中国南部の広西チワン族自治区で10月15日、ワールドツアー最終戦であるツアー・オブ・グワンシーが開幕した。初日は集団スプリントで争われ、リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)がハンドル投げの僅差を制した。



10月15日に中国で開幕したツアー・オブ・グワンシー photo:CorVos

グリー・ツアー・オブ・グワンシー2024 コースマップ Gree-Tour of Guangxi
昨年、3年間にわたる休止期間を経て復活したグリー・ツアー・オブ・グワンシー。2024年シーズンを締めくくるワールドツアー最終戦は、ベトナムと国境を接する中国南部の広西チワン族自治区を巡る6日間のステージレースだ。

コースは例年と同じく全体的に平坦基調が主のため、連日集団スプリントが予想される。クイーンステージ(最難関ステージ)となるのは大会唯一の山頂フィニッシュとなる第5ステージで、昨年はミラン・ファデル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が制して総合優勝を飾った。

第5回大会には16のワールドチームと2つのプロチーム、そして中国ナショナルチームを含む全19チーム/129名が出場。世界のトップスプリンターが集った昨年ほどではないものの、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)やフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)などが揃った。

防城港市に設定された周回コースを巡る選手たち photo:CorVos

大会初日は防城港市を巡る149.4kmの平坦路で争われ、序盤にスタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル)とルネ・ヘレホーツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が逃げを打つ。メイン集団はマックス・カンター(ドイツ)で勝負したいアスタナ・カザクスタンが中心に牽引し、途中スーダル・クイックステップも加わる。レースは2分半差で逃げとプロトンが距離を消化していく、典型的なスプリンターステージの様相を呈した。

この日2つ設定されたボーナスタイムが与えられる中間スプリントのうち、最初をデウルフ、2つ目をヘレホーツが先頭で通過する。一方、3位通過に付与される-1秒は1つ目をジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)、2つ目をロバート・スタナード(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が獲得。2人のクライマーが総合優勝に名乗りを上げ、フィニッシュが近づくと共に逃げとの差も縮まっていった。

来年もチームとの契約が残っている39歳のクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)がプロトンを牽引するシーンもありながら、デウルフがヘレホーツを引き離して単独先頭に立つ。ヘレホーツが残り14km地点で捉まり、デウルフは残り2kmまで粘ったものの、DSMフィルメニッヒ・ポストNLの高速牽引によって吸収。勝負は予想通り集団スプリントに持ち込まれた。

ハンドルを投げ、初日勝者に輝いたリオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

フィニッシュまで続く4車線の幅広い最終ストレートに入り、左側にアスタナ、右側にEFエデュケーション・イージーポストがトレインを並べる。ヤコブセンが集団に埋もれるなか、両端に2つのラインが並ぶ形は2車線に絞られる残り300mに入っても変わらず、右端でヘイス・ファンフッケ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)がスプリトを開始。ほぼ同時に左側でリオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)が踏み込み、共にフェンスを閉めながらハンドル投げの接戦をタミニオーが制した。

「グワンシーで初勝利を飾ることができてとても嬉しい。それにこの総合リーダージャージが更に勝利をスウィートにしてくれる。良い形でスプリントを開始することができた。昨年は5位と6位だったので、上回る結果を得ることができて嬉しい」と、ワールドチームを打ち破ったタミニオーは語った。

タミニオーは今年アルペシン・ドゥクーニンクから加入した28歳。今年はベルギーのワンデーレースを中心に転戦し、これがワールドツアー初勝利となった。

総合リーダージャージを着用したリオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos
グリー・ツアー・オブ・グワンシー2024第1ステージ結果
1位 リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー) 3:17:58
2位 ヘイス・ファンフッケ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
3位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
4位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
5位 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)
6位 ブレイク・クイック(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
7位 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)
9位 ライリー・ピックレル(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
10位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)
個人総合成績
1位 リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー) 3:17:48
2位 ヘイス・ファンフッケ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:04
3位 スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:04
4位 ルネ・ヘレホーツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)
5位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) +0:06
6位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) +0:09
7位 ロバート・スタナード(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
8位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) +0:10
9位 マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)
10位 ブレイク・クイック(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
その他の特別賞
ポイント賞 リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)
ヤングライダー賞 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
チーム総合成績 イスラエル・プレミアテック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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