雨と寒さの中、239kmコースで行われたティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ。アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)が集団スプリントを制し、地元イタリアに3連勝をもたらした。



エアロヘルメットで臨んだベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport

ティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ コースプロフィール image:RCS Sport
リドル・トレックのジョナタン・ミラン(イタリア)勝利から一夜明け、イタリア舞台のティレーノ〜アドリアティコは3日目を迎えた。大会最長距離である239kmは内陸部の平坦を進み、ラストにヴァリコ・ディ・コルフィオリト(距離18.5km/平均3.1%)が待ち受ける。フィニッシュ地点はその頂上ではなく、そこから4km進んだ先にある。

スプリンターには厳しいものの、総合順位が争われるほどの難易度はない。逃げ切り含め、あらゆる脚質にチャンスのあるレースは、ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)を含む2名が逃げた。

悪天候によりレースが中断したフランスのパリ〜ニースと同様に、イタリアにも雨が降り注ぎ悪天候となった。メイン集団はイネオス・グレナディアーズが先導し、濡れた路面を慎重に進む。コース前半にある2つのカテゴリー山岳は、20歳のプロ3年目であるロレンツォ・コンフォルティ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がどちらもトップ通過した。

ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)ら2名が逃げる photo:RCS Sport

プロトンでレースを進めるトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:RCS Sport

レース後半に入っても天候は回復せず、選手たちは濡れたレインウェアを交換しながら10度前後の寒さに耐える。イネオスの牽引に協力したリドル・トレックからは、残り23km地点でミランが落車に巻き込まれるシーンも。しかし大勢に大きな影響はなく、ヴァリコ・ディ・コルフィオリトの中腹(残り9km地点)でプロトンが逃げを捉えた。

大きな集団から、まずEFエデュケーション・イージーポストのエースであるリチャル・カラパス(エクアドル)がアタック。これをきっかけにマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)も動いたが、決定的な差は生まれず、集団は頂上を通過した。下り区間に入ると、総合首位のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が満を持して仕掛けた。

集団ひと塊のままレースは終盤に突入 photo:RCS Sport

しかしこれも不発に終わり、勝負は集団スプリントに持ち込まれる。最終ストレートでアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)が渾身のスプリントを披露し、背後につけたトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)を振り切り、勝利を掴み取った。

ピドコックらを振り切り、勝利したアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:RCS Sport

悪天候の激しい戦いを、鋭いスプリントで制したヴェンドラーメ。「約240kmの距離に雨と寒さというタフなステージとなった。最後の登りで多くのアタックが繰り広げられたが、冷静さを保ちフィニッシュに備えた。最後の地形は予習済みで、自分に向いたレイアウトだと思っていた」と、レースを振り返った。

初日のガンナからミラン、そしてヴェンドラーメと3日連続でイタリア人がステージ優勝したのは2003年以来の快挙だ。

ティレーノ〜アドリアティコ2025第3ステージ結果
1位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) 6:28:25
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)
3位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)
4位 リック・プルイマース(オランダ、チューダー・プロサイクリング)
5位 ロジャー・アドリア(スペイン、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
6位 シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、XDSアスタナ)
7位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
8位 アレックス・アランブル(スペイン、コフィディス)
9位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 4:57:30
2位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) +0:19
3位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) +0:22
4位 ヨハン・プリースパイタースン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:28
5位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:29
6位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) +0:34
7位 マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) +0:36
8位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:37
9位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:38
10位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング) +0:40
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)
ヤングライダー賞 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:RCS Sport