2011/03/09(水) - 10:46
2011年3月8日、終盤に2級山岳が設定された平坦コースでパリ〜ニース(UCIワールドツアー)第3ステージが行なわれ、最終ストレートでの落車を避けたマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)が勝利。今シーズン3勝目とリーダージャージを同時に手にした。
パリ〜ニースは南下とともに徐々に難易度を上げていく。第3ステージはコスヌクール・シュル・ロワールからニュイ・サン・ジョルジュまでの202.5km。概ね平坦なコースだが、終盤のラスト23km地点に2級山岳ベクー峠が設定されているのが肝。完全なるスプリント向きステージとは呼べない。
この日もスタート直後のアタックが決まる。逃げグループを形成したのはセドリック・ピノー(フランス、FDJ)、ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、オメガファーマ・ロット)、シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、ロメン・アルディ(フランス、ブルターニュ・シュレー)の5名。
逃げたのは全員総合14秒遅れの選手たち。ヴァカンソレイユ・DCMがコントロールするメイン集団が、最大4分30秒のタイム差で追う展開に。レースは40km/hに満たないスローペースで進行した。
2つのスプリントポイントはゴティエとピノーが先頭通過を分け合い、ボーナスタイムを合計5秒獲得。これにより両者は総合8位と9位に浮上することに成功している。
終始メイン集団をコントロールしたヴァカンソレイユ・DCMがペースを上げ始めたのはゴールまで40kmを切ってから。ステイン・デヴォルデル(ベルギー)とセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン)という2人のナショナルチャンピオンが献身的に集団を牽くとタイム差は縮小。先頭5名は1分のリードを保ったままこの日唯一の難所である2級山岳ベクー峠に差し掛かった。
先頭グループからはヴェッカネンがアタックを仕掛けたが、平均勾配5.3%の緩い登りでは先行決まらず。結局アタックが決まらないまま頂上に差し掛かり、ヴェッカネンが先頭通過を果たした。ヴェッカネンは山岳賞ジャージを獲得している。
リクイガス・キャノンデールやアスタナがペースアップを図ったメイン集団は、僅か17秒遅れで頂上をクリア。結局それまで逃げていた選手はラスト21km地点で吸収。カウンターアタックで飛び出したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)に、序盤からの逃げメンバーのカドリが食らいつき、2人で新たに逃げグループを形成した。
最大15秒差で逃げたヴォクレールとカドリ。しかし2級山岳ベクー峠の下りは勾配が緩く、大人数で追い上げる集団向き。先頭の2人はラスト5kmに飲み込まれ、最後はスプリンターチームによるバトルに持ち込まれた。
チームスカイやカチューシャ、ランプレ・ISDが主導権を奪い合い、ラスト1kmを切るとリクイガス・キャノンデールが先頭に。ゴール地点ニュイ・サン・ジョルジュの街中に入るとテクニカルなコーナーが連続し、集団は縦に長く伸びる。
ラスト300mの最終コーナーが近づくと、ヘンダーソンの発射台ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が先頭に。トーマス先頭のまま最終コーナーを抜けると、2番手につけていたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が落車してしまう。
最後はサガンの落車を避け切ったゴス、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)らによる勝負に持ち込まれ、好位置でスプリントに持ち込んだゴスが勝利。前日にステージ優勝を飾ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)はトーマスとの連携が噛み合わずに6位に終わった。
波乱のスプリントを制したゴスはレースを振り返る。「最終コーナーを抜けた時点で少し番手を下げてしまっていた。でも落車の影響で前の選手たちが失速して、うまく切り抜けたところでスプリントを開始。運が味方してくれたんだ。今日のステージにはモチベーション高く挑んでいた。特にゴール前のレイアウトが僕向きで、終盤の登坂距離5kmの登りをクリアすることが出来ればチャンスがあると思っていた」。
1月のツアー・ダウンアンダーでステージ優勝、総合2位、ポイント賞という成績を残したゴス。ツアー・オブ・オマーン第2ステージでも優勝しており、これがシーズン3勝目。ナショナルレースのジェイコ・ベイクラシックやツアー・ダウンアンダーのクリテリウムレースなど、UCI未登録レースでの勝利を含めるとこれが7勝目だ。「最高のシーズンスタートが切れている。これからの目標は、この勝ちパターンを出来る限り長く継続すること」。
ボーナスタイム10秒を獲得したゴスは総合首位に浮上。トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が2秒差の総合2位につけている。しかしスプリンター向きのステージはこれにて終了。翌日からはカテゴリー山岳が連続する山岳ステージが登場する。
「明日のステージで総合リードを守り抜くのは難しいミッションだ。でも不可能ではない。ゴール手前の50kmに設定された2つのカテゴリー山岳を何とか乗り切って、せめて一日だけでもリーダージャージを守りたい」。ゴスは山岳での苦戦を予想しながらも、リーダージャージキープに意欲を見せた。
翌第4ステージは2級と3級のカテゴリー山岳が合計7つ設定された中級山岳ステージ。クライマーたちがリーダージャージを狙ってアタックを繰り返すだろう。
選手コメントはHTC・ハイロード公式サイトより。
パリ〜ニース2011第3ステージ結果
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) 5h16'48"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
3位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
7位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
個人総合成績
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) 14h22'34"
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +02"
3位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ) +06"
4位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
5位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) +08"
6位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ) +09"
7位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス) +10"
8位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー) +11"
9位 セドリック・ピノー(フランス、FDJ)
10位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック) +14"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
山岳賞
ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、オメガファーマ・ロット)
新人賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)
チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
パリ〜ニースは南下とともに徐々に難易度を上げていく。第3ステージはコスヌクール・シュル・ロワールからニュイ・サン・ジョルジュまでの202.5km。概ね平坦なコースだが、終盤のラスト23km地点に2級山岳ベクー峠が設定されているのが肝。完全なるスプリント向きステージとは呼べない。
この日もスタート直後のアタックが決まる。逃げグループを形成したのはセドリック・ピノー(フランス、FDJ)、ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、オメガファーマ・ロット)、シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、ロメン・アルディ(フランス、ブルターニュ・シュレー)の5名。
逃げたのは全員総合14秒遅れの選手たち。ヴァカンソレイユ・DCMがコントロールするメイン集団が、最大4分30秒のタイム差で追う展開に。レースは40km/hに満たないスローペースで進行した。
2つのスプリントポイントはゴティエとピノーが先頭通過を分け合い、ボーナスタイムを合計5秒獲得。これにより両者は総合8位と9位に浮上することに成功している。
終始メイン集団をコントロールしたヴァカンソレイユ・DCMがペースを上げ始めたのはゴールまで40kmを切ってから。ステイン・デヴォルデル(ベルギー)とセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン)という2人のナショナルチャンピオンが献身的に集団を牽くとタイム差は縮小。先頭5名は1分のリードを保ったままこの日唯一の難所である2級山岳ベクー峠に差し掛かった。
先頭グループからはヴェッカネンがアタックを仕掛けたが、平均勾配5.3%の緩い登りでは先行決まらず。結局アタックが決まらないまま頂上に差し掛かり、ヴェッカネンが先頭通過を果たした。ヴェッカネンは山岳賞ジャージを獲得している。
リクイガス・キャノンデールやアスタナがペースアップを図ったメイン集団は、僅か17秒遅れで頂上をクリア。結局それまで逃げていた選手はラスト21km地点で吸収。カウンターアタックで飛び出したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)に、序盤からの逃げメンバーのカドリが食らいつき、2人で新たに逃げグループを形成した。
最大15秒差で逃げたヴォクレールとカドリ。しかし2級山岳ベクー峠の下りは勾配が緩く、大人数で追い上げる集団向き。先頭の2人はラスト5kmに飲み込まれ、最後はスプリンターチームによるバトルに持ち込まれた。
チームスカイやカチューシャ、ランプレ・ISDが主導権を奪い合い、ラスト1kmを切るとリクイガス・キャノンデールが先頭に。ゴール地点ニュイ・サン・ジョルジュの街中に入るとテクニカルなコーナーが連続し、集団は縦に長く伸びる。
ラスト300mの最終コーナーが近づくと、ヘンダーソンの発射台ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が先頭に。トーマス先頭のまま最終コーナーを抜けると、2番手につけていたペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が落車してしまう。
最後はサガンの落車を避け切ったゴス、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)らによる勝負に持ち込まれ、好位置でスプリントに持ち込んだゴスが勝利。前日にステージ優勝を飾ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)はトーマスとの連携が噛み合わずに6位に終わった。
波乱のスプリントを制したゴスはレースを振り返る。「最終コーナーを抜けた時点で少し番手を下げてしまっていた。でも落車の影響で前の選手たちが失速して、うまく切り抜けたところでスプリントを開始。運が味方してくれたんだ。今日のステージにはモチベーション高く挑んでいた。特にゴール前のレイアウトが僕向きで、終盤の登坂距離5kmの登りをクリアすることが出来ればチャンスがあると思っていた」。
1月のツアー・ダウンアンダーでステージ優勝、総合2位、ポイント賞という成績を残したゴス。ツアー・オブ・オマーン第2ステージでも優勝しており、これがシーズン3勝目。ナショナルレースのジェイコ・ベイクラシックやツアー・ダウンアンダーのクリテリウムレースなど、UCI未登録レースでの勝利を含めるとこれが7勝目だ。「最高のシーズンスタートが切れている。これからの目標は、この勝ちパターンを出来る限り長く継続すること」。
ボーナスタイム10秒を獲得したゴスは総合首位に浮上。トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が2秒差の総合2位につけている。しかしスプリンター向きのステージはこれにて終了。翌日からはカテゴリー山岳が連続する山岳ステージが登場する。
「明日のステージで総合リードを守り抜くのは難しいミッションだ。でも不可能ではない。ゴール手前の50kmに設定された2つのカテゴリー山岳を何とか乗り切って、せめて一日だけでもリーダージャージを守りたい」。ゴスは山岳での苦戦を予想しながらも、リーダージャージキープに意欲を見せた。
翌第4ステージは2級と3級のカテゴリー山岳が合計7つ設定された中級山岳ステージ。クライマーたちがリーダージャージを狙ってアタックを繰り返すだろう。
選手コメントはHTC・ハイロード公式サイトより。
パリ〜ニース2011第3ステージ結果
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) 5h16'48"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
3位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
7位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ・ISD)
9位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
個人総合成績
1位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード) 14h22'34"
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +02"
3位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ) +06"
4位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)
5位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) +08"
6位 ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ) +09"
7位 トニー・ギャロパン(フランス、コフィディス) +10"
8位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー) +11"
9位 セドリック・ピノー(フランス、FDJ)
10位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レオパード・トレック) +14"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
山岳賞
ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、オメガファーマ・ロット)
新人賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)
チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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