2011年2月7日、ツアー・オブ・カタール(UCI2.1)第1ステージが行なわれ、強風が集団を破壊するタフコンディションの中、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が優勝。ステージ通算18勝目を飾ったボーネンが総合リーダーの座に就いた。

横風区間で遅れたケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ)横風区間で遅れたケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ) photo:Cor Vos第1ステージはカタール西部のドゥハーンから同国東部アルコール・コルニッシュまで、カタール半島を横断する145.5km。北に南に進路を変えながら、ひたすら平坦な半島を貫く。この日は砂漠を吹き抜ける強風との闘いとなった。

レースは開始後すぐにペースアップが計られ、有力選手を含む20名が先行。後続とのタイム差は10秒まで広がったが、しばらくして50名の大きなグループに膨らむ。ここから更に絞り込みが行なわれ、30km地点で19名が飛び出した。

強風が吹き付ける平坦コースで19名が先行する強風が吹き付ける平坦コースで19名が先行する photo:Cor Vos先頭グループの中にはリーダージャージを着るラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)の他、シルバーのポイント賞ジャージを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)、ボーネンらの姿も。追走グループとのタイム差は1分まで広がった。

カンチェラーラがレース後に「風、風、風…。前から、横から、後ろから。今日は平坦区間の最高スピード記録を塗り替えた。81km/hだ」とTwitterでコメントするほどのタフなコンディション。

雄叫びをあげてゴールするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)雄叫びをあげてゴールするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:A.S.O.73km地点でタイム差は一旦40秒まで縮まるが、やがては拡大傾向に転じる。追走グループのギブアップにより、79km地点でタイム差は2分20秒まで広がった。

順調にライバルチームの揺さぶりに耐えていたボームだったが、胃痛によって81km地点の補給ポイントでストップしてしまう。何とかバイクに戻ってレースを再開したが、第2グループに入るのがやっと。カンチェラーラやボーネンら18名が先行し、実質的にこの時点で総合優勝の夢が断たれた。

リーダージャージに袖を通したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)リーダージャージに袖を通したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:A.S.O.最終的に勝負は先頭の18名のゴールスプリントに持ち込まれ、ヘルト・ステーグマン(ベルギー)とニコラス・マース(ベルギー)にサポートされたボーネンが勝利。昨年大会でポイント賞に輝いたハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)がステージ2位に入った。

ボーネンの勝利は昨年のティレーノ〜アドリアティコ第2ステージ以来、実に11ヶ月ぶり。2010年シーズンを悩ませた膝の故障から復活を遂げた。「昨年の負傷以降、トップコンディションに戻りたいと願いながらトレーニングに励んで来た成果がようやく出た」と喜びのコメントを残す。

「今日はスタート直後にレースは加熱した。最初の1時間は75km/hに達するようなハイスピードな展開だったんだ。すぐに集団は破壊されて、クイックステップは何とか数名を先頭グループに残した。先頭グループは協調体制が取れていて、追走グループからの選手の合流を許さなかった。」

初日の個人TTで好タイムをマークしていたボーネンは、この日の勝利で総合首位に。ステージ3位のマーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)が4秒差、カンチェラーラが8秒差で続く展開だ。ボーネンはポイント賞ジャージも同時に獲得。チームメイトのマースが新人賞ジャージを獲得している。

リーダージャージに袖を通したボーネン。「これからは総合順位を見ながらの闘いになる。毎日様子を見ながら、ベストを尽くして走る。自分にとってもチームにとっても非常に意味があるこの成功にしばらく酔いしれたい。」もちろん狙うは自身4度目のカタール総合優勝だ。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはクイックステップ公式サイトより。

ツアー・オブ・カタール2011第1ステージ結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)           2h59'29"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)
3位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)
4位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
5位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)
6位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
7位 ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ)
8位 ロジャー・ハモンド(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
9位 アンドレアス・クリアー(ドイツ、ガーミン・サーヴェロ)
10位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)

個人総合成績
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)           3h02'32"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、HTC・ハイロード)        +04"
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)      +08"
4位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)         +09"
5位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)  +11"
6位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)      +16"
7位 アンドレアス・クリアー(ドイツ、ガーミン・サーヴェロ)
8位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、クイックステップ)          +17"
9位 ジェレミー・ハント(イギリス、チームスカイ)             +19"
10位 ドミニク・ロラン(カナダ、FDJ)

ポイント賞
トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)

新人賞
ニコラス・マース(ベルギー、クイックステップ)

チーム総合成績
レオパード・トレック

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos

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