2011/04/25(月) - 17:41
春のクラシックが一段落し、いよいよグランツールに代表されるステージレースのシーズンイン。山岳・TTとバランスよくブレンドされた全6ステージは、各選手の仕上がり具合を見るのに最適な。ジロ前哨戦と言われるが白熱したバトルが見られるはずだ。
2011年4月26日(火)〜5月1日(日)の6日間6ステージで争われるツール・ド・ロマンディ2011。最終日の週末にはジロ・デ・イタリアが開幕するとあって、多くの選手がジロを見据えてスイスへ乗り込んでくる。大会は65回目と歴史あるレースだ。
レースの舞台はスイス西部のロマンディ地方。フランス語圏として知られる地域で、首都ジュネーヴもここにある。フランスと接する西部はつまり、アルプスに代表される山岳地帯。ツール・ド・ロマンディと山岳ステージは分かちがたく結びついている。
だが初日には3.5kmのプロローグや、最終日前日には20.5kmの個人タイムトライアルが設定されるなどステージレースとしてのバランスはむしろグランツール寄り。オールラウンダーの活躍が例年見られる。
06年にはカデル・エヴァンス(オーストラリア)、08年にはアンドレアス・クレーデン(ドイツ)、09年にはロマン・クロイツィゲル(チェコ)がこのレース制している。
なお、昨年総合1位となったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、その後CASによる全世界のレース出場停止処分から、成績を抹消。2位のサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ・ISD)が優勝となる。スピラックは27日の第1ステージのスタート地点で2010年大会のリーダージャージを授与されることになっている。
ツール・ド・ロマンディ2011全ステージプレビュー
プロローグ マルティニ〜マルティニ 3.5km
マルティニの市街地で行われるフラットコース3.5kmのプロローグ。短距離に強いTTスペシャリストの走りに注目が集まる。有力選手は、昨年のプロローグを制したマルコ・ピノッティ(イタリア)、09年に勝っているフランクティク・ラボン(チェコ)、そしてトニ・マルティン(ドイツ)のHTC・ハイロード3羽烏。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)、セバスティアン・ロセレル(ベルギー、レディオシャック)らスペシャリストの走りにも注目。
第1ステージ マルティニ〜レイザン 172.6km
ロマンディ2011は第1ステージから早速1級の山頂ゴールが設定される。早くも総合争いを占う重要なステージだ。ゴール手前およそ20kmのところにも1級山岳が置かれ、動きの多いステージになるだろう。総合を狙う選手の動きはもちろんだが、ここでは山岳スペシャリストの走りをみておきたい。
昨年のジャパンカップ覇者、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)、その前年勝者クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)、ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)らはチームのサブエースとして攻める走りができる可能性も。
第2ステージ ロモン〜ロモン 171.8km
山岳ステージだが、とにかく細かいアップダウンの連続するステージ。ゴール手前16km地点の1級山岳ジブルーでの展開は気になるところだが、むしろリーダーチームのコントロール下で逃げを狙う選手たちが光る可能性が高い。
世界の注目を集めるタイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)、フランス語圏ということで活躍を期待したいブリース・フェイユ(フランス、レオパード・トレック)やジョフロア・ルカトル(フランス、レディオシャック)、アシスト業務がなければ得意なコースであろうエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)らはどうだろうか。
第3ステージ ティエラン〜ヴィル・ド・ヌシャテル 165.7km
前2ステージよりは山岳の厳しくないステージ。それでも1級と2級の山岳ポイントがあり、逃げを狙う選手にとっては赤マルをつけておくべきステージだろう。
注目の選手には出場する日本人2選手を筆頭に挙げておきたい。まずは、2007年大会でステージ2位に入った経験を持つフミこと別府史之(レディオシャック)。相性のいいこのレースで、今度こそは勝利を狙いたい。ただチームオーダーによってはアシストの可能性もある。総合を狙える選手を擁するレディオシャックとしては、まだ先の展開を決められないか。
そして脚質的にぴったりなのが新城幸也(ユーロップカー)だ。逃げに乗り、少人数の先頭集団に生き延びれば得意のスプリントで勝負ができる。昨年のジロのような展開に持ち込めれば可能性が開ける。
第4ステージ オボンヌ〜シニャル・ド・ブジ 20.5km 個人TT
総合争いの山場となる個人タイムトライアル。山岳寄りのオールラウンダーにリードされたタイムを、TT寄りの選手は取り返さねばならない。しかしコースプロフィールは登り基調となっており、距離の短さから大きな差は生まれない可能性が高い。
このコースに最も合っているのはマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)か。昨年はリーダージャージを着ながら最終ステージでロマンディを失ったロジャースが総合でトップに立つ可能性は多いにある。その他には昨年のTTで勝利しジロの躍進につなげたリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)の再びの活躍に期待したい。
第5ステージ シャンパーニュ〜ジュネーヴ 164.4km
最終ステージも2つの1級山岳が設定されるロマンディらしいステージ。しかし最後の1級山岳はゴールまで60km手前。山をこなせるスプリンターの出番となるだろう。
登れるスプリンターの代名詞、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)とダニエル・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)のぶつかり合いか。そこにゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)らが絡んでくるはず。
総合を狙う有力選手
ジロ前とあって有力のステージレーサーが多く参戦する。またツールを見据える選手の名前もちらほらスタートリストに並んでいる。
大会の有力候補は、ジロ・デル・トレンティーノのステージを制し、先のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで4位に入ったロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)。2度目のジロ優勝を狙うデニス・メンショフ(ロシア、ジェオックスTMC)、飛躍を誓うリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)、昨年総合2位のウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)、好調を維持するアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ら。
そこにツール制覇を夢見るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)らが絡んでくるはず。ブエルタのイメージが強いエセキエル・モスケラ(スペイン、ヴァカンソレイユDMC)も山岳レースでどう走るか注目だ。
※シクロワイアードでは現地入りしているフォトグラファー辻啓のレースフォトレポートをお送りする予定です。ご期待ください!
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
2011年4月26日(火)〜5月1日(日)の6日間6ステージで争われるツール・ド・ロマンディ2011。最終日の週末にはジロ・デ・イタリアが開幕するとあって、多くの選手がジロを見据えてスイスへ乗り込んでくる。大会は65回目と歴史あるレースだ。
レースの舞台はスイス西部のロマンディ地方。フランス語圏として知られる地域で、首都ジュネーヴもここにある。フランスと接する西部はつまり、アルプスに代表される山岳地帯。ツール・ド・ロマンディと山岳ステージは分かちがたく結びついている。
だが初日には3.5kmのプロローグや、最終日前日には20.5kmの個人タイムトライアルが設定されるなどステージレースとしてのバランスはむしろグランツール寄り。オールラウンダーの活躍が例年見られる。
06年にはカデル・エヴァンス(オーストラリア)、08年にはアンドレアス・クレーデン(ドイツ)、09年にはロマン・クロイツィゲル(チェコ)がこのレース制している。
なお、昨年総合1位となったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、その後CASによる全世界のレース出場停止処分から、成績を抹消。2位のサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ・ISD)が優勝となる。スピラックは27日の第1ステージのスタート地点で2010年大会のリーダージャージを授与されることになっている。
ツール・ド・ロマンディ2011全ステージプレビュー
プロローグ マルティニ〜マルティニ 3.5km
マルティニの市街地で行われるフラットコース3.5kmのプロローグ。短距離に強いTTスペシャリストの走りに注目が集まる。有力選手は、昨年のプロローグを制したマルコ・ピノッティ(イタリア)、09年に勝っているフランクティク・ラボン(チェコ)、そしてトニ・マルティン(ドイツ)のHTC・ハイロード3羽烏。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)、セバスティアン・ロセレル(ベルギー、レディオシャック)らスペシャリストの走りにも注目。
第1ステージ マルティニ〜レイザン 172.6km
ロマンディ2011は第1ステージから早速1級の山頂ゴールが設定される。早くも総合争いを占う重要なステージだ。ゴール手前およそ20kmのところにも1級山岳が置かれ、動きの多いステージになるだろう。総合を狙う選手の動きはもちろんだが、ここでは山岳スペシャリストの走りをみておきたい。
昨年のジャパンカップ覇者、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・サーヴェロ)、その前年勝者クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)、ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)らはチームのサブエースとして攻める走りができる可能性も。
第2ステージ ロモン〜ロモン 171.8km
山岳ステージだが、とにかく細かいアップダウンの連続するステージ。ゴール手前16km地点の1級山岳ジブルーでの展開は気になるところだが、むしろリーダーチームのコントロール下で逃げを狙う選手たちが光る可能性が高い。
世界の注目を集めるタイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)、フランス語圏ということで活躍を期待したいブリース・フェイユ(フランス、レオパード・トレック)やジョフロア・ルカトル(フランス、レディオシャック)、アシスト業務がなければ得意なコースであろうエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)らはどうだろうか。
第3ステージ ティエラン〜ヴィル・ド・ヌシャテル 165.7km
前2ステージよりは山岳の厳しくないステージ。それでも1級と2級の山岳ポイントがあり、逃げを狙う選手にとっては赤マルをつけておくべきステージだろう。
注目の選手には出場する日本人2選手を筆頭に挙げておきたい。まずは、2007年大会でステージ2位に入った経験を持つフミこと別府史之(レディオシャック)。相性のいいこのレースで、今度こそは勝利を狙いたい。ただチームオーダーによってはアシストの可能性もある。総合を狙える選手を擁するレディオシャックとしては、まだ先の展開を決められないか。
そして脚質的にぴったりなのが新城幸也(ユーロップカー)だ。逃げに乗り、少人数の先頭集団に生き延びれば得意のスプリントで勝負ができる。昨年のジロのような展開に持ち込めれば可能性が開ける。
第4ステージ オボンヌ〜シニャル・ド・ブジ 20.5km 個人TT
総合争いの山場となる個人タイムトライアル。山岳寄りのオールラウンダーにリードされたタイムを、TT寄りの選手は取り返さねばならない。しかしコースプロフィールは登り基調となっており、距離の短さから大きな差は生まれない可能性が高い。
このコースに最も合っているのはマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)か。昨年はリーダージャージを着ながら最終ステージでロマンディを失ったロジャースが総合でトップに立つ可能性は多いにある。その他には昨年のTTで勝利しジロの躍進につなげたリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)の再びの活躍に期待したい。
第5ステージ シャンパーニュ〜ジュネーヴ 164.4km
最終ステージも2つの1級山岳が設定されるロマンディらしいステージ。しかし最後の1級山岳はゴールまで60km手前。山をこなせるスプリンターの出番となるだろう。
登れるスプリンターの代名詞、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)とダニエル・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)のぶつかり合いか。そこにゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)、クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)らが絡んでくるはず。
総合を狙う有力選手
ジロ前とあって有力のステージレーサーが多く参戦する。またツールを見据える選手の名前もちらほらスタートリストに並んでいる。
大会の有力候補は、ジロ・デル・トレンティーノのステージを制し、先のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで4位に入ったロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)。2度目のジロ優勝を狙うデニス・メンショフ(ロシア、ジェオックスTMC)、飛躍を誓うリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)、昨年総合2位のウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)、好調を維持するアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ら。
そこにツール制覇を夢見るカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)らが絡んでくるはず。ブエルタのイメージが強いエセキエル・モスケラ(スペイン、ヴァカンソレイユDMC)も山岳レースでどう走るか注目だ。
※シクロワイアードでは現地入りしているフォトグラファー辻啓のレースフォトレポートをお送りする予定です。ご期待ください!
text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji
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