2011/02/28(月) - 12:24
2011年2月27日、第64回クールネ〜ブリュッセル〜クールネ(UCI1.1)が開催され、頻発するアタックを封じ込めた集団によるゴールスプリントでクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)が勝利。チームスカイは前日の悔しさを晴らした。
オンループ・ヘットニュースブラットの翌日に開催されるクールネ〜ブリュッセル〜クールネは、今年で開催64回目を迎えるセミクラシックレース。その名の通りベルギーのクールネをスタートし、首都ブリュッセル手前で引き返してクールネにゴールする。
クルイスベルグやオウデ・クワレモント、ノケレベルグなど、お馴染みの急坂が8つ設定された193kmのコースは、前日のオンループ同様に過酷なもの。しかし天候が回復したため、レースの難易度はいくぶん下がった。
レースは序盤からアルノー・コワイオ(フランス、ソール・ソジャサン)やラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)ら5名が逃げる展開。タイム差は7分まで広がった。
やがて逃げグループからアンドリュー・フェン(イギリス、アンポスト・ショーンケリー)が脱落。その後、44km地点で波乱が起こる。先行した4名が、閉まりかけの踏切を渡ったとして失格処分に。メイン集団から飛び出したマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)とサンデル・アルミー(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)の2人が、前方でスピードを弱めていたフェンに合流した。
こうして新たに形成された3名の先頭グループは、最大3分のリードを得てエスケープを続行。メイン集団内に身を隠す有力選手たちが動いたのは、ゴール95km手前に位置する5つ目の急坂オウデ・クワレモント(石畳・登坂距離2500m・最大勾配11%)だ。
前日のオンループ2位のフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)がアタックを仕掛けると、これにトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)らが合流。しかしこの動きはガーミン・サーヴェロが率いるメイン集団に封じ込められる。
続くコート・デュ・トリュー(登坂距離1100m・最大勾配13%)の登りでユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)、マーティン・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)を含む強力な7名の追走グループが形成。この7名は前のラダニュとアルミーを飲み込み、メイン集団から30秒のリードを得て先行した。
メイン集団はクイックステップとラボバンクがコントロール。結局ゴールまで40kmを残して逃げグループは全て吸収され、クールネの周回コース(13.5kmを2周)に突入する。
周回コースに入るとラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)がアタックを成功させて独走。この動きにジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)らが反応し、4名が先行したまま最終周回へ。
驚くことに、2度の優勝経験者であるボーネンがラスト6km地点で強力なアタックを仕掛けた。最後まで生き残ったアングルヴァンに合流し、そのまま前だけを見てペダルを踏み続けるボーネン。しかしチームスカイがコントロールするメイン集団を振り切ることは出来ず、ラスト2kmで吸収された。
チームスカイが主導権を握ったままラスト1kmのアーチを潜り、フレチャに牽かれたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)がラスト300mで先頭に立つ。その後方からラスト150mでスプリント体勢に入ったサットンが、ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)と競り合いながらスプリント。
アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)とタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)も応戦したが、好位置で発射されたサットンが伸び続け、勢い良く両手を広げてゴールに飛び込んだ。
ゴール後、チームメイトたちと抱き合って勝利を喜ぶサットン。前日のオンループの疲労が残るボアッソンではなく、チームスカイはサットンをエーススプリンターに指名した。サットンは今年のツアー・ダウンアンダー第2ステージで激しく落車してリタイアを余儀なくされたが、その後は順調な回復を見せていた。「しばらく調子の良さを感じていたんだ。昨日のオンループに出場していないので、他の選手よりフレッシュだった。今朝のミーティングで、エドヴァルド(ボアッソン)はリード役を務めることを快諾してくれたよ。」
オンループで苦汁をなめたチームスカイが、一丸となって手にした勝利。サットンはチーム内の連携を賞賛する。「最終周回に入るとき、マット・ヘイマンが僕に勝負できるか聞いてきた。そこで『もちろん勝てるさ』と言ったんだ。チームメイトたちの信頼感が勝利に繋がった。彼らの走り抜きでは今日の勝利は果たせなかった。チームワークの大事さを証明したよ。ラスト500mでエドヴァルドに『今だ!』と叫んで、そこから僕は飛び出すタイミングを待ち続けた。ラスト200mで誰か(フタロヴィッチ)が仕掛けたので、そこからアクセル全開で飛び出した。一日の最後をこうして勝利で締めくくることができて嬉しい。これは僕の勝利じゃない。チームの勝利だ。」
サットンは2009年ツアー・ダウンアンダー最終ステージで優勝。久々のビッグな勝利を手にした26歳はこう締めくくった。「表彰台に立つのはいつでも最高だ。昨年のツアー・ダウンアンダーの勝利は、地元オーストラリアで家族や友人が見ていたので、格別だった。でも今日のセミクラシックの勝利も、スリル満点で興奮するものだったよ。」
選手コメントはチームスカイ公式サイト、レース展開はレース公式サイトならびにストリーミング映像より。
クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2011結果
1位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) 4h39'39"
2位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ワロニーブリュッセル・クレディアグリコル)
6位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、ユーロップカー)
7位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 アドリアン・プティ(フランス、コフィディス)
10位 クリストフ・ホダールト(ベルギー、アージェードゥーゼル)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
オンループ・ヘットニュースブラットの翌日に開催されるクールネ〜ブリュッセル〜クールネは、今年で開催64回目を迎えるセミクラシックレース。その名の通りベルギーのクールネをスタートし、首都ブリュッセル手前で引き返してクールネにゴールする。
クルイスベルグやオウデ・クワレモント、ノケレベルグなど、お馴染みの急坂が8つ設定された193kmのコースは、前日のオンループ同様に過酷なもの。しかし天候が回復したため、レースの難易度はいくぶん下がった。
レースは序盤からアルノー・コワイオ(フランス、ソール・ソジャサン)やラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・サーヴェロ)ら5名が逃げる展開。タイム差は7分まで広がった。
やがて逃げグループからアンドリュー・フェン(イギリス、アンポスト・ショーンケリー)が脱落。その後、44km地点で波乱が起こる。先行した4名が、閉まりかけの踏切を渡ったとして失格処分に。メイン集団から飛び出したマチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)とサンデル・アルミー(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)の2人が、前方でスピードを弱めていたフェンに合流した。
こうして新たに形成された3名の先頭グループは、最大3分のリードを得てエスケープを続行。メイン集団内に身を隠す有力選手たちが動いたのは、ゴール95km手前に位置する5つ目の急坂オウデ・クワレモント(石畳・登坂距離2500m・最大勾配11%)だ。
前日のオンループ2位のフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)がアタックを仕掛けると、これにトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)らが合流。しかしこの動きはガーミン・サーヴェロが率いるメイン集団に封じ込められる。
続くコート・デュ・トリュー(登坂距離1100m・最大勾配13%)の登りでユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)、マーティン・ベリトス(スロバキア、HTC・ハイロード)を含む強力な7名の追走グループが形成。この7名は前のラダニュとアルミーを飲み込み、メイン集団から30秒のリードを得て先行した。
メイン集団はクイックステップとラボバンクがコントロール。結局ゴールまで40kmを残して逃げグループは全て吸収され、クールネの周回コース(13.5kmを2周)に突入する。
周回コースに入るとラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)がアタックを成功させて独走。この動きにジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)らが反応し、4名が先行したまま最終周回へ。
驚くことに、2度の優勝経験者であるボーネンがラスト6km地点で強力なアタックを仕掛けた。最後まで生き残ったアングルヴァンに合流し、そのまま前だけを見てペダルを踏み続けるボーネン。しかしチームスカイがコントロールするメイン集団を振り切ることは出来ず、ラスト2kmで吸収された。
チームスカイが主導権を握ったままラスト1kmのアーチを潜り、フレチャに牽かれたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)がラスト300mで先頭に立つ。その後方からラスト150mでスプリント体勢に入ったサットンが、ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)と競り合いながらスプリント。
アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)とタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)も応戦したが、好位置で発射されたサットンが伸び続け、勢い良く両手を広げてゴールに飛び込んだ。
ゴール後、チームメイトたちと抱き合って勝利を喜ぶサットン。前日のオンループの疲労が残るボアッソンではなく、チームスカイはサットンをエーススプリンターに指名した。サットンは今年のツアー・ダウンアンダー第2ステージで激しく落車してリタイアを余儀なくされたが、その後は順調な回復を見せていた。「しばらく調子の良さを感じていたんだ。昨日のオンループに出場していないので、他の選手よりフレッシュだった。今朝のミーティングで、エドヴァルド(ボアッソン)はリード役を務めることを快諾してくれたよ。」
オンループで苦汁をなめたチームスカイが、一丸となって手にした勝利。サットンはチーム内の連携を賞賛する。「最終周回に入るとき、マット・ヘイマンが僕に勝負できるか聞いてきた。そこで『もちろん勝てるさ』と言ったんだ。チームメイトたちの信頼感が勝利に繋がった。彼らの走り抜きでは今日の勝利は果たせなかった。チームワークの大事さを証明したよ。ラスト500mでエドヴァルドに『今だ!』と叫んで、そこから僕は飛び出すタイミングを待ち続けた。ラスト200mで誰か(フタロヴィッチ)が仕掛けたので、そこからアクセル全開で飛び出した。一日の最後をこうして勝利で締めくくることができて嬉しい。これは僕の勝利じゃない。チームの勝利だ。」
サットンは2009年ツアー・ダウンアンダー最終ステージで優勝。久々のビッグな勝利を手にした26歳はこう締めくくった。「表彰台に立つのはいつでも最高だ。昨年のツアー・ダウンアンダーの勝利は、地元オーストラリアで家族や友人が見ていたので、格別だった。でも今日のセミクラシックの勝利も、スリル満点で興奮するものだったよ。」
選手コメントはチームスカイ公式サイト、レース展開はレース公式サイトならびにストリーミング映像より。
クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2011結果
1位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) 4h39'39"
2位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ワロニーブリュッセル・クレディアグリコル)
6位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、ユーロップカー)
7位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 アドリアン・プティ(フランス、コフィディス)
10位 クリストフ・ホダールト(ベルギー、アージェードゥーゼル)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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