UAEチームエミレーツXRGの猛攻を退けたアレックス・アランブル(スペイン、コフィディス)が独走勝利したイツリア・バスクカントリー第3ステージ。ラウンドアバウトでショートカットしたアランブルに失格処分が下されるも、コース標識の設置ミスがあったとして勝利が認められた。



繰り下げでポイント賞ジャージを着るトビアス・バイヤー(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Itzulia2025

イツリア・バスクカントリー第3ステージ コースプロフィール image:Itzulia2025
自転車熱の高いスペイン・バスクを巡るイツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)は3日目。この日は156.3kmコースに登坂距離の短い山岳が7つ詰め込まれたステージで、獲得標高差は3,646mというタフなレイアウト。特に終盤2つの3級山岳が最大勾配が20%と18%という「壁」が設定された。

これから連日続く山岳ステージに、前日勝者のカレブ・ユアン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)はリタイアを選択。序盤からアタックと吸収が繰り返されたレース先頭は、50kmを進んだ辺りでブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)が単独で先頭に立つ。メイン集団ではスーダル・クイックステップに代わりUAEチームエミレーツXRGが集団先頭でペースを上げ始めると、残り73km地点で早くもアルミライユを捉えた。

アタックが繰り返され、集団の人数が絞り込まれていく photo:Itzulia2025

最後から3番目の2級山岳ではイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)のアタックからレースが動き出し、ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)の加速にアロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ)が反応して2名が先行した。そこにモビスターからエンリク・マス(スペイン)とネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)という3名が合流。しかし今度はレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが中心となったプロトンが引き戻した。

この時点で35名程度に絞られたプロトンから、今度はマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)がアタック。そこにルディ・モラール(グルパマFDJ)とクレマン・ベルテ(デカトロンAG2Rラモンディアール)のフランス人コンビが追いつき、1分のリードを得る。最大勾配20%区間を前にベルテが単独先頭に立ち、最終山岳の前の平坦区間では総合首位マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)が自ら脚を使い追走する場面もあった。

集団のまま最終山岳に入った photo:Itzulia2025

最終山岳に入ると加速したフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がベルテを捉え、その背後にシャフマンが食らいつく。シャフマンが先頭で最終山岳の頂上を通過し、直後の登り区間でジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)がアタック。アルメイダにはアレックス・アランブル(スペイン、コフィディス)が追走し、残り1.8km地点のラウンドアバウトで、外に膨らんだアルメイダを追い抜いた。

そして先頭に立ったスペイン王者のアランブルはそのまま追走を振り切り、母国に勝利をもたらした。

1.8kmの独走を決めたアレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) photo:Itzulia2025

フィニッシュ手前のラウンドアバウトで、アランブルが誤ったコースをショートカットしたとして失格処分を受ける。そのため3秒差でフィニッシュした2位のロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)に勝利が告げられたものの、ラウンドアバウトに設置された標識が誤りであったことが判明。アランブルのとった進路が本来正しいルートだったため、改めてアランブルの勝利が認められた。

区間3位でボーナスタイム3秒を得たシャフマンは総合首位をキープ。中間スプリントで1秒を得たリポヴィッツがアルメイダと総合タイムで並び、総合2位に上がっている。
イツリア・バスクカントリー2025第3ステージ結果
1位 アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) 3:45:21
2位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) +0:03
3位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー)
10位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
個人総合成績
1位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ) 8:17:47
2位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
3位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)
4位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:15
5位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:16
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:37
7位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) +0:40
8位 ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー) +0:46
9位 アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス) +1:03
10位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +1:14
その他の特別賞
ポイント賞 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 ディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ ケルンファルマ)
ヤングライダー賞 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)
チーム総合成績 スーダル・クイックステップ
text:Sotaro.Arakawa
photo:Itzulia2025