最大勾配26%の激坂「ユイの壁」で19歳の新星が圧巻の走り。第90回ラ・フレーシュ・ワロンヌはポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM)が強豪を退け、大会最年少優勝記録をマークした。



過去3度の優勝経験を誇るジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング) photo:A.S.O.

ラ・フレーシュ・ワロンヌ2026 image:A.S.O.
「アルデンヌ3連戦」の2つ目に数えられるラ・フレーシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)は、最大勾配26%の激坂「ユイの壁」で知られるワンデーレース。アムステルゴールドレースの3日後、リエージュ~バストーニュ~リエージュを4日後に控え、舞台となるのはベルギー南東部のワロン地域。リエージュに向けてクライマーやパンチャーにとって重要なレースだ。

今年はエルスタルからスタートし、ちょうど200kmに設定されたコースは11箇所の丘を越えるレイアウト。勝負所はコート・デレッフ(距離2.1km/平均5%)からコート・ド・シュラーブ(距離1.3km/平均8.1%)、そしてフィニッシュ地点であるミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%)を含むコースを3周する。

前回覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)の姿はなく、アムステルゴールドレースを制したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も不在。そのためレニー・マルティネス(22歳、バーレーン・ヴィクトリアス)とロマン・グレゴワール(23歳、グルパマFDJユナイテッド)、ポール・セクサス(19歳、デカトロンCMA CGM)という若手フレンチクライマーの3名に注目が集まった。

序盤に形成された6名による逃げ集団 photo:A.S.O.

終始、メイン集団のペースを作ったデカトロンCMA CGM photo:A.S.O.

第90回大会は序盤にアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)ら6名の逃げグループが形成される。一方のメイン集団はリドル・トレックやイネオス・グレナディアーズ、デカトロンCMA CGMなどが牽引を担当。1度目のユイの壁でもこの構図は変わらなかったものの、過去3度の優勝経験を誇るジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)が、プロトンから遅れていった。

2度目のユイの壁で逃げ集団は、レックネスンとヤルディ・ファンデルリー(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)の2名に絞られた。しかしその後の平坦路でヤコブ・オトルバ(チェコ、カハルラル・セグロスRGA)が合流し4名に。徐々にタイム差を縮めるプロトンでは落車が相次ぎ、それに巻き込まれた2020年覇者マルク・ヒルシ(スイス、チューダープロサイクリング)が鎖骨を骨折してリタイアした。

落車が相次ぐなか、勝負は最終周回へ

3度登るミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%) photo:A.S.O.

終盤に入ってもデカトロンがセクサスのために集団先頭でペースを作り、最後のユイの壁の手前、残り6.7km地点で最後まで粘ったレックネスンを引き戻す。スーダル・クイックステップのエースであるヴァランタン・パレパントル(フランス)が力なく遅れていくなか、最後のミュール・ド・ユイ(距離1.3km/平均9.6%)に突入。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエの牽引からエウェン・コステュー(フランス、グルパマFDJユナイテッド)が飛び出すものの、あくまでグレゴワールのアシストとしての動きだったため、集団はコステューを吸収した。

先頭にはセクサスとベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)が並び、マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)も軽快なダンシングで番手を上げる。またブノワ・コスヌフロワ(フランス、UAEチームエミレーツXRG)も好位置でユイの壁を駆け上がるなか、残り300mでセクサスが加速。後ろを振り返り、追従するトゥレットを確認したセクサスは、ここからさらにスピードを上げた。

3度目の「ユイの壁」で先頭に立ったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

ハンドルを左右に大きく振りながら、激坂を軽々と駆け上がるセクサス。その圧倒的なスピードでトゥレットを振り落とし、悠々とフィニッシュに到着。今年ストラーデビアンケで2位に入り、イツリア・バスクカントリーで総合優勝とブレイク中の19歳が、ラ・フレーシュ・ワロンヌを制した。

2位にはフィニッシュ手前でトゥレットを交わしたシュミットが入り、トゥレットはコスヌフロワをハンドル投げで退けて表彰台に上がった。

トゥレットを振り切ったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

圧巻の走りで勝利したポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos

1936年の初開催から数えて、史上最年少での優勝となったセクサス。「まずはチームメイトに感謝したい。彼らはレースを通して200%の走りを見せてくれた。これは信じられない勝利だ。昨年、僕はこのレースをTVで観ていたからね。でもいまこうしてここにいて、勝つことができた。チームとしてハイペースに持ち込んだが、皆が苦しんでいた。だから最後は自分の感覚と周囲の様子を見ながら判断した」と、レースを振り返った。

セクサスは4日後のリエージュ~バストーニュ~リエージュで、ポガチャルやエヴェネプールら強豪との対戦に臨む。

史上最年少の優勝者となったポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) photo:CorVos
ラ・フレーシュ・ワロンヌ2026結果
1位 ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) 4:35:29
2位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) +0:03
3位 ベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 ブノワ・コスヌフロワ(フランス、UAEチームエミレーツXRG)
5位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:08
6位 アレックス・ボーダン(フランス、EFエデュケーション・イージーポスト)
7位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) +0:10
8位 レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJユナイテッド)
10位 アンドレアス・クロン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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