過去最多4勝目を目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ)に対し、ミラノ〜サンレモでの雪辱を期すタデイ・ポガチャル(スロベニア)。本日4月6日に行われるモニュメント2戦目、「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレンをプレビューする。



コッペンベルグを駆け上がるマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

スプリントでの勝機も持つマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)に対し、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は急坂からの独走を狙う。そして、その2人にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)がどう割って入るか。役者が揃い、激闘が期待されるロンド・ファン・フラーンデレンが本日4月6日に開催される。

モニュメントと呼ばれる世界5大クラシックの中でも「クラシックの王様」と呼ばれ、一際存在感を見せるロンド。1913年の初開催以来、長年にわたりベルギー北部のフランドル地方で愛され続けるレースは今年で109回目を迎える。

ロンド・ファン・フラーンデレン2025 コースマップ image:Ronde van Vlaanderen

ロンド・ファン・フラーンデレン2025 コースプロフィール image:Ronde van Vlaanderen

ツール・デ・フランドルとも呼ばれるレースが世界的に注目される理由は、その過酷なコースにある。ブルージュから南のオーデナールデを結ぶ距離は268.9kmで、後半に7つの石畳区間と16の急坂が待ち受ける。しかし2024年に「コースの安全性の向上」を求める声を受け、レース主催者はコース変更を実施。その結果カナリエベルグなど危険性の高い区間は除外され、また今年もミュール・カペルミュールはコースに含まれない。

勝負どころと目されるのは、2度ずつ登場するパテルベルグと3度登坂するオウデ・クワレモントだ。また昨年ファンアールトが仕掛け、独走を始めた最大勾配20.8%の激坂コッペンベルグも依然として重要なポイントとなるだろう。雨で濡れた昨年とは違い、現地の情報ではドライコンディションの予報されている。



好調ファンデルプールに対するポガチャルの戦略とは?

ストラーデビアンケを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos

2年振りにビッグスリー(ポガチャル、ファンデルプール、ファンアールト)が揃う本大会の注目点は、どこでポガチャルが仕掛けるか。2022年はオウデ・クワレモントでアタックし、スプリントで敗れ4位。だが2023年は同じ場所で仕掛け、残り17kmからの独走勝利を飾っている。

レース2日前の記者会見で「このレースではアタックのチャンスが多くある」と語ったポガチャル。しかし、直前のミラノ〜サンレモでは、自身のアタックに追従したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)に敗北を喫した。そのため世界王者にとって、最後の急坂であるパテルベルグの頂上(残り13.2km地点)までに、いかに独走に持ち込めるかが鍵となる。

試走する前回覇者のマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

一方、ファンデルプールはミラノ〜サンレモからE3サクソ・クラシックを制し、シーズン初戦を合わせてワンデーレース3戦全勝と好調を維持。もし優勝すれば、単独で最多優勝となる4勝目となる。

そんな中でもファンデルプールは、「純粋に勝利を目指し、それができれば記録は後からついてくる。特別な記録だし、それを狙える位置にいるなんて信じられないが、記録を意識して走ることはない」とコメント。ディフェンディングチャンピオンの揺るぎないメンタルを示した。

ファンアールトやスプリントに持ち込みたい選手たち

初制覇狙うワウト・ファンアールト(ベルギー) photo:CorVos

新旧世界王者による対決に、割って入りたいのがワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だ。前哨戦のドワルス・ドール・フラーンデレンでは3対1の数的有利のなか敗れたファンアールトは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで痛めた左膝の影響からか、他のワンデーレースではトップ10入りすら果たせていない。しかし、マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ)にティシュ・ベノート(ベルギー)と戦力はアルペシンに優り、UAEにも引けを取らない。

ビッグスリー以外では、急遽出場を決めたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)にも注目が集まる。ミラノ〜サンレモで2位、E3は3位と好調で、ティレーノ〜アドリアティコでも総合2位と、登坂力の向上も見せている。

フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

他にはドワルス・ドールで優勝したニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)のアタックが見られるかもしれず、集団スプリントになればマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)が有力。若手ではルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)の活躍も期待したい。
ロンド・ファン・フラーンデレン歴代優勝者
2024年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2023年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2022年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2021年 カスパー・アスグリーン(デンマーク)
2020年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2019年 アルベルト・ベッティオル(イタリア)
2018年 ニキ・テルプストラ(オランダ)
2017年 フィリップ・ジルベール(ベルギー)
2016年 ペテル・サガン(スロバキア)
2015年 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos