本日3月22日、モニュメントの初戦であるミラノ〜サンレモが開催される。前哨戦で負傷したフィリプセン擁するアルペシンはファンデルプールら強力メンバーを揃え、初優勝狙うポガチャルやピーダスン、ピドコックを迎え撃つ。



リグーリア海を左手に進むミラノ〜サンレモ photo:CorVos

パレード走行を含めると300kmに迫り、レース時間は6時間に至る。イタリア北部のロンバルディア州を舞台に行われる今年のミラノ〜サンレモ(UCIワールドツアー)は、2年連続でミラノ近郊のパヴィーアを出発し、南下してリグーリア海を沿うようにサンレモを目指す。総距離はワンデーレースとしては最長である289kmで、勝負所は例年通りチプレッサ、そしてポッジオという2つの丘となる。

別名「ラ・プリマヴェーラ(春)」と呼ばれる大会は今年で116回目を迎え、初開催は1907年まで遡る。ロンバルディア平原を駆ける前半部は平坦路で、残り149.7kmのトゥルキーノ峠を越えるとリグーリア海に出る。選手たちの緊張感が増していくのは残り51.6kmより登場する3つの岬「トレ・カーピ(カーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタ)」からだ。

ミラノ〜サンレモ2025 コースプロフィール image:RCS Sport

そして残り27.35kmからのチプレッサ(距離5.65km/平均4.1%/最大9%)と、残り9.3kmから始まるポッジオ(距離3.7km/平均3.7%/最大8%)が平坦路を挟んで登場する。2022年は下りアタック、2023年はポッジオの頂上手前で勝負が決まり、昨年は集団スプリントに持ち込まれた。

多岐に渡る勝利のパターンが魅力のレースは、今年どんなドラマを見せてくれるか。



鉄壁アルペシンに、ポガチャルはどう立ち向かう?

連覇狙うヤスペル・フィリプセン(ベルギー) photo:CorVos

2023年はマチュー・ファンデルプール(オランダ)がポッジオでのアタックを成功させ、2024年はヤスペル・フィリプセン(ベルギー)が集団スプリントから、チーム2連覇を達成したアルペシン。今年はフィリプセンが前哨戦で怪我をするアクシデントがあったものの、7度目のシクロクロス世界王者に輝いたファンデルプールとの円熟したコンビネーションは脅威。

またフィリプセンが振るわずとも、チームには初出場のカーデン・グローブス(オーストラリア)で集団スプリントを狙うことができる。ファンデルプールのリードアウトからどちらが踏み込み勝利を狙うか。盤石な戦力を揃えるアルペシンが3連覇を目指す。

マチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

初制覇を目指すタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:CorVos

一方のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は4つ目のモニュメント制覇を狙いに行く。5位、4位、そして昨年3位と徐々に順位を上げる世界王者だが、ポッジオでのアタックは毎年不発に終わっている。しかし今年は新加入のジョナタン・ナルバエス(エクアドル)に加え、前哨戦ミラノ〜トリノを制したイサーク・デルトロ(メキシコ)と強力なメンバーが揃う。

チームメイトによる連続アタックでファンデルプールを疲弊させ、ポガチャルが満を持してアタックを決めることができるか。

好調ピーダスンやピドコックに注目

ピーダスンとミランを揃えるリドル・トレック photo:CorVos

直近パリ〜ニースの山岳ステージでクライマー顔負けの登坂を見せたマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)も優勝候補の1人。ポッジオで牽制になればスプリント力のあるジョナタン・ミラン(イタリア)でも勝利が狙え、2021年覇者のヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)もいるリドルは上記2つのチームに負けない戦力を有する。

他には2023年2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)や前年2位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が優勝しても不思議ではない。また2022年大会ではマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)がポッジオの下りで後続を突き放し勝利。同じくダウンヒラーのトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)も同様の展開を狙ってくるだろう。

フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:CorVos
トーマス・ピドコック(イギリス) photo:CorVos

ビニヤム・ギルマイ(エリトリア) photo:Makoto AYANO

集団スプリントになればビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)やマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)も有力。またワウト・ファンアールト(ベルギー)が不在のヴィスマ・リースアバイクはスプリントに優れたオラフ・コーイ(オランダ)で挑み、またマキシム・ファンヒルス(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の存在も忘れてはいけない。

同日に初開催される女子レースのプレビューはこちらから。
ミラノ〜サンレモ歴代優勝者
2024年 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)
2023年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2022年 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
2021年 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)
2020年 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
2019年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2018年 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2017年 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)
2016年 アルノー・デマール(フランス)
2015年 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos