留目夕陽や新城幸也、JCLチーム右京が出場するツアー・オブ・ジ・アルプスが開幕した。初日は登りスプリントで争われ、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が勝利。しかしお馴染みのアイウェアを投げるパフォーマンスが違反行為となった。



ヨーロッパでの初戦となった新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) photo:CorVos

小林海と石橋学がメンバー入りしたJCLチーム右京 photo:Tour of the Alps
4月21日に開幕したツアー・オブ・ジ・アルプス(UCI2.Pro)は、イタリアンアルプスを舞台にした5日間のステージレース。本格山岳ステージこそないものの、比較的短いコース距離には山岳が詰め込まれている。そのため、約3週間後に始まるジロ・デ・イタリアに向かう総合系の選手たちが、高地トレーニングの成果を確かめる調整レースになっている。

そのためスプリンターの姿はなく、総合系のジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)やアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)などが出場。また日本からは留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)と新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が参戦し、イタリアを拠点とするJCLチーム右京からは日本王者の小林海と石橋学が出場した。

形成された3名による逃げ集団 photo:Tour of the Alps

初日は148.5kmコースの中盤に1級山岳と、終盤に2級山岳が設定されたレイアウトだ。アタックと吸収を繰り返した末に、フィンレー・ピカリング(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)とアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)ら3名の逃げ集団が形成される。そして1級山岳は22歳の若手クライマーであるピカリングがトップ通過し、山岳賞ジャージを手に入れた。

2級山岳を前に単独先頭に立ったピカリングには、メイン集団を飛び出したエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)が合流する。登坂距離6.3kmで平均勾配8%と難易度の高い2級山岳に入ると逃げの2名は吸収され、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)のアタックをダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が引き戻す。そして集団が1つのままジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)を先頭に頂上を通過した。

プロトンを走る留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

逃げが捉まり、1つの集団のまま終盤に突入した photo:Tour of the Alps

フィニッシュから約20km地点に故郷があるマッティア・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)のアタックも決まらず、人数が絞られた集団は平均勾配6%の最終ストレートに到着。マックス・プール(イギリス、ピクニック・ポストNL)のリードアウトからチームメイトのロマン・バルデ(フランス)ではなく、チッコーネが飛び出し勝利した。

2年振りの勝利を掴んだジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

表彰台で喜ぶジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:Tour of the Alps

2023年のクリテリウム・デュ・ドーフィネ以来、約2年振りの勝利を飾ったチッコーネ。「作戦を忠実に実行し、完璧な形で勝つことができた。長い間勝利を手にすることができず、今日はどうしても勝ちたかった。それが母国イタリアでだなんて最高だ」とコメントした。

しかし、チッコーネがフィニッシュ直後に行ったアイウェアを投げ捨てる勝利パフォーマンスが、「軽率な行為」に該当するとして、250スイスフランの罰金と150UCIポイントの減点となった。これまでこのパフォーマンスは違反ではなかった。

また留目、新城、石橋の日本人3選手が無事フィニッシュした一方で、小林はタイムアウトで失格となった。
ツアー・オブ・ジ・アルプス2025第1ステージ結果
1位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) 3:42:10
2位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)
3位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
4位 ロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)
5位 フロリアン・ストーク(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
個人総合成績
1位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) 3:42:00
2位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:04
3位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:06
4位 ロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL) +0:10
5位 フロリアン・ストーク(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
その他の特別賞
ポイント賞 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 フィンレー・ピカリング(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤングライダー賞 ポール・セクサス(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
チーム総合成績 VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, Tour of the Alps

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