トリニティレーシングがロードでの活動を終了し、マウンテンバイク部門に特化することが明らかとなった。2023年のツアー・オブ・ジャパンでも存在感を示した同チームは、これまで五輪MTB2連覇のトーマス・ピドコックをはじめ、数々のトップライダーをワールドツアーへ送り出してきた。



2023年ツアー・オブ・ジャパンに出場したトリニティレーシング photo:So Isobe

2020年の創設以来、トリニティレーシングは23歳以下の若手育成に特化したイギリス籍のコンチネンタルチームとして、ロード、シクロクロス、MTBで活動を展開。またコンチネンタルチームにもかかわらず最先端のジャージデザインによるファンも多かった。

シクロクロスの元世界王者やツール・ド・フランスでもステージ優勝を飾ったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)をはじめ、ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)やベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)など、チームはこれまでワールドツアーで活躍する選手を次々に輩出。直近では、ルーク・ランパーティ(スーダル・クイックステップ)やツール・ド・九州の小倉城クリテリウムを制したルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)など、新たな才能を発掘してきた。

トーマス・ピドコック(イギリス)など多くのトップ選手を輩出したトリニティレーシング photo:CorVos

今回の転換はスポンサー資金の確保が困難になったことが原因だ。自身もアスタナ・カザクスタンへの移籍が決まっているピーター・ケノー監督は、CyclingWeeklyの取材に対し「トリニティはMTBチームとして継続する。詳細は未定だが、スペシャライズドファクトリーレーシングのような体制になるだろう」とコメント。また2023年にシクロワイアードがインタビューを行ったジョン・モールド監督も「世界トップクラスの育成チームの存続危機は残念」と、心情を語っている。

2025年シーズンに向け、所属選手の多くは新たな所属先が明らかとなっている。ロバート・ドナルドソン(イギリス)はジェイコ・アルウラーへ、2023年ツアー・オブ・ブリテン山岳賞獲得者のカラム・ソロンリー(イギリス)を含む3選手はレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのデベロップメントチームへ、また1名はヴィスマ・リースアバイクの下部組織への移籍が決まっている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Satoru Kato

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