグループ、もしくは精鋭集団による登りスプリントに持ち込まれるだろう。地元出身のミケーレ・スカルポーニ(イタリア)のファンでゴール地点は埋め尽くされるはずだ。
text:Kei Tsuji in Torino, Italy
5月7日(土)第1ステージ ★★★
ヴェナリア・レアーレ〜トリノ 19.3km(チームTT) →コースマップ
イタリア統一150周年を祝うジロは、150年前に最初に首都が置かれたトリノで開幕する。初日はチームタイムトライアル。トリノの街の外れにあるヴェナリア・レアーレをスタートし、トリノの中心街や駅前の目抜き通りを走ってヴィットリオ・ヴェネト広場にゴールする19.3km。コースはほぼ真っ平らで、TTスペシャリストやスプリンターを揃えたチームが上位に絡む。逆に山岳コースを見据えてクライマーを揃えたチームは数十秒のタイムロスを被るだろう。
第1走のチームは16時15分スタート。最終走のチームのゴールは17時45分を予定。主催者が予想する優勝タイムは21〜22分で、直線路を60km/h近いスピードで駆け抜ける計算になる。
5月8日(日)第2ステージ ★★
アルバ〜パルマ 244km →コースマップ
今年のジロに用意されたスプリンター向きのステージは合計7ステージ。後半にかけて山岳の厳しさが増すことを考えると、スプリンターたちは少しでも早いうちにステージ優勝をマークしておきたいと願っていることだろう。アルバからパルマまで、ロンバルディア平原を西から東に駆け抜ける第2ステージは完全にスプリンター向きだ。
ゴールの34km手前に設定された標高315mの4級山岳は、今大会最初のGPM(グラン・プレミオ・モンターニャ=カテゴリー山岳)。つまりここを先頭で通過すればマリアヴェルデに袖を通すことができる。しかしスプリンターの脚を弱らせる難易度ではなく、大集団はゴールまでに逃げを吸収し、スプリント勝負に持ち込むだろう。
5月9日(月)第3ステージ ★★
レッジョ・エミリア〜ラパッロ 173km →コースマップ
前日に引き続いてスプリンター向きのステージ。アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)の地元コースだが、終盤にかけて2つのGPMが設定されているため、単純なスプリントステージにはならない。
レッジョ・エミリアをスタート後、イタリア半島を縦貫するアペニン山脈に向かってジワリジワリと標高を上げ、ラスト40km地点で3級山岳ボッコ峠をクリア。そこから一気にティレニア海まで下り、ゴールの9km手前で平均勾配6.4%・登坂距離2.8kmの4級山岳マドンナ・デッレ・グラッツィエを越える。これらの終盤の登り、もしくは下りでアタックした選手が、スプリンターのチャンスを奪う可能性も。
5月10日(火)第4ステージ ★★★
クアルト・デイ・ミッレ〜リヴォルノ 216km →コースマップ
ティレニア海に沿って、ジェノヴァからリヴォルノまで、イタリア半島西岸を南下する第4ステージ。岬が海に突き出た海岸線を走るレース前半はアップダウンの連続で、62km地点の3級山岳ブラッコ峠までに逃げが決まるだろう。その後は真っ平らな平野を駆け抜け、ピサの斜塔の近くを通り、4級山岳カステラッチョで折り返して港町リヴォルノにゴールする。
一見すると単純な平坦コースだが、主催者は中級山岳ステージに格付けしている。その理由は、ゴール16km手前の4級山岳カステラッチョ。頂上が近づくにつれて徐々に勾配が増す登りで、中盤にかけて最大勾配18%の急勾配区間も登場。頂上手前は平均勾配13.2%の登りが続く。ここで飛び出した選手とスプリンターチームの熾烈なバトルに注目だ。
5月11日(水)第5ステージ ★★★
ピオンビーノ〜オルヴィエート 191km →コースマップ
近年ジロの主催者RCSスポルトは奇抜なコースを取り入れがち。昨年大会の第7ステージに引き続いて、今年もトスカーナ州の未舗装路がコースに組み込まれた。昨年10月のコース発表時、未舗装区間は1カ所だけだったが、変更が加えられて最終的に3カ所に。全長は19kmに達し、雨が降れば「白い道」が「茶色い道」になる。特にゴール36km手前の3級山岳クローチェ・ディ・フィギーネは、最大勾配15%の難所で、登りと下りともに未舗装路。メカトラや落車で有力選手が離脱する危険をはらむ。
未舗装バトルを終えた選手たちを待ち構えるのが、丘の上のオルヴィエートへの登り。平均勾配11.9%の登りを経て、城塞都市にゴールする。ステージの難易度は3つ星だが、その危険度は5つ星。様々なドラマが生まれる可能性がある。
5月12日(木)第6ステージ ★★
オルヴィエート〜フィウッジ・テルメ 216km →コースマップ
未舗装バトルを終えたジロは南へ急ぐ。今年のジロでは珍しく、前日のゴール地点がスタート地点。トスカーナ州のオルヴィエートから、首都ローマをかすめてフィウッジまで南下する。登場するGPMは前半の4級山岳ソリアーノ・ネル・チミーノだけだが、緩やかなアップダウンが繰り返される。
しかもラスト10kmからラスト5kmまで、平均勾配4.4%の登りが続く。決してピュアスプリンター向きのステージとは言えず、登りでのアタックを得意とするクラシックレーサーの独壇場となる可能性は充分にある。この日のゴール後、選手たちは180km南下して翌日のスタート地点マッダローニを目指す。選手たちにとって長い一日になりそうだ。
5月13日(金)第7ステージ ★★★★
マッダローニ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 110km(頂上) →コースマップ
今大会に登場する山頂フィニッシュは合計7つ。その1つ目、モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの山頂フィニッシュが7日目に早くも登場する。ナポリ近郊のマッダローニをスタートするこの中級山岳ステージは、グランツールにしては珍しい110kmのショートコース。中盤に2級山岳セッラ・デッラ・ストラーダを越え、最後は2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノを駆け上がってゴール。5%の勾配が17.1kmに渡って延々と続くこの登りで、総合有力勢が最初の動きを見せる。
「聖母の山」と名付けられたモンテヴェルジネは、2004年と2007年大会にも登場。それぞれダミアーノ・クネゴ(イタリア)とダニーロ・ディルーカ(イタリア)が優勝している。両者はその年に総合優勝を飾っており、今年もマリアローザの行方を占う上でも重要な登りになることは間違いない。
5月14日(土)第8ステージ ★
サプリ〜トロペア 217km →コースマップ
海沿いを一直線に南下する第8ステージ。イタリア半島を長靴に例えるならば、弁慶の泣き所から足の甲まで、と言ったところ。GPMが一つも設定されず、ひたすら平坦路が続く。海から吹き付ける風が集団を分断する可能性はあるが、スプリンターチームは鼻息荒くチャンスを狙っているはずだ。
難易度は1つ星だが、ジロはそんなに生易しくない。ゴール地点トロペアは海を見下ろす丘の上に位置しており、ラスト2kmを切ってから650mに渡って平均勾配7.8%の登りが続く。ラスト1kmからゴールまでは平坦だが、体重のあるピュアスプリンターたちが登りで苦しむのは目に見えている。2005年大会に登場した際は、登りでのアタックを成功させたパオロ・ベッティーニ(イタリア)が優勝を飾っている。
5月15日(日)第9ステージ ★★★★
メッシーナ〜エトナ 169km(頂上) →コースマップ
ジロは2008年大会以来3年ぶりにシチリア島に上陸。昨年のコース発表時から話題を集めていたエトナ山の山頂フィニッシュが登場する。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)の出身地メッシーナをスタート後、崖の上のタオルミーナの登坂を経て、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山を北と南から2度登るのだ。
最初に登場する北側の登りは、平均勾配6.1%で登坂距離18km。そこから一旦海岸線近くまで下り、再び南側から標高3323mの活火山目がけて登り返す。岩肌むき出しの荒涼とした平均勾配6.2%・登坂距離19.4kmの登りの先に待つのは、標高1892mの山頂フィニッシュ。ここで早くも総合上位陣の面子が絞り込まれる。エトナ山を登頂した選手たちは、空路で本土に戻り、長い1週目の疲れを癒す。
5月16日(月)休息日
5月17日(火)第10ステージ ★
テルモリ〜テーラモ 159km →コースマップ
1回目の休息日を終えたジロは、決戦の地、ドロミテとアルプスに向けて北上を開始する。アドリア海に沿って159km走る第10ステージは、純然たるスプリントステージ。スプリンターに残されたチャンスはこの日と第12ステージだけであり、どのチームもトレインを組んでエースをスプリントに誘導する。
標高255mのテーラモに向かって登り基調が20kmに渡って続くが、スプリンターは問題なくこなせるはず。しかし、それよりもスプリンターを悩ませるのが、登り基調の最終ストレート。ラスト100mから勾配4%の登りが続くため、ハイスピード持続型のビッグスプリンターには不利。爆発的な加速力を有する俊敏なスプリンターが勝利を掴むだろう。
5月18日(水)第11ステージ ★★★
トルトレート・リード〜カステルフィダルド 142km →コースマップ
とにかくスタートからゴールまで登りと下りを繰り返す第11ステージ。4つの4級山岳を含むアップダウンを繰り返しながら、丘の上のカステルフィダルドを目指す。スプリンターが太刀打ちできないコースレイアウトであり、それでいて総合バトルが激化するほどの難易度ではない。ずばり、逃げが決まりやすいレイアウトであると言える。大逃げが決まった昨年大会の第11ステージのように、サプライズが起こる可能性を秘めている。
登場する4級山岳はどれも標高300〜500mクラスで、最後はラスト4kmから標高差160mを駆け上がってゴール。ラスト1kmの平均勾配は6%で、総合に関係のない逃げグループ、もしくは精鋭集団による登りスプリントに持ち込まれるだろう。地元出身のミケーレ・スカルポーニ(イタリア)のファンでゴール地点は埋め尽くされるはずだ。
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