キナンレーシングチームは、和歌山県の那智勝浦町で「キナンレーシングチーム キックオフミーティング2025-2026」を開催。集まったファンやスポンサー関係者を前に2026年メンバーと新ジャージをお披露目した。新加入選手のコメントと合わせてレポート。



約100名が出席したキナンレーシングチーム キックオフミーティング photo:Satoru Kato

12月20日、キナンレーシングチームは2026年シーズンの体制発表会となる「キナンレーシングチーム キックオフミーティング2025-2026」を、和歌山県那智勝浦町のホテル浦島で開催した。

これまでは愛知県内で開催していたが、今回はチームが拠点とする熊野地域に移し、スポンサーでもあるホテル浦島が会場を提供。ファンや関係者など約100名が集まって催された。

マグロの解体ショーを選手も興味津々で見入る photo:Satoru Kato
マグロの中落ちをさばいて配る宇賀隆貴 photo:Satoru Kato


ツール・ド・熊野最終ステージの太地町のコースが近いホテル浦島は、紀伊勝浦港を囲むように張り出した半島全体を占める広大な敷地に4種の温泉とホテルがあり、宿泊客だけでなく日帰り温泉を楽しむ多くの観光客が訪れる。

会場では50kgのマグロの解体ショーが披露されたほか、メンバーのトークショーや豪華賞品の抽選会などで来場者を楽しませた。

早速サインを求められる新加入のルーカス・カーステンゼン photo:Satoru Kato
キナンみえジュニアのメンバーも出席 photo:Satoru Kato


KINANの「K」ポーズをして見せるレイン・タラマエとルーカス・カーステンゼン(右) photo:Satoru Kato
抽選会で浦島グループのホテル宿泊券が当たった皆さん photo:Satoru Kato


すでにチームに馴染んでいるという新加入の4名 photo:Satoru Kato
ホテル浦島の支配人がサンタクロースとなってケーキを持って登場 photo:Satoru Kato


2026年体制は既に発表されている通り、ドリュー・モレ、ネイサン・アール、橋本英也、宮崎泰史、柚木伸元ら5名が退団。新たに、橋川丈、草場啓吾、花田聖誠、ルーカス・カーステンゼン、小石祐馬ら5名が加入し、11名体制を維持する。今回は欠席した花田を除く10名が揃った。

勢揃いした2026年メンバー photo:Satoru Kato

「今年前半は苦しい結果が続いたが来年は最初からいける」とキナンの角口会長 photo:Satoru Kato

チームのメインスポンサーでもあるキナンの角口会長は「今年はスプリント勝負になる場面で悔しい思いをすることが多く、2026年に向けてスプリンターを補強し、皆さんの期待に応えたい」と、キナンレーシングチームとしては異例とも思えるスプリンター2名…カーステンゼンと草場を獲得した意図を語った。

2026年体制は以下表の通り。
キナンレーシングチーム2026年体制
新加入選手
橋川 丈(愛三工業レーシングチーム)
草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)
ルーカス・カーステンゼン(ドイツ、チームストローク・メトロポールサイクリング)
小石祐馬(TEAM UKYO)
継続選手
山本元喜
レイン・タラマエ(エストニア)
宇賀隆貴
新宮颯太
トマ・ルバ(フランス)
新城雄大(キャプテン)
スタッフ
監督 石田哲也
コーチ 畑中勇介
ケアラー 安見正行、森 典隆
メカニック 小松定俊、横井利明
メディアオフィサー 福光俊介
メディアディレクター 小玉 凌
チームアシスタント 村上紀子
2026年仕様のジャージを着た山本元喜(左)とトマ・ルバ photo:Satoru Kato

2026年使用するオルベアは3種 photo:Satoru Kato

また、2026年仕様のジャージと使用機材のオルベアも披露された。ジャージデザインは今年から採用された赤いパンツはそのままに、上半身はグラデーションを取り入れた柔らかい印象となった。オルベアのバイクはエアロモデルやタイムトライアルバイクなど3種が用意されるという。

キックオフミーティング参加者と記念撮影 photo:Satoru Kato

キナンレーシングチームは1月にUAEで開催されるシャルージャ・ツアーでシーズンイン。国内外のレースを転戦し、ホームレースでありチーム最大の目標でもある5月のツール・ド・熊野に臨む。

最後はメンバーがお見送り photo:Satoru Kato

キックオフミーティングに出席した新加入4名に話を聞いた。



橋川丈 photo:Satoru Kato
橋川丈「エリート1年目の来年こそ勝利を」

選手として自分が目指しているのはワールドツアーで、それこそが自分が競技を続けている理由です。ワールドツアーで長く走っていた(レイン・)タラマエ選手やトマ(・ルバ)さんらと一緒に走って少しでもワールドツアーに近づけるようにしたいと考え、キナンレーシングチームへの移籍を決めました。日本人も国内トップの選手が集まって学ぶことが多いと思うので、来年が今からとても楽しみです。

脚質的に被るチームメイトが多く、まずは自分の実力を証明しなければならないので、エースのサポートをしながらアシストとしての評価を高めてもらえるようにしたいと思っています。

ジャパンカップでは日本人でただ一人、レース中盤過ぎまで第一集団に残った橋川丈 photo: Yuichiro Hosoda

かつて父(橋川健さん)が所属していたチームでもあり、今日も自分が小さい頃かわいがってもらった方から声をかけてもらったりして、父がすごい選手だったと改めて感じています。だからこそ父を超えたいというモチベーションにもなりますね。

今年はUCIレースで優勝を狙えるところまで行ったけれど最後の最後に脚が足りなくて勝てなかったことがあったので、この冬にその足りなかったところを力をつけて、エリート1年目の来年は優勝を目指していきたいです。



草場啓吾 photo:Satoru Kato
草場啓吾「開幕戦からエンジン全開で」

自分が成長するためには自分より強い選手がいるチームに入ることで日々のトレーニングから緊張感とプレッシャーを感じながら強くなれるかなと考えて移籍を選択しました。いつも一緒に練習しているトマ(・ルバ)さんが、今シーズンはあまり結果を出していないにも関わらず自分のことをチームに推してくれたこともあってキナンレーシングチームに加入することが出来ました。

一度全日本選手権で優勝してはいますが、「あの時は強かった」と言われるような選手にはなりたくないし、より良い結果を残せるように、より一層の緊張感をもって臨みたいと思っています。

岡本隼の優勝の影には草場啓吾のリードアウトがあった(2023年志布志クリテリウム) photo:Satoru Kato

スプリント勝負の場面で今まではリードアウトをメインにやってきて、今年までは岡本(隼)先輩でしたが、来年からはルーカス(・カーステンゼン)とコミュニケーションを取りながら勝負していきます。チームメイトに外国人選手がいるのはダミアン・モニエ以来で、彼は日本語を話せましたが、キナンレーシングチームでは日本語以外でのコミュニケーションが必要になるので、意思疎通をうまくやって勝利数を増やせるよう貢献出来ればと思っています。

まずはスプリンターとしての役割を果たし、開幕戦からエンジン全開で臨んでいきたいです。このチームに入ったからにはツール・ド・熊野での結果を求められますが、メンバーに入ったらしっかり結果を残して皆さんに恩返しをしたいですね。



小石祐馬 photo:Satoru Kato
小石祐馬「チームと僕の意思はマッチしている」

僕らは仕事としてレースを走っているので、自分のことを評価してくれるのはもちろん、安定したチームの運営と活動が出来ていることが重要と考え、今回キナンレーシングチームへの移籍を決めました。

これまで在籍してきたチームと若干活動の範囲が変わってはくると思いますが、基本的にはあまり変わらないと考えています。ステージレースで総合上位争いをしてUCIポイントを獲ることをチームから期待されると思いますが、それは僕自身がやりたいことのひとつであり、チームと僕の意思はマッチしていると思っています。

2023年の全日本選手権個人タイムトライアルで優勝した小石祐馬 photo:Satoru Kato

個人的には9月のアジア大会に出場したいと考えています。前回のアジア大会に初めて出場しましたが、その時取れなかったメダルを取りたいという強い想いがあります。まだJCF(日本自転車競技連盟)から選考基準が公表されていないので分らないのですが、まずは代表選手に選ばれるように、出場することを前提に頑張っていくつもりです。

少なくともUCIランキングで日本チームのトップになり、アジアツアーでも上位のチームになれるよう貢献していきたいと思います。



ルーカス・カーステンゼン photo:Satoru Kato
ルーカス・カーステンゼン「いつかキナンに加入したいと思っていた」

キナンレーシングチームを知ったのは2018年頃だったと思います。私も出場していたアジアツアーのレースで何度も活躍を見ていて、確立されたチームという印象を持ち、いつか加入したいとずっと思っていました。プロフェッショナルなチームに加入出来てとても嬉しく思っています。

スプリンターとして平坦ステージで優勝することは目標ですが、ツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝できたら素晴らしいと思っていますし、それが最大の目標です。

2024年おおいたアーバンクラシッククリテリウムで優勝したルーカス・カーステンゼン photo:Satoru Kato

アジアのチームには私の他にもドイツ人選手は何人もいますが、日本のチームに所属するドイツ人選手は自分が初めてと聞いて光栄に思っています。


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photo:Satoru Kato, Yuichiro Hosoda