UCI(国際自転車競技連合)が一酸化炭素の吸引に関する声明を発表した。パフォーマンス向上の可能性が指摘される「複数回の吸引」の中止を要請し、現在WADA(世界ドーピング防止機構)へ正式な見解を求めているのだという。



今年のツール・ド・フランスで一酸化炭素の吸引を認めたポガチャルとヴィンゲゴー photo:CorVos

英語メディアEscape Collectiveが7月に報じた記事によると、一部の選手たちは血中ヘモグロビン濃度の測定と高地トレーニング効果の評価を目的に、一酸化炭素を吸引していることが明らかとなっていた。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)は使用を認めている。

UCIは男女レースの関係者を集めたセミナーを開催し、複数回の一酸化炭素吸引によるパフォーマンスへの影響について最新の知見を共有した。特に懸念されているのは、複数回の吸引が最大酸素摂取量(VO2 Max)を向上させる可能性があることだ。

そのためUCIは、チームと選手に対して複数回の一酸化炭素吸引を行わないよう強く要請するとともに、医療環境下における単回の使用のみを容認する方針を発表。さらにこの問題の法的・倫理的側面を明確にするため、世界ドーピング防止機構(WADA)に対して正式な見解の明確化を求めた。

報道によると現在、UAEチームエミレーツとヴィスマ・リースアバイク、そしてイスラエル・プレミアテックが一酸化炭素吸引による検査を実施している。またシクロワイアードが10月に行ったインタビューにて、マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)は使用を認めながらもパフォーマンス向上には繋がらないと強調している。

text:Sotaro.Arakawa