ヴィンゲゴーが落車で手を怪我したパリ〜ニース第5ステージ。最大18%の激坂でレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)が移籍後初勝利を挙げ、ジョーゲンソンが総合首位に再浮上した。



第5ステージに向かうジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) photo:A.S.O.

パリ〜ニース第5ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
雹と雪でレースが一時中断され、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)の勝利から一夜明けた3月13日、パリ〜ニースは第5ステージを迎えた。この日のコースはアルデンヌクラシックのような短く、勾配が二桁の急坂が後半に連続するレイアウト。特にラストの2級山岳コート・ド・ノートルダム・ド・シエ(距離1.7km/平均11.1%)は最大勾配18%の激坂だ。

雪が降る寒さの中スタートしたレースは、最初の2時間の平均スピードが48km/hの高速で展開する。数多のアタックの末、出場選手で最年少のティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ)と37歳のベテラン、ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がエスケープ。メイン集団はヴィスマ・リースアバイクがタイトにコントロールするなか、残り84km地点で総合首位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が落車した。

エスケープしたベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とティボー・グリュエル(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.

ヴィンゲゴーは無事にプロトンに復帰したものの、レース後、手を打撲していたことが判明。そのままレースは4つの3級山岳が連続する終盤に突入し、前日と同じくトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。先頭にいるスウィフトらに合流し、遅れてプロトンからはマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)も飛び出した。

しかしフェリックス・ガル(オーストリア)で勝負したいデカトロンAG2Rラモンディアールが先導するプロトンはそれを許さず、マシューズら3名を引き戻す。先頭ではフォスが単独となり、1分のリードで踏み続ける。逃げ切りを目指した元TT世界王者だったが、残り4km地点で捉えられ、勝負は精鋭集団による激坂勝負となった。

高速レースとなった第5ステージ photo:CorVos

ラ・コート・サン・タンドレの中心にある、教会へと続く最大勾配18%の坂では、ヴィスマがハイペースで集団の人数を絞る。残り1kmからはブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)が先頭に出ると、ヴィンゲゴーが遅れていく。マクナルティが役割を終え、ヴィスマのエースを託されたジョーゲンソンが自ら先頭で踏む。

ヤングライダー賞ジャージを着るマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)や前日勝者のアルメイダなど遅れるなか、淡々と脚を回すジョーゲンソンには同じアメリカ国籍のマグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアーズ)などが食らいつく。しかし残り200mを切り、勝負はジョーゲンソンとレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)、そしてXDSアスタナのクレモン・シャンプッサン(フランス)&アロルド・テハダ(コロンビア)の4名に絞られる。

残り100mからマルティネスがダンシングで加速し、そのスピードには誰もついていくことはできなかった。

激坂を制したレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.

移籍後初勝利を飾ったレニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:A.S.O.

下部チームからプロデビューしたグルパマFDJを離れ、今年加入したバーレーンに初勝利をもたらしたマルティネス。「本当に嬉しい勝利。最後の坂は残り150mから行くと決めていた。人数が4名に絞られ、”失敗はできない”と集中し、全力で踏み込んだ。後ろを振り返り、差ができていたので信じられなかったよ」と21歳の若手クライマーは語った。

2位は3秒遅れでシャンプッサンが入り、ジョーゲンソは3位でボーナスタイム4秒をゲット。ヴィンゲゴーは26秒遅れの16位と健闘するなか、総合首位にはジョーゲンソンが再び浮上している。

リーダージャージを取り戻したマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

パリ〜ニース2025第5ステージ結果
1位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) 4:36:23
2位 クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) +0:03
3位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ)
5位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
6位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) +0:07
7位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:11
8位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:16
9位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)
10位 オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) +0:18
16位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:26
個人総合成績
1位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) 16:27:26
2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:22
3位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:36
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) +0:40
5位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:55
6位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:57
7位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +1:05
8位 テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) +1:14
9位 クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) +1:22
10位 アロルド・テハダ(コロンビア、XDSアスタナ) +1:24
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 トマ・ガシニャール(フランス、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.

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