2011/04/11(月) - 08:54
身長197cmの大きなカラダが、ルーベのヴェロドロームで両手を突き上げた。激しいマークに苦しめられたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)を振り切り、独走勝利を飾ったヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・サーヴェロ)。レース後、30歳のパヴェスペシャリストは彼女にプロポーズした。
砂埃舞うパヴェで繰り広げられた激戦
今年も雨は降らず、乾燥した北フランスで行なわれた第109回パリ〜ルーベ。パヴェ決戦に挑む197名の選手たちが、晴れ渡るコンピエーニュの街に登場した。
レースは開始早々アタックがかかり、50km/h弱のハイスピードで進行。18km地点でブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら6名が逃げグループを形成したが、69km地点で一旦メイン集団に引き戻される。
逃げが決まったのは89km地点。マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)のアタックにマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)らが反応する形で、8名の先頭グループが形成される。
遅れてアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)らも合流。10名の先頭グループは、1分45秒のリードで今年復活した5つ星「オルノワ・レ・ヴァロンシエンヌ」をクリア。最大2分50秒のリードで最大の難所「アランベール」に差し掛かった。
「アランベールの森」を直線的に駆け抜ける荒れたパヴェで、メイン集団はスピードアップ。元シクロクロス世界チャンピオンのラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)がメイン集団から飛び出す一方で、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)がメカトラでストップ。再スタートに時間がかかったボーネンは大きくポジション下げてしまう。
この「アランベール」通過後、メイン集団からはファンスーメレンやボーム、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)ら7名が飛び出して追走グループを形成。18kmに渡る追走の末、ファンスーメレンら7名は先頭グループに合流する。更にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)ら4名が加わり、先頭グループは21人まで膨れ上がった。
先頭グループから1分後方のポジションをキープしたメイン集団では落車が多発。懸命に集団復帰を目指していたボーネンを始め、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)やフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が相次いで落車し、戦線から脱落してしまう。優勝候補のクイックステップはトラブルの連続によってチャンスを失った。
ゴールまで50kmを残した5つ星「モンサン・ぺヴェル」でレースは動く。世界チャンピオンのトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)のアタックを皮切りに、集団は活性化。カンチェラーラの強烈なアタックによって集団は分裂。
カンチェラーラはフースホフトとフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)、アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)を引き連れて「モンサン・ぺヴェル」をクリア。カンチェラーラは先頭固定で逃げグループを追い続けた。
セクター8「ポン・ティボー」でカンチェラーラは再び加速し、ライバルたちを振るい落としにかかる。しかしフースホフトとバッランは、このディフェンディングチャンピオンの動きに反応。
カンチェラーラ、フースホフト、バッランの3名は、ゴール35km手前で逃げグループとのタイム差を20秒まで詰める。しかしフースホフトとバッランが徹底的に先頭交代を拒否したため、カンチェラーラがペースを弱める。結局カンチェラーラらは先頭グループに追いつけないまま失速。タイム差は再び1分まで広がった。
アタックとカウンターアタックを繰り返していた21名の先頭グループは、ゴールまで20kmを残して大きく2つに割れる。先行したのはファンスーメレン、チャリンギ、ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)、グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)の4名。
最後の5つ星「カルフール・ド・ラルブル」が近づいてきた。
難所カルフール・ド・ラルブルでレースが大きく動く
セクター4「カルフール・ド・ラルブル」は実質的な最後の勝負どころ。バク、ファンスーメレン、ラスト、チャリンギはリードを広げて難所に突入し、追走グループが25秒遅れ、カンチェラーラを含むメイングループが25秒で追う展開。
ゴール17km手前のこの「カルフール・ド・ラルブル」でファンスーメレンが仕掛けた。長さ2100mの荒れたパヴェで、食らいつくチャリンギを振るい落としたファンスーメレン。
一方のメイン集団ではフースホフトがアタックし、カンチェラーラがカウンターアタックで飛び出す展開。しかしカンチェラーラはカメラバイクに前を塞がれたことも影響し、ペースを上げることができない。結局パヴェ区間でのカンチェラーラのアタックはことごとく失敗。何度も何度も勢いのあるスパートを見せたが、ライバルたちの徹底マークを振りほどくことができなかった。
先頭ファンスーメレンは前を向いて逃げるのみ。仮にメイングループに捕まったとしても、チームメイトのフースホフトがスプリントを狙えるという理想的な展開。ファンスーメレンはメイングループから1分のリードを得てラスト10kmを切った。
やがてゴールまで3kmを切ると、カンチェラーラがアタックし、ようやくライバルたちを振り切ることに成功する。カンチェラーラは猛烈なペースで突き進み、前のバク、チャリンギ、ラストに合流。30秒遅れでファンスーメレンを追い上げる。
しかしカンチェラーラの追撃開始は遅すぎた。30秒のリードのまま、先頭ファンスーメレンはルーベのヴェロドロームに突入。ディフェンディングチャンピオンの追撃を振り切ったファンスーメレンが、独走のままヴェロドロームを周回。大きく両手を広げてゴールに飛び込んだ。3名でスプリントを繰り広げたカンチェラーラは19秒遅れの2位に入った。
ゴール後、駆けつけたジャスミン・ファングリーケンさんと抱き合うファンスーメレン。オランダ国境にほど近いベルギー北部のロンメル出身の30歳は、7年間つき合った彼女にその場でプロポーズした。
「夢が叶った一日だ」。ファンスーメレンはレース後のインタビューでそう語る。「今日は有力選手たちが互いに牽制していた。元々フースホフトをアシストする役目だったけど、アタックに乗って先頭グループに合流したんだ。フースホフトもこの勝利を喜んでくれている。これからのレースでは彼のために走りたい」。
ファンスーメレンはラスト5km地点でスローパンクに気付いたが、ホイール交換せずにゴールまで突き進んだ。「コーナリングに難があったけど、最後まで問題なく走り切ることができた。ヴェロドロームに入ったとき、胸を撫で下ろしたよ」。
頼れるアシストとして長年活躍してきたファンスーメレンにとって、これは間違いなくキャリア最大の勝利。ファンスーメレンの最初にして最後の勝利は、2007年のツール・ド・ポローニュ総合優勝だった。
ファンスーメレンは昨年のジャパンカップでもメイン集団を牽引するアシストとして活躍。ダニエル・マーティン(アイルランド)の勝利をお膳立てした。パリ〜ルーベでは2008年に8位、2009年に5位という成績を残している。
「パリ〜ルーベは一番僕に向いているレースなんだ。スプリンターではないので爆発力は無いし、クライマーと呼べるほどの登坂力も持ち合わせていない。ペダルに力を込め続けるパリ〜ルーベは僕向き。やっぱりルーベはルーベだ」。
ライバルたちの徹底マークを受けながらも、終盤に飛び出して2位に入ったカンチェラーラは、晴れやかな表情で表彰台に登った。「とても嬉しい。サンレモでの2位、ロンドでの3位、E3プライスでの優勝、そしてこのルーベでの2位。勝利と同じぐらい価値のある2位だと思っている」。
ライバルたちが牽制して先頭交代に加わらなかったことについて「彼らに前を引くよう要求したんだ。先頭グループに追いつけば、彼らにもチャンスはあったのに。でも彼らは協力しなかった。仮にあのまま前を引き続けていれば、僕に勝利のチャンスは回って来なかった」と語る。
「二本の脚で全力を尽くした。これ以上の走りは無理だ。優勝候補はいつでも勝てるわけじゃない。この結果に貢献してくれたチームメイトたちの走りには感謝しているよ」。
出走者197名中、完走者が108名というタフレースで、別府史之(レディオシャック)は12分58秒遅れの71位でフィニッシュ。タイムオーバーまで余裕のあるタイムで、ルーベのヴェロドロームにゴールした。
フミは4度目の挑戦で日本人初のパリ〜ルーベ完走。「北のクラシック」3連戦、ヘント〜ウェベルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ完走を果たした。フミはこれで「モニュメント」と称される5大クラシックレース全完走を達成(2010年サンレモ、2008年リエージュ、2006年ロンバルディア)したことになる。クラシックレースにおける日本人の歴史を作った。フミのインタビューは後ほど別記事でお伝えします。
パリ〜ルーベ2011結果
1位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・サーヴェロ) 6h07'18"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) +19"
3位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)
4位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +21"
6位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム) +36"
7位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、HTC・ハイロード) +47"
8位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
10位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)
11位 フレデリック・ゲドン(フランス、FDJ)
12位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
13位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
14位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
15位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、スキル・シマノ)
16位 ダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)
17位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
18位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
19位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード) +2'10"
20位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・サーヴェロ)
71位 別府史之(日本、レディオシャック) +12'58"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Riccardo Scanferla, Makoto Ayano
砂埃舞うパヴェで繰り広げられた激戦
今年も雨は降らず、乾燥した北フランスで行なわれた第109回パリ〜ルーベ。パヴェ決戦に挑む197名の選手たちが、晴れ渡るコンピエーニュの街に登場した。
レースは開始早々アタックがかかり、50km/h弱のハイスピードで進行。18km地点でブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら6名が逃げグループを形成したが、69km地点で一旦メイン集団に引き戻される。
逃げが決まったのは89km地点。マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)のアタックにマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)らが反応する形で、8名の先頭グループが形成される。
遅れてアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)らも合流。10名の先頭グループは、1分45秒のリードで今年復活した5つ星「オルノワ・レ・ヴァロンシエンヌ」をクリア。最大2分50秒のリードで最大の難所「アランベール」に差し掛かった。
「アランベールの森」を直線的に駆け抜ける荒れたパヴェで、メイン集団はスピードアップ。元シクロクロス世界チャンピオンのラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)がメイン集団から飛び出す一方で、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)がメカトラでストップ。再スタートに時間がかかったボーネンは大きくポジション下げてしまう。
この「アランベール」通過後、メイン集団からはファンスーメレンやボーム、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)ら7名が飛び出して追走グループを形成。18kmに渡る追走の末、ファンスーメレンら7名は先頭グループに合流する。更にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)ら4名が加わり、先頭グループは21人まで膨れ上がった。
先頭グループから1分後方のポジションをキープしたメイン集団では落車が多発。懸命に集団復帰を目指していたボーネンを始め、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)やフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が相次いで落車し、戦線から脱落してしまう。優勝候補のクイックステップはトラブルの連続によってチャンスを失った。
ゴールまで50kmを残した5つ星「モンサン・ぺヴェル」でレースは動く。世界チャンピオンのトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)のアタックを皮切りに、集団は活性化。カンチェラーラの強烈なアタックによって集団は分裂。
カンチェラーラはフースホフトとフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)、アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)を引き連れて「モンサン・ぺヴェル」をクリア。カンチェラーラは先頭固定で逃げグループを追い続けた。
セクター8「ポン・ティボー」でカンチェラーラは再び加速し、ライバルたちを振るい落としにかかる。しかしフースホフトとバッランは、このディフェンディングチャンピオンの動きに反応。
カンチェラーラ、フースホフト、バッランの3名は、ゴール35km手前で逃げグループとのタイム差を20秒まで詰める。しかしフースホフトとバッランが徹底的に先頭交代を拒否したため、カンチェラーラがペースを弱める。結局カンチェラーラらは先頭グループに追いつけないまま失速。タイム差は再び1分まで広がった。
アタックとカウンターアタックを繰り返していた21名の先頭グループは、ゴールまで20kmを残して大きく2つに割れる。先行したのはファンスーメレン、チャリンギ、ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)、グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)の4名。
最後の5つ星「カルフール・ド・ラルブル」が近づいてきた。
難所カルフール・ド・ラルブルでレースが大きく動く
セクター4「カルフール・ド・ラルブル」は実質的な最後の勝負どころ。バク、ファンスーメレン、ラスト、チャリンギはリードを広げて難所に突入し、追走グループが25秒遅れ、カンチェラーラを含むメイングループが25秒で追う展開。
ゴール17km手前のこの「カルフール・ド・ラルブル」でファンスーメレンが仕掛けた。長さ2100mの荒れたパヴェで、食らいつくチャリンギを振るい落としたファンスーメレン。
一方のメイン集団ではフースホフトがアタックし、カンチェラーラがカウンターアタックで飛び出す展開。しかしカンチェラーラはカメラバイクに前を塞がれたことも影響し、ペースを上げることができない。結局パヴェ区間でのカンチェラーラのアタックはことごとく失敗。何度も何度も勢いのあるスパートを見せたが、ライバルたちの徹底マークを振りほどくことができなかった。
先頭ファンスーメレンは前を向いて逃げるのみ。仮にメイングループに捕まったとしても、チームメイトのフースホフトがスプリントを狙えるという理想的な展開。ファンスーメレンはメイングループから1分のリードを得てラスト10kmを切った。
やがてゴールまで3kmを切ると、カンチェラーラがアタックし、ようやくライバルたちを振り切ることに成功する。カンチェラーラは猛烈なペースで突き進み、前のバク、チャリンギ、ラストに合流。30秒遅れでファンスーメレンを追い上げる。
しかしカンチェラーラの追撃開始は遅すぎた。30秒のリードのまま、先頭ファンスーメレンはルーベのヴェロドロームに突入。ディフェンディングチャンピオンの追撃を振り切ったファンスーメレンが、独走のままヴェロドロームを周回。大きく両手を広げてゴールに飛び込んだ。3名でスプリントを繰り広げたカンチェラーラは19秒遅れの2位に入った。
ゴール後、駆けつけたジャスミン・ファングリーケンさんと抱き合うファンスーメレン。オランダ国境にほど近いベルギー北部のロンメル出身の30歳は、7年間つき合った彼女にその場でプロポーズした。
「夢が叶った一日だ」。ファンスーメレンはレース後のインタビューでそう語る。「今日は有力選手たちが互いに牽制していた。元々フースホフトをアシストする役目だったけど、アタックに乗って先頭グループに合流したんだ。フースホフトもこの勝利を喜んでくれている。これからのレースでは彼のために走りたい」。
ファンスーメレンはラスト5km地点でスローパンクに気付いたが、ホイール交換せずにゴールまで突き進んだ。「コーナリングに難があったけど、最後まで問題なく走り切ることができた。ヴェロドロームに入ったとき、胸を撫で下ろしたよ」。
頼れるアシストとして長年活躍してきたファンスーメレンにとって、これは間違いなくキャリア最大の勝利。ファンスーメレンの最初にして最後の勝利は、2007年のツール・ド・ポローニュ総合優勝だった。
ファンスーメレンは昨年のジャパンカップでもメイン集団を牽引するアシストとして活躍。ダニエル・マーティン(アイルランド)の勝利をお膳立てした。パリ〜ルーベでは2008年に8位、2009年に5位という成績を残している。
「パリ〜ルーベは一番僕に向いているレースなんだ。スプリンターではないので爆発力は無いし、クライマーと呼べるほどの登坂力も持ち合わせていない。ペダルに力を込め続けるパリ〜ルーベは僕向き。やっぱりルーベはルーベだ」。
ライバルたちの徹底マークを受けながらも、終盤に飛び出して2位に入ったカンチェラーラは、晴れやかな表情で表彰台に登った。「とても嬉しい。サンレモでの2位、ロンドでの3位、E3プライスでの優勝、そしてこのルーベでの2位。勝利と同じぐらい価値のある2位だと思っている」。
ライバルたちが牽制して先頭交代に加わらなかったことについて「彼らに前を引くよう要求したんだ。先頭グループに追いつけば、彼らにもチャンスはあったのに。でも彼らは協力しなかった。仮にあのまま前を引き続けていれば、僕に勝利のチャンスは回って来なかった」と語る。
「二本の脚で全力を尽くした。これ以上の走りは無理だ。優勝候補はいつでも勝てるわけじゃない。この結果に貢献してくれたチームメイトたちの走りには感謝しているよ」。
出走者197名中、完走者が108名というタフレースで、別府史之(レディオシャック)は12分58秒遅れの71位でフィニッシュ。タイムオーバーまで余裕のあるタイムで、ルーベのヴェロドロームにゴールした。
フミは4度目の挑戦で日本人初のパリ〜ルーベ完走。「北のクラシック」3連戦、ヘント〜ウェベルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベ完走を果たした。フミはこれで「モニュメント」と称される5大クラシックレース全完走を達成(2010年サンレモ、2008年リエージュ、2006年ロンバルディア)したことになる。クラシックレースにおける日本人の歴史を作った。フミのインタビューは後ほど別記事でお伝えします。
パリ〜ルーベ2011結果
1位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・サーヴェロ) 6h07'18"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック) +19"
3位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)
4位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック)
5位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +21"
6位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム) +36"
7位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、HTC・ハイロード) +47"
8位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
10位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)
11位 フレデリック・ゲドン(フランス、FDJ)
12位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)
13位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
14位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
15位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、スキル・シマノ)
16位 ダミアン・ゴダン(フランス、ユーロップカー)
17位 マルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)
18位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
19位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード) +2'10"
20位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・サーヴェロ)
71位 別府史之(日本、レディオシャック) +12'58"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Riccardo Scanferla, Makoto Ayano
フォトギャラリー
Amazon.co.jp