2010/08/08(日) - 07:19
2010年8月7日、ツール・ド・ポローニュ(UCIプロツアー)を締めくくる第7ステージが比較的難易度の低い163.9kmで行なわれ、アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)がステージ2勝目をマーク。ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)が総合優勝に輝いた。
最終第7ステージはポーランド南部のノビ・タルクからクラクフまでの163.9km。前半に2つのカテゴリー山岳が設定されているものの、後半にかけて難易度が下がり、ゴール前には平坦な周回コースが設定されている。ゴール地点クラクフは世界遺産に指定された歴史地区を有するポーランド第3の都市だ。
リーダージャージを着てスタートしたのは第5ステージの優勝者マーティン。しかしその総合首位の座は決して安泰とは言えず、8秒遅れでグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)、10秒遅れでバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)が続く。ボーナスタイム如何で逆転は充分に起こり得た。
レースはディフェンディングチャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)やシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)らが前半からアタックを仕掛けたが成功せず。2級山岳の上りで3名が飛び出すとようやく集団は落ち着いた。
逃げを試みたのは3名。アンヘル・マドラソルイス(スペイン、ケースデパーニュ)、ロイ・カーヴァス(オランダ、スキル・シマノ)、ヤチェック・モライコ(ポーランド、ポーランドBGZ)は最大5分のリードを築き上げた。
しかしチームHTC・コロンビアやチームスカイを始めとするスプリンターチームの集団牽引によって、レース後半にかけてエスケープトリオのリードを縮まって行く。
タイム差が1分まで縮まるとマドラソルイスが単独アタックを成功させ、他の2人を置き去りにして独走。懸命の独走を見せたマドラソルイスだったが、ラスト4km地点でメイン集団に飲み込まれた。
スプリンターチーム率いる大集団は雨によって濡れた周回コースをハイスピードで駆け抜け、チームHTC・コロンビアが主導権を握ったまま最終ストレートへ。最後は横一線のスプリント勝負が繰り広げられ、道路の真ん中を貫くように飛び出したグライペルが優勝。2位には第3ステージの優勝者ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)が入った。
グライペルは第2ステージに次ぐステージ優勝で、シーズン通算16勝目。もちろんこれは世界トップの勝利数だ。
「濡れた路面で後輪がスリップしがちだったので、最終ストレートでのスプリント開始を出来る限り遅らせた。今日のゴールは去年と同じレイアウトだったので、その経験が役に立ったと思う。チームメイトの働きも素晴らしかった。彼らのおかげで勝てるポジションからスプリントすることが出来たんだ。先日姉が娘を出産したので、この勝利は彼女らに捧げたいと思う(チーム公式サイトより)」
グライペルは今月末に開幕するグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャへの出場が予定されている。ドイツ代表に選ばれれば、オーストラリアで開催されるロード世界選手権でエーススプリンターを務めることになるだろう。
そしてこの日、集団内でゴールしたマーティンが8秒差を守り切って総合優勝に輝いた。プロツアーレースでの総合優勝はもちろんキャリア初。アイルランドの新星として、その名前はしっかりと覚えておきたい。
アシストとしてボトル運びに従事した別府史之(レディオシャック)はステージ20位でフィニッシュ。最終的に総合47位でレースを終えた。レディオシャックはティアゴ・マシャド(ポルトガル)を総合10位に送り込むことに成功している。
レース内容はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ポローニュ2010第7ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)3h51'58"
2位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
3位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)
4位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
5位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)
6位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
10位 ダヴィド・ヴィトリア(スイス、フットオン・セルヴェット)
23位 別府史之(日本、レディオシャック)
個人総合成績
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)30h38'48"
2位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) +08"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)+10"
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームHTC・コロンビア)+20"
5位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)+21"
6位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)+26"
7位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、ポーランドBGZ)+30"
8位 ディエゴ・ウリッジ(イタリア、ランプレ)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)+33"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)+41"
ポイント賞
アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
山岳賞
ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)
スプリント賞
ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
最終第7ステージはポーランド南部のノビ・タルクからクラクフまでの163.9km。前半に2つのカテゴリー山岳が設定されているものの、後半にかけて難易度が下がり、ゴール前には平坦な周回コースが設定されている。ゴール地点クラクフは世界遺産に指定された歴史地区を有するポーランド第3の都市だ。
リーダージャージを着てスタートしたのは第5ステージの優勝者マーティン。しかしその総合首位の座は決して安泰とは言えず、8秒遅れでグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ)、10秒遅れでバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)が続く。ボーナスタイム如何で逆転は充分に起こり得た。
レースはディフェンディングチャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)やシルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)らが前半からアタックを仕掛けたが成功せず。2級山岳の上りで3名が飛び出すとようやく集団は落ち着いた。
逃げを試みたのは3名。アンヘル・マドラソルイス(スペイン、ケースデパーニュ)、ロイ・カーヴァス(オランダ、スキル・シマノ)、ヤチェック・モライコ(ポーランド、ポーランドBGZ)は最大5分のリードを築き上げた。
しかしチームHTC・コロンビアやチームスカイを始めとするスプリンターチームの集団牽引によって、レース後半にかけてエスケープトリオのリードを縮まって行く。
タイム差が1分まで縮まるとマドラソルイスが単独アタックを成功させ、他の2人を置き去りにして独走。懸命の独走を見せたマドラソルイスだったが、ラスト4km地点でメイン集団に飲み込まれた。
スプリンターチーム率いる大集団は雨によって濡れた周回コースをハイスピードで駆け抜け、チームHTC・コロンビアが主導権を握ったまま最終ストレートへ。最後は横一線のスプリント勝負が繰り広げられ、道路の真ん中を貫くように飛び出したグライペルが優勝。2位には第3ステージの優勝者ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)が入った。
グライペルは第2ステージに次ぐステージ優勝で、シーズン通算16勝目。もちろんこれは世界トップの勝利数だ。
「濡れた路面で後輪がスリップしがちだったので、最終ストレートでのスプリント開始を出来る限り遅らせた。今日のゴールは去年と同じレイアウトだったので、その経験が役に立ったと思う。チームメイトの働きも素晴らしかった。彼らのおかげで勝てるポジションからスプリントすることが出来たんだ。先日姉が娘を出産したので、この勝利は彼女らに捧げたいと思う(チーム公式サイトより)」
グライペルは今月末に開幕するグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャへの出場が予定されている。ドイツ代表に選ばれれば、オーストラリアで開催されるロード世界選手権でエーススプリンターを務めることになるだろう。
そしてこの日、集団内でゴールしたマーティンが8秒差を守り切って総合優勝に輝いた。プロツアーレースでの総合優勝はもちろんキャリア初。アイルランドの新星として、その名前はしっかりと覚えておきたい。
アシストとしてボトル運びに従事した別府史之(レディオシャック)はステージ20位でフィニッシュ。最終的に総合47位でレースを終えた。レディオシャックはティアゴ・マシャド(ポルトガル)を総合10位に送り込むことに成功している。
レース内容はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ポローニュ2010第7ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)3h51'58"
2位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
3位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)
4位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
5位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)
6位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
10位 ダヴィド・ヴィトリア(スイス、フットオン・セルヴェット)
23位 別府史之(日本、レディオシャック)
個人総合成績
1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)30h38'48"
2位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ) +08"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)+10"
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームHTC・コロンビア)+20"
5位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)+21"
6位 シルヴェスタ・シュミット(ポーランド、リクイガス)+26"
7位 マレック・ルトキェビッチ(ポーランド、ポーランドBGZ)+30"
8位 ディエゴ・ウリッジ(イタリア、ランプレ)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)+33"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)+41"
ポイント賞
アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
山岳賞
ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)
スプリント賞
ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ)
text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla
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