2011/02/19(土) - 09:20
2011年2月18日、難関頂上ゴールが設定されたツアー・オブ・オマーン(UCI2.1)第4ステージが行なわれ、平均勾配10%オーバーの登りで飛び出したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が独走勝利。エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)を47秒引き離す走りで、総合首位に立った。
第4ステージのゴール地点は標高1235mのジャバル・アル・アフダル(グリーンマウンテン)。平均勾配10.3%・登坂距離5.8kmという本格的な頂上ゴールは間違いなく大会最大の勝負どころであり、総合成績にシャッフルをかけるのは間違いない。
気温30度の暑さの中、126名が灼熱の砂漠にこぎ出すと、すぐさまペースアップが図られる。トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を含む何名もの選手がアタックを仕掛けたが、逃げ形成には至らない。
ようやく逃げが決まったのは42km地点。逃げグループを形成したのはマルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)、トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)、ケヴィン・ファンインプ(ベルギー、クイックステップ)、マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)、クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)、プレベン・ファンヘッケ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)、マーク・マクナリー(イギリス、アンポスト・ショーンケリー)。
メイン集団はラボバンクとカチューシャがコントロールし、先頭7名のリードを3分に抑え込む。ゴールまで70kmを残してタイム差は2分。ラスト30km地点に差し掛かると、横風によってメイン集団は細分化し、ステージ2勝&ポイント賞ジャージ着用のテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)がメイン集団から脱落した。
有力選手ひしめく40名に絞られたメイン集団は、ラスト25km地点で逃げグループをキャッチ。ジャバル・アル・アフダルの本格的な登りが始まると、メイン集団の人数は更に絞り込まれていく。
勾配がコンスタントに13%以上を刻む急勾配の登りを進むメイン集団からは、リーダージャージのマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)に続いてホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)も脱落。11名に絞られた精鋭集団の中からアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)らがアタックするが決まらない。ラスト2kmで満を持して飛び出したヘーシンクが独走に持ち込んだ。
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)やクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、そしてボアッソンらがグループを形成してヘーシンクを追ったが、そのタイム差は広がるばかり。最終的にヘーシンクはボアッソンを47秒引き離してゴール。持ち前の登坂力を遺憾なく発揮し、ステージ優勝と総合リーダージャージを同時に掴み取った。
ラボバンクにステージ3勝目をもたらし、赤いリーダージャージに袖を通したヘーシンクはレースをこう振り返る。「最初からこのステージを狙っていて、作戦通りラスト2kmでアタックしたんだ。でも決して簡単な勝利ではなかった。苦しく、難しいステージだったよ。総合リードを獲得したし、大成功だったと思う。」
ヘーシンクの最後の勝利は昨年10月のジロ・デッレミリア。それ以降、ヘーシンクは辛い時間を過ごして来た。「この勝利は父親に捧げたい。父親は昨年のジロ・デッレミリア翌日にMTBライド中に事故に遭い、2週間後に亡くなった。それから家族と一緒に辛い冬を過ごして来た。再びサイクリングに打ち込むまで時間がかかったけど、特別なモチベーションを胸に、先月からトレーニングに打ち込んだんだ。まだ本格的にシーズンが始まっていないこの時期に、ここまで追い込んだのは初めて。努力が報われて良かったよ。」
オマーン閉幕まで2ステージを残し、ヘーシンクはボアッソンから44秒のリード。翌第5ステージの個人タイムトライアルで総合争いは決着する。
コース全長は短めの18.5kmで、中盤にかけて標高260mのカテゴリー山岳を2度通過。単純にヘーシンクとボアッソンの個人TT能力を比較すると、ボアッソンに分がある。ボアッソンは似たコースが設定された昨年の最終個人TTで優勝しており、まだ総合逆転のチャンスは残されている。
チームスカイのセルファイス・クナーフェン監督は「エドヴァルドはこの1週間ずっと個人TTのことを考えている。ヘーシンクとの総合タイム差は1分以内だ。エドヴァルドは昨年の個人TTで優勝しているし、今年も優勝を狙っている。コンディションは良いし、彼は世界最高峰のTT能力の持ち主だ」と期待を寄せる。
この日、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)は1分34秒遅れ、ヴィノクロフは2分17秒遅れ、ロドリゲスは3分28秒遅れ、ゴスは6分10秒遅れでゴール。カンチェラーラは昨年2位に甘んじた個人TTで勝利を狙う。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントは各チーム(ラボバンク、チームスカイ)公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2011第4ステージ結果
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) 4h03'58"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +47"
3位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +51"
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +53"
5位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
6位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'02"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +1'05"
8位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) +1'12"
10位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +1'29"
個人総合成績
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) 16h15'18"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +44"
3位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +57"
4位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'03"
5位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
6位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'09"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +1'15"
8位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) +1'22"
10位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +1'33"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
総合敢闘賞
マルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)
チーム総合成績
レオパード・トレック
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
第4ステージのゴール地点は標高1235mのジャバル・アル・アフダル(グリーンマウンテン)。平均勾配10.3%・登坂距離5.8kmという本格的な頂上ゴールは間違いなく大会最大の勝負どころであり、総合成績にシャッフルをかけるのは間違いない。
気温30度の暑さの中、126名が灼熱の砂漠にこぎ出すと、すぐさまペースアップが図られる。トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を含む何名もの選手がアタックを仕掛けたが、逃げ形成には至らない。
ようやく逃げが決まったのは42km地点。逃げグループを形成したのはマルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)、トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)、ケヴィン・ファンインプ(ベルギー、クイックステップ)、マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)、クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)、プレベン・ファンヘッケ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)、マーク・マクナリー(イギリス、アンポスト・ショーンケリー)。
メイン集団はラボバンクとカチューシャがコントロールし、先頭7名のリードを3分に抑え込む。ゴールまで70kmを残してタイム差は2分。ラスト30km地点に差し掛かると、横風によってメイン集団は細分化し、ステージ2勝&ポイント賞ジャージ着用のテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)がメイン集団から脱落した。
有力選手ひしめく40名に絞られたメイン集団は、ラスト25km地点で逃げグループをキャッチ。ジャバル・アル・アフダルの本格的な登りが始まると、メイン集団の人数は更に絞り込まれていく。
勾配がコンスタントに13%以上を刻む急勾配の登りを進むメイン集団からは、リーダージャージのマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)に続いてホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)も脱落。11名に絞られた精鋭集団の中からアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)らがアタックするが決まらない。ラスト2kmで満を持して飛び出したヘーシンクが独走に持ち込んだ。
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)やクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、そしてボアッソンらがグループを形成してヘーシンクを追ったが、そのタイム差は広がるばかり。最終的にヘーシンクはボアッソンを47秒引き離してゴール。持ち前の登坂力を遺憾なく発揮し、ステージ優勝と総合リーダージャージを同時に掴み取った。
ラボバンクにステージ3勝目をもたらし、赤いリーダージャージに袖を通したヘーシンクはレースをこう振り返る。「最初からこのステージを狙っていて、作戦通りラスト2kmでアタックしたんだ。でも決して簡単な勝利ではなかった。苦しく、難しいステージだったよ。総合リードを獲得したし、大成功だったと思う。」
ヘーシンクの最後の勝利は昨年10月のジロ・デッレミリア。それ以降、ヘーシンクは辛い時間を過ごして来た。「この勝利は父親に捧げたい。父親は昨年のジロ・デッレミリア翌日にMTBライド中に事故に遭い、2週間後に亡くなった。それから家族と一緒に辛い冬を過ごして来た。再びサイクリングに打ち込むまで時間がかかったけど、特別なモチベーションを胸に、先月からトレーニングに打ち込んだんだ。まだ本格的にシーズンが始まっていないこの時期に、ここまで追い込んだのは初めて。努力が報われて良かったよ。」
オマーン閉幕まで2ステージを残し、ヘーシンクはボアッソンから44秒のリード。翌第5ステージの個人タイムトライアルで総合争いは決着する。
コース全長は短めの18.5kmで、中盤にかけて標高260mのカテゴリー山岳を2度通過。単純にヘーシンクとボアッソンの個人TT能力を比較すると、ボアッソンに分がある。ボアッソンは似たコースが設定された昨年の最終個人TTで優勝しており、まだ総合逆転のチャンスは残されている。
チームスカイのセルファイス・クナーフェン監督は「エドヴァルドはこの1週間ずっと個人TTのことを考えている。ヘーシンクとの総合タイム差は1分以内だ。エドヴァルドは昨年の個人TTで優勝しているし、今年も優勝を狙っている。コンディションは良いし、彼は世界最高峰のTT能力の持ち主だ」と期待を寄せる。
この日、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)は1分34秒遅れ、ヴィノクロフは2分17秒遅れ、ロドリゲスは3分28秒遅れ、ゴスは6分10秒遅れでゴール。カンチェラーラは昨年2位に甘んじた個人TTで勝利を狙う。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントは各チーム(ラボバンク、チームスカイ)公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2011第4ステージ結果
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) 4h03'58"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +47"
3位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +51"
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +53"
5位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
6位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'02"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +1'05"
8位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) +1'12"
10位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +1'29"
個人総合成績
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) 16h15'18"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +44"
3位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +57"
4位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +1'03"
5位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
6位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +1'09"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック) +1'15"
8位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)
9位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ) +1'22"
10位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +1'33"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
総合敢闘賞
マルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)
チーム総合成績
レオパード・トレック
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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