138kmで開催されたツアー・オブ・ターキー第7ステージは、集団スプリントの末アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)が今大会2勝目、今季8勝目を挙げた。総合首位はレクサンドル・エフィムキンがキープ。残すステージは平坦1つとなり、ターコイズブルージャージをほぼ手中に収めた。

スタート前の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)スタート前の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Sonoko.TANAKAトルコ名物ケバブがスタート地点で振る舞われたトルコ名物ケバブがスタート地点で振る舞われた photo:Sonoko.TANAKA

スタート直後に2級山岳を越え、あとはゴールまで平坦基調となるツアー・オブ・ターキー第7ステージ。3日間連続した山岳ステージを終えて、総合争いは一段落。今日と最終日の明日はステージ優勝を狙うスプリンター向きのステージとなる。
今日は走行距離が138kmと短いため、スタート時間はこれまでよりも2時間ほど遅い12:50。スタート地点では真上に昇った太陽から強い日差しが降り注いでいる。

勝つべきステージのスタートを待つファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手勝つべきステージのスタートを待つファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手 photo:Sonoko.TANAKA沿道にはトルコ国旗が目立つ沿道にはトルコ国旗が目立つ photo:Sonoko.TANAKA

レースが動いたのは34km地点。ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス)、アンドレア・パスカロン(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、ロブ・ホリス(ベルギー、ヴェランダズヴィレムス・アクセント)、アレキサンドル・リャブキン(ロシア、カハルラル)、4人の逃げが決まる。ゴール前30km付近まで約70kmを逃げ続けるが、最大のタイム差は2分程度と、逃げ切れるほど大きな差は開かなかった。

太陽眩しいトルコの地中海沿岸を行く集団太陽眩しいトルコの地中海沿岸を行く集団 photo:Bruno.BADE

ラスト20km、ファンマルケ、ロカテッリ、チャンキエフの3人が集団スプリントを逃れようと逃げるラスト20km、ファンマルケ、ロカテッリ、チャンキエフの3人が集団スプリントを逃れようと逃げる photo:Bruno.BADE残り34.5km地点に設置されたスプリントポイントを過ぎると、集団では逃げを吸収すると同時に主導権争いが始まる。海へ向かうカーブでガーミン・サーヴェロが中心となり加速。集団が2つに大きく分かれるが、残り25km地点付近で再び合流。

残り2kmを過ぎて最後のカーブを曲がるとゴールに向けて集団スプリントの最終体制となる。スキル・シマノのトレインから飛び出したケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)が左手のラインを進み、右手ではアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)が加速する。タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)はうまくスプリントを仕掛けられないでいた。

残り150mを切って、中央から飛び出したのがアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)。第1ステージに続いて、名だたるビックスプリンターを追い抜き、ゴールラインを越える前から大きく両手を広げた。今大会2勝目を意味するVサインを掲げてのゴールだった。そしてプロ1年目にしてこの21歳のイタリア人はシーズン通算8勝目をマーク。世界のトップスプリンターに君臨するフレッシュな強さを見せつけた。

今大会2勝目を挙げたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)今大会2勝目を挙げたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Bruno.BADE

グアルディーニのステージ優勝を喜ぶファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手たちグアルディーニのステージ優勝を喜ぶファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手たち photo:Sonoko.TANAKAグアルディーニの勝利を支えた宮澤崇史

グアルディーニのスプリントをアシストしたチームメイトの宮澤崇史はこう振り返る。
「グアルディーニをエリア・ファヴィーリと自分とでアシストするのが作戦だった。エリアが集団の前方にグアルディーニを連れて行き、自分がそこからスペースをうまく作ってゴールスプリントへと持っていくというプラン。
その作戦どおり、残り3km地点でエリア、グアルディーニ、自分の順番で縦に並びエリアが加速。でもガーミンの選手に行く手を阻まれてしまった。そこで、3人の1番後ろに付いていた自分が前に出て、左側にできていたサクソバンクの列車にグアルディーニとともにうまく乗ることができた。さらに前に出ようとしたときに隣の選手と接触してしまったが、そこからはグアルディーニがスペースをうまく作って、前に出ることができた。

グアルディーニは一瞬のタイミングを読む能力がとても高い選手で、前に出るチャンスをうまく読むことができる。彼はとても強いので、明日の最終ステージも勝ちに行くよ」


“アシスト”でも認められる日本チャンピオン

「求められていることをこなすのは当たり前。それ以上の仕事をしないといけない」と話す宮澤。山岳でもスプリントでもアシストとして仕事をこなす彼の実力はプロトンも認めているようだ。グアルディーニは彼と同じ軽量系スプリンター。ランカウイに引き続き、エースとアシストの関係で走っているが、「自分がしてほしい動きをする」という宮澤との相性はいい。

「やはり勝ちを狙いに行きたいと思うことはあるけど、今回のレースは今の自分で勝てるものではないと思っている。勝てる選手をアシストすることが今自分にできること。チームもそれを求めているので、そこでしっかりと仕事をしたい。年齢を重ねて、勝つのが難しくなっていると感じているけど、同時に“うまさ”が出てきていると思う。その“うまさ”がアシストとしての仕事にプラスに働いてもいるんだよね」。そう話す日本チャンピオンジャージを着た宮澤の言葉はとても力強く感じる。


チームメイトに祝福されるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)チームメイトに祝福されるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) photo:Sonoko.TANAKAグアルディーニ 8勝挙げるも「ジロは見送る」

「残り2ステージとなり、今日のスプリントはいろんな選手が入り組むとても難しいものだった。最後のカーブでいいポジションを取ろうと一生懸命に走った。エリア・ファヴィーリから前に連れて行ってくれたミヤザワには感謝しているよ。残り100mを切って、ケニーの横にスペースを見つけて飛び出したんだ。プロになって4ヶ月の間で、ビッグネームを打ち負かすことができるなんて考えていなかった。

でも、まだたくさんの要素において成長すべき点はある。だから、監督と話して、今回のジロ・デ・イタリア出場は見送ることにしたんだ。けっして容易い決断ではなかったけど、このレースが終わったら休暇をとって、もっと強くなってシーズン後半戦に挑みたいと思う。」


トルコ国旗の前でリーダージャージを着るアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)トルコ国旗の前でリーダージャージを着るアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) photo:Sonoko.TANAKA総合首位獲得に近づいたエフィムキン

総合首位は1分13秒差で「完璧なレース運びだった」と話すアレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)がキープ。ゴールスプリントが予測される明日のステージでは、トラブルがないかぎり、守りきれるものと考えられる。「勝って、チームの意図(糖尿病や糖尿病患者の理解を深めるというチームの趣旨)をより多くの人に知ってもらいたい」とスタート前に話してくれたチームのエース、エフィムキン。大きな勝利が彼らの目前に迫っている。


ツアー・オブ・ターキー第7ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
2位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
4位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
5位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
6位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)
7位 ステファン・ファンダイク(オランダ、ヴェランダズヴィレムス・アクセント)
8位 ナセル・ブアニ (フランス、FDJ)
9位 サッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
ステージ上位3人の表彰式ステージ上位3人の表彰式 photo:Sonoko.TANAKA10位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
32位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)

総合成績
1位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1)30h22'49"
2位 アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)+1'13"
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)+1'33"
4位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)+1'50"
5位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、リクイガス・キャノンデール)+2'17"
6位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ)+11'12"
7位 エゴイ・グラシア(スペイン、カハルラル)+11'17"
各賞の表彰式各賞の表彰式 photo:Sonoko.TANAKA8位 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、FDJ)+11'19"
9位 リカルド・チアリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+11'23"
10位 ニコラ・ウデ (フランス、コフィディス)
125位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1h36'21"

チーム成績首位
FDJ

ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)

山岳賞
ルイスフェリップ・ラヴェルデ(コロンビア、コロンビアエスパシオン・カフェデコロンビア)



photo&text.Sonoko.TANAKA
photo:Bruno.BADE
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