鎖骨骨折からわずか4週間でツール初勝利を飾ったヨナス・アブラハムセンは、「本当に信じられない」と喜んだ。「悔しい」とコメントしたファンデルプールや、ポガチャルの落車の詳細について語るヨハンネセンなど、ツール第11ステージを選手たちの言葉で振り返る。
ステージ優勝 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

勝利を確信したヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos
4週間前のツール・ド・ベルギーで鎖骨を骨折し、病室で『これでツールには出場できなくなった』と涙を流した。しかし翌日にはもう家でローラーを回し、出場を願いながらあらゆる準備を進めた。そしてたどり着いたツールで勝てたなんて、本当に信じられない。
シュミットはスタートからとても強く、彼を抜くのは大変だった。だが、ここで勝たなくてはならないと強く思い、彼よりも先にハンドルをフィニッシュに投げ込むことができた。本当に嬉しいよ。チームとしての第1目標はステージ優勝をすることだった。昨年はマイヨアポワのための山岳ポイント獲得に奔走し、力を使い果たしてしまった。そのため賢い走りを意識し、今年はステージ優勝に集中した。

悲願のステージ優勝を飾ったヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:A.S.O.
(ウノエックスの名で本格的に始動した)2017年からチームで走り、年々成長する姿を見てきた。本当に素晴らしい人たちが揃っており、チームドクターは骨折した僕を懸命にサポートしてくれた。僕を信頼し、ツールの出場メンバーに選んでくれたチームに感謝したい。
自分のスプリント力には自信があった。だが0km地点から飛び出し、逃げるために力を使っていたため、自分の限界を超えないようスマートな走りを心がけた。ファンデルプールの追走もあり、シュミットと懸命に逃げ続けた。
ステージ2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)

最後から2つ目の山岳で飛び出し、先頭はアブラハムセンとシュミットの2名に絞られる photo:A.S.O.
まずは狙いを定めていたステージで逃げることができたことに満足している。当初はスプリントになると思っていたが、昨日、コースプロフィールを見て逃げようと決めた。そしてスタートからフィニッシュまでフルガスで踏み続けた。
マチューの追走もあり、余裕がなく(アブラハムセンとの)駆け引きも全くなかった。残り1kmまで協力し合ったが、少しスプリントを仕掛けるのが早すぎたかな。レースを通して強かったヨナスに今日の勝利はふさわしい。
ステージ3位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

猛追するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
序盤は調子が良くなかったので、チームとしてアタックに加わるよう伝えていた。特定のチームがプロトンをコントロールするのを防ぐためだ。すると徐々にコンディションが上がっていき、良い追走集団が形成されつつあったので、それに飛び乗った。
─第2集団でアタックした時、前に選手がいることを知らなかったのか?
ああ。無線が壊れていたのであのアタックの目的は、最初は勝利を目指すものだった。しかしすぐに前に選手が残っていることを知り、その後は最速でのフィニッシュを目指した。先頭の2名が協力しながら逃げており、勝利に迫っただけに悔しいよ。この後に勝利を狙えるステージはそう多くないからね。
積極的なアタックを見せたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
逃げを目指すも、上手くいかない難しいステージになった。それでも追走集団に入り、終盤はベストを尽くしたのだが、マチュー・ファンデルプールの方が少しだけ強かったみたいだ。勝利争いに絡むことができず残念だよ。
マイヨジョーヌ ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)

マイヨジョーヌを着てプロトンを走るベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.
マイヨジョーヌを着て走った今日のステージは「ストレスフル」の一言。寿命が数年縮まったよ(笑)。逃げを目指した激しい動きが続き、一度集団から遅れた瞬間もあった。でもチームメイトたちが僕を引き戻してくれ、その後はスイッチを入れ、全ての動きに反応した。そして逃げが決まり、最後の山岳までは比較的コントロールされた状況だった。その後は個人的に少し厳しい展開に持ち込まれたが、何とかマイヨジョーヌを保持することができた。
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)の様子について話すマウロ・ジャネッティ監督

ツール2週目に向かうポガチャル photo:A.S.O.
心配したが大丈夫そうだ。ハイスピードでの落車だったものの、幸い深刻ではなかった。だから身体へのダメージは少なく、タデイも問題ないと言っている。しかし、落車の起き方については少し憤っていた。落車のダメージを背負って(翌日の最終山岳である)オタカムに臨まなければならないからね。だた、身体的には問題ないとのことだ。
トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

この日もひまわり畑の間を進むプロトン photo:A.S.O.
久々のノルウェー人による勝利なので、ノルウェーの自転車界は今頃お祭り騒ぎだろう。彼はクレイジーな側面もあるが、チームワークを厭わないナイスガイ。彼の勝利が本当に嬉しいよ。
─ポガチャルの前輪と君の後輪が接触したシーンについて振り返ってくれ
プロトンが右に動いた瞬間、彼(ポガチャル)は無線で話していたようだ。僕の後輪にどう接触したのかは分からない。また、その後に彼と話したが「レースでよくあることだ」と言ってくれた。彼の無事を願っているし、その後僕らは脚を緩めて彼を待った。その判断は特定の誰かではなく、集団の総意だった。もちろん意図的に接触したわけはなく、プロトンの流れに従ったまでだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
ステージ優勝 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

4週間前のツール・ド・ベルギーで鎖骨を骨折し、病室で『これでツールには出場できなくなった』と涙を流した。しかし翌日にはもう家でローラーを回し、出場を願いながらあらゆる準備を進めた。そしてたどり着いたツールで勝てたなんて、本当に信じられない。
シュミットはスタートからとても強く、彼を抜くのは大変だった。だが、ここで勝たなくてはならないと強く思い、彼よりも先にハンドルをフィニッシュに投げ込むことができた。本当に嬉しいよ。チームとしての第1目標はステージ優勝をすることだった。昨年はマイヨアポワのための山岳ポイント獲得に奔走し、力を使い果たしてしまった。そのため賢い走りを意識し、今年はステージ優勝に集中した。

(ウノエックスの名で本格的に始動した)2017年からチームで走り、年々成長する姿を見てきた。本当に素晴らしい人たちが揃っており、チームドクターは骨折した僕を懸命にサポートしてくれた。僕を信頼し、ツールの出場メンバーに選んでくれたチームに感謝したい。
自分のスプリント力には自信があった。だが0km地点から飛び出し、逃げるために力を使っていたため、自分の限界を超えないようスマートな走りを心がけた。ファンデルプールの追走もあり、シュミットと懸命に逃げ続けた。
ステージ2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)

まずは狙いを定めていたステージで逃げることができたことに満足している。当初はスプリントになると思っていたが、昨日、コースプロフィールを見て逃げようと決めた。そしてスタートからフィニッシュまでフルガスで踏み続けた。
マチューの追走もあり、余裕がなく(アブラハムセンとの)駆け引きも全くなかった。残り1kmまで協力し合ったが、少しスプリントを仕掛けるのが早すぎたかな。レースを通して強かったヨナスに今日の勝利はふさわしい。
ステージ3位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

序盤は調子が良くなかったので、チームとしてアタックに加わるよう伝えていた。特定のチームがプロトンをコントロールするのを防ぐためだ。すると徐々にコンディションが上がっていき、良い追走集団が形成されつつあったので、それに飛び乗った。
─第2集団でアタックした時、前に選手がいることを知らなかったのか?
ああ。無線が壊れていたのであのアタックの目的は、最初は勝利を目指すものだった。しかしすぐに前に選手が残っていることを知り、その後は最速でのフィニッシュを目指した。先頭の2名が協力しながら逃げており、勝利に迫っただけに悔しいよ。この後に勝利を狙えるステージはそう多くないからね。
積極的なアタックを見せたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
逃げを目指すも、上手くいかない難しいステージになった。それでも追走集団に入り、終盤はベストを尽くしたのだが、マチュー・ファンデルプールの方が少しだけ強かったみたいだ。勝利争いに絡むことができず残念だよ。
マイヨジョーヌ ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)

マイヨジョーヌを着て走った今日のステージは「ストレスフル」の一言。寿命が数年縮まったよ(笑)。逃げを目指した激しい動きが続き、一度集団から遅れた瞬間もあった。でもチームメイトたちが僕を引き戻してくれ、その後はスイッチを入れ、全ての動きに反応した。そして逃げが決まり、最後の山岳までは比較的コントロールされた状況だった。その後は個人的に少し厳しい展開に持ち込まれたが、何とかマイヨジョーヌを保持することができた。
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)の様子について話すマウロ・ジャネッティ監督

心配したが大丈夫そうだ。ハイスピードでの落車だったものの、幸い深刻ではなかった。だから身体へのダメージは少なく、タデイも問題ないと言っている。しかし、落車の起き方については少し憤っていた。落車のダメージを背負って(翌日の最終山岳である)オタカムに臨まなければならないからね。だた、身体的には問題ないとのことだ。
トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)

久々のノルウェー人による勝利なので、ノルウェーの自転車界は今頃お祭り騒ぎだろう。彼はクレイジーな側面もあるが、チームワークを厭わないナイスガイ。彼の勝利が本当に嬉しいよ。
─ポガチャルの前輪と君の後輪が接触したシーンについて振り返ってくれ
プロトンが右に動いた瞬間、彼(ポガチャル)は無線で話していたようだ。僕の後輪にどう接触したのかは分からない。また、その後に彼と話したが「レースでよくあることだ」と言ってくれた。彼の無事を願っているし、その後僕らは脚を緩めて彼を待った。その判断は特定の誰かではなく、集団の総意だった。もちろん意図的に接触したわけはなく、プロトンの流れに従ったまでだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
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