2010/12/07(火) - 20:44
サイクルロードレースの放送でおなじみのJ SPORTSが主催する「J SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO」が12月5日に行われ、ツール総合ディレクターのプリュドム氏をはじめとする豪華ゲストたちのトークにファンが沸いた。
豪華ゲスト勢揃いのJ SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO photo:Yufta Omata
スポーツ放送チャンネルJ SPORTSが日本のツール・ド・フランスファンに贈るイベント、「J SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO」が豊洲の映画館で開催された。来日したツールのディレクター、クリスティアン・プリュドム氏によるコースプレゼンテーションや日本のトップ選手たちのトークが映画館を埋め尽くしたファンを楽しませた。
J SPORTSのツール・ド・フランスイベントは今年で5回目。以前は「激走!朝までツール・ド・フランス」としてオールナイトでも開催され好評を博したイベントだ。現在は午後の3時間での開催だが、豪華ゲストの参加もあってツールの魅力を凝縮した濃い時間となった。
受付ではツール・ド・フランス関連グッズの販売も photo:Yufta Omata
チケットもぎりのお姉さんもマイヨ・ジョーヌ&アポア仕様 photo:Yufta Omata
このツール・ド・フランススペシャルトークin東京に合わせてツール・ド・フランスの総合ディレクターを務めるクリスチャン・プリュドム氏が来日。ツールの指揮をとって今年で5年目になる氏が一昨年以来1年ぶりに、日本のファンにツール・ド・フランスの魅力と次大会のコースを紹介するべく自ら日本へやってきた。
このトークショーのために来日したツール・ド・フランス総合ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏 photo:Yufta Omata
会場はユナイデット・シネマ豊洲。入り口ではJ SPORTSオリジナルのツール・ド・フランス関連グッズの販売もあり活況を呈していた。シネコンの巨大な一室は時間を迎えるとほぼ満席状態に。中にはお気に入りのチームジャージを着て席についた人や、なんと遠く石川県からやってきたというファンの姿も。
MCを務めるのはJ SPORTS実況解説でお馴染みの永田実さんと栗村修さん photo:Yufta Omata
広い映画館内は満席!たくさんの笑顔で満ちた photo:Yufta Omata
イベントの司会進行はJ SPORTSの中継でお馴染みの永田実さんと宇都宮ブリッツェン監督の栗村修さん。
2人の軽快なトークで会場は早速笑いの渦の中に。会場の雰囲気が温まったところでプリュドム氏が登場。会場はスタンディングオベーションで氏をお出迎え。氏も日本のファンの温かい歓迎に自然と笑顔がこぼれる。
ツール・ド・フランスの名場面がスクリーンに大映しに photo:Yufta Omataプリュドム氏からは最初にツール・ド・フランスの説明がなされた。世界で最も大きな自転車レースであること、今日では世界中で放送されていることなどツールの特徴をいくつか挙げた後の最後の言葉が印象的だ。氏曰く、「ツールとは、3500kmに渡って連なる笑顔なのです」
続いてスクリーンに現れた映像は近年のツール・ド・フランスの名シーンや、オフショットを交えたスペシャルムービー。ファンならあっと思い出す名場面が壮大な音楽とともに流れるミニフィルムだ。プリュドム氏の言葉通り、そこには沿道に鈴なりになったファンの笑顔も映し出された。
そして2011ツールのコースプレゼンテーション。プリュドム氏はまず「今日の日本は私が前回訪れた2年前の日本とは状況が違っています」と切り出し、「それはアラシロサン、ベップサンの完走であり、日本人がツールを走るようになったということです」そして「ぜひ両者に拍手を!」と会場に呼びかけ、ツールを完走した2人に敬意を表した。
氏曰く、2011ツールも「ツール・ド・フランスの哲学」を踏襲したものになるという。それはツールができた100年前から変わらぬ鉄則、すなわち最後までわからないサスペンスを生み出すということ。最後に山岳を持ってくることや、序盤の平坦ステージにも丘陵や石畳を配すなど変化をつけることは、すべてこの哲学のためだそう。
プリュドム氏による2011ツール。コースプレビュー
ツール・ド・フランスの魅力を身振りを交えながら話すプリュドム氏 photo:Yufta Omata「グランデパールとなるヴァンデ地方、パッサージュ・デュ・ゴアは引き潮の時にだけ現れる道。私が幼少の頃からヴァカンスでよく行っていた所でもあります。日本人の奥さんがいる私の友人から聞いたけれど、日本にもこれに似た「エンジェルロード」というのがあるらしいですね。
第1ステージは緩い登りゴールを設定しました。このような地形だと、現世界チャンピオンのトル・フースホフト(ノルウェー)向きだと思いますが、私は同時に、もちろんアラシロも優勝候補になると思います。
続いてブルターニュ地方へ入ります。みなさんご存知のようにベルナール・イノーの土地ですね。ミュール・ド・ブルターニュは険しい登り坂が待ち受けます。ここは地元のサイクリストが「ブルターニュ版ラルプデュエズ」と呼んでいるところです。
レースの一週目は平坦コースが多いですが、内容としては濃いものになるはずです。中央山塊では2つの難しいステージを経て、プロトンはピレネー山脈に入ります。ここはリュザルディダン、プラトー・ド・ヴェイユが難所。リュザルディダンは2003年、ツール100周年記念大会以来の登場です。
プラトー・ド・ヴェイユは過去4度ツールの舞台となりましたが、いずれもここで勝利した選手が総合優勝を遂げています。今年はどうでしょうか?
そしてツールは決戦の地アルプスへと向かいます。ここで今大会唯一の外国へ入ります。それはイタリアです。なぜイタリアかと言えば、来年はイタリア統一150周年ですので、それを祝う意味でルートに取り入れました。
そして今大会の「エタップ・レーヌ」(クイーンステージ)、第18ステージを迎えます。このコースを紹介する映像がありますのでご覧下さい。」
(ここで、ベルナール・イノー氏と2008年ジュニア世界チャンピオンのヨハン・ルボン(ブルターニュ・シュレ)が第18ステージのコースを走る映像が流される。コッピとボベという名選手の碑があるイゾワール峠を通過し、ガリヴィエ峠を上る2人。共に苦しそうに登る姿がステージの厳しさを物語る。)
ラルプデュエズも2011ツールのコースに組み込まれている photo:Yufta Omata「このガリビエ頂上ゴールは、ツール史上最高標高の頂上ゴールとなります。そしてもちろんラルプデュエズのステージでは激しいバトルを、そしてグルノーブルの個人タイムトライアルで勝負が決着します。グルノーブルには日本人のサッカー選手が何人かいましたが、なかなか活躍していないのは残念ですね。
そして最終日はTGVでパリ。日本の新幹線は近ごろ駅が延長したと聞きましたが、ツールのTGVは残念ながらパリより先には行きません(笑)最終ステージのスタート地点のクレトゥイユはかつてローラン・フィニョン、ー今年亡くなった偉大な選手ー、が所属したクラブのある土地であり、現在はピスト競技の世界チャンピオン、グレゴリー・ボジェ選手のいる町でもあります。」
大スクリーンをバックにトークショーは繰り広げられた photo:Yufta Omataツールを現地で観たい人へのプリュドム式アドバイス
「それでは2011ツール・ド・フランスを現地で観たい方へ、私からいくつかのアドバイスをしましょう。
まず夏だし泳ぎたい!という方は、序盤のヴァンデ、ブルターニュ地方のステージを観に行かれるといいでしょう。海の水は冷たいですが気持ちよく泳げると思います。
自分もフランスで自転車に乗りたい、そしてツールも観たい!という方には中央山塊(マシフ・サントラル)からピレネーのステージがおすすめです。
グルメな方、フランスの味を楽しみたい方はサンポール・トロワ・シャトーのステージ(第16ステージ)へどうぞ。ここはなんと言ってもトリュフの名産地として広く知られている所です。
そしてなんでもやってみたい!という欲張りな方はパリへ、我々の首都へ行ってください。いろいろなものがあるはずです。」
プリュドム氏への質問
ここでファンからプリュドム氏への質問タイムに。質問は「私たちの町を(ツールのスタート・ゴールに)通ってくれ!という要望にはどう応えているのですか?」
プリュドム氏「毎年250ほどの街や自治体がツールに立候補してくれますが、一回のツールでは30〜40ほどしか採用できません。もし全ての町を通るようにするのなら一年にツール・ド・フランスを3回開催しないといけませんね(笑)。
さらにすべての町を立候補地から選出するというわけでもありません。我々オーガナイザーがどうしてもここを通りたいと思って依頼することもあります。例えば2011年で言えば、ミュール・ド・ブルターニュがそれにあたります。とても小さな村ですが、自転車スポーツの観点からは非常に面白い場所でありましたから。
ツールで通る町の選択は、パリやリヨン、マルセイユといった大きな町と同時に小さな町を選ぶということも大切なことです。以前ピレネーの小村をスタート地点にしたことがありましたが、そのスタートの日に村長が『生涯最高の日だ』と涙していました。我々としてはそれ以上の報償はありませんね」
来期ヨーロッパで走る宮澤崇史、土井雪広が登場
ここで一度プリュドム氏は退出。続いて全日本チャンピオンの宮澤崇史、スキル・シマノでヨーロッパを舞台に走る土井雪広の2人がステージに登場。司会陣とトークショーを繰り広げた。
楽しいエピソード満載の宮澤・土井の両選手のトークショー photo:Yufta Omata
来期イタリアのファルネーゼヴィーニ・ネーリ・Mチポッリーニに移籍する宮澤選手の今後の抱負や、今期海外のオークラス(HC)のステージレースで好結果を出した土井選手による今シーズンの振り返りから始まったトークショーは、司会陣との掛け合いも合って絶好調。会場には笑いの声がこだました。
2位になったアジア大会の裏話や、オランダのイメージについて、ツイッターの利用頻度や毎朝アイスを食べている話など、様々な話題が飛び交う楽しげな時間となった。イタリアの選手は他国の選手よりも食事制限に厳しいなど、ヨーロッパプロの知られざる一面が紹介された。
フミがスクリーンに登場
小休止を挟んで、続くイベントはフミこと別府史之(レディオシャック)のビデオインタビュー。スクリーンに大写しにされたフミが、今年の世界選手権や、チーム内での評価、ライバル選手についてなどこのシーズンを振り返る。2011ツールへの展望を語りながら、春のクラシックで結果を出したいとフミは語った。
ヨーロッパを知る豪華ゲストによるトークショー
続いてはヨーロッパのレースシーンを知るゲストによるトークショー。フォトグラファーの砂田弓弦氏、10年以上ヨーロッパのチームで活躍する中野喜文マッサー、日本人として初めてツールを走った今中大介氏、自身のチームでツールを目指す浅田顥監督がステージ上へ。
プリュドム氏を交えた豪華ゲスト陣によるトークショー photo:Yufta Omata
トークショーの始まりに、フミと国際電話がつながり生の声が日本のファンに届いた。もう雪が降っているというフランスから時差を越えてゲスト陣とトークを繰り広げた。
別府史之(レディオシャック)と国際電話がつながった! photo:Yufta Omata
2度のツール完走の新城幸也登場!
フミとの電話が終わった後、会場に登場したのは新城幸也(Bboxブイグテレコム)。濃ゆいゲスト陣の中に加わりトークショーを盛り上げる。賑やかに会話が続くトークの中でユキヤが「パヴェは苦手」と話すと、プリュドム氏は「来年のツールはパヴェがない。ユキヤ向きのコースだよ」と応じる。
笑顔を交わすユキヤとプリュドム氏。「ぼくのチームをツールに招待してください」 photo:Yufta Omata
今シーズンのハイライトを語る新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Yufta Omata進行の栗村さんが「ではツール・ド・ユキヤですね!」と言うと、「ヴァンデ地方では名前の最後に「オ」がつくんだ。ベルノドー、シャルトー、アラシロとね!」とプリュドム氏。
トークショーは例に漏れず様々な話に広がる。ユキヤはカメラを向けると笑顔になるから写真にならない話、ユキヤの足をもんでみたいと言う中野氏、もっぱらダンディだと言われる浅田監督などなど、話題は尽きない。
ユキヤの特徴はタフなところにある、とみなが口を揃えると、僕の時代のツールは休息日が一日だけだったけど、ユキヤは一日もいらないくらいに見えるよ!と今中大介さんがその頑健さを讃えた。
プリュドム氏のユキヤへの評価の高さを伺わせる言葉があった。「かつてユキヤはツールにおいて『日本人だから』話題になったけれど、今は違う。今話題にのぼるのは彼が良い選手だからだ」
ユキヤは来シーズンの目標をこう語る。「今年は勝利がなかったので、J SPORTSの放送に映るビッグなレースで勝利したいです!」会場の誰もが彼を頼もしく感じた瞬間でもあった。
豪華プレゼント プリュドム氏に着せてもらうマイヨジョーヌも
イベントの最後を飾るのは豪華プレゼント。ツールグッズのいっぱい入った袋は抽選で20名に贈られた。目玉はゲスト陣のサイン入りツール4賞ジャージ。マイヨブランを新城選手が、マイヨベールを宮澤選手が、マイヨアポアは土井選手が、そしてマイヨジョーヌはプリュドム氏から直接着せてもらう形でプレゼントされた。
4賞ジャージでバンザイ! photo:Yufta Omata
ツールへの熱い思い ゲストたちの総括
そして最後にゲストたちから一言。監督や解説者、マッサーやフォトグラファー、そして選手と立場こそ違うものの、みな目指す所は同じ。中でも「10年後を見据えて日本が選手だけでなくスタッフも含めて進化することが大事」との中野マッサーの発言にはプリュドム氏も共感を寄せた。
そしてツールへの熱い思いは会場へ来たファンたちにとっても同様だろう。現場の人間がこれほどに熱い気持ちをもってロードレースに身を捧げていることを知り、きっと日本のロードレ—スシーンの発展をさらに信じたはずだ。
「J SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO」はツール・ド・フランスを通じて、日本のロードレースが確実に進歩していることをファンが実感できるイベントとなった。最後にプリュドム氏が一言。
「中野さんが言ったことは本当に的を得ていると思います。それは日本の自転車競技が発展していることを表してもいます。本日はこのような機会に招いて頂き、ありがとうございました。そしてこうしてプレゼンテーションできたことを嬉しく思っています。それではみなさん、よいお年を!」
text&photo:Yufta Omata
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スポーツ放送チャンネルJ SPORTSが日本のツール・ド・フランスファンに贈るイベント、「J SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO」が豊洲の映画館で開催された。来日したツールのディレクター、クリスティアン・プリュドム氏によるコースプレゼンテーションや日本のトップ選手たちのトークが映画館を埋め尽くしたファンを楽しませた。
J SPORTSのツール・ド・フランスイベントは今年で5回目。以前は「激走!朝までツール・ド・フランス」としてオールナイトでも開催され好評を博したイベントだ。現在は午後の3時間での開催だが、豪華ゲストの参加もあってツールの魅力を凝縮した濃い時間となった。
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このツール・ド・フランススペシャルトークin東京に合わせてツール・ド・フランスの総合ディレクターを務めるクリスチャン・プリュドム氏が来日。ツールの指揮をとって今年で5年目になる氏が一昨年以来1年ぶりに、日本のファンにツール・ド・フランスの魅力と次大会のコースを紹介するべく自ら日本へやってきた。
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イベントの司会進行はJ SPORTSの中継でお馴染みの永田実さんと宇都宮ブリッツェン監督の栗村修さん。
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続いてスクリーンに現れた映像は近年のツール・ド・フランスの名シーンや、オフショットを交えたスペシャルムービー。ファンならあっと思い出す名場面が壮大な音楽とともに流れるミニフィルムだ。プリュドム氏の言葉通り、そこには沿道に鈴なりになったファンの笑顔も映し出された。
そして2011ツールのコースプレゼンテーション。プリュドム氏はまず「今日の日本は私が前回訪れた2年前の日本とは状況が違っています」と切り出し、「それはアラシロサン、ベップサンの完走であり、日本人がツールを走るようになったということです」そして「ぜひ両者に拍手を!」と会場に呼びかけ、ツールを完走した2人に敬意を表した。
氏曰く、2011ツールも「ツール・ド・フランスの哲学」を踏襲したものになるという。それはツールができた100年前から変わらぬ鉄則、すなわち最後までわからないサスペンスを生み出すということ。最後に山岳を持ってくることや、序盤の平坦ステージにも丘陵や石畳を配すなど変化をつけることは、すべてこの哲学のためだそう。
プリュドム氏による2011ツール。コースプレビュー
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レースの一週目は平坦コースが多いですが、内容としては濃いものになるはずです。中央山塊では2つの難しいステージを経て、プロトンはピレネー山脈に入ります。ここはリュザルディダン、プラトー・ド・ヴェイユが難所。リュザルディダンは2003年、ツール100周年記念大会以来の登場です。
プラトー・ド・ヴェイユは過去4度ツールの舞台となりましたが、いずれもここで勝利した選手が総合優勝を遂げています。今年はどうでしょうか?
そしてツールは決戦の地アルプスへと向かいます。ここで今大会唯一の外国へ入ります。それはイタリアです。なぜイタリアかと言えば、来年はイタリア統一150周年ですので、それを祝う意味でルートに取り入れました。
そして今大会の「エタップ・レーヌ」(クイーンステージ)、第18ステージを迎えます。このコースを紹介する映像がありますのでご覧下さい。」
(ここで、ベルナール・イノー氏と2008年ジュニア世界チャンピオンのヨハン・ルボン(ブルターニュ・シュレ)が第18ステージのコースを走る映像が流される。コッピとボベという名選手の碑があるイゾワール峠を通過し、ガリヴィエ峠を上る2人。共に苦しそうに登る姿がステージの厳しさを物語る。)
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自分もフランスで自転車に乗りたい、そしてツールも観たい!という方には中央山塊(マシフ・サントラル)からピレネーのステージがおすすめです。
グルメな方、フランスの味を楽しみたい方はサンポール・トロワ・シャトーのステージ(第16ステージ)へどうぞ。ここはなんと言ってもトリュフの名産地として広く知られている所です。
そしてなんでもやってみたい!という欲張りな方はパリへ、我々の首都へ行ってください。いろいろなものがあるはずです。」
プリュドム氏への質問
ここでファンからプリュドム氏への質問タイムに。質問は「私たちの町を(ツールのスタート・ゴールに)通ってくれ!という要望にはどう応えているのですか?」
プリュドム氏「毎年250ほどの街や自治体がツールに立候補してくれますが、一回のツールでは30〜40ほどしか採用できません。もし全ての町を通るようにするのなら一年にツール・ド・フランスを3回開催しないといけませんね(笑)。
さらにすべての町を立候補地から選出するというわけでもありません。我々オーガナイザーがどうしてもここを通りたいと思って依頼することもあります。例えば2011年で言えば、ミュール・ド・ブルターニュがそれにあたります。とても小さな村ですが、自転車スポーツの観点からは非常に面白い場所でありましたから。
ツールで通る町の選択は、パリやリヨン、マルセイユといった大きな町と同時に小さな町を選ぶということも大切なことです。以前ピレネーの小村をスタート地点にしたことがありましたが、そのスタートの日に村長が『生涯最高の日だ』と涙していました。我々としてはそれ以上の報償はありませんね」
来期ヨーロッパで走る宮澤崇史、土井雪広が登場
ここで一度プリュドム氏は退出。続いて全日本チャンピオンの宮澤崇史、スキル・シマノでヨーロッパを舞台に走る土井雪広の2人がステージに登場。司会陣とトークショーを繰り広げた。
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来期イタリアのファルネーゼヴィーニ・ネーリ・Mチポッリーニに移籍する宮澤選手の今後の抱負や、今期海外のオークラス(HC)のステージレースで好結果を出した土井選手による今シーズンの振り返りから始まったトークショーは、司会陣との掛け合いも合って絶好調。会場には笑いの声がこだました。
2位になったアジア大会の裏話や、オランダのイメージについて、ツイッターの利用頻度や毎朝アイスを食べている話など、様々な話題が飛び交う楽しげな時間となった。イタリアの選手は他国の選手よりも食事制限に厳しいなど、ヨーロッパプロの知られざる一面が紹介された。
フミがスクリーンに登場
小休止を挟んで、続くイベントはフミこと別府史之(レディオシャック)のビデオインタビュー。スクリーンに大写しにされたフミが、今年の世界選手権や、チーム内での評価、ライバル選手についてなどこのシーズンを振り返る。2011ツールへの展望を語りながら、春のクラシックで結果を出したいとフミは語った。
ヨーロッパを知る豪華ゲストによるトークショー
続いてはヨーロッパのレースシーンを知るゲストによるトークショー。フォトグラファーの砂田弓弦氏、10年以上ヨーロッパのチームで活躍する中野喜文マッサー、日本人として初めてツールを走った今中大介氏、自身のチームでツールを目指す浅田顥監督がステージ上へ。
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トークショーの始まりに、フミと国際電話がつながり生の声が日本のファンに届いた。もう雪が降っているというフランスから時差を越えてゲスト陣とトークを繰り広げた。
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2度のツール完走の新城幸也登場!
フミとの電話が終わった後、会場に登場したのは新城幸也(Bboxブイグテレコム)。濃ゆいゲスト陣の中に加わりトークショーを盛り上げる。賑やかに会話が続くトークの中でユキヤが「パヴェは苦手」と話すと、プリュドム氏は「来年のツールはパヴェがない。ユキヤ向きのコースだよ」と応じる。
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トークショーは例に漏れず様々な話に広がる。ユキヤはカメラを向けると笑顔になるから写真にならない話、ユキヤの足をもんでみたいと言う中野氏、もっぱらダンディだと言われる浅田監督などなど、話題は尽きない。
ユキヤの特徴はタフなところにある、とみなが口を揃えると、僕の時代のツールは休息日が一日だけだったけど、ユキヤは一日もいらないくらいに見えるよ!と今中大介さんがその頑健さを讃えた。
プリュドム氏のユキヤへの評価の高さを伺わせる言葉があった。「かつてユキヤはツールにおいて『日本人だから』話題になったけれど、今は違う。今話題にのぼるのは彼が良い選手だからだ」
ユキヤは来シーズンの目標をこう語る。「今年は勝利がなかったので、J SPORTSの放送に映るビッグなレースで勝利したいです!」会場の誰もが彼を頼もしく感じた瞬間でもあった。
豪華プレゼント プリュドム氏に着せてもらうマイヨジョーヌも
イベントの最後を飾るのは豪華プレゼント。ツールグッズのいっぱい入った袋は抽選で20名に贈られた。目玉はゲスト陣のサイン入りツール4賞ジャージ。マイヨブランを新城選手が、マイヨベールを宮澤選手が、マイヨアポアは土井選手が、そしてマイヨジョーヌはプリュドム氏から直接着せてもらう形でプレゼントされた。
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ツールへの熱い思い ゲストたちの総括
そして最後にゲストたちから一言。監督や解説者、マッサーやフォトグラファー、そして選手と立場こそ違うものの、みな目指す所は同じ。中でも「10年後を見据えて日本が選手だけでなくスタッフも含めて進化することが大事」との中野マッサーの発言にはプリュドム氏も共感を寄せた。
そしてツールへの熱い思いは会場へ来たファンたちにとっても同様だろう。現場の人間がこれほどに熱い気持ちをもってロードレースに身を捧げていることを知り、きっと日本のロードレ—スシーンの発展をさらに信じたはずだ。
「J SPORTS Cycle*2010 ツール・ド・フランス スペシャルトーク in TOKYO」はツール・ド・フランスを通じて、日本のロードレースが確実に進歩していることをファンが実感できるイベントとなった。最後にプリュドム氏が一言。
「中野さんが言ったことは本当に的を得ていると思います。それは日本の自転車競技が発展していることを表してもいます。本日はこのような機会に招いて頂き、ありがとうございました。そしてこうしてプレゼンテーションできたことを嬉しく思っています。それではみなさん、よいお年を!」
text&photo:Yufta Omata
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