白い土埃の舞うストラーデビアンケが本日開催。イタリア・トスカーナの未舗装路は今年約10km延長し、過酷さを増したレースでポガチャルが大会史上初の連覇を目指す。対するピドコックやヒルシなど、有力選手たちを紹介する。



今年は1セクター増えた未舗装路 photo:CorVos

未舗装路セクター一覧 image:RCS Media group
近年、モニュメントに匹敵するほどの人気と注目を集めるストラーデビアンケ。この一文が決して偽りではないと感じさせるほど、イタリア・トスカーナの丘陵地帯に通る未舗装路を、白い土埃を上げながら進む選手たちの姿は美しい。そして最後にサンタカテリーナ通りの石畳坂から、大観衆の待つカンポ広場へとなだれ込むフィニッシュシーンが、観客たちを魅了。その存在感は5大クラシックにも比肩する。

風光明媚な景観に並び、その過酷さもまた、春のクラシックを代表する所以だ。コース距離は一昨年の184kmから213kmまで伸び、未舗装路区間も11からいまや16セクターまで増えた。そのため未舗装路は一昨年の63kmから71km、そして今年の81.7kmと過酷さの進化が止まらない。

ストラーデビアンケ2025 コースプロフィール image:RCS Media group

スタートとフィニッシュ地点は変わらずシエナで、コースのちょうど真ん中にセクター7の「セッラヴァッレ(9.3km)」が追加された。直後のセクター8「サン・マルティーノ・イン・グラニア(9.4km)」からは例年と同じコースを辿り、昨年ポガチャルが宣言通りに仕掛けたセクター9「「モンテ・サンテ・マリエ(全長11.5km)」は、今年も勝負所となるだろうか。

獲得標高差が4,000mに迫るレースのラストは、丘の上に位置するシエナ旧市街に続く石畳坂(最大勾配16%)。そして大観衆の待つのカンポ広場にフィニッシュする。

昨年フィニッシュ地点でバイクを掲げたタデイ・ポガチャル(スロベニア) photo:RCS Media group



打倒ポガチャル、王座を狙うライバルたち

パートナーであるウルシュカ・ジガート(スロベニア、AGインシュランス・スーダル)と共にゼッケン1をつけるポガチャル photo:RCS Media group

今年、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)は残り何km地点で飛び出すか。「誰が勝つのか?」よりもこちらの方が現実的な問いであるほど、いまのポガチャルに食らいつける選手のイメージはできない。もちろんそれが可能であろうマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の欠場というのも、ポガチャル一強を強める理由だ。

何よりシーズン初戦のUAEツアーでポガチャルは、区間2勝&総合優勝という結果以上の脚の良さを披露した。正直、今回のスタートリストで世界王者を止められそうな選手は見当たらず、優勝すればファビアン・カンチェッラーラ(2008、12、16年)に並ぶ3勝に加え、大会史上いまだ達成されていない連覇となる。ちなみに直前のインタビューでポガチャルは、30Cのタイヤで空気圧は3.3〜3.5barの間で臨むと語っていた。

トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:RCS Media group

初優勝を目指すマルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング) photo:RCS Media group

世界王者を止められる筆頭は誰か。その可能性が最も高いと目される過去の優勝経験者トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)は、今季3勝と新チームで好調をみせる。またポガチャルの元チームメイトであるマルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング)も、カンチェラーラがオーナーを務めるチームに所属直後のためモチベーションは高い。

ポガチャルが「僕(の独走)だけでなく、戦略的に戦うことも可能だ」と語る通り、UAEには若手のイサーク・デルトロ(メキシコ)と優勝候補に挙がるティム・ウェレンス(ベルギー)と強力メンバーが脇を固める。その他もリドル・トレックはトムス・スクインシュ(ラトビア)とクイン・シモンズ(アメリカ)を揃え、マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット)、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)などもレースを動かしてくるだろう。
ストラーデビアンケ歴代優勝者
2024年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2023年 トーマス・ピドコック(イギリス)
2022年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2021年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2020年 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
2019年 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2018年 ティシュ・ベノート(ベルギー)
2017年 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)
text:Sotaro.Arakawa
photo:RCS Media group