2011/03/06(日) - 08:31
2011年3月5日、イタリア・トスカーナ州で第5回ストラーデ・ビアンケ(UCI1.1)が開催され、厳しい未舗装コースで形成された先頭グループからゴール前で抜け出したフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が勝利。クラシックシーズンに向けて好調をアピールした。
今年もストラーデ・ビアンケがトスカーナ州シエナで開催された。街全体が世界遺産に登録されているシエナは、中世の面影を色濃く残すイタリアきっての観光地。その郊外に広がる美しい丘陵地帯がレースの舞台だ。
なだらかな丘陵地帯を縫うように走るのは、アスファルトで舗装されていない未舗装の砂利道。レース名の「ストラーデ・ビアンケ」は「白い道」を意味しており、全長190kmのコースには、未舗装区間が全8セクター・合計57.2km設定されている。
中には全長13.5kmの長い区間や、最大勾配が18%に達する未舗装区間が設定されている。昨年ジロ・デ・イタリア第7ステージで登場し、選手たちを泥色に染めた区間も登場。最後は丘の上のシエナに向かって急坂をダッシュし、街中のテクニカルなコーナーを抜け、世界一美しいと称されるカンポ広場にゴールする。
この日は110名の選手たちがシエナ近郊のガイオーレ・イン・キアンティをスタート。ワイン畑が広がる丘陵地帯を進むと、すぐにアタック合戦が始まった。
レース1時間目の平均スピードが45km/hに達するハイスピードな出だし。アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)も積極的にアタック合戦に加わったが、パンクによってチャンスを失ってしまう。逃げが決まったのは、第1未舗装区間内の43km地点だった。
逃げグループを形成したのはヨースト・ポストゥーマ(オランダ、レオパード・トレック)やスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)、パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)、ピーター・ベリトス(スロバキア)、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)ら12名。
逃げに選手を送り損ねたランプレ・ISDがコントロールするメイン集団に対し、逃げグループは最大3分のリードを築くことに成功した。メイン集団では単発的なカウンターアタックが掛かるが、先頭グループに追いつくことなく吸収される。
レースが動いたのは第5未舗装区間。逃げグループの中からオグレディとファンアフェルマートが抜け出し、ゴールまで50kmを残して2人で先行する。メイン集団とのタイム差は1分を切っていたが、2人は諦めずに逃げ続けた。
ゴールまで12kmを残した最後の未舗装区間(最大勾配18%)で結局オグレディとファンアフェルマートは吸収。ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)らが積極的に動いたが、アタックは決まらない。ラスト10kmの時点で先頭集団は20名ほどに絞られた。
先頭集団はランプレ・ISDに牽引されてラスト1kmを切り、シエナに至る急坂に突入。石畳が敷かれた最大勾配16%の登りでジルベールがアタックすると集団は破壊され、市内のテクニカルなコーナーでアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)やジルベール、クネゴが先行する。
ラスト120mの右コーナーを先頭で通過したのはジルベール。なだらかに下る最終ストレートでバッランウやクネゴの追撃は伸びず、ジルベール先頭のままカンポ広場のゴールを駆け抜けた。
「イタリアは自分にとってパラダイスだ。」ストラーデ・ビアンケ初出場で初制覇を成し遂げたジルベールは、ゴール後のインタビューで笑みを浮かべる。「2010年はジロ・ディ・ロンバルディアの勝利で締めくくった。そして、2011年の初イタリアレースであるこのストラーデ・ビアンケで勝利。この2つの勝利は生涯忘れられないものになるだろう。」
「スピードが速くてトリッキーで、危険を伴うような難しいレースだった。最後はクネゴやバッランが後ろについてきているのは分かっていて、バッランがスプリントを開始するのを待ち続けた。ラスト250mで彼が仕掛けたので僕も反応。最終コーナーで僕がイン側を取った。その最終コーナーの位置取りが勝敗を分けると思っていたよ。」
ジルベールはヴォルタ・アン・アルガルヴェの開幕ステージで登りスプリントを制しており、これが今シーズン2勝目だ。次戦はイタリアのティレーノ〜アドリアティコ。「ミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フラーンデレン、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向けた重要な調整レースとしてティレーノを走る」と語る。本格的なクラシックシーズンに向け、ジルベールは更に調子を上げていく。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。
ストラーデ・ビアンケ2011結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 4h44'26"
2位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ユーレ・コチャン(スロベニア、チーム・タイプ1)
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
6位 アンヘル・ビシオソ(スペイン、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
8位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
9位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
10位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、レオパード・トレック)
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
今年もストラーデ・ビアンケがトスカーナ州シエナで開催された。街全体が世界遺産に登録されているシエナは、中世の面影を色濃く残すイタリアきっての観光地。その郊外に広がる美しい丘陵地帯がレースの舞台だ。
なだらかな丘陵地帯を縫うように走るのは、アスファルトで舗装されていない未舗装の砂利道。レース名の「ストラーデ・ビアンケ」は「白い道」を意味しており、全長190kmのコースには、未舗装区間が全8セクター・合計57.2km設定されている。
中には全長13.5kmの長い区間や、最大勾配が18%に達する未舗装区間が設定されている。昨年ジロ・デ・イタリア第7ステージで登場し、選手たちを泥色に染めた区間も登場。最後は丘の上のシエナに向かって急坂をダッシュし、街中のテクニカルなコーナーを抜け、世界一美しいと称されるカンポ広場にゴールする。
この日は110名の選手たちがシエナ近郊のガイオーレ・イン・キアンティをスタート。ワイン畑が広がる丘陵地帯を進むと、すぐにアタック合戦が始まった。
レース1時間目の平均スピードが45km/hに達するハイスピードな出だし。アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)も積極的にアタック合戦に加わったが、パンクによってチャンスを失ってしまう。逃げが決まったのは、第1未舗装区間内の43km地点だった。
逃げグループを形成したのはヨースト・ポストゥーマ(オランダ、レオパード・トレック)やスチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)、パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)、ピーター・ベリトス(スロバキア)、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)ら12名。
逃げに選手を送り損ねたランプレ・ISDがコントロールするメイン集団に対し、逃げグループは最大3分のリードを築くことに成功した。メイン集団では単発的なカウンターアタックが掛かるが、先頭グループに追いつくことなく吸収される。
レースが動いたのは第5未舗装区間。逃げグループの中からオグレディとファンアフェルマートが抜け出し、ゴールまで50kmを残して2人で先行する。メイン集団とのタイム差は1分を切っていたが、2人は諦めずに逃げ続けた。
ゴールまで12kmを残した最後の未舗装区間(最大勾配18%)で結局オグレディとファンアフェルマートは吸収。ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)らが積極的に動いたが、アタックは決まらない。ラスト10kmの時点で先頭集団は20名ほどに絞られた。
先頭集団はランプレ・ISDに牽引されてラスト1kmを切り、シエナに至る急坂に突入。石畳が敷かれた最大勾配16%の登りでジルベールがアタックすると集団は破壊され、市内のテクニカルなコーナーでアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)やジルベール、クネゴが先行する。
ラスト120mの右コーナーを先頭で通過したのはジルベール。なだらかに下る最終ストレートでバッランウやクネゴの追撃は伸びず、ジルベール先頭のままカンポ広場のゴールを駆け抜けた。
「イタリアは自分にとってパラダイスだ。」ストラーデ・ビアンケ初出場で初制覇を成し遂げたジルベールは、ゴール後のインタビューで笑みを浮かべる。「2010年はジロ・ディ・ロンバルディアの勝利で締めくくった。そして、2011年の初イタリアレースであるこのストラーデ・ビアンケで勝利。この2つの勝利は生涯忘れられないものになるだろう。」
「スピードが速くてトリッキーで、危険を伴うような難しいレースだった。最後はクネゴやバッランが後ろについてきているのは分かっていて、バッランがスプリントを開始するのを待ち続けた。ラスト250mで彼が仕掛けたので僕も反応。最終コーナーで僕がイン側を取った。その最終コーナーの位置取りが勝敗を分けると思っていたよ。」
ジルベールはヴォルタ・アン・アルガルヴェの開幕ステージで登りスプリントを制しており、これが今シーズン2勝目だ。次戦はイタリアのティレーノ〜アドリアティコ。「ミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フラーンデレン、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向けた重要な調整レースとしてティレーノを走る」と語る。本格的なクラシックシーズンに向け、ジルベールは更に調子を上げていく。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。
ストラーデ・ビアンケ2011結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 4h44'26"
2位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
4位 ユーレ・コチャン(スロベニア、チーム・タイプ1)
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
6位 アンヘル・ビシオソ(スペイン、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 オスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
8位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
9位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
10位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、レオパード・トレック)
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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