2010/09/11(土) - 14:21
2010年9月10日、カナダで第1回グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(UCIプロツアー)が開催され、ラスト1.2kmで集団から抜け出したトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)が優勝。初代チャンピオンに輝いた。チームメイトの新城幸也は29位だった。
ロードレースの国際化を推し進めるUCI(国際自転車競技連合)は、オーストラリアのツアー・ダウンアンダーに続いて、プロツアーレースを北米に持ち込んだ。その第1弾が、9月10日にカナダのケベックで開催されたグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)だ。
出場メンバーはリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)という錚々たる顔ぶれ。
Bboxブイグテレコムからはフランスチャンピオンのヴォクレールの他、新城幸也も参戦。ほとんどの選手が2日後に近郊のモントリオール(仏名モンレアル)で開催されるグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)にも出場する。
コースは世界遺産に指定された歴史地区とバトルフィールド・パークに設置された12.6kmの周回。歴史地区には勾配のある上りが2カ所設定されており、1周の標高差は186m。ここを15周するため、コース全長は189km、レースの獲得標高差は2790mに達する。ゴール前は上り基調で、ラスト1.2kmから標高差44mを駆け上がる。
レースは1周目からヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)を含む7名の先頭グループが形成され、これに遅れてヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)やユルゲン・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)ら6名が合流。この13名は最大4分のリードを得て逃げ続けた。
先頭グループのフグルサングが毎周山岳ポイントを獲得して山岳賞トップに。メイン集団はエウスカルテルとチームスカイ、ガーミン・トランジションズが牽引し、先頭グループとのタイム差をコントロールした。
周回を重ねる毎に人数を減らす先頭グループ。ゴールまで3周を残した13周目でリードは1分。ちょうどその頃、メイン集団では落車が発生し、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が巻き込まれてしまう。
先頭ではフグルサングが諦めずに逃げ続けたが、メイン集団の追撃を振り切ることが出来ない。するとゴールまで16kmを残した「コート・ド・ラ・モンターニュ」の上りで本命選手たちが動いた。
長さ375m・平均勾配10%の上りで地元カナダのライダー・ヘジダル(ガーミン・トランジションズ)がダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)と一緒に飛び出し、これにマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)とファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が合流。5名の先頭グループが形成された。
最大20秒のリードを得て、ハイスピードで最終周回を駆け抜けた先頭5名。クネゴとヘジダルが懸命に上りでペースを上げ、逃げ切りを目指す。しかしレディオシャックやチームスカイ、エウスカルテル、カチューシャが牽引するメイン集団がハイスピードで迫った。
結局クネゴとヘジダルらはゴール1.5km手前の上りで吸収。20名ほどに縮小した集団によるスプリント勝負が予想されたが、歴史地区の曲がりくねったコースが集団の隊列を乱す。その隙を突いて、フランスチャンピオンのヴォクレールが飛び出した。
先頭でラスト1kmのアーチを通過し、ダンシングで緩斜面を駆け上がるヴォクレール。メイン集団は牽制の影響でペースが上がらず、ヴォクレールのリードが広がって行く。最終ストレートに入ってボアッソンらがスプリントを開始したが時すでに遅し。何度も後方を確認したヴォクレールが両手を広げてゴールに飛び込んだ。
6月のフランス選手権ロードレースで優勝し、7月のツール・ド・フランスでステージ優勝を飾ったヴォクレール。フランス語を公用語とするケベックで、フランスチャンピオンが栄冠に輝いた。
「トップ10に絡みたいと思っていた。まさか勝利するとは思っていなかったよ。ヘジダルやヘーシンクのように、自分よりもっと強い選手が大勢いたけど、ロードレースは強いだけじゃ勝てない。タイミングが大事なんだ」。
ヴォクレールはこれが今シーズン3勝目。Bboxブイグテレコムは今シーズン18勝目。プロコンチネンタルチームながら、並みいるプロツアーチームを打ち負かした意味は大きい。プロツアーライセンス獲得に向けて、UCIに好印象を与えたはずだ。
この日は172名がスタートし、完走者は110名。常にメイン集団内でレースを展開したユキヤは、最終周回の上りで脱落しながらも、29秒遅れの後続集団の先頭でゴールしている。ユキヤは2日後のGPモンレアルにも出場する予定だ。
レース展開はレース公式サイトとストリーミング映像、選手コメントはチーム公式サイトより。
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2010結果
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) 4h35'27"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +01"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
5位 スタフ・シェイリンクス(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
7位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)
8位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームHTC・コロンビア)
9位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)
10位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
29位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +29"
text:Kei Tsuji
photo:protourquebecmontreal.com
ロードレースの国際化を推し進めるUCI(国際自転車競技連合)は、オーストラリアのツアー・ダウンアンダーに続いて、プロツアーレースを北米に持ち込んだ。その第1弾が、9月10日にカナダのケベックで開催されたグランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)だ。
出場メンバーはリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)という錚々たる顔ぶれ。
Bboxブイグテレコムからはフランスチャンピオンのヴォクレールの他、新城幸也も参戦。ほとんどの選手が2日後に近郊のモントリオール(仏名モンレアル)で開催されるグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)にも出場する。
コースは世界遺産に指定された歴史地区とバトルフィールド・パークに設置された12.6kmの周回。歴史地区には勾配のある上りが2カ所設定されており、1周の標高差は186m。ここを15周するため、コース全長は189km、レースの獲得標高差は2790mに達する。ゴール前は上り基調で、ラスト1.2kmから標高差44mを駆け上がる。
レースは1周目からヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)を含む7名の先頭グループが形成され、これに遅れてヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)やユルゲン・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)、ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)ら6名が合流。この13名は最大4分のリードを得て逃げ続けた。
先頭グループのフグルサングが毎周山岳ポイントを獲得して山岳賞トップに。メイン集団はエウスカルテルとチームスカイ、ガーミン・トランジションズが牽引し、先頭グループとのタイム差をコントロールした。
周回を重ねる毎に人数を減らす先頭グループ。ゴールまで3周を残した13周目でリードは1分。ちょうどその頃、メイン集団では落車が発生し、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシングチーム)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)が巻き込まれてしまう。
先頭ではフグルサングが諦めずに逃げ続けたが、メイン集団の追撃を振り切ることが出来ない。するとゴールまで16kmを残した「コート・ド・ラ・モンターニュ」の上りで本命選手たちが動いた。
長さ375m・平均勾配10%の上りで地元カナダのライダー・ヘジダル(ガーミン・トランジションズ)がダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)と一緒に飛び出し、これにマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)とファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が合流。5名の先頭グループが形成された。
最大20秒のリードを得て、ハイスピードで最終周回を駆け抜けた先頭5名。クネゴとヘジダルが懸命に上りでペースを上げ、逃げ切りを目指す。しかしレディオシャックやチームスカイ、エウスカルテル、カチューシャが牽引するメイン集団がハイスピードで迫った。
結局クネゴとヘジダルらはゴール1.5km手前の上りで吸収。20名ほどに縮小した集団によるスプリント勝負が予想されたが、歴史地区の曲がりくねったコースが集団の隊列を乱す。その隙を突いて、フランスチャンピオンのヴォクレールが飛び出した。
先頭でラスト1kmのアーチを通過し、ダンシングで緩斜面を駆け上がるヴォクレール。メイン集団は牽制の影響でペースが上がらず、ヴォクレールのリードが広がって行く。最終ストレートに入ってボアッソンらがスプリントを開始したが時すでに遅し。何度も後方を確認したヴォクレールが両手を広げてゴールに飛び込んだ。
6月のフランス選手権ロードレースで優勝し、7月のツール・ド・フランスでステージ優勝を飾ったヴォクレール。フランス語を公用語とするケベックで、フランスチャンピオンが栄冠に輝いた。
「トップ10に絡みたいと思っていた。まさか勝利するとは思っていなかったよ。ヘジダルやヘーシンクのように、自分よりもっと強い選手が大勢いたけど、ロードレースは強いだけじゃ勝てない。タイミングが大事なんだ」。
ヴォクレールはこれが今シーズン3勝目。Bboxブイグテレコムは今シーズン18勝目。プロコンチネンタルチームながら、並みいるプロツアーチームを打ち負かした意味は大きい。プロツアーライセンス獲得に向けて、UCIに好印象を与えたはずだ。
この日は172名がスタートし、完走者は110名。常にメイン集団内でレースを展開したユキヤは、最終周回の上りで脱落しながらも、29秒遅れの後続集団の先頭でゴールしている。ユキヤは2日後のGPモンレアルにも出場する予定だ。
レース展開はレース公式サイトとストリーミング映像、選手コメントはチーム公式サイトより。
グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2010結果
1位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム) 4h35'27"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +01"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
5位 スタフ・シェイリンクス(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
7位 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、チームミルラム)
8位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームHTC・コロンビア)
9位 フランチェスコ・レーダ(イタリア、クイックステップ)
10位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)
29位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +29"
text:Kei Tsuji
photo:protourquebecmontreal.com
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