2009/04/10(金) - 18:56
「クラシックの女王」や「北の地獄」と呼ばれるパリ〜ルーベ。今年も伝統のパヴェ(石畳)レースの季節がやってきた。開催107回目を迎える今年も27のパヴェ区間は健在。バイクを抑え込みながら荒れたパヴェを突き進み、栄光のヴェロドロームで石塊トロフィーを受け取る勇者は果たして誰だ。
総延長52.9km、過酷なパヴェが連続
「クラシックの女王」という優雅な呼称がつけられているパリ〜ルーベ。しかし実際は世界でも類を見ない過酷さを誇る異質のパヴェ(石畳)レースだ。その歴史は古く、初回大会が開催されたのは、夏季オリンピックと同じ1896年。今年で実に開催107回目を迎える。
その他のワンディクラシックとは異なり、259kmのコースは平坦そのもの。上りは皆無に等しい。今年もパリ北部のコンピエーニュをスタートし、パヴェ区間を縫うようにして蛇行しながらベルギー国境近くのルーベにゴールする。
レース序盤は快適なアスファルト舗装路だが、98km地点からは立て続けにパヴェ区間が登場。ゴール地点ルーベに至るまで、合計で27のパヴェ区間が設定されている。その総延長は52.9kmに及び、レース後半部の3分の1がパヴェに覆われている計算になる。
パヴェ区間のほとんどが握りこぶし大の石が敷き詰められた「悪路」で、石と石の間の土は風雨によって浸食。鋭く角の立った石や段差が、パンクや落車を引き起こす。毎年少しずつ修復が加えられているが、中には規則性を失って波打ったものや、陥没した穴もある。
数あるワンディクラシックの中で、パリ〜ルーベほどマシントラブルや落車の多いレースは無いだろう。選手たちは振動吸収性や耐久性に重きを置いた「パリ〜ルーベ特製バイク」を使用し、並走バイクによるニュートラルサポートも通常より手厚い。さらに沿道の観客もホイールを片手に声援を送り、トラブルが発生すれば率先して飛び出す。それでもトラブルは避けられない。
ハンドルから伝わる強烈な振動をうまく抑え込み、安全なラインを読む高度な走行テクニックが要求される。いかにトラブル無くパヴェをこなしていくかが勝負の分かれ道。狭いパヴェ区間で一旦後方に下がってしまうと、その時点でゲームオーバーになる可能性もある。
そしてレースを左右する要因として忘れてはならないのが天候だ。晴れれば砂埃地獄、雨が降れば泥地獄。乾燥したパヴェでは凄まじい砂埃が巻き上がり、視界が遮られる「目つぶし」だけでなく呼吸もままならない状態になる。
雨が降れば巻き上げた泥が容赦なく選手とバイクを襲い、落車やメカトラを誘発。泥だらけの選手たちが泥だらけのパヴェに倒れ込む集団落車はまさに地獄絵図だ。中には口に入った泥により感染症にかかる選手も出てくる。曇りであっても路面に水が残っている場合は、粘性のある泥が駆動系のトラブルを巻き起こす。
天気予報によると、4月10日現在、レース当日の現地は最高16度、最低8度、天候は雨だ。
アランベールやカルフール・ダルブルが行く手を阻む
パヴェ区間は200mから3700mまで様々で、長さや路面の荒れ具合に応じて難易度が1〜5までランク付けされている。最高級5つ星の栄誉を与えられているのは163km地点のアランベール、210km地点のモンサン・ペベル、242km地点のカルフール・ダルブルの3つ。
中でも難所として知られるアランベールは、森を貫く一直線の悪路。2400mに渡って荒れたパヴェが延々と続く。ここでは数々の名選手が落車やトラブルにより勝機を失ってきた。荒れた本線よりも沿道の路面は比較的スムースだが、無情にもバリケードが選手たちの沿道侵入を許さない。集団は縦一列になること必至だ。
その後も絶え間なくパヴェの洗礼は続き、難易度4の3区間を越えた先に待つのが最後の難所カルフール・ダルブル。ここを越えればゴールまで17kmで、残りの3区間は難易度が低い。毎年のようにアタックがかかるカルフール・ダルブルには、今年も大勢の熱狂的な観客が詰めかけるだろう。
27のパヴェ区間を越えると、ようやくゴール地点ルーベのヴェロドローム(トラック競技場)に到着。最後はこのトラックを1周し、泥だらけの選手がスプリントでゴールに飛び込むのが通例だ。
登場するパヴェ27区間(セクターNo.・地点km・名称・長さ・難易度)
27 98km Troisvilles 2200m ☆☆☆
26 104km Viesly 1800m ☆☆☆
25 107km Quievy 3700m ☆☆☆☆
24 112km Saint-Python 1500m ☆☆
23 119km Vertain 2300m ☆☆☆
22 126km Capelle-sur-Ecaillon - Le Buat 1700m ☆☆☆
21 138km Verchain-Maugré - Quérénaing 1600m ☆☆☆
20 141km Querenaing - Maing 2500m ☆☆☆
19 144km Monchaux-sur-Ecaillon 1600m ☆☆
18 155km Haveluy 2500m ☆☆☆☆
17 163km Trouée d’Arenberg(アランベール) 2400m ☆☆☆☆☆
16 176km Hornaing - Wandignies 3700m ☆☆☆
15 184km Warlaing - Brillon 2400m ☆☆☆
14 187km Tilloy - Sars-et-Rosières 2400m ☆☆☆
13 194km Beuvry-la-Forêt à Orchies 1400m ☆☆☆
12 198km Orchies 1700m ☆☆☆
11 205km Auchy-lez-Orchies - Bersée 2600m ☆☆☆
10 210km Mons-en-Pévèle(モンサン・ペベル) 3000m ☆☆☆☆☆
9 216km Mérignies - Pont-à-Marcq 700m ☆☆
8 219km Pont-Thibaut 1400m ☆☆☆
7a 225km Templeuve l’Epinette 200m ☆
7b 225km Le Moulin de Vertain 500m ☆☆
6a 232km Cysoing - Bourghelles 1300m ☆☆☆☆
6b 234km Bourghelles - Wannehain 1100m ☆☆☆☆
5 239km Camphin-en-Pévèle 1800m ☆☆☆☆
4 242km Le Carrefour de l’Arbre(カルフール・ダルブル) 2100m ☆☆☆☆☆
3 244km Gruson 1100m ☆☆
2 251km Hem 1400m ☆
1 257km Roubaix 300m ☆
大会3勝目、2連覇を狙う王者ボーネン
ロードレースの常識が通用しないパリ〜ルーベでは「狙って勝つ」ことが何より難しい。もちろん「テクニックを備えた強い者が勝つ」のだが、そこに強運が加わって初めて勝利が手に入る。1992年と1993年のジルベール・デュクロラサル(コフィディス所属のエルヴェの父親)以来、誰も2連覇を達成していない。
過去4大会で2勝ずつ飾っているのはクイックステップとサクソバンク(元チームCSC)。今年もこの2チームを中心にレースは展開するだろう。
2005年に初優勝を果たし、昨年2度目の優勝に輝いたトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は、これまで7名しか成し遂げていないパリ〜ルーベ3勝目に挑む(最高は70年代にデフラミンクが記録した4勝)。ボーネンはメルクスやモゼール、そしてムセーウに肩を並べるか。
ツール・ド・フランスでポイント賞獲得経験もあるボーネンの持ち味は、何と言っても世界屈指のスプリント力。これまで2度そうしてきたように、少人数グループでのスプリント勝負に持ち込めれば勝算は高い。
今シーズンのボーネンはセミクラシックのクールネ〜ブリュッセル〜クールネで勝利したが、クラシック本戦では厳しいマークによりことごとく敗戦している。その恩恵を受け、1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンで2連覇を達成したステイン・デヴォルデル(ベルギー)は、伏兵としてボーネンを支える。
その類い稀な独走力を活かし、2006年大会を制したのはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)。今シーズンここまでカンチェラーラは体調不良や故障により出遅れ、直前のロンドとヘント〜ウェベルヘムではメカトラで勝機を失った。調子は上向きだが、100%の走りは期待できない。
そんなサクソバンクの誤算は、2007年大会優勝者スチュアート・オグレディ(オーストラリア)の欠場だろう。ミラノ〜サンレモでの落車により数カ所を骨折したオグレディは戦線を離脱している。ロンド6位のマッティ・ブレシェル(デンマーク)や、ヘント〜ウェベルヘム3位のマシュー・ゴス(オーストラリア)はどこまでカンチェラーラを援護できるだろうか。
モチヴェーション高くパヴェレースに挑むのはジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)だ。2005年大会2位に入ったヒンカピーは昨年9位。アメリカ人初のパリ〜ルーベ制覇はチームの目標でもある。直前のヘント〜ウェベルヘムを制したばかりのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)やマークス・ブルグハート(ドイツ)がアシストとして揃う。
クラシックのビッルタイトルを渇望しているレイフ・ホステ(ベルギー、サイレンス・ロット)は、ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー)やフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)らを率いての参戦。ホステは2006年大会で2位に入ったが、遮断機が下りた踏切を強行突破したとして失格処分を受けている。
「パヴェレースで活躍する唯一のスペイン人」と称されるフアンアントニオ・フレチャ(ラボバンク)は2005年大会3位、2006年大会4位、2007年大会2位と、表彰台の常連。しかし昨年はレース中盤のトラブルで後退し、12位に終わっている。常にパリ〜ルーベはシーズン最大の目標に掲げており、今年こそ表彰台の真ん中に立ちたい。
他にも昨年4位に入って周囲を驚かせたマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)や、シーズン序盤から好調でワンディクラシックでも上位入賞を繰り返しているハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)、ロンドとヘント〜ウェベルヘムで積極的な走りが光ったマヌエル・クインツィアート(イタリア、リクイガス)らが控える。2001年優勝者セルファイス・クナーフェン(オランダ)はミルラムを率いての出場だ。
そして「北のクラシック」転戦中の別府史之(スキル・シマノ)もスタートラインに立つ。2007年大会で集団を牽引する姿を見せたフミ。2年ぶりのパリ〜ルーベで再びその存在感を示せるか、日本からエールを送りたい。
総延長52.9km、過酷なパヴェが連続
「クラシックの女王」という優雅な呼称がつけられているパリ〜ルーベ。しかし実際は世界でも類を見ない過酷さを誇る異質のパヴェ(石畳)レースだ。その歴史は古く、初回大会が開催されたのは、夏季オリンピックと同じ1896年。今年で実に開催107回目を迎える。
その他のワンディクラシックとは異なり、259kmのコースは平坦そのもの。上りは皆無に等しい。今年もパリ北部のコンピエーニュをスタートし、パヴェ区間を縫うようにして蛇行しながらベルギー国境近くのルーベにゴールする。
レース序盤は快適なアスファルト舗装路だが、98km地点からは立て続けにパヴェ区間が登場。ゴール地点ルーベに至るまで、合計で27のパヴェ区間が設定されている。その総延長は52.9kmに及び、レース後半部の3分の1がパヴェに覆われている計算になる。
パヴェ区間のほとんどが握りこぶし大の石が敷き詰められた「悪路」で、石と石の間の土は風雨によって浸食。鋭く角の立った石や段差が、パンクや落車を引き起こす。毎年少しずつ修復が加えられているが、中には規則性を失って波打ったものや、陥没した穴もある。
数あるワンディクラシックの中で、パリ〜ルーベほどマシントラブルや落車の多いレースは無いだろう。選手たちは振動吸収性や耐久性に重きを置いた「パリ〜ルーベ特製バイク」を使用し、並走バイクによるニュートラルサポートも通常より手厚い。さらに沿道の観客もホイールを片手に声援を送り、トラブルが発生すれば率先して飛び出す。それでもトラブルは避けられない。
ハンドルから伝わる強烈な振動をうまく抑え込み、安全なラインを読む高度な走行テクニックが要求される。いかにトラブル無くパヴェをこなしていくかが勝負の分かれ道。狭いパヴェ区間で一旦後方に下がってしまうと、その時点でゲームオーバーになる可能性もある。
そしてレースを左右する要因として忘れてはならないのが天候だ。晴れれば砂埃地獄、雨が降れば泥地獄。乾燥したパヴェでは凄まじい砂埃が巻き上がり、視界が遮られる「目つぶし」だけでなく呼吸もままならない状態になる。
雨が降れば巻き上げた泥が容赦なく選手とバイクを襲い、落車やメカトラを誘発。泥だらけの選手たちが泥だらけのパヴェに倒れ込む集団落車はまさに地獄絵図だ。中には口に入った泥により感染症にかかる選手も出てくる。曇りであっても路面に水が残っている場合は、粘性のある泥が駆動系のトラブルを巻き起こす。
天気予報によると、4月10日現在、レース当日の現地は最高16度、最低8度、天候は雨だ。
アランベールやカルフール・ダルブルが行く手を阻む
パヴェ区間は200mから3700mまで様々で、長さや路面の荒れ具合に応じて難易度が1〜5までランク付けされている。最高級5つ星の栄誉を与えられているのは163km地点のアランベール、210km地点のモンサン・ペベル、242km地点のカルフール・ダルブルの3つ。
中でも難所として知られるアランベールは、森を貫く一直線の悪路。2400mに渡って荒れたパヴェが延々と続く。ここでは数々の名選手が落車やトラブルにより勝機を失ってきた。荒れた本線よりも沿道の路面は比較的スムースだが、無情にもバリケードが選手たちの沿道侵入を許さない。集団は縦一列になること必至だ。
その後も絶え間なくパヴェの洗礼は続き、難易度4の3区間を越えた先に待つのが最後の難所カルフール・ダルブル。ここを越えればゴールまで17kmで、残りの3区間は難易度が低い。毎年のようにアタックがかかるカルフール・ダルブルには、今年も大勢の熱狂的な観客が詰めかけるだろう。
27のパヴェ区間を越えると、ようやくゴール地点ルーベのヴェロドローム(トラック競技場)に到着。最後はこのトラックを1周し、泥だらけの選手がスプリントでゴールに飛び込むのが通例だ。
登場するパヴェ27区間(セクターNo.・地点km・名称・長さ・難易度)
27 98km Troisvilles 2200m ☆☆☆
26 104km Viesly 1800m ☆☆☆
25 107km Quievy 3700m ☆☆☆☆
24 112km Saint-Python 1500m ☆☆
23 119km Vertain 2300m ☆☆☆
22 126km Capelle-sur-Ecaillon - Le Buat 1700m ☆☆☆
21 138km Verchain-Maugré - Quérénaing 1600m ☆☆☆
20 141km Querenaing - Maing 2500m ☆☆☆
19 144km Monchaux-sur-Ecaillon 1600m ☆☆
18 155km Haveluy 2500m ☆☆☆☆
17 163km Trouée d’Arenberg(アランベール) 2400m ☆☆☆☆☆
16 176km Hornaing - Wandignies 3700m ☆☆☆
15 184km Warlaing - Brillon 2400m ☆☆☆
14 187km Tilloy - Sars-et-Rosières 2400m ☆☆☆
13 194km Beuvry-la-Forêt à Orchies 1400m ☆☆☆
12 198km Orchies 1700m ☆☆☆
11 205km Auchy-lez-Orchies - Bersée 2600m ☆☆☆
10 210km Mons-en-Pévèle(モンサン・ペベル) 3000m ☆☆☆☆☆
9 216km Mérignies - Pont-à-Marcq 700m ☆☆
8 219km Pont-Thibaut 1400m ☆☆☆
7a 225km Templeuve l’Epinette 200m ☆
7b 225km Le Moulin de Vertain 500m ☆☆
6a 232km Cysoing - Bourghelles 1300m ☆☆☆☆
6b 234km Bourghelles - Wannehain 1100m ☆☆☆☆
5 239km Camphin-en-Pévèle 1800m ☆☆☆☆
4 242km Le Carrefour de l’Arbre(カルフール・ダルブル) 2100m ☆☆☆☆☆
3 244km Gruson 1100m ☆☆
2 251km Hem 1400m ☆
1 257km Roubaix 300m ☆
大会3勝目、2連覇を狙う王者ボーネン
ロードレースの常識が通用しないパリ〜ルーベでは「狙って勝つ」ことが何より難しい。もちろん「テクニックを備えた強い者が勝つ」のだが、そこに強運が加わって初めて勝利が手に入る。1992年と1993年のジルベール・デュクロラサル(コフィディス所属のエルヴェの父親)以来、誰も2連覇を達成していない。
過去4大会で2勝ずつ飾っているのはクイックステップとサクソバンク(元チームCSC)。今年もこの2チームを中心にレースは展開するだろう。
2005年に初優勝を果たし、昨年2度目の優勝に輝いたトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は、これまで7名しか成し遂げていないパリ〜ルーベ3勝目に挑む(最高は70年代にデフラミンクが記録した4勝)。ボーネンはメルクスやモゼール、そしてムセーウに肩を並べるか。
ツール・ド・フランスでポイント賞獲得経験もあるボーネンの持ち味は、何と言っても世界屈指のスプリント力。これまで2度そうしてきたように、少人数グループでのスプリント勝負に持ち込めれば勝算は高い。
今シーズンのボーネンはセミクラシックのクールネ〜ブリュッセル〜クールネで勝利したが、クラシック本戦では厳しいマークによりことごとく敗戦している。その恩恵を受け、1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンで2連覇を達成したステイン・デヴォルデル(ベルギー)は、伏兵としてボーネンを支える。
その類い稀な独走力を活かし、2006年大会を制したのはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)。今シーズンここまでカンチェラーラは体調不良や故障により出遅れ、直前のロンドとヘント〜ウェベルヘムではメカトラで勝機を失った。調子は上向きだが、100%の走りは期待できない。
そんなサクソバンクの誤算は、2007年大会優勝者スチュアート・オグレディ(オーストラリア)の欠場だろう。ミラノ〜サンレモでの落車により数カ所を骨折したオグレディは戦線を離脱している。ロンド6位のマッティ・ブレシェル(デンマーク)や、ヘント〜ウェベルヘム3位のマシュー・ゴス(オーストラリア)はどこまでカンチェラーラを援護できるだろうか。
モチヴェーション高くパヴェレースに挑むのはジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)だ。2005年大会2位に入ったヒンカピーは昨年9位。アメリカ人初のパリ〜ルーベ制覇はチームの目標でもある。直前のヘント〜ウェベルヘムを制したばかりのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)やマークス・ブルグハート(ドイツ)がアシストとして揃う。
クラシックのビッルタイトルを渇望しているレイフ・ホステ(ベルギー、サイレンス・ロット)は、ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー)やフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)らを率いての参戦。ホステは2006年大会で2位に入ったが、遮断機が下りた踏切を強行突破したとして失格処分を受けている。
「パヴェレースで活躍する唯一のスペイン人」と称されるフアンアントニオ・フレチャ(ラボバンク)は2005年大会3位、2006年大会4位、2007年大会2位と、表彰台の常連。しかし昨年はレース中盤のトラブルで後退し、12位に終わっている。常にパリ〜ルーベはシーズン最大の目標に掲げており、今年こそ表彰台の真ん中に立ちたい。
他にも昨年4位に入って周囲を驚かせたマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)や、シーズン序盤から好調でワンディクラシックでも上位入賞を繰り返しているハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)、ロンドとヘント〜ウェベルヘムで積極的な走りが光ったマヌエル・クインツィアート(イタリア、リクイガス)らが控える。2001年優勝者セルファイス・クナーフェン(オランダ)はミルラムを率いての出場だ。
そして「北のクラシック」転戦中の別府史之(スキル・シマノ)もスタートラインに立つ。2007年大会で集団を牽引する姿を見せたフミ。2年ぶりのパリ〜ルーベで再びその存在感を示せるか、日本からエールを送りたい。
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