3月1日(土)、千葉県成田市の下総運動公園内で「しもふさクリテリウム 3月」が開催され、QNリーグ最終戦が併催された。Qリーグは根本香織が、Nリーグ中学生男子Nは⻄澤崇介、中学生女子NWは岡田愛裕來がリーダージャージを守り抜いた。QNリーグ主催者からのレポートで紹介する。



レディースのレーススタートを待つ、バトルマリンジャージ姿も板についた岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15) photo:gg_kasai

3月1日(土)、季節を先取りするような春の暖かさのなか、千葉県成田市・下総運動公園内において、リーグの締めくくりを飾る今期5回目の最終戦「しもふさクリテリウム3月」が開催された。

この大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で、今シーズンの開幕戦「しもふさクリテリウム5月」と同じく会場内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースでおこなわれた。今回もトップクラスは勿論、ジュニアやキッズ、女子にも人気が高く多くの参加者が集まったなか、今シーズンもリーグ最終戦として対象レースをQリーグと、Nリーグ中学生女子NWはレディースクラス、Nリーグ中学生男子Nは中学生クラスに設定し、それぞれのレースで年間総合ポイントリーダーが決まる熱い闘いが繰り広げられた。

先行する内房レーシング安藤を懸命に追う根本(写真左)とブラウ岡田(写真中央) photo:gg_kasai

先行していた選手が戻り、再び集団が1つとなった選手達をチェックするブラウ岡田(右) photo:gg_kasai

朝から風の穏やかな天候のなか、大会ホストチームで J プロツアーを中心に活躍するマトリックスパワータグの所属選手達が、第1レースとなる120分エンデューロで参戦ライダーをエスコートしながら大会を温める。そして各レース前試走の時間帯で実施されるサイクルクリニックでは、今回もハムスタースピン代表・福田昌弘氏が担当。集まった顔ぶれに合わせて安全走行のコツを指導してから、コース試走へと送り出していた。

8時過ぎからスタートした120分エンデューロから個人タイムトライアル、キッズの各年齢別レースとスケジュールが進み、いよいよ昼過ぎの12時15分にQリーグとNリーグ中学生女子NWが対象となるレディースクラスが、小学生チャンピオンクラスに時差1分の混走でスタートした。エントリーは8名で、そのなかには現在Qリーグのポイントリーダーを守る佐藤直美(Yahoo! JAPAN)、そしてNリーグに登録するも今シーズンはリーグシリーズ戦出場の機会が少なかった小田島寛奈(#1-PRIMERA)の名前もあったが、残念ながら両名ともに不参加だった。

レディースクラス、ゴールスプリントを制し見事優勝した岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15) photo:gg_kasai

そのため当日、出走した6名の選手全員に優勝の可能性が上がったこともあり、コース5周=7.5kmとなる短期決戦はスタートから⻁視眈々とお互いを探り合う展開となった。スタートし、しばらくしてからのローリング解除から集団の先頭から飛び出し最初にアタックしたのは安藤雅子(内房レーシングクラブ)。その5秒ほど後ろに集団を従えた状況で2周回目へ入る。

次周回でも集団から3秒ほど差を付けて安藤がリードしたままレースが進んだが、3周目に安藤が集団に吸収されてからは一気にレース展開はスローに。1周のタイムが残り2周目で2分32秒、残り1周に入ったときが2分45秒まで落ちていくが、その隙を狙いすまして切り裂いたのがNリーグ中学生女子のポイントリーダーであるブラウ・ブリッツェンU15の岡田愛裕來。昨シーズンのシリーズ最終戦で優勝を狙うも同レース3位の悔しさ、その後しもふさクリテでの優勝から遠ざかっていたこともあって、ゴールスプリントに雪崩れ込んだ4名中で唯一、しっかりとハンドルを投げ念願の優勝を手に入れた。

肩周辺が一回り大きくなった岡田は、しっかりハンドルを投げて優勝を決めた(中央) photo:gg_kasai

レディース表彰式、左よりプレゼンターのマトリックスパワータグの橋本昂哉、2位セマス R 市村、優勝ブラウ岡田、3位 Team 一匹狼・根本、マトリックスパワータグの岡崎一輝(Photo:gg_kasai) photo:gg_kasai

2位には市村愛(セマスR新松戶)、3位には根本香織(Team 一匹狼)が入り、この結果によりNリーグ中学生女子NWの年間総合ポイントリーダーには2年連続でブラウの岡田が獲得。そしてQリーグは最終戦による5ポイントのボーナス加点もあって一匹狼の根本が大逆転し、年間総合ポイントリーダーの座を手に入れた。

最後の最後でアメジストジャージを獲得した根本。今シーズンは苦戦が続いていて年間総合ポイントリーダー授与式でも、その点について「今シーズンは昨シーズンと変わってレースの順位が、そのままリーグ順位となって獲得ポイントとランキングが決まるので勝負で難しいところがあったんです」と苦しい胸の内を明かしてくれた。しかし「最後に奪還できてうれしいです!」とハッピーエンドとなった結果に笑顔でコメント。

ようやく今期の最終戦でアメジストジャージに袖を通すことが出来た一匹狼・根本 photo:gg_kasai

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2年連続の年間総合ポイントリーダーとなり⻑年、走りでQリーグを盛り上げてくれている根本に来シーズンの抱負を聞くと「今シーズンは参戦できなかったレースもいくつかあったのですが、来シーズンはスケジュールを空けて毎レースチャレンジしていきたいと思いますので、皆さんよろしくお願いします!」と今後への気合いを語ってくれた。

Nリーグ中学生女子NWの年間総合ポイントリーダー授与式に、開幕戦から守り通したバトルマリンジャージ姿で登場した岡田は、最終戦を力強い積極的な走りで優勝を決めたこともあり「最近、結果を出せていなかったので、最終戦で優勝できて良かったです!」と自信にあふれた表情でコメント。

最終戦で3位入賞、年間総合ポイントリーダーも獲得し最高の笑顔がこぼれる根本 photo:gg_kasai
年間総合ポイントリーダー授与式、笑顔で声援に応えていたブラウ岡田 photo:gg_kasai


2年連続のバトルマリンジャージ獲得で一層自信をつけた岡田。今後の活躍も注目したい photo:gg_kasai

ジュニア強化レースでは、今回もマトリックスパワータグの安原昌弘監督から貴重な講評とともに敢闘賞が贈られた。Nリーグ登録選手たちも敢闘賞に選ばれる素晴らしい走りを見せた photo:QNリーグ事務局
今大会最速ラップを出す展開で盛り上げたジュニア強化レース敢闘賞受賞選手 photo:QNリーグ事務局


昨シーズンは中学1年生、そして今シーズンは2年生での連続Nリーグ年間総合ポイントリーダー防衛に成功した岡田は、来シーズンは高校受験を控えて「受験勉強も自転車も頑張りたいと思います」と益々忙しくなる学校生活への抱負も教えてくれた。来シーズンはリーグシリーズ戦を中心に、四日市ジュニアロードレースなど全国大会レベルでの活躍にも期待したい。

その後、恒例となったジュニア強化レースや、実力別クラスレースが続き、午後2時26分からNリーグ中学生男子Nの対象レースとなる中学生クラスのスタート。コース6周=9.0kmで決まる決戦に、今回は27名がエントリーしており、このなかには前回2月の大磯クリテリウム第 5 戦で活躍していた選手の名前もあった。

スタートを待ちわびる中学生クラスの参戦選手たち photo:gg_kasai

MCノゾミ氏からの選手紹介にバトルマリンジャージ姿 vite Jambe ⻄澤が堂々と応える photo:gg_kasai

スタートしてローリング解除の後、リアルスタートから直ぐに集団から動きがあり、最初の周回を終えて髙橋琉登(Komami.Racing)が単独で飛び出し、後続集団に5秒ほどの差をつける。しかし2周回目を終えたときには、すぐ後ろに集団が迫る状況で、間もなく集団はひとつに。

3周目では集団の頭を今シーズンのNリーグを大いに盛り上げた現ポイントリーダー⻄澤崇介(vite Jambe)、ポイントランキング2位の柬理日楠詩(Team FITTE)、3位の渡邉公太(ブラウ・ブリッツェンU15)、4位の高橋祐樹(LINKVISION)、そして途中からリーグ登録したもののランキングを6位まで上げた平山智也(BM レーシング)の5人が固め、レース全体の動きをコントロールしている。

集団の頭を固めるNリーグ選手達は、積極的な動きでレース展開を作る photo:gg_kasai
ゴールに向かう最後の駆け上がり、一気に雪崩れ込んでくる先頭集団 photo:gg_kasai


⻄澤(左)と吉田(中央)の一騎打ちとなったスプリントは、僅差で吉田に軍配が上がる photo:gg_kasai

しかし毎戦、Nリーグ登録の選手達が活躍している状況を黙ってみているわけではない。残り2周に入り小林拓海(#1-PRIMERA-)が集団の先頭を引き始めると集団のペースが上がり、17名にまで人数が絞られる。更に残り1周では集団から8名が飛び出して、最終的には6名でゴールスプリントへ。

先頭を切ってゴールに入ったのはポイントリーダー⻄澤、そして吉田楓芽(フラムルージュ)の2名。お互いに鋭くハンドルを投げ、タイヤ差で軍配は吉田に上がった。惜しくもシリーズ戦の連勝が続いていた⻄澤が2位に、そして最後まで粘ったブラウ渡邉が3位となり表彰台圏内に入った。

中学生クラスの表彰式、左よりプレゼンターのマトリックスパワータグの植益和行、2位の⻄澤、優勝フラムルージュ吉田、3位ブラウ渡邉の各入賞選手 photo:gg_kasai

Nリーグ中学生男子N冠協賛の武田レッグウェアー株式会社様から年間総合特別賞としてR×L公式オンラインショップで使える1万ポイントも追加プレゼントされた photo:gg_kasai

今期、急成⻑を見せオールラウンダーな走りでランキング2位となったFITTE 柬理 photo:gg_kasai
中盤まで好調を見せるも年末の怪我に泣いたランキング3位の渡邉、しかし最終戦では表彰台をゲット photo:gg_kasai


中学生クラスの表彰式の後におこなわれたNリーグ中学生男子Nの年間総合ポイントリーダー授与式において、前回シリーズ戦でコメントしていた「最終戦での優勝」を、あとわずかで逃しての2位について質問を投げた。

するとバトルマリンジャージの⻄澤は、少し沈黙があってから絞り出すように「悔しいです」と重く一言をコメントするのが精一杯。しかしシリーズ全11戦の参戦を通じて「友達も増えたし、自分も強くなれたし、成⻑したなあ、と思いました」と実り多い貴重な経験になった、とコメントしてくれた。そんな⻄澤選手の活躍を見届けたリーグ戦ファンの皆さんも、1年にわたり一緒に成⻑をご覧いただけたと思う。

ポイントリーダーを⻁視眈々と狙い続けた最高のライバルたち、見事なコメントで爆笑! photo:gg_kasai

今年4月から高校生になる⻄澤、このシーズンでNリーグ卒業なので来シーズンに続くNリーグポイントリーダーを目指す中学生選手たちへのコメントをお願いすると、「皆で切磋琢磨してレースを動かしてください!」と語った。自分が積極的にレースを動かしで成⻑したことを今後に続くNリーグ選手たちへの熱いエールとして贈った。

さらに、Nリーグ中学生男子 N のバトルマリンジャージを巡る熱い闘いを盛り上げてくれた年間ポイントランキング2位の柬理、3位の渡邉にもポイントリーダージャージ協賛のビオレーサー様より特別賞が授与された。

Nリーグを通じて中学生男女選手達の成⻑を見守る協賛各社に感謝する選手達 photo:QNリーグ事務局

授与式に登場したランキング3位の渡邉は「高校受験なので勉強も自転車も頑張りたいです!」、2位の柬理は「来年は(渡邉)公太に負けないように1年、過ごして頑張りたいです!」とコメント。中学3年生で高校受験を控える2人に、ポイントリーダー⻄澤からは「頑張ってください!!」と笑顔でエール。3人揃って爆笑となり、この1年を通して最高の仲間になった姿を見せてくれた。

photo:gg_kasai、QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QN リーグ事務局)
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