2025/03/29(土) - 19:00
"勝てるホイール"として存在感を高めるリザーブのグラベルホイールをインプレッション。研究を重ねて生まれた40-44mmハイトによるエアロ性能と、今のグラベルタイヤに合わせた27mm超の内幅など、最新テクノロジーが詰まった「40|44 GR」の性能を紐解く。

リザーブの最新グラベルホイール「40|44 GR」。同社のテクノロジーの結晶と呼べる製品だ photo:So Isobe
ヴィスマ・リースアバイクの活躍によって、僕たち自転車乗りの間にあっという間に知れ渡ったホイールブランドが「リザーブ」だ。控えめなブランドロゴゆえに「謎のホイール」だなんて言われていたことは今や昔。世界最強を誇るヨナス・ヴィンゲゴーの、ワウト・ファンアールトの活躍を支え、創業から10年足らずでツール・ド・フランスを筆頭に、3大グランツールやメジャークラシック制覇という称号を欲しいままにしてきた。
今やリザーブと言えばロードバイクのイメージが強いものの、その出自は野山を駆け抜けるMTBカルチャーにある。トップブランドとして知られるサンタクルズが「自社のフレームに組み合わせるパフォーマンスに優れるホイールが存在しない」という理由から自社開発を決め、やがてサンタクルズと同じPONホールディングス傘下のサーヴェロも開発に合流。サンタクルズの信頼性とサーヴェロのエアロダイナミクス。「ユーザーに魔法のようなライド体験を届ける」という目標の下結束した2ブランドのノウハウは、常勝ホイールブランドという花を開かせるに至った。

フロント40mm、リア44mmのエアロプロファイル。内幅はフロント27.4mm/リア27mmと超ワイドだ photo:So Isobe
オフロードとオンロードのノウハウが最も活きるのが同社のグラベルホイールだ。グラベルカルチャーを引っ張るアメリカ・カリフォルニア発のブランドだけあって、もちろん最先端トレンドにも敏感で、幾つかの製品を経て2024年3月には今回テストを行うリザーブ初となるエアロフィーチャーのグラベルホイール「40|44 GR」のデビューに結びつけている。
ロードホイールかと見違うディープリムは名称通りフロント40mm/リア44mmで、最大50cタイヤに対応するべく内幅はフロント27.4mm/リア27mmと、MTBホイールにも匹敵する超ワイドプロファイル。フロントリムがリアよりも4mmハイトが低く、0.4mmワイドな設計は、実際の風データを長期サンプリングしたリザーブ自慢の「タービュレント・エアロ(TA)」テクノロジーによって導き出されたもので、同じ40/44mmハイトのロードモデルともリム設計を変えるというこだわりようだ。

多くのリザーブ製品同様、ハブはDTスイス。予算に応じて3種類から選ぶことができる photo:So Isobe
リザーブのホイールは基本的にDTスイスのハブとサピムのCX-Rayスポーク、外出しのニップルという極めて一般的な構成だ。多くのホイールブランドが自社製ハブやカーボンスポークを採用し始めている現在では目立つものではないが、一方でハブをDT180、DT240、そしてDT350の3種類から予算に応じて選べるのが嬉しいところ。DT180ハブ使用時でペア重量1376gと非常に軽く作られていることも、ライバル製品に対する大きなアドバンテージだ。
セミフックデザインによる装着タイヤの制限なし、重量制限もなし。リザーブ独自の強化された内部スポークホールなどによる無過失でのクラッシュによる交換をサポートする生涯保証、チューブレスでもチューブ付きでもセットアップ可能という万能性を誇る「40|44 GR」の価格は、DT350ハブ仕様で税込280,500円とリーズナブル。最高峰のDT180ハブ仕様でも434,500円と、十分ライバル製品と渡り合えるレベルと言えるだろう。
「ふわりと軽やかで脚にこない。総合レベルの高い逸品」三上和志(サイクルハウスミカミ)

サイクルハウスミカミ店主の三上和志さんにインプレッションを依頼。得意にする地元のフィールドでテストを行った photo:So Isobe
「とにかく軽くて、乗りやすく、脚にこない。すごく完成度の高いグラベルホイールですね」と言うのは、埼玉県飯能市にあるサイクルハウスミカミ店主の三上和志さん。三上さんは周囲に無数に広がるオフロードフィールドを知り尽くし、「グラベル」と言う言葉が生まれる遥か昔からクラブメンバーと一緒にドロップハンドルのオフロードバイク遊びを続けてきた。
「ペダリングに対してヨレている感覚はないのに、ふわりと進む軽やかなバネ感があるんですよ。軽くて硬いホイールとは違って、脚を残して踏み続けられる。ガレている平地でドロッパーポストを1cmくらい下げて、膝に余裕を持ってガンガン踏みたいとき、このエアボリュームと、軽やかでしなやかな踏み味はすごく武器になってくれる。荒れた路面との親和性がすごく高くて、乗り味に出る硬さのコントロールが緻密にされているんだなあ、っていうのを感じますよね」と続ける。

脚を残して踏める、ふわりと軽やかなフィーリング。非常に万能なホイール、と評価する photo:So Isobe
三上さんがオフロードの機材に求めるもの。それは良い意味での「個性のなさ」だ。「オフロードって、ロードと違って走る場所自体にクセがあるから、そこを走る機材はなるべく機構も乗り味も個性がなくて、シンプルな方がいいと思いうんです。まさにこの40|44GRはそのど真ん中。全てがいい。悪く言えばとんがったところがない。でも、だからこそいい。
だから、登ってようが、下っていようが、横風に吹かれていようが、どんな場所や場面でも使える。物理的に軽く、ワイドリムでエアボリュームを稼げるからパンクリスクが低いんです。どうしても傷つきやすいグラベルホイールだから生涯補償はありがたいですし、"良いホイールだから、どんなことがあっても使い続けてくれ"っていうメーカーの強いメッセージを感じますよね」。

「瞬発力が求められるオフロードライドではスターラチェットが活きる」 photo:So Isobe

コアを排除して仏式バルブの3倍の流入量を可能にしたリザーブ自慢のFillmore Valves。充填後のエア抜き調整も非常に簡単だ 
高いエアボリュームは、言わずもがなパンクリスク低減にも繋がる。生涯保証サービスも嬉しい
言わずもがなオフロードではタイヤの空気圧セッティングは極めて大切だ。ライダーの乗り方と体重に応じてタイヤを選び、ヨレずとも弾かれないスイートスポットを見つけることが、快適&パンクリスクの少ないライドへの鍵。超ワイドリムを持つ40|44 GRは、タイヤボリュームゆえにセットアップも容易だったそうだ。
「テストホイールに付いてきたタイヤ(マキシスRAMBLER/44mm)は今まで僕の好みじゃなかったんですが、それは今まで細いリムで使っていたからなんだ、って気づきましたね。ご存知の通り空気圧が高すぎると弾いてしまうので、空気を少しずつ抜いていい感じになってきた...と思っても、細いリムだとすぐに美味しいピークを通り過ぎて腰砕けになってしまう。今回走るにあたって何度も調整作業を行いましたが、とても美味しい領域が広い。ワイドリムにはこういったメリットもあるんだな、と。
その一方で、このホイールの推奨タイヤ幅の下限が30cなんですよ。つまり今のロードタイヤが使えるんです。例えばジップのグラベルホイールは推奨下限が38cですからロードタイヤは使えない。今は30cの優れたタイヤ、ロードバイク並みに速いグラベルバイクもあるから、これ一本でロードと兼用できるのはいいことですね。
他にもハブが3種類から選べて、全部スターラチェット搭載モデルであることが良いんですよ。もう一つ下のグレードのDT370だと3つ爪も用意されていますが、オフロードだと自分の感覚からズレずに駆動して欲しいから3つ爪だと僕はちょっと微妙。こういう部分で「分かっている」なあ、と思いますね。リム性能がこれだけいいから、自分で所有するならハブもDT180にしたい。でもそれだと高くなってしまうから、ものすごく悩みますね(笑)。」

万能で、軽やかで、信頼できる優秀なグラベルホイール。それが40|44 GRだ photo:So Isobe
リザーブの誇る40|44 GRは、見た目から想像される「グラベルじゃこんな高いハイトは踏めないよ」というイメージとは全く異なる、脚とスピードを残せる軽やかな踏み味がその魅力。ビッグボリュームゆえにトレイル込みのアドベンチャーライドでも楽しめるし、エアロ性能で本場北米のようなスピードライドにも◎。幅広いキャパシティが魅力の、優秀なグラベルホイールだ。
リザーブ 40|44 GR スペック
前後重量:1376g(DT180仕様)、1454g(DT240仕様)
リム重量:400g(40GR)、 425g(44GR)
内幅:フロント 27.4mm / リア 27mm
外幅:フロント 36mm / リア 34.4mm
推奨タイヤ:30~50mm
スポーク数: 24H
フリーハブオプション: XDR、HG-EV
ディスクスタイルオプション:センターロック
ハブ間隔:12x100mm / 12x142mm
左右非対称オフセット:リア 2.7mm
税込価格:434,500円(DT180仕様)、365,200円(DT240仕様)、280,500円(DT350仕様)、126,500円(リム単体)

ヴィスマ・リースアバイクの活躍によって、僕たち自転車乗りの間にあっという間に知れ渡ったホイールブランドが「リザーブ」だ。控えめなブランドロゴゆえに「謎のホイール」だなんて言われていたことは今や昔。世界最強を誇るヨナス・ヴィンゲゴーの、ワウト・ファンアールトの活躍を支え、創業から10年足らずでツール・ド・フランスを筆頭に、3大グランツールやメジャークラシック制覇という称号を欲しいままにしてきた。
今やリザーブと言えばロードバイクのイメージが強いものの、その出自は野山を駆け抜けるMTBカルチャーにある。トップブランドとして知られるサンタクルズが「自社のフレームに組み合わせるパフォーマンスに優れるホイールが存在しない」という理由から自社開発を決め、やがてサンタクルズと同じPONホールディングス傘下のサーヴェロも開発に合流。サンタクルズの信頼性とサーヴェロのエアロダイナミクス。「ユーザーに魔法のようなライド体験を届ける」という目標の下結束した2ブランドのノウハウは、常勝ホイールブランドという花を開かせるに至った。

オフロードとオンロードのノウハウが最も活きるのが同社のグラベルホイールだ。グラベルカルチャーを引っ張るアメリカ・カリフォルニア発のブランドだけあって、もちろん最先端トレンドにも敏感で、幾つかの製品を経て2024年3月には今回テストを行うリザーブ初となるエアロフィーチャーのグラベルホイール「40|44 GR」のデビューに結びつけている。
ロードホイールかと見違うディープリムは名称通りフロント40mm/リア44mmで、最大50cタイヤに対応するべく内幅はフロント27.4mm/リア27mmと、MTBホイールにも匹敵する超ワイドプロファイル。フロントリムがリアよりも4mmハイトが低く、0.4mmワイドな設計は、実際の風データを長期サンプリングしたリザーブ自慢の「タービュレント・エアロ(TA)」テクノロジーによって導き出されたもので、同じ40/44mmハイトのロードモデルともリム設計を変えるというこだわりようだ。

リザーブのホイールは基本的にDTスイスのハブとサピムのCX-Rayスポーク、外出しのニップルという極めて一般的な構成だ。多くのホイールブランドが自社製ハブやカーボンスポークを採用し始めている現在では目立つものではないが、一方でハブをDT180、DT240、そしてDT350の3種類から予算に応じて選べるのが嬉しいところ。DT180ハブ使用時でペア重量1376gと非常に軽く作られていることも、ライバル製品に対する大きなアドバンテージだ。
セミフックデザインによる装着タイヤの制限なし、重量制限もなし。リザーブ独自の強化された内部スポークホールなどによる無過失でのクラッシュによる交換をサポートする生涯保証、チューブレスでもチューブ付きでもセットアップ可能という万能性を誇る「40|44 GR」の価格は、DT350ハブ仕様で税込280,500円とリーズナブル。最高峰のDT180ハブ仕様でも434,500円と、十分ライバル製品と渡り合えるレベルと言えるだろう。
「ふわりと軽やかで脚にこない。総合レベルの高い逸品」三上和志(サイクルハウスミカミ)

「とにかく軽くて、乗りやすく、脚にこない。すごく完成度の高いグラベルホイールですね」と言うのは、埼玉県飯能市にあるサイクルハウスミカミ店主の三上和志さん。三上さんは周囲に無数に広がるオフロードフィールドを知り尽くし、「グラベル」と言う言葉が生まれる遥か昔からクラブメンバーと一緒にドロップハンドルのオフロードバイク遊びを続けてきた。
「ペダリングに対してヨレている感覚はないのに、ふわりと進む軽やかなバネ感があるんですよ。軽くて硬いホイールとは違って、脚を残して踏み続けられる。ガレている平地でドロッパーポストを1cmくらい下げて、膝に余裕を持ってガンガン踏みたいとき、このエアボリュームと、軽やかでしなやかな踏み味はすごく武器になってくれる。荒れた路面との親和性がすごく高くて、乗り味に出る硬さのコントロールが緻密にされているんだなあ、っていうのを感じますよね」と続ける。

三上さんがオフロードの機材に求めるもの。それは良い意味での「個性のなさ」だ。「オフロードって、ロードと違って走る場所自体にクセがあるから、そこを走る機材はなるべく機構も乗り味も個性がなくて、シンプルな方がいいと思いうんです。まさにこの40|44GRはそのど真ん中。全てがいい。悪く言えばとんがったところがない。でも、だからこそいい。
だから、登ってようが、下っていようが、横風に吹かれていようが、どんな場所や場面でも使える。物理的に軽く、ワイドリムでエアボリュームを稼げるからパンクリスクが低いんです。どうしても傷つきやすいグラベルホイールだから生涯補償はありがたいですし、"良いホイールだから、どんなことがあっても使い続けてくれ"っていうメーカーの強いメッセージを感じますよね」。



言わずもがなオフロードではタイヤの空気圧セッティングは極めて大切だ。ライダーの乗り方と体重に応じてタイヤを選び、ヨレずとも弾かれないスイートスポットを見つけることが、快適&パンクリスクの少ないライドへの鍵。超ワイドリムを持つ40|44 GRは、タイヤボリュームゆえにセットアップも容易だったそうだ。
「テストホイールに付いてきたタイヤ(マキシスRAMBLER/44mm)は今まで僕の好みじゃなかったんですが、それは今まで細いリムで使っていたからなんだ、って気づきましたね。ご存知の通り空気圧が高すぎると弾いてしまうので、空気を少しずつ抜いていい感じになってきた...と思っても、細いリムだとすぐに美味しいピークを通り過ぎて腰砕けになってしまう。今回走るにあたって何度も調整作業を行いましたが、とても美味しい領域が広い。ワイドリムにはこういったメリットもあるんだな、と。
その一方で、このホイールの推奨タイヤ幅の下限が30cなんですよ。つまり今のロードタイヤが使えるんです。例えばジップのグラベルホイールは推奨下限が38cですからロードタイヤは使えない。今は30cの優れたタイヤ、ロードバイク並みに速いグラベルバイクもあるから、これ一本でロードと兼用できるのはいいことですね。
他にもハブが3種類から選べて、全部スターラチェット搭載モデルであることが良いんですよ。もう一つ下のグレードのDT370だと3つ爪も用意されていますが、オフロードだと自分の感覚からズレずに駆動して欲しいから3つ爪だと僕はちょっと微妙。こういう部分で「分かっている」なあ、と思いますね。リム性能がこれだけいいから、自分で所有するならハブもDT180にしたい。でもそれだと高くなってしまうから、ものすごく悩みますね(笑)。」

リザーブの誇る40|44 GRは、見た目から想像される「グラベルじゃこんな高いハイトは踏めないよ」というイメージとは全く異なる、脚とスピードを残せる軽やかな踏み味がその魅力。ビッグボリュームゆえにトレイル込みのアドベンチャーライドでも楽しめるし、エアロ性能で本場北米のようなスピードライドにも◎。幅広いキャパシティが魅力の、優秀なグラベルホイールだ。
リザーブ 40|44 GR スペック
前後重量:1376g(DT180仕様)、1454g(DT240仕様)
リム重量:400g(40GR)、 425g(44GR)
内幅:フロント 27.4mm / リア 27mm
外幅:フロント 36mm / リア 34.4mm
推奨タイヤ:30~50mm
スポーク数: 24H
フリーハブオプション: XDR、HG-EV
ディスクスタイルオプション:センターロック
ハブ間隔:12x100mm / 12x142mm
左右非対称オフセット:リア 2.7mm
税込価格:434,500円(DT180仕様)、365,200円(DT240仕様)、280,500円(DT350仕様)、126,500円(リム単体)
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