欧州トップ勢やJCLチーム右京が参戦するアルウラー・ツアーが開幕。山本大喜(JCLチーム右京)が逃げた平坦ステージの最終勝負で、昨年16勝をマークしたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利した。



チームのホームレースに意気込むディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:A.S.O.
欧州王者ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がシーズンイン photo:A.S.O.
ヤコブセンやデゲンコルプなどスプリンターを揃えたピクニック・ポストNL photo:A.S.O.



アルウラー・ツアー2025第1ステージ コースプロフィール photo:A.S.O.
中東サウジアラビアを舞台にしたA.S.O.が主催するアルウラー・ツアーが開幕した。まだ冬真っ只中のヨーロッパを飛び出し、1月の平均最高気温が20度ほどと一足早いシーズンインにはうってつけの中東レースにはトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)やティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)、そして全日本王者の小林海と山本大喜擁するJCLチーム右京らが参戦。来る本格シーズンに向けての足慣らしを開始した。

全5日間の会期中、今年は急勾配フィニッシュが2日間。昨年よりもステージレースとしての完成度を高めたアルウラー・ツアーの初日として、1月28日(火)にアル・マンシヤ駅を発着する142.7kmのスプリンターステージが開催された。

この日真っ先にエスケープを決めたのは山本大喜だった。アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、XDSアスタナ・デベロップメントチーム)らと共に6名の先頭集団を作って新しいチームジャージをアピール。平均スピード43km/hほどで逃げる6名に対し、今季最初のスプリント勝利に意気込む各スプリンターチームが集団を牽引したため、山本たちのリードは1分半ほどに留まった。

山本大喜(JCLチーム右京)が初日エスケープを決める photo:A.S.O.

山本たち逃げグループを追うジェイコ・アルウラー photo:A.S.O.

荒涼とした砂漠と岩山の真っ只中を逃げる5名のうち、積極的な走りを見せたのは山本だった。中盤と後半に1箇所ずつ用意されたアクティブポイントの1箇所目では3位通過(1ポイント)し、メイン集団がすぐ後ろまで迫った残り25kmでは一人抜け出してグループを分断。2人グループに絞ったのち2箇所目のアクティブポイントを先頭通過(3ポイント)して、集団に飲み込まれている。

ホストチームのジェイコ・アルウラーが積極的にペースを上げる残り5km地点では集団落車が発生した。逃げ続けていた山本と全日本王者の小林が落車し、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)やアーヴィッド・デクライン(オランダ、チューダー・プロサイクリング)といったスプリンター、さらにはラファル・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ・XRG)も地面に投げ出されてしまう。幸い、右膝に擦過傷を作ったマイカをはじめ全員がフィニッシュしており、翌日以降もレース続行予定という。

残り20kmで逃げを吸収。フィニッシュに向けてペースが上がる photo:A.S.O.

開幕スプリントで圧勝したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

ファビオ・ヤコブセン(オランダ)を従えたピクニック・ポストNLがリードアウトトレインを仕立てたものの、その列に割り込んだのがメルリール擁するスーダル・クイックステップ勢。猛烈な勢いで残り500m地点を通過し、残り200m看板手前でスプリンターが一斉に発進する。伸び悩むヤコブセンを尻目に左脇からトップスピードに乗せたメルリールが、追いすがるフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ・XRG)を寄せ付けずに勝利した。

昨年大会で2勝を挙げた欧州王者が今季初戦で幸先良く1勝をマーク。「いつだってシーズン開幕を勝利で飾れるのは最高だ。このレースが好きだし天候も良い。調子が良いことは分かっていたけれど、オフシーズン明けの自分の立ち位置を知りたいと思っていたんだ。結果を嬉しく思う」とメルリールはコメントする。昨年シーズン16勝をマークして勝利数ランキング2位となった(1位は25勝のポガチャル)欧州王者はボーナスタイムを得て総合首位に浮上。「チームのみんながそれぞれキッチリ仕事をこなしてくれた。最後2km地点では少しポジションを失ってしまったけど、ベルト(ファンレルベルへ)がUターン地点で一気に僕を前に連れて行ってくれたんだ。モチベーションを上げるみんなの働きと結果になって嬉しいよ」と加えている。

今季初勝利に笑顔を見せるティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

翌日の第2ステージは最大勾配15%のビール・ジャイダ山を計3度登るクライマー向けステージ。平坦で足慣らしを終えた総合メンバーの舞台がやってくる。

アルウラー・ツアー2025第1ステージ結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:10:21
2位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツXRG)
3位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング)
4位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
5位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
6位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、ジェイコ・アルウラー)
7位 ピエール・バルビエ(フランス、ワグナー・バザンWB)
8位 アルベルト・ブルットメッソ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 サシャ・ウィーマース(ベルギー、ワグナー・バザンWB)
10位 アンドレア・ダマート(イタリア、JCLチーム右京)
個人総合成績
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:10:21
2位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツXRG)
3位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング)
4位 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
5位 イェンス・レンデルス(ベルギー、ワグナー・バザンWB)
6位 フランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL)
7位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
8位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
9位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、ジェイコ・アルウラー)
10位 ピエール・バルビエ(フランス、ワグナー・バザンWB)
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
ヤングライダー賞 フランク・ファンデンブルーク(オランダ、ピクニック・ポストNL)
チーム総合成績 ジェイコ・アルウラー