国際自転車競技連合(UCI)は、選手への健康リスクから一酸化炭素の吸引を正式に禁止すると発表した。ただし、医療機関内での限定的な使用は認められる。



一酸化炭素吸引の禁止を発表したUCI photo:CorVos

UCIは1月31日と2月1日にフランス・アラスで行われた運営委員会の内容を報告。それにより一酸化炭素の吸引が正式に禁止となった。なお、医療機関においては、医療上の理由で一酸化炭素の取り扱う経験豊富な医療専門家の責任下で行わる場合に限り、使用が認められる。

禁止する理由についてUCIは、倦怠感や吐き気、めまい、意識の混濁といった健康問題を引き起こす可能性があると説明。また、不整脈や発作、麻痺、意識喪失などの症状に発展する可能性がある。

一酸化炭素は、選手たちの血液、特にヘモグロビン濃度の測定に用いられ、高地トレーニング効果の評価などに利用されている。その使用は2024年7月に報じられ、同年11月にUCIが複数回の一酸化炭素吸引を行わないよう強く要請した。また、複数回による吸引が最大酸素摂取量(VO2 Max)を向上させる可能性も指摘されている。

昨年のツール・ド・フランスではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)やヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)が使用を認め、またマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)もシクロワイアードの取材で使用について語った。

なお、一酸化炭素の吸引はWADA(世界アンチ・ドーピング機構)による禁止事項ではなく、UCIはWADAの正式な見解を待っている状況にある。

text:Sotaro.Arakawa