2010/10/16(土) - 06:58
大雨の影響による冠水地区を回避するようにコースがショートカットされ、137.8kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第5ステージ。ゴールスプリントを制したのは昨日の覇者、ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)だった。また、2つ目のスプリントポイントを1位通過した土井雪広(スキル・シマノ)がトップから27秒差の総合5位に浮上した。
相変わらずスコールのような雨が降ったり止んだりのハイナン島。第5ステージの朝も大きな雨音がホテルを包み込んでいた。今日、バイクに乗るカメラマンは気の毒だ……と思ったが、乗る予定だったオーストラリア人のゴスは、スタート地点でドライバーと巡り会えず、バイクに乗ることもできなかったのだとか。
第5ステージは、スプリントポイントが3ヶ所あるフラットなステージで、昨ステージに引き続き、洪水被害の大きかった文昌を避けて、コースは153.8kmから137.8kmに短縮されている。
スタート時間はいつもと同じ10:00。雨は降っていなかったが、今にも降り出しそうな雲行きに選手たちは雨装備をしてスタートした。
レースはアタックが頻繁に掛かるものの終始アスタナとカザフスタン・ナショナルチームがコントロールする。そして1つ目、3つ目のスプリントポイントをリーダージャージを着るヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が首位通過し、今日もボーナスタイムを8秒稼ぐ。
総合2位のジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット)も前方で通過するがイグリンスキーには及ばす、両者の差は今日で5秒ほど広がり計20秒差。イグリンスキーが総合優勝を確実なものとしつつある。
最後のスプリントポイントを過ぎると、集団からロバート・レツシュク(ドイツ、ディフェルダンジュ)が飛び出し、1分〜2分差で逃げるも120km地点で集団に吸収される。その後、集団はペースを速め、残り7kmを過ぎるとさらにペースアップ。集団は1列棒状に長く伸びる。
そして、今日もゴールはスプリント勝負にもちこされた。左右に分かれる形で2方向から勢いよくゴールラインをめざす選手たち。真っ先に両手を挙げたのは、繰り上がりでグリーンジャージを着るケニー・ファンヒュメルだった。昨日に引き続くステージ2連勝を挙げた。
レースが大きく動いたのは、残り3km地点にあるレインボーブリッジのような大きな吊り橋だった。ここでゴール前の加速だけでなく強い横風と落車により集団が細かく分かれてしまう。
惜しくも愛三工業レーシングチームは他選手の落車により後方の集団に取り残され、結果的にゴールスプリントには加われなかった。田中光輝監督は「今日は残念でしたけど、狙いはあくまでもステージ優勝。チームの雰囲気はいいですよ」と話す。
ファンヒュメルを前方まで連れて行きたいスキル・シマノも、集団の分裂でチームはバラバラになり、彼の近くには土井しか残っていなかった。
しかし、土井は1人で残り1kmの地点までファンヒュメルを牽引。その後ファンヒュメルはイヴァン・コバレフ(ロシア・ナショナルチーム)の後ろにつき、彼を追い越してゴールした。最後の展開は昨日とそっくりだ。
ファンヒュメルは「もう一度勝てて嬉しい。今日はユキ(土井雪広)が本当に強かった。自分のステージ優勝を支えてくれただけでなく、自身の総合順位を5位まで上げたからね!」とコメント。記者会見でも土井の健闘をアピールしていた。
今大会アグレッシブルなアタックが目立つスキル・シマノ。土井もこれまでにも何度かアタックをかけているが、今日は2つ目のスプリントポイント手前で単独でのアタックに成功する。
そしてスプリントポイントを首位通過しボーナスタイム3秒を獲得。総合順位を13ランクあげて、4位と同タイムの5位に浮上した。トップとは27秒差ながら、2位とは7秒、3位とは4秒とその差は小さく、表彰台も期待できる。明日からの走りが楽しみだ。
大雨の影響により、路面はとても滑りやすく危険だったと選手は話す。レース後も時折台風のような雨風がハイナン島の主要都市・海口を襲う。このまま海に沈んでしまうのではないか? と思うような雨……天候の回復を願うばかりだ。
ツアー・オブ・ハイナン2010第5ステージ
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 3h26'45"
2位 イヴァン・コバレフ(ロシア、ロシア・ナショナルチーム)
3位 ジョナサン・カントウェル(オーストラリア、フライVオーストラリア)
25位 土井雪広(スキル・シマノ)
35位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +12"
56位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
63位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
64位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
105位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +49"
個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) 15h31'58"
2位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルベット) +20"
3位 キエル・レジネン(アメリカ、ジェリーベリー・サイクリング) +23"
5位 土井雪広(スキル・シマノ) +27"
15位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +36"
19位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +42"
31位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +48"
54位 福田真平(愛三工業レーシングチーム) +3'02"
80位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +3'59"
アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)
text&photo:Sonoko Tanaka
相変わらずスコールのような雨が降ったり止んだりのハイナン島。第5ステージの朝も大きな雨音がホテルを包み込んでいた。今日、バイクに乗るカメラマンは気の毒だ……と思ったが、乗る予定だったオーストラリア人のゴスは、スタート地点でドライバーと巡り会えず、バイクに乗ることもできなかったのだとか。
第5ステージは、スプリントポイントが3ヶ所あるフラットなステージで、昨ステージに引き続き、洪水被害の大きかった文昌を避けて、コースは153.8kmから137.8kmに短縮されている。
スタート時間はいつもと同じ10:00。雨は降っていなかったが、今にも降り出しそうな雲行きに選手たちは雨装備をしてスタートした。
レースはアタックが頻繁に掛かるものの終始アスタナとカザフスタン・ナショナルチームがコントロールする。そして1つ目、3つ目のスプリントポイントをリーダージャージを着るヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が首位通過し、今日もボーナスタイムを8秒稼ぐ。
総合2位のジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット)も前方で通過するがイグリンスキーには及ばす、両者の差は今日で5秒ほど広がり計20秒差。イグリンスキーが総合優勝を確実なものとしつつある。
最後のスプリントポイントを過ぎると、集団からロバート・レツシュク(ドイツ、ディフェルダンジュ)が飛び出し、1分〜2分差で逃げるも120km地点で集団に吸収される。その後、集団はペースを速め、残り7kmを過ぎるとさらにペースアップ。集団は1列棒状に長く伸びる。
そして、今日もゴールはスプリント勝負にもちこされた。左右に分かれる形で2方向から勢いよくゴールラインをめざす選手たち。真っ先に両手を挙げたのは、繰り上がりでグリーンジャージを着るケニー・ファンヒュメルだった。昨日に引き続くステージ2連勝を挙げた。
レースが大きく動いたのは、残り3km地点にあるレインボーブリッジのような大きな吊り橋だった。ここでゴール前の加速だけでなく強い横風と落車により集団が細かく分かれてしまう。
惜しくも愛三工業レーシングチームは他選手の落車により後方の集団に取り残され、結果的にゴールスプリントには加われなかった。田中光輝監督は「今日は残念でしたけど、狙いはあくまでもステージ優勝。チームの雰囲気はいいですよ」と話す。
ファンヒュメルを前方まで連れて行きたいスキル・シマノも、集団の分裂でチームはバラバラになり、彼の近くには土井しか残っていなかった。
しかし、土井は1人で残り1kmの地点までファンヒュメルを牽引。その後ファンヒュメルはイヴァン・コバレフ(ロシア・ナショナルチーム)の後ろにつき、彼を追い越してゴールした。最後の展開は昨日とそっくりだ。
ファンヒュメルは「もう一度勝てて嬉しい。今日はユキ(土井雪広)が本当に強かった。自分のステージ優勝を支えてくれただけでなく、自身の総合順位を5位まで上げたからね!」とコメント。記者会見でも土井の健闘をアピールしていた。
今大会アグレッシブルなアタックが目立つスキル・シマノ。土井もこれまでにも何度かアタックをかけているが、今日は2つ目のスプリントポイント手前で単独でのアタックに成功する。
そしてスプリントポイントを首位通過しボーナスタイム3秒を獲得。総合順位を13ランクあげて、4位と同タイムの5位に浮上した。トップとは27秒差ながら、2位とは7秒、3位とは4秒とその差は小さく、表彰台も期待できる。明日からの走りが楽しみだ。
大雨の影響により、路面はとても滑りやすく危険だったと選手は話す。レース後も時折台風のような雨風がハイナン島の主要都市・海口を襲う。このまま海に沈んでしまうのではないか? と思うような雨……天候の回復を願うばかりだ。
ツアー・オブ・ハイナン2010第5ステージ
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 3h26'45"
2位 イヴァン・コバレフ(ロシア、ロシア・ナショナルチーム)
3位 ジョナサン・カントウェル(オーストラリア、フライVオーストラリア)
25位 土井雪広(スキル・シマノ)
35位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +12"
56位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
63位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
64位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
105位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +49"
個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) 15h31'58"
2位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルベット) +20"
3位 キエル・レジネン(アメリカ、ジェリーベリー・サイクリング) +23"
5位 土井雪広(スキル・シマノ) +27"
15位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +36"
19位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +42"
31位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +48"
54位 福田真平(愛三工業レーシングチーム) +3'02"
80位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +3'59"
アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)
text&photo:Sonoko Tanaka
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