フランク・ボナムール(フランス)が現役引退を発表した。2021年ツール・ド・フランスで総合敢闘賞を獲得した実力者だが、生体パスポートの異常値検出により今年3月にデカトロンAG2Rラモンディアルとの契約解除が発表されていた。



引退を発表したフランク・ボナムール(フランス) photo:CorVos

ボナムールの生体パスポートから異常値が検出されたのは今年の2月5日のこと。UCI(国際自転車競技連合)はボナムールに対し暫定的な出場停止処分を下し、当時所属していたデカトロンAG2Rラモンディアルは3月26日に同選手との契約を解除。「(異常値が検出された)検査はボナムール入団(2023年1月1日)以前のもの」との声明を発表している。

ボナムールは無実を証明するため専門家による調査を進めていたが、「金銭的な負担が大きすぎる」として断念。フランスメディアのインタビューとSNSで引退を発表した。

2013年にヨーロッパ選手権ジュニア王者に輝いたボナムールは29歳。2016年にフォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(現アルケアB&Bホテルズ)でプロデビューを果たし、B&BホテルズKTMに移籍。2021年のツール・ド・フランスでは総合敢闘賞を獲得し、2023年に加入したデカトロンのメンバーとして走った今年1月のツアー・ダウンアンダーでも得意の逃げを披露した。

引退声明では「キャリアを通して僕に自転車競技の情熱を与えてくれた教育者やトレーナー、監督、スタッフ、チームメイトに感謝したい」としつつ、「このような形で選手キャリアを終えるとは思っていなかった。運命は時に残酷で、不当な現実が僕を苦しめている。だが時間がそれを薄めていってくれると信じています」と、最後まで身の潔白を主張した。

text:Sotaro.Arakawa

最新ニュース(全ジャンル)