ロマン・バルデの引退レースとなったクリテリウム・デュ・ドーフィネ最終日。レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が逃げ切りから第8ステージを制し、ポガチャルが自身初となる総合優勝に輝いた。

現役ラストレースに臨んだロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) photo:A.S.O.

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第8ステージ photo:A.S.O. 第77回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)を締めくくるのは、133.3kmと比較的短い距離に6つの山岳が詰め込まれた第8ステージ。序盤から3級、2級と越え、コース中盤には1級山岳が登場。徐々に標高を上げながら、ラストに1級山岳モン・スニ峠(距離9.6km/平均6.9%)を駆け上がる。フィニッシュ地点は頂上から平坦路を5km進んだ先にある。
ツール・ド・フランスに向けた大事な前哨戦で総合優勝に王手をかけているのは、前日の7日目に区間3勝目、そしてプロ通算99勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)。それを1分1秒差で総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が追う形で最終日を迎え、スタート前に選手たちが花道を通り、これが現役ラストレースとなったロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)を先頭にレースはスタートした。

マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が入った逃げ集団は11名 photo:A.S.O.
逃げ切りも考えられるステージでエスケープしたのは、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)を含む11名の選手たち。その中に総合逆転を狙うヴィスマ・リースアバイクは前日同様にセップ・クス(アメリカ)を入れ、総合で8分近くタイムを失ったエンリク・マス(スペイン、モビスター)など実力ある選手たちが揃う。一方のメイン集団は、牽引がイネオス・グレナディアーズからウノエックス・モビリティに代わると、最大4分差あった遅れを縮めていった。
ポガチャルに前日、同ポイントでポイント賞ジャージを奪われたファンデルプールは、1級山岳直後に設定された中間スプリントをトップで通過する。その後、マウンテンバイクで負った手首骨折の影響を一切見せないファンデルプールは単独で進み、最後から2つ目の2級山岳をクリア。その時点までに逃げ集団から1分10秒、プロトンとは2分44秒の差を得た。
しかし最終山岳前の残り16km地点で、マスのために集団を牽引するイバン・ロメオ(スペイン、モビスター)がファンデルプールを引き戻す。約1分のリードで1級山岳モン・スニ峠(距離9.6km/平均6.9%)に突入した逃げグループは、6名に絞られる。そして頂上まで残り6km地点で、ロメオのアシストを勝利に繋げたいマスがアタックした。

レース後半に入り、UAEチームエミレーツXRGがプロトンの主導権を握る photo:A.S.O.

ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)のアタックに追従したポガチャル photo:A.S.O.
強烈な加速にクスやベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が遅れる一方、唯一レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が追従する。UAEチームエミレーツXRGの高速牽引が人数を絞るプロトンでは、落車が発生してポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が遅れる場面も。そして頂上まで3km以上を残し、総合4位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が仕掛けた。
これに当然ポガチャルとヴィンゲゴーが反応。しかし2日連続3位で、総合3位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がついていけない。レース先頭ではマルティネスがマスを引き離し、単独先頭で1級山岳の頂上を通過した。
総合争いではヴィンゲゴーが加速したものの、ポガチャルを引き離すことはできない。しかしこの2名は、マルティネスとのタイム差を一気に縮めるほどのスピードを出すことはなかった。そのため平坦路でも淡々と踏み続けたマルティネスがフィニッシュラインに到着。大観衆が声援を送るなか、体いっぱいに勝利の喜びを表現した。

逃げ切り勝利を決めたレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

今季3度目のワールドツアー勝利を飾ったレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.
大会最終日にしてようやく、母国フランスに勝利をもたらしたマルティネス。「昨日は調子がとても悪く、それまでもずっとコンディションは良くなかった。だから今日は期待せず走っていたのだが、スタートから脚の感覚は良かったんだ。ファンデルプールが勝つと思い、引き戻してもポガチャルとヴィンゲゴーに追いつかれると思っていた。だけど勝利を手に入れることができたんだ!」と、21歳のマルティネスは喜ぶ。
グルパマFDJから今年、バーレーン・ヴィクトリアスへ移籍したマルティネスは、今年パリ〜ニースとツール・ド・ロマンディ、そしてドーフィネと3つのワールドツアーでステージ優勝した。そして総合エースとして臨むツールでの活躍が期待される。
34秒遅れでフィニッシュしたヴィンゲゴーがポガチャルを退けて区間2位。その結果、ポガチャルが自身初となるドーフィネの総合優勝者に輝いた。ポガチャルはポイント賞も獲得し、山岳賞は3日連続で逃げたブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)がゲットしている。

総合優勝を決めたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

ハミルトンと肩を抱き合いながら、フィニッシュしたロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) photo:A.S.O.
引退レースを笑顔で締めくくったバルデは、クリス・ハミルトン(オーストラリア、ピクニック・ポストNL)と共に11分28秒の43位でフィニッシュ。ツールでステージ通算4勝をはじめ、2016年は総合2位、2019年は山岳賞を獲得するなど、輝かしいプロ14年を締めくくった。


ツール・ド・フランスに向けた大事な前哨戦で総合優勝に王手をかけているのは、前日の7日目に区間3勝目、そしてプロ通算99勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)。それを1分1秒差で総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が追う形で最終日を迎え、スタート前に選手たちが花道を通り、これが現役ラストレースとなったロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)を先頭にレースはスタートした。

逃げ切りも考えられるステージでエスケープしたのは、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)を含む11名の選手たち。その中に総合逆転を狙うヴィスマ・リースアバイクは前日同様にセップ・クス(アメリカ)を入れ、総合で8分近くタイムを失ったエンリク・マス(スペイン、モビスター)など実力ある選手たちが揃う。一方のメイン集団は、牽引がイネオス・グレナディアーズからウノエックス・モビリティに代わると、最大4分差あった遅れを縮めていった。
ポガチャルに前日、同ポイントでポイント賞ジャージを奪われたファンデルプールは、1級山岳直後に設定された中間スプリントをトップで通過する。その後、マウンテンバイクで負った手首骨折の影響を一切見せないファンデルプールは単独で進み、最後から2つ目の2級山岳をクリア。その時点までに逃げ集団から1分10秒、プロトンとは2分44秒の差を得た。
しかし最終山岳前の残り16km地点で、マスのために集団を牽引するイバン・ロメオ(スペイン、モビスター)がファンデルプールを引き戻す。約1分のリードで1級山岳モン・スニ峠(距離9.6km/平均6.9%)に突入した逃げグループは、6名に絞られる。そして頂上まで残り6km地点で、ロメオのアシストを勝利に繋げたいマスがアタックした。


強烈な加速にクスやベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が遅れる一方、唯一レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が追従する。UAEチームエミレーツXRGの高速牽引が人数を絞るプロトンでは、落車が発生してポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が遅れる場面も。そして頂上まで3km以上を残し、総合4位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が仕掛けた。
これに当然ポガチャルとヴィンゲゴーが反応。しかし2日連続3位で、総合3位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がついていけない。レース先頭ではマルティネスがマスを引き離し、単独先頭で1級山岳の頂上を通過した。
総合争いではヴィンゲゴーが加速したものの、ポガチャルを引き離すことはできない。しかしこの2名は、マルティネスとのタイム差を一気に縮めるほどのスピードを出すことはなかった。そのため平坦路でも淡々と踏み続けたマルティネスがフィニッシュラインに到着。大観衆が声援を送るなか、体いっぱいに勝利の喜びを表現した。


大会最終日にしてようやく、母国フランスに勝利をもたらしたマルティネス。「昨日は調子がとても悪く、それまでもずっとコンディションは良くなかった。だから今日は期待せず走っていたのだが、スタートから脚の感覚は良かったんだ。ファンデルプールが勝つと思い、引き戻してもポガチャルとヴィンゲゴーに追いつかれると思っていた。だけど勝利を手に入れることができたんだ!」と、21歳のマルティネスは喜ぶ。
グルパマFDJから今年、バーレーン・ヴィクトリアスへ移籍したマルティネスは、今年パリ〜ニースとツール・ド・ロマンディ、そしてドーフィネと3つのワールドツアーでステージ優勝した。そして総合エースとして臨むツールでの活躍が期待される。
34秒遅れでフィニッシュしたヴィンゲゴーがポガチャルを退けて区間2位。その結果、ポガチャルが自身初となるドーフィネの総合優勝者に輝いた。ポガチャルはポイント賞も獲得し、山岳賞は3日連続で逃げたブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)がゲットしている。


引退レースを笑顔で締めくくったバルデは、クリス・ハミルトン(オーストラリア、ピクニック・ポストNL)と共に11分28秒の43位でフィニッシュ。ツールでステージ通算4勝をはじめ、2016年は総合2位、2019年は山岳賞を獲得するなど、輝かしいプロ14年を締めくくった。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2025第8ステージ結果
1位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:34:18 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:34 |
3位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | |
4位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:40 |
5位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:45 |
7位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:47 |
8位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
9位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:01 |
10位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) |
個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 29:19:46 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:59 |
3位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +2:38 |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +4:21 |
5位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | +6:12 |
6位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +7:28 |
7位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +7:57 |
8位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +8:25 |
9位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +8:57 |
10位 | ギヨーム・マルタン(フランス、グルパマFDJ) | +10:01 |
その他の特別賞
ポイント賞 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) |
山岳賞 | ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) |
ヤングライダー賞 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) |
チーム総合成績 | ヴィスマ・リースアバイク |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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