イツリア・バスクカントリーの2日目は集団スプリントで決着。絶好のリードアウトを得たカレブ・ユアン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がライバル勢を圧倒した。



バスク出身のヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) photo:Itzulia2025
繰り下がりで山岳賞ジャージを着るディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ ケルンファルマ)。狙い通りのアタックでランキング首位に浮上した photo:Itzulia2025


総合首位マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)らを先頭にパレードランへ photo:CorVos

バスクを駆け巡るワールドツアーのステージレース、イツリア・バスクカントリーの2日目は集団スプリント向けの186kmコースが舞台。スプリンター向けといってもコースの大部分は丘陵地帯を走るため総獲得標高は2000mを越える。登坂ステージの比重が多い本大会で数少ないなスピードバトルに向けて、カレブ・ユアン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)たちが気合いを入れてスタートラインに並んだ。

スタート直後のアタック合戦で抜け出したのは5名の選手たち。バスクを代表するエウスカルテル・エウスカディなどワイルドカード枠で出場するスペインチームが1人ずつ送り込み、アルペシン・ドゥクーニンクもトビアス・バイヤー(オーストリア)を逃げに乗せる。メイン集団は前日の個人タイムトライアルでトップタイムを叩き出したマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)擁するスーダル・クイックステップと、ユアンの勝利に燃えるイネオス、さらにアクセル・ジングレ(フランス)を勝たせたいヴィスマ・リースアバイクのコントロール下に置かれた。

ディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)らが逃げる。風が吹く地域だが、エシュロンは起こらなかった photo:Itzulia2025
スプリントに意気込むイネオス・グレナディアーズやヴィスマ・リースアバイクが集団を牽引 photo:Itzulia2025



この日唯一設定された山岳ポイントで先着したのは、山岳賞狙いで前日個人TTの3級山岳でポイントを稼ぎ、シャフマンの繰り下がりで山岳賞ジャージを着ていたディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)だった。最大3ポイントを加点したウリアルテはシャフマンを抜き、正式にジャージを自分のものとしている。

逃げグループ、メイン集団ともに平穏に距離を消化し、終盤を迎えていよいよメイン集団のペースアップが始まった。残り6kmを切って逃げグループが崩壊し、地元のメンツにかけるシャビエル・イササ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)も単独逃げに持ち込んだものの吸収。60km/hで突き進む集団内では、集団のうねりで道路脇の草地に追いやられたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が、ちょうど道路外に止めていたオフィシャルモトと交錯して落車する不運なアクシデントも発生した。

混沌の終盤戦をリードしたのはイネオス勢だった。ヴィスマがポジションを落としジングレが後方に沈む一方、ユアンはリードアウトマン2人を残してラスト1km地点を通過する。ラスト500mから先頭に立ったアンテルマルシェ・ワンティを風除けに使い、ユアンが絶好の位置取りからスプリントを開始。一際低い姿勢で大ギアを踏み抜いた"ポケットロケット"に敵う選手はいなかった。

今季2勝目を挙げたカレブ・ユアン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:Itzulia2025

コッピバルタリ初日に続き、ユアンが出場したレースの集団スプリントで2連勝をマークしたユアンは「コーナーが続く最終盤で前にいなければならなかった。チームメイトの素晴らしい働きで最終コーナーを3番手で通過したんだ。完璧だった。僕のスプリントができたよ」と喜びを語る。「風で厳しいステージになるかもしれないと見込んでいたけれど、幸い横風分断は起こらなかった。厳しいレースになると、僕にとっては他の選手よりキツいレースになってしまうから良かったよ」と一日を振り返っている。

総合リーダーのシャフマンは危なげなくフィニッシュし、総合順位に変動はなし。落車したカンペナールツはフィニッシュまでたどり着いたものの、打撲や擦過傷を負っているとのこと。
イツリア・バスクカントリー2025第2ステージ結果
1位 カレブ・ユアン(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 4:13:50
2位 ルーカ・ファンボーヴェン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
3位 バスティアン・トロンション(フランス、デカトロン・AG2Rラモンディアール)
4位 ティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ)
5位 ユーリ・レイタオン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
6位 アクセル・ジングレ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)
7位 ファビオ・ファンデンボッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
8位 ルク・ヴィルトゲン(ルクセンブルク、チューダープロサイクリング)
9位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
10位 アナス・フォレーヤ(デンマーク、ジェイコ・アルウラー)
個人総合成績
1位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ) 4:32:27
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)
3位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:01
4位 イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ) +0:06
5位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:10
6位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:11
7位 ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +0:12
8位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)
9位 ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:13
10位 マイケル・レオナード(カナダ、イネオス・グレナディアーズ) +0:16
その他の特別賞
ポイント賞 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 ディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ ケルンファルマ)
ヤングライダー賞 マイケル・レオナード(カナダ、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 スーダル・クイックステップ
text:So Isobe
photo:CorVos