3月2日、富士クリテリウムチャンピオンシップの決勝が静岡県富士市で行われた。レースは残り2周まで続いた逃げ集団を吸収してのスプリント勝負に持ち込まれ、松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が優勝。東京クリテリウムに続き今季ロード2勝目を挙げた。



地元チームのレバンテフジ静岡と、三島市を拠点とするチームブリヂストンサイクリングがスタートラインに揃った photo:Satoru Kato

「富士山サイクルロードレース」2日目は、富士クリテリウムチャンピオンシップの決勝レースが行われた。コースは、富士市内の青葉通りを往復する1周1.8km。富士市文化会館「ロゼシアター」前と、富士市役所前で折り返すシンプルなレイアウトだ。フラットコースではあるものの、残り200m付近から富士市中央公園前のフィニッシュまでは若干の登りとなり、最後のスプリント勝負を難しくしている。

テレビドラマのロケに使用されたこともある富士市のロゼシアター前を集団が駆け抜ける photo:Satoru Kato

富士市役所前を折り返す集団 写真右奥には雲に隠れた富士山 photo:Satoru Kato

この日の富士山は雲がかかって全体を現さず photo:Satoru Kato

この日は朝から晴れて20℃に迫る暖かさになった富士市内。雲間から時々姿を現す富士山が決勝の行方を見守った。

決勝は前日に行われた予選を勝ち上がった75名が出走。30周54kmのレースは序盤から速いペースで進行し、折り返しごとに集団が長く引き延ばされる。

多くの観客が集まった決勝レース photo:Satoru Kato

蛇行しながらも速いペースで周回が進む photo:Satoru Kato

レース序盤、トラブルで遅れた兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)を集団復帰させる photo:Satoru Kato
序盤、日本大学が集団を牽引 photo:Satoru Kato


レース中盤に形成された4名の先頭集団 photo:Satoru Kato

12周目、林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)、白川幸希(ヴィクトワール広島)、床井亮太(レバンテフジ静岡)、横塚浩平(VC福岡)ら4名の集団が先行。第2回大会優勝の横塚を含む独走力のあるメンバーが揃った先頭集団は、20秒前後の差を維持して周回を重ねる。

シマノレーシングが中心となって先行する4名を追走 photo:Satoru Kato

終盤、チームブリヂストンサイクリングが集団を牽引 photo:Satoru Kato

逃げる4名の後方にメイン集団が迫る photo:Satoru Kato

後続集団は追走の飛び出しが起きるものの、先頭集団に合流するまでにはならず。終盤に入るとシマノレーシングやチームブリヂストンサイクリングがコントロールし、徐々に差を縮めていく。残り4周を切ると差は一気に縮まって10秒以内に。そして残り2周、最終周回に入る直前に先頭集団の4名が吸収され、集団はひとつになってスプリント勝負へ。

残り50m、松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が中井唯晶(シマノレーシング)の前に出る photo:Satoru Kato

松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が優勝 photo:Satoru Kato

残り200m、中井唯晶(シマノレーシング)が集団先頭でスプリント。その後方から松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が一気にまくり切り、周囲を確認してから数m残してウィニングポーズを繰り出す余裕を見せた。

チームブリヂストンサイクリングは毎年優勝候補に挙げられてきたが、大会4回目にして初勝利。「実は富士クリテリウムの決勝を走るのは初めてなので、どんな形になるんだろうと思っていた。アジア選手権から戻ったばかりだけど、気合が入っていた」と松田は言う。

「チームとしては残り5周までは逃げを打っていく作戦だったが、うまく同調を得ることが出来なかった。4人の逃げが出来て差が開いてしまったので、ちょとマズいなと感じていた。差がなかなか縮まらず、シマノさんのコントロールに乗っからせてもらってなんとか最後に吸収した。コース幅が広いのですぐに被せられてしまい、1チームで集団コントロールしずらいから結局スプリント勝負になってしまった。

表彰式 photo:Satoru Kato

最終周回は牽引役のチームメイトがガス欠になってペースが緩んでしまったが、兒島(直樹)選手と山本(哲央)選手に助けてもらい、ポジションを取り直した。ホームストレートは向かい風と登りなので先頭は取らないようにして、山本選手から良いスピードをもらって行けた」と、レースを振り返った。

この後はネイションズカップ出場のためトルコに渡り、帰国して3月末のJプロツアーに出場する予定という。「新加入のメンバーにも経験を積んでもらって、彼等だけでも勝てるように僕が持っているものを伝えていきたい」と、語った。

一方、僅差で2位となった中井は「最終周回の折り返しから入部(正太朗)さんにスピード上げてもらって、石原(悠希)君が行けるところまで行って、そこからモガけば勝てると考えていた。その通りにやってくれて良い形になったが、最後の登りが思ったより長くて失速してしまい、松田(祥位)君に差されてしまった」と悔やむ。

「チームとしてはレースを通して消極的にならず、明確な目的をもってレースを組み立てられた。今回は風間(翔眞)君と冨尾(大地)君がサイクルモード対応で来ず、決勝は6名になってしまったが存在感を見せられた。層の厚さを感じているので、他のレースでも結果を出せるようになると思う」と、今シーズンの手応えを語った。
富士クリテリウムチャンピオンシップ決勝 結果(54km)
1位 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) 1時間16分17秒
2位 中井唯晶(シマノレーシング) +0秒
3位 石原悠希(シマノレーシング) +1秒
4位 シーム・キスコネン(レバンテフジ静岡)
5位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
6位 橋本英也 (キナンレーシングチーム)
孫崎大樹(ヴィクトワール広島)が周回賞、床井亮太(レバンテフジ静岡)が周回賞と敢闘賞を獲得 photo:Satoru Kato

周回賞
孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
床井亮太(レバンテフジ静岡)

敢闘賞
床井亮太(レバンテフジ静岡)



女子は池田瑞紀が2日間総合優勝

女子 アジア大会に出場した池田瑞紀と水谷彩奈(共にチーム楽天Kドリームス)が後続に差をつけて先行 photo:Satoru Kato

2日間の総合順位を争う女子のレースは、初日、2日目共に池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス)が1位となり、総合優勝。2位は水谷彩奈(チーム楽天Kドリームス)となり、トラックナショナルチームのメンバーが強さを見せた結果となった。

男子エリート+U23優勝 佐藤寛朗(AutoBahnGotemba) photo:Satoru Kato
マスターズ 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム、写真右端)が優勝 photo:Satoru Kato


U17優勝 佐野凌麻(ORCA CYCLING TEAM) photo:Satoru Kato
U15優勝 渡邊 稜己(LEVANTE HOPE) photo:Satoru Kato




text&photo:Satoru Kato