大会史上初となるグラナダで締めくくられた第81回ブエルタ・ア・エスパーニャ。第21ステージは3名で抜け出したトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)がグランツールで初の区間優勝を飾り、エンリク・マス(モビスター)が母国スペインに12年ぶりのマイヨロホをもたらした。



9月13日(日)第21ステージ
カルフール・グラナダ〜グラナダ 112km(平坦)


現役最後のグランツールとなったマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)ら5名 photo:CorVos

第21ステージ グラナダ〜グラナダ image:A.S.O.
3週間にわたり繰り広げられた第81回ブエルタ・ア・エスパーニャは、同日に開催されたF1のスペインGPを避けるように、首都マドリードではなくグラナダでフィナーレを迎えた。コースはグラナダ市内とその周辺を巡り、ラストはアルハンブラ宮殿脇を通る周回コースへ。最後の3周は1周9.8kmで、全長2.1km、平均勾配6.6%の登りがアクセントとなった。今年のツール・ド・フランス最終ステージに登場したモンマルトルの丘を彷彿とさせるレイアウトだ。

まず選手たちはバイクを上げ、前輪を回しながら今大会が現役最後のグランツールとなった選手たちの花道を作った。その下を通ったのは、今大会で集団牽引に尽力したステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)や、第10ステージで区間2位に入ったマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)といった5名の選手たち。その後4賞ジャージの着用者を筆頭に、第21ステージはゆっくりとスタートし、まずは3週間の激闘を称え合うようにフォトセッションの時間が設けられた。

マスの力だけでなく、チームとしての強さも見せたモビスター photo:A.S.O.

区間7勝という大成功のブエルタとなったヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O.

タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が第8ステージで落車リタイアし、引き継いだマイヨロホを最後まで守りきったエンリク・マス(スペイン、モビスター)は、その赤色に合わせた特別ジャージを纏うチームメイトたちと横並びになる。その後、区間2勝を挙げると共にマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)は、区間5勝したマシュー・ブレナン(イギリス)らと共に笑顔を見せた。そしてマスと総合争いを繰り広げた総合2位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、総合3位のフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)と3名でポーズを取るシーンもありながら、142名の選手たちがグラナダ市街地へと入っていった。

マイヨロホを守り抜いたエンリク・マス(スペイン、モビスター)と、それを争ったログリッチとガル photo:CorVos

その後は赤と白色が眩しいモビスターが集団を先導し、アルハンブラ宮殿を眺めながら最初のフィニッシュ地点(残り41.8km)を通過。徐々に集団のスピードが上がっていき、最初の登坂でもモビスターがペースを作る。そして2度目のフィニッシュラインを通過し、残り3周目へ入るとグルパマFDJユナイテッドが先頭に立ち、2度目の登りでバスティアン・トロンション(フランス、グルパマFDJユナイテッド)がアタックした。

モビスターを先頭にグラナダ市街地の周回コースに突入した photo:A.S.O.

勝負に絡むことはできなかったマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

第10ステージ勝者の加速にはトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)やマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)が素早く反応。9名の先頭集団が形成されたものの、ウノエックス・モビリティによる組織的な動きがこれを引き戻し、フィニッシュ地点を通過して早くも最後の登坂へ。パウ・ミケル(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)の牽引からは、チームメイトで最後のグランツールを走るペリョ・ビルバオ(スペイン)が飛び出した。

しかし後方からアクセル・ローランス(フランス、ネットカンパニー・イネオス)らが追いつき、再びブレナンを含む12名の先頭集団が形成される。スプリントに持ち込まれるとブレナンによる区間6勝目の可能性が高まるため、これを振り切ろうとビルバオらが何度もアタックを繰り返す。そして残り1km地点からラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック)が加速し、ヨハンネセンとアレッサンドロ・ロメレ(イタリア、XDSアスタナ)という3名が抜け出した。

超級山岳フィニッシュだった前日のステージで区間2位だったヨハンネセンと3位のデブライネが揃った先頭は、ヨハンネセンを先頭に最終ストレートに突入。スプリントが始まるとデブライネが遅れる一方、今大会2度の区間4位に入り、勝利を渇望するロメレが背後につく。緩い右コーナーを越え、最後まで踏み続けたヨハンネセンにロメレが並んだものの追い抜くことはできず、ヨハンネセンが先にフィニッシュラインを通過した。

ロメレを退け、勝利したトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

グランツールで自身初となる勝利を飾ったトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

ツール・ド・フランスでは区間2位を含む6度のトップ10に入りながら勝利できなかったヨハンネセン。ブエルタでも第7、20ステージで2度の区間2位と勝利に迫り、ようやく最終日に自身初となるグランツールの区間優勝を果たした。

「(今日は)コルトをどう勝たせるかについて話し合っていて、彼を最終コーナーに先頭で送り込むことが作戦だった。そのミーティングが頭にあったので『最終コーナーは先頭で入り、それまでは何もしない』と自分に言い聞かせていた。そしてそこから全開で踏み込んだ。最高の気分だよ」と、ヨハンネセンは勝利を振り返った。

ブレナンは4位でフィニッシュし、ビルバオは6位で母国最大のレースに別れを告げている。

そしてマスはチームメイトと横並びでフィニッシュラインを通過。スペイン人選手としては2014年のアルベルト・コンタドール以来となる、大会史上64人目の総合優勝者となった。

マス、ログリッチ、ガルによる総合トップ3 photo:CorVos

マイヨプントス:ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

マイヨモンターニャ:サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
マイヨブランコ:オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos


マイヨロホ:エンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos

「忘れられない1日になった。何が起こるか分からないという緊張感は常にあった。でも見ての通り、今日はすべてが順調に進んだ。だから本当に嬉しいし、今日は1km、1kmを楽しみながら走ることができた」とレースを振り返ったマス。「ここまで本当に長く待ったし、今日にたどり着くまでの道のりも長かった。でも正直に言えば、これまでのブエルタもすべて特別だった。その中でも、今回のブエルタが一番特別なものになったと思う」と笑顔を見せた。

夕焼けに照らされながら行なわれた表彰式では、ステージ優勝者のヨハンネセンとマイヨロホのマスはもちろん、マイヨプントスのファンアールト、そしてマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)のサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)、マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)のオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)が大歓声を浴びた。またチーム総合は、マイヨロホ争いでそのチーム力を発揮したデカトロンCMA CGMが獲得した。

激闘を終えた選手たちのコメントは別記事にて伝える。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2026第21ステージ結果
1位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 3:07:09
2位 アレッサンドロ・ロメレ(イタリア、XDSアスタナ)
3位 ラムセス・デブライネ(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) +0:03
4位 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:09
5位 バスティアン・トロンション(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
6位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
7位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
8位 アクセル・ローランス(フランス、ネットカンパニー・イネオス)
9位 パウ・マルティ(スペイン、NSNサイクリングチーム)
10位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダープロサイクリング)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 73:52:55
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +2:15
3位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +2:44
4位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +6:54
5位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +8:45
6位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) +9:28
7位 ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +10:38
8位 クレマン・ベルテ(フランス、グルパマFDJユナイテッド) +11:41
9位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、XDSアスタナ) +11:59
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +12:51
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) 326pts
2位 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) 273pts
3位 アレッサンドロ・ロメレ(イタリア、XDSアスタナ) 216pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 78pts
2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) 62pts
3位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 36pts
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) 74:02:23
2位 ヤコブ・オムルゼル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:10
3位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +15:35
チーム総合成績
1位 デカトロンCMA CGM 222:25:14
2位 XDSアスタナ +38:00
3位 バーレーン・ヴィクトリアス +54:46
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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