2011/01/27(木) - 22:36
2011年1月27日、名物ゲンティンハイランドにゴールするツール・ド・ランカウイ第5ステージが行なわれ、ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)が優勝。綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)に代わって、42歳のリバルド・ニノ(コロンビア、ルトゥーア)が総合首位に立った。
超級山岳ゲンティンハイランド。ヨーロッパにもその名を轟かす標高1679mの高原リゾートが第5ステージのゴール地点だ。ステージの全長は124.3kmと短いが、ラスト20kmはほぼ上りっぱなし。高低差は1500mに達する。
総合成績に激震をもたらすクイーンステージであり、歴史的にこのゲンティンが総合優勝者を選び出して来た。生憎の悪天候の中、リーダージャージを着る綾部らを先頭に、123名の選手たちがタパの街をスタートした。
3km地点で飛び出したのは、ケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ)、ヒルトン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)、ベンジャミン・グルギュ(ベルギー、ランドバウクレジット)、ブラッドリー・ポトガイター(南アフリカ、MTNキュベカ)、セア・キョンロー(マレーシアナショナルチーム)、ジャンギョン・グ(韓国ナショナルチーム)の6名。
前半に設定された3つのスプリントポイントではファンヒュンメルとポトガイターが激しいバトルを繰り広げる。UCIアジアツアーリーダージャージを着るファンヒュンメルはこの日だけで11ポイントを獲得し、ポイント賞3位に浮上した。
メイン集団はリーダージャージ擁する愛三工業レーシングチームがコントロールし、やがてコルナゴ・CSFイノックスがこれに合流。先頭6名のリードを3分に抑え込み、後半にかけて着実にその差を詰めていく。ゲンティンハイランドの麓に差し掛かった時点でタイム差は1分50秒。
雨降るゲンティンハイランドの上りで先頭グループは崩壊し、ジャンギョンとグルギュの2人が先行する。リーダージャージの綾部はコルナゴ・CSFイノックスが牽引するメイン集団に食らいついたが、やがては脱落してしまう。
ゴールまで7kmを残してピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)がメイン集団からアタックを仕掛け、それまで逃げていたジャンギョンらを抜いて先頭に。
先頭のロランには、遅れて19歳のラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)が合流。しかしエマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)らを含む8名ほどの追走グループを引き離せない。
結局ゴールまで3kmを残して先頭のロランらは捉えられ、ここからポッツォヴィーヴォらがアタックを仕掛けるも決まらない。10名に満たない状態でラスト1kmのアーチを通過した先頭グループによるステージ優勝争いに持ち込まれ、濃い霧に包まれたゴールにモンサルベが先頭で飛び込んだ。
モンサルベは今年アンドローニ・ジョカトリでプロデビューした21歳のベネズエランクライマー。昨年のロード世界選手権U23ロードレースで19位という成績を残している。もちろんこれがプロ初勝利だ。
「メカニックやマッサーを始め、自分の走りに貢献してくれたチームに感謝したい。特に上りではエマヌエーレ・セッラの素晴らしい走りに助けられたよ。自信を与えてくれたジャンニ・サヴィオ監督にも感謝している。今日はひたすらポッツォヴィーヴォをマークして、セッラのおかげで有利にスプリントに持ち込めたんだ。」
超級山岳ゲンティンハイランドを先頭で登頂したモンサルベは同時に山岳賞ジャージを獲得。しかしリーダージャージ獲得には至らなかった。
6分19秒遅れのステージ38位でゲンティンハイランドにゴールした綾部に代わってリーダージャージを獲得したのは、2日連続ステージ2位のリバルド・ニノだ。
リーダージャージに袖を通したニノは1968年生まれの42歳。2000年にプロとして走ったが、以降アマチュア選手としてキャリアを積んだ。2007年7月に行なわれたパンアメリカンゲーム(南アメリカ競技大会)でのEPO陽性が発覚し、2年間の出場停止処分を受けている。
現在ルトゥーアに所属しているが、このツール・ド・ランカウイ終了後は再びアマチュア選手としてコロンビアで活動するという。「正直言って本当に嬉しい。この総合リードを最後まで守り抜きたい。自分のキャリアの中で最後のUCIコンチネンタルレースなので、ベストを尽くしたい。」
ニノとモンサルベの総合タイム差は僅かに2秒。ボーナスタイムで逆転可能なタイム差だ。チーム力を比較すると、総合2位のモンサルベ擁するアンドローニ・ジョカトリに分がある。翌日からの平坦ステージでは、スプリントバトルの他、総合に関わるボーナスタイム獲得バトルにも注目だ。
日本勢の最高位はステージ25位・3分14秒遅れの土井雪広(スキル・シマノ)。日本人選手たちは目標をステージ優勝にスイッチする。
レース展開や選手コメントはレース公式サイト、レース公式ストリーミングより。
ツール・ド・ランカウイ2011第5ステージ結果
1位 ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ) 3h33'31"
2位 リバルド・ニノ(コロンビア、ルトゥーア)
3位 ミルサマド・ポルセイエディ(イラン、アサド大学チーム) +01"
4位 デニス・ヴァンニーケルク(南アフリカ、MTNキュベカ) +03"
5位 ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
6位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ) +05"
7位 ラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)+08"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +17"
9位 ガーデル・ミズバニ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +31"
10位 ゴン・ヒョスク(韓国、韓国ナショナルチーム) +33"
25位 土井雪広(スキル・シマノ) +3'14"
38位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +6'19"
53位 福島晋一(トレンガヌ・プロアジア) +11'15"
54位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
109位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +25'57"
112位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
116位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
117位 福田晋平(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 リバルド・ニノ(コロンビア、ルトゥーア) 15h59'46"
2位 ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ) +02"
3位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ) +19"
4位 デニス・ヴァンニーケルク(南アフリカ、MTNキュベカ) +22"
5位 ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
6位 ラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)+27"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +44"
8位 ガーデル・ミズバニ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +50"
9位 ゴン・ヒョスク(韓国、韓国ナショナルチーム) +52"
10位 ホセイン・アスカリ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +53"
26位 土井雪広(スキル・シマノ) +5'08"
32位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +6'21"
49位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +15'04"
69位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +30'04"
75位 福島晋一(トレンガヌ・プロアジア) +32'50"
86位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +35'36"
87位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +35'42"
114位 福田晋平(愛三工業レーシングチーム) +47'12"
ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
山岳賞
ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)
アジア人総合成績
ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
チーム総合成績
アサド大学チーム
アジアンチーム総合成績
アサド大学チーム
text:Kei Tsuji
photo:Yuko Sato
超級山岳ゲンティンハイランド。ヨーロッパにもその名を轟かす標高1679mの高原リゾートが第5ステージのゴール地点だ。ステージの全長は124.3kmと短いが、ラスト20kmはほぼ上りっぱなし。高低差は1500mに達する。
総合成績に激震をもたらすクイーンステージであり、歴史的にこのゲンティンが総合優勝者を選び出して来た。生憎の悪天候の中、リーダージャージを着る綾部らを先頭に、123名の選手たちがタパの街をスタートした。
3km地点で飛び出したのは、ケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ、スキル・シマノ)、ヒルトン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)、ベンジャミン・グルギュ(ベルギー、ランドバウクレジット)、ブラッドリー・ポトガイター(南アフリカ、MTNキュベカ)、セア・キョンロー(マレーシアナショナルチーム)、ジャンギョン・グ(韓国ナショナルチーム)の6名。
前半に設定された3つのスプリントポイントではファンヒュンメルとポトガイターが激しいバトルを繰り広げる。UCIアジアツアーリーダージャージを着るファンヒュンメルはこの日だけで11ポイントを獲得し、ポイント賞3位に浮上した。
メイン集団はリーダージャージ擁する愛三工業レーシングチームがコントロールし、やがてコルナゴ・CSFイノックスがこれに合流。先頭6名のリードを3分に抑え込み、後半にかけて着実にその差を詰めていく。ゲンティンハイランドの麓に差し掛かった時点でタイム差は1分50秒。
雨降るゲンティンハイランドの上りで先頭グループは崩壊し、ジャンギョンとグルギュの2人が先行する。リーダージャージの綾部はコルナゴ・CSFイノックスが牽引するメイン集団に食らいついたが、やがては脱落してしまう。
ゴールまで7kmを残してピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)がメイン集団からアタックを仕掛け、それまで逃げていたジャンギョンらを抜いて先頭に。
先頭のロランには、遅れて19歳のラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)が合流。しかしエマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)らを含む8名ほどの追走グループを引き離せない。
結局ゴールまで3kmを残して先頭のロランらは捉えられ、ここからポッツォヴィーヴォらがアタックを仕掛けるも決まらない。10名に満たない状態でラスト1kmのアーチを通過した先頭グループによるステージ優勝争いに持ち込まれ、濃い霧に包まれたゴールにモンサルベが先頭で飛び込んだ。
モンサルベは今年アンドローニ・ジョカトリでプロデビューした21歳のベネズエランクライマー。昨年のロード世界選手権U23ロードレースで19位という成績を残している。もちろんこれがプロ初勝利だ。
「メカニックやマッサーを始め、自分の走りに貢献してくれたチームに感謝したい。特に上りではエマヌエーレ・セッラの素晴らしい走りに助けられたよ。自信を与えてくれたジャンニ・サヴィオ監督にも感謝している。今日はひたすらポッツォヴィーヴォをマークして、セッラのおかげで有利にスプリントに持ち込めたんだ。」
超級山岳ゲンティンハイランドを先頭で登頂したモンサルベは同時に山岳賞ジャージを獲得。しかしリーダージャージ獲得には至らなかった。
6分19秒遅れのステージ38位でゲンティンハイランドにゴールした綾部に代わってリーダージャージを獲得したのは、2日連続ステージ2位のリバルド・ニノだ。
リーダージャージに袖を通したニノは1968年生まれの42歳。2000年にプロとして走ったが、以降アマチュア選手としてキャリアを積んだ。2007年7月に行なわれたパンアメリカンゲーム(南アメリカ競技大会)でのEPO陽性が発覚し、2年間の出場停止処分を受けている。
現在ルトゥーアに所属しているが、このツール・ド・ランカウイ終了後は再びアマチュア選手としてコロンビアで活動するという。「正直言って本当に嬉しい。この総合リードを最後まで守り抜きたい。自分のキャリアの中で最後のUCIコンチネンタルレースなので、ベストを尽くしたい。」
ニノとモンサルベの総合タイム差は僅かに2秒。ボーナスタイムで逆転可能なタイム差だ。チーム力を比較すると、総合2位のモンサルベ擁するアンドローニ・ジョカトリに分がある。翌日からの平坦ステージでは、スプリントバトルの他、総合に関わるボーナスタイム獲得バトルにも注目だ。
日本勢の最高位はステージ25位・3分14秒遅れの土井雪広(スキル・シマノ)。日本人選手たちは目標をステージ優勝にスイッチする。
レース展開や選手コメントはレース公式サイト、レース公式ストリーミングより。
ツール・ド・ランカウイ2011第5ステージ結果
1位 ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ) 3h33'31"
2位 リバルド・ニノ(コロンビア、ルトゥーア)
3位 ミルサマド・ポルセイエディ(イラン、アサド大学チーム) +01"
4位 デニス・ヴァンニーケルク(南アフリカ、MTNキュベカ) +03"
5位 ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
6位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ) +05"
7位 ラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)+08"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +17"
9位 ガーデル・ミズバニ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +31"
10位 ゴン・ヒョスク(韓国、韓国ナショナルチーム) +33"
25位 土井雪広(スキル・シマノ) +3'14"
38位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +6'19"
53位 福島晋一(トレンガヌ・プロアジア) +11'15"
54位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
109位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +25'57"
112位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
116位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
117位 福田晋平(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 リバルド・ニノ(コロンビア、ルトゥーア) 15h59'46"
2位 ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ) +02"
3位 エマヌエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ) +19"
4位 デニス・ヴァンニーケルク(南アフリカ、MTNキュベカ) +22"
5位 ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
6位 ラックラン・モールトン(オーストラリア、チポレ・ディベロップメント)+27"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +44"
8位 ガーデル・ミズバニ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +50"
9位 ゴン・ヒョスク(韓国、韓国ナショナルチーム) +52"
10位 ホセイン・アスカリ(イラン、タブリス・ペトロケミカル) +53"
26位 土井雪広(スキル・シマノ) +5'08"
32位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +6'21"
49位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +15'04"
69位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +30'04"
75位 福島晋一(トレンガヌ・プロアジア) +32'50"
86位 宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +35'36"
87位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +35'42"
114位 福田晋平(愛三工業レーシングチーム) +47'12"
ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
山岳賞
ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)
アジア人総合成績
ラヒム・エマミ(イラン、アサド大学チーム)
チーム総合成績
アサド大学チーム
アジアンチーム総合成績
アサド大学チーム
text:Kei Tsuji
photo:Yuko Sato
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