パリ〜ニース3日目は独自ルールのチームトライアル。丘を含む28.4kmコースを平均55.962km/hで駆け抜けたヴィスマ・リースアバイクが優勝し、マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ)がマイヨジョーヌに袖を通した。



2008年までF1フランスグランプリの舞台だったマニクールサーキットが出発地点 photo:A.S.O

2つの丘を含む28.4kmコース photo:A.S.O
パリ近郊から地中海沿岸のニースを目指す春の名門ステージレース「パリ〜ニース(UCIワールドツアー)」の3日目は、チーム単位のスピードを競い合うチームタイムトライアル。「シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニ=クール」、つまり2008年までF1フランスグランプリの舞台となっていたマニクール・サーキットを出発し、ヌヴェールの街中にフィニッシュする28.4kmコースを各チームのTTトレインが駆け抜けた。

コースレイアウト的には中盤に控える丘と、終盤に用意された最大勾配11%の登坂どう攻略するかがポイント(獲得標高は264m)で、先頭でフィニッシュした選手のタイムがフィニッシュタイム(個人成績は各選手の実時間を適用)となる。4人目、もしくは5人目のフィニッシュタイムで争われる一般的なチームタイムトライアルと異なるパリ〜ニース独自ルールに対して、どのチームも2名でフィニッシュに飛び込む戦略で臨んだ。

第2出走で好タイムを叩き出したジェイコ・アルウラーはステージ2位 photo:CorVos

序盤に指標となるタイムを叩き出したのは、第1走のチューダー・プロサイクリングに続いて出発したジェイコ・アルウラーだった。前日の第2ステージで鎖骨骨折に見舞われたTTスペシャリストのルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)を欠いていたものの、最後はスプリンターのマイケル・マシューズが総合を狙うベン・オコーナー(共にオーストラリア)を引き連れて30分41秒でフィニッシュ(平均55.5km/h)。続くイネオス・グレナディアーズも好走したものの18秒届かなかった(最終的に5位)。

目覚ましい走りを披露したのが超強力メンバーでパリ〜ニースに臨んだヴィスマ・リースアバイクだ。欧州TT王者のエドアルド・アッフィニ(イタリア)やヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)をアシストとして使いきり、最後はマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ)がヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)を引き連れてフィニッシュ。ジェイコを14秒半上回る30分26秒(平均55.962km/h)で一躍ホットシートを奪い取ることに。

最速タイムを叩き出したヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O

ホットシートでインタビューを受けるヴィスマ・リースアバイク photo:A.S.O

好走したレッドブル・ボーラ・ハンスグローエもジェイコに10秒届かず、最終出走チームとなったスーダル・クイックステップのフィニッシュを待ってヴィスマのステージ優勝が決定。チーム全員が表彰台に上がると共に、ジョーゲンソンがマイヨジョーヌ獲得、6秒差の個人総合2位にヴィンゲゴーが入る結果となった。

黄色いチームジャージにマイヨジョーヌを重ね着したジョーゲンソンは「みんなのことを誇りに思うよ。全員がそれぞれの役割を完璧にこなすことができたし、こんな最高レベルのチームメイトに囲まれて走るだなんて普通のことじゃない。ヨナスと僕は最後の坂まで連れて行ってもらい、そこからフィニッシュまでは僕が仕事を担った。ここで結果を出すためにチームTTの練習を重ねてきたんだ。それが結果になって現れたと思う」とコメントする。ヴィスマにとっては昨年のパリ〜ニース覇者であるジョーゲンソンとヴィンゲゴーで勝負できる理想的な筋書きだ。

表彰台に上がるヴィスマ・リースアバイクのメンバー photo:A.S.O

マイヨジョーヌに袖を通したマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

「明日マイヨジョーヌを着て走るのが楽しみだ。去年は最終ステージで逆転総合優勝したからマイヨジョーヌを着て走る機会がなかったんだ。これから山岳ステージが始まるけど、僕らのチームはマイヨジョーヌを守る戦力があると信じている」とジョーゲンソンはダブルエース体制で挑む後半戦に向けて自信を覗かせている。

パリ〜ニース2025第3ステージ結果
1位 ヴィスマ・リースアバイク 30:26
2位 ジェイコ・アルウラー +0:14
3位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +0:24
4位 リドル・トレック +0:29
5位 イネオス・グレナディアーズ +0:32
6位 EFエデュケーション・イージーポスト +0:33
7位 デカトロンAG2Rラモンディアル +0:38
8位 UAEチームエミレーツXRG +0:41
9位 モビスター +0:48
10位 スーダル・クイックステップ +0:50
個人総合成績
1位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) 8:13:52
2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:06
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:21
4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
5位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:31
6位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
7位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
8位 ベン・ツィーホフ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:34
9位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:36
10位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +0:38
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 アレクサンドル・ドゥレトル(フランス、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.

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