2010/12/16(木) - 21:27
2010アジアパラ競技大会の自転車トラック2日目の14日、パラサイクリング日本チームは金、銀、銀と3つのメダルを獲得する大活躍を見せた。現地中国・広州から佐藤有子が伝える。
日本チームは1kmTT[男女混合 障害クラスB]で大城竜之(チームチェブロ/文京盲学校)が金、3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]で藤田征樹(チームチェブロ/日立建機)が銀、4km個人追抜[男子C4-5]で石井雅史(チームスキップ/藤沢市みらい創造財団)が銀メダルを獲得した。
また、阿部学宏[C5](スペードエース/銚子屋本店)、大城[B]、藤田[C3]、石井[C4]の4選手それぞれが13、14日に出場した種目でクラス別順位2位以内に入り、ランキングポイントを獲得。2010年の国別ランキング40位以内(男子)の国に与えられるロンドンパラリンピック参加1枠の獲得に向け、日本チームは大きく前進した。
大城・伊藤ペアで初の国際大会、堂々の金
視覚障害タンデムの大城竜之がむかえた新パイロットは、現役S級競輪選手の伊藤保文(日本競輪選手会京都支部)。今年5月の「2010日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権(トラック)」での国内戦デビューに続き、今回が新ペアにとって初の国際大会となる。14日の1kmTT[男女混合B]では安定した走りを見せ、前日の個人追抜[男女混合B]で金、銀を獲得した韓国勢をおさえての金メダルとなった。
「クラス1位の15ポイントを獲得でき、ひとつの目的を果たせて、満足です。もう少しいいタイムを出したかったですが、これが現在の全力での結果。これから高い目標を持って、練習していきたい」と大城。「感想はほぼ同じです。走りにはまだ課題があるので、頑張っていきましょう」という伊藤の言葉に、大城も大きくうなずいた。
藤田、個人追抜で0.564秒及ばず銀
藤田征樹は14日の3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]予選で最終組のスタート。今大会の個人追抜のレースは、予選のフィニッシュタイムが速い順に1、2位が金銀メダル決定戦へ、3、4位が銅メダル決定戦へと勝ち上がる方式で行われた。予選タイム2位で決勝に進んだ藤田。中国のリャングイファとほぼ同タイムでの周回を重ねていくと、リャングイファを応援する地元観客の熱狂的な声もヒートアップする。ピストルの音でレース終了、電光掲示板に表示が出ると、リャングイファが3分55秒149、藤田が3分55秒713。0.564秒差で藤田は及ばず、銀メダルだった。
重傷から復帰後初の国際大会の石井も個人追抜で銀
昨年9月のUCIパラサイクリング世界選手権ロードでのレース中の落車で重傷を負った石井にとっても、今大会は復帰後初の国際大会。事故の影響も心配されていたが、14日の4km個人追抜[男子C4-5]予選は2位のタイムで通過。また、阿部学宏は同レースで5位だった。
石井は決勝では中国のリウシンヤンに徐々に差をつめられ、ラップされての銀。「完敗です。力は出し切ったけれど、実力差で全然歯がたたなかった。追抜で負けるのは初めてで、屈辱的ですね」と苦笑する石井。「いい薬になりました。次に向けて、いいスタートが切れたと思います」と、笑顔に静かな闘志を見せた。
トラックは14日で2日間の日程を終了、ロードレースは16日から3日間の予定で行われる。
■アジアパラ競技大会とは
国際パラリンピック委員会(IPC)の地域委員会であるアジアパラリンピック委員会(APC)が主催し、アジア地域におけるパラリンピック・ムーブメントの推進と競技スポーツのさらなる進展を図る、アジア地域の障害者スポーツ大会。4年に1度開催される。2010広州大会は、アジアパラ競技大会として初の大会となる。前身である極東・南太平洋スポーツ大会(フェスピック競技大会)は1975年の大分大会から2006年のマレーシア・クアラルンプール大会までの9回が開催された。
2010アジアパラ競技大会の自転車競技は、UCIサイトのカレンダーにはパラサイクリングでの地域大会にあたる「P1」格の大会として掲載されており、P1大会の規定のランキングポイントが付与される。
■係数とは
参加人数が少なくレース成立が困難なクラスがある場合などに、複数のクラスや性別をまとめて1レースとして競技が行われることがある。その際にクラスや性別間のハンディを補うために使われるのが係数で、実走タイムに係数をかけあわせた計算タイムによってレースの順位を決定する。
今大会自転車競技コミセールの話によるとこの係数は、パラサイクリングの世界選手権やP1大会などの過去数年のデータを基にした平均値から、UCIが算出したもの。次の大会時には今大会のデータが加わるため、係数は大会ごとに発表される。
なお、今大会自転車競技での係数使用はTTのみで、個人追抜、ロードレースには使用せず、実走タイムで順位を決定。
12日付のコミュニケによると、今大会トラックTTの係数は以下の通り。
二輪:
100.00% C5男子
99.85% C4男子
97.48% C3男子
90.65% C2男子
86.20% C1男子
181.31% C5女子 ※
181.04% C4女子 ※
176.73% C3女子 ※
164.35% C2女子 ※
156.28% C1女子 ※
タンデム:
100.00% B男子
90.63% B女子
クラスの数字が大きいほうが障害の軽いクラス。
※今大会のC(二輪)のTTは女子の500mと男子の1kmを1レースとして行ったため、女子の係数は同クラス男子の2倍程度の数値となっている。
また、15日付けのコミュニケで発表された、今大会個人ロード個人TTの係数は以下の通り。
100.00% C5男子
98.82% C4男子
96.70% C3男子
91.71% C2男子
85.51% C1男子
90.00% C5女子
88.93% C4女子
87.03% C3女子
------------日本出場種目の主な成績-----------
【13日】トラック1日目
二輪のTTは男女各クラス全てを1レースにまとめて実施。
TT男女混合[(女子500m、男子1km)C1-5]には20人が出走。
日本は3選手が出場し、石井雅史は4位、藤田征樹は10位、阿部学宏は14位。
メダルは1レースで1組だが、ランキングポイントは
各クラスごとに実走タイムの順位に従って付与される。
▼TT[男女混合(女子500m、男子1km)C1-5]
1位 ゾージューファン(中国)[C5女子]
実タイム37秒697/係数181.31%/計算タイム1分08秒348
2位 リウシンヤン(中国)[C5男子]
1分09秒495/100.00%/1分09秒495
3位 ルアンジェンピン(中国)[C4女子]
39秒040=世界新/181.04%/1分10秒678
4位 石井雅史[C4男子]1分10秒855/99.85%/1分10秒748
実走タイムはC4男子中1位
10位 藤田征樹[C3男子]1分16秒246/97.48%/1分14秒324
実走タイムはC3男子中2位。C3男子トップはジンヨンシク(韓国)
14位 阿部学宏[C5男子]1分15秒551/100.00%/1分15秒551
実走タイムはC5男子の2位。C5男子トップはリウシンヤン(中国)
【14日】トラック2日目
▼1kmTT[男女混合B]
1位 大城竜之、伊藤保文 [男子B]1分06秒473
2位 KIM Jonggiu、SONG Jonghoon (韓国)[男子B]1分06秒724
3位 MOON Jungkook、JO Jaemin (韓国)[男子B]1分08秒381
▼3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]
1位 リャングイファ(中国)[男子C2]
2位 藤田征樹[男子C3]
3位 ジンヨンシク(韓国)[男子C3]
▼4km個人追抜[男子C4-5]
1位 リウシンヤン(中国)[男子C5]
2位 石井雅史[男子C4]
3位 チーシャオフェイ(中国)[男子C4]
5位 阿部学宏[男子C5]
-----------------------------------------------------------
16日からのロードの予定は以下の通り。
16日 ロード個人TT
[男女混合H1-4]
[男女混合C1-5]
[男女混合B]
17日 ロードレース
[男子C4-5]
[男女混合H1-4]
18日 ロードレース
[男女混合B]
[男女混合(男子C1-3、女子C1-5)]
Photo&Text Yuko SATO
日本チームは1kmTT[男女混合 障害クラスB]で大城竜之(チームチェブロ/文京盲学校)が金、3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]で藤田征樹(チームチェブロ/日立建機)が銀、4km個人追抜[男子C4-5]で石井雅史(チームスキップ/藤沢市みらい創造財団)が銀メダルを獲得した。
また、阿部学宏[C5](スペードエース/銚子屋本店)、大城[B]、藤田[C3]、石井[C4]の4選手それぞれが13、14日に出場した種目でクラス別順位2位以内に入り、ランキングポイントを獲得。2010年の国別ランキング40位以内(男子)の国に与えられるロンドンパラリンピック参加1枠の獲得に向け、日本チームは大きく前進した。
大城・伊藤ペアで初の国際大会、堂々の金
視覚障害タンデムの大城竜之がむかえた新パイロットは、現役S級競輪選手の伊藤保文(日本競輪選手会京都支部)。今年5月の「2010日本障害者自転車競技大会・日本パラサイクリング選手権(トラック)」での国内戦デビューに続き、今回が新ペアにとって初の国際大会となる。14日の1kmTT[男女混合B]では安定した走りを見せ、前日の個人追抜[男女混合B]で金、銀を獲得した韓国勢をおさえての金メダルとなった。
「クラス1位の15ポイントを獲得でき、ひとつの目的を果たせて、満足です。もう少しいいタイムを出したかったですが、これが現在の全力での結果。これから高い目標を持って、練習していきたい」と大城。「感想はほぼ同じです。走りにはまだ課題があるので、頑張っていきましょう」という伊藤の言葉に、大城も大きくうなずいた。
藤田、個人追抜で0.564秒及ばず銀
藤田征樹は14日の3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]予選で最終組のスタート。今大会の個人追抜のレースは、予選のフィニッシュタイムが速い順に1、2位が金銀メダル決定戦へ、3、4位が銅メダル決定戦へと勝ち上がる方式で行われた。予選タイム2位で決勝に進んだ藤田。中国のリャングイファとほぼ同タイムでの周回を重ねていくと、リャングイファを応援する地元観客の熱狂的な声もヒートアップする。ピストルの音でレース終了、電光掲示板に表示が出ると、リャングイファが3分55秒149、藤田が3分55秒713。0.564秒差で藤田は及ばず、銀メダルだった。
重傷から復帰後初の国際大会の石井も個人追抜で銀
昨年9月のUCIパラサイクリング世界選手権ロードでのレース中の落車で重傷を負った石井にとっても、今大会は復帰後初の国際大会。事故の影響も心配されていたが、14日の4km個人追抜[男子C4-5]予選は2位のタイムで通過。また、阿部学宏は同レースで5位だった。
石井は決勝では中国のリウシンヤンに徐々に差をつめられ、ラップされての銀。「完敗です。力は出し切ったけれど、実力差で全然歯がたたなかった。追抜で負けるのは初めてで、屈辱的ですね」と苦笑する石井。「いい薬になりました。次に向けて、いいスタートが切れたと思います」と、笑顔に静かな闘志を見せた。
トラックは14日で2日間の日程を終了、ロードレースは16日から3日間の予定で行われる。
■アジアパラ競技大会とは
国際パラリンピック委員会(IPC)の地域委員会であるアジアパラリンピック委員会(APC)が主催し、アジア地域におけるパラリンピック・ムーブメントの推進と競技スポーツのさらなる進展を図る、アジア地域の障害者スポーツ大会。4年に1度開催される。2010広州大会は、アジアパラ競技大会として初の大会となる。前身である極東・南太平洋スポーツ大会(フェスピック競技大会)は1975年の大分大会から2006年のマレーシア・クアラルンプール大会までの9回が開催された。
2010アジアパラ競技大会の自転車競技は、UCIサイトのカレンダーにはパラサイクリングでの地域大会にあたる「P1」格の大会として掲載されており、P1大会の規定のランキングポイントが付与される。
■係数とは
参加人数が少なくレース成立が困難なクラスがある場合などに、複数のクラスや性別をまとめて1レースとして競技が行われることがある。その際にクラスや性別間のハンディを補うために使われるのが係数で、実走タイムに係数をかけあわせた計算タイムによってレースの順位を決定する。
今大会自転車競技コミセールの話によるとこの係数は、パラサイクリングの世界選手権やP1大会などの過去数年のデータを基にした平均値から、UCIが算出したもの。次の大会時には今大会のデータが加わるため、係数は大会ごとに発表される。
なお、今大会自転車競技での係数使用はTTのみで、個人追抜、ロードレースには使用せず、実走タイムで順位を決定。
12日付のコミュニケによると、今大会トラックTTの係数は以下の通り。
二輪:
100.00% C5男子
99.85% C4男子
97.48% C3男子
90.65% C2男子
86.20% C1男子
181.31% C5女子 ※
181.04% C4女子 ※
176.73% C3女子 ※
164.35% C2女子 ※
156.28% C1女子 ※
タンデム:
100.00% B男子
90.63% B女子
クラスの数字が大きいほうが障害の軽いクラス。
※今大会のC(二輪)のTTは女子の500mと男子の1kmを1レースとして行ったため、女子の係数は同クラス男子の2倍程度の数値となっている。
また、15日付けのコミュニケで発表された、今大会個人ロード個人TTの係数は以下の通り。
100.00% C5男子
98.82% C4男子
96.70% C3男子
91.71% C2男子
85.51% C1男子
90.00% C5女子
88.93% C4女子
87.03% C3女子
------------日本出場種目の主な成績-----------
【13日】トラック1日目
二輪のTTは男女各クラス全てを1レースにまとめて実施。
TT男女混合[(女子500m、男子1km)C1-5]には20人が出走。
日本は3選手が出場し、石井雅史は4位、藤田征樹は10位、阿部学宏は14位。
メダルは1レースで1組だが、ランキングポイントは
各クラスごとに実走タイムの順位に従って付与される。
▼TT[男女混合(女子500m、男子1km)C1-5]
1位 ゾージューファン(中国)[C5女子]
実タイム37秒697/係数181.31%/計算タイム1分08秒348
2位 リウシンヤン(中国)[C5男子]
1分09秒495/100.00%/1分09秒495
3位 ルアンジェンピン(中国)[C4女子]
39秒040=世界新/181.04%/1分10秒678
4位 石井雅史[C4男子]1分10秒855/99.85%/1分10秒748
実走タイムはC4男子中1位
10位 藤田征樹[C3男子]1分16秒246/97.48%/1分14秒324
実走タイムはC3男子中2位。C3男子トップはジンヨンシク(韓国)
14位 阿部学宏[C5男子]1分15秒551/100.00%/1分15秒551
実走タイムはC5男子の2位。C5男子トップはリウシンヤン(中国)
【14日】トラック2日目
▼1kmTT[男女混合B]
1位 大城竜之、伊藤保文 [男子B]1分06秒473
2位 KIM Jonggiu、SONG Jonghoon (韓国)[男子B]1分06秒724
3位 MOON Jungkook、JO Jaemin (韓国)[男子B]1分08秒381
▼3km個人追抜[男女混合(男子C1-3 女子C1-5)]
1位 リャングイファ(中国)[男子C2]
2位 藤田征樹[男子C3]
3位 ジンヨンシク(韓国)[男子C3]
▼4km個人追抜[男子C4-5]
1位 リウシンヤン(中国)[男子C5]
2位 石井雅史[男子C4]
3位 チーシャオフェイ(中国)[男子C4]
5位 阿部学宏[男子C5]
-----------------------------------------------------------
16日からのロードの予定は以下の通り。
16日 ロード個人TT
[男女混合H1-4]
[男女混合C1-5]
[男女混合B]
17日 ロードレース
[男子C4-5]
[男女混合H1-4]
18日 ロードレース
[男女混合B]
[男女混合(男子C1-3、女子C1-5)]
Photo&Text Yuko SATO