2024/10/12(土) - 17:42
ヨーロッパにおけるワールドツアー最終戦、イル・ロンバルディアが本日開催される。達成すれば史上2人目の4連覇を狙うポガチャルや、初制覇狙うエヴェネプール、今年はベルガモからコモに向かうコースの詳細などを紹介します。
2月のオムロープ・ヘットニュースブラットで始まったヨーロッパにおけるワールドツアーは、今年もイル・ロンバルディア(別名ジロ・ディ・ロンバルディア)で締めくくられる。モニュメント(世界5大クラシック)の一つとして数えられる本レースは、初開催が昭和24年(1905年)まで遡る歴史深い一戦。また毎年秋に開催されることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
スタートとフィニッシュ地点が毎年入れ替わることで知られ、第118回を迎えた今年はベルガモを出発する255kmで争われる。レイアウトはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2連覇を決めた2022年と似通っており、獲得標高差が4,800mに迫る名のついた8つの丘を越えながらコモの終着地点に向かう。
序盤25kmの平坦路を進み、フォルチェリーノ・ディ・ビアンツァーノから4連続の丘が登場する。特に4つ目のバルピアーナ(距離10.1km/平均6.2%)は最大勾配10%と険しく、この頃には逃げとメイン集団という構図になっているだろう。その後は約15kmに及ぶ下りを経て、コモ湖へと向かう平坦区間にたどり着く。
勝利を左右する動きが予想されるのは、サイクリストの聖地マドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)から。同名の教会の鐘の音を聴いた選手たちは、一度下ってから今大会最大の勝負所であるコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)を駆け上がる。最大勾配13%の登りは道が狭く、多数のヘアピンカーブがアタックを誘発するだろう。
残り41.9km地点の頂上からフィニッシュまでは下りと平坦路、そしてサンフェルモ・デッラ・バッターリア(距離2.7km/平均7.2%/最大10%)を残すのみ。そししてラスト5.3kmの緩い下り&平坦路の先に、栄光のフィニッシュラインが待っている。
大本命ポガチャルが75年振りの4連覇に挑む
優勝候補の筆頭は今年トリプルクラウン(ジロ、ツール、世界選手権)を達成したポガチャル。初優勝した2021年から3連覇中で、4連覇となればファウスト・コッピ(イタリア、1946〜49年)以来75年振りの快挙となる。
9月にアルカンシエルを獲得したロード世界選手権後、ジロ・デッレミリアでは38kmの独走勝利を決めるなどコンディションはこの上ないポガチャル。本人は「勝利を数えることを止め、レースからレースへ、流れに身を任せるように走りたい。いまはチームと共に良い時間を過ごしたいと思っているよ」と試走後に語り、昨年の31km独走の再現なるか。
またポガチャルの優勝予想が高まるのは本人の実力はもちろん、アルカンシエルを脅かすライバルが多くないこともある。リハビリ中のワウト・ファンアールト(ベルギー)はもちろんヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は先にシーズンを終え、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)も不出場。またイネオス・グレナディアーズとの不和が報じられているトーマス・ピドコック(イギリス)は直前で出場メンバーから外された。
エヴェネプールは因縁あるレースで初勝利なるか
そのため事前予想ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との一騎打ちの様相を呈している。昨年は9位と勝利に絡むことができなかったエヴェネプールは「いまだ良いコンディションにあるものの、それが勝利に足るレベルかどうかは分からない」とコメント。また2020年大会で落車し、選手生命の危機に瀕した場所について「昨年のレース後にそこを訪れ、何が悪かったのかを分析したんだ」と、精神的な死角はない。
2人の他にもジャパンカップに参戦予定のサイモン・イェーツ(イギリス)はジェイコ・アルウラーで走るヨーロッパでのラストレース。またコモでフィニッシュした2022年はポガチャルにスプリントで敗れたエンリク・マス(スペイン、モビスター)、前哨戦グラン・ピエモンテで42kmの独走勝利を飾ったニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)の走りにも注目だ。
またヴィスマ・リースアバイクのマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)がエースを務め、若手のアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も勝負に絡んでくるだろう。そしてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)は、20年の現役生活を締めくくるラストレースとなる。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
2月のオムロープ・ヘットニュースブラットで始まったヨーロッパにおけるワールドツアーは、今年もイル・ロンバルディア(別名ジロ・ディ・ロンバルディア)で締めくくられる。モニュメント(世界5大クラシック)の一つとして数えられる本レースは、初開催が昭和24年(1905年)まで遡る歴史深い一戦。また毎年秋に開催されることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
スタートとフィニッシュ地点が毎年入れ替わることで知られ、第118回を迎えた今年はベルガモを出発する255kmで争われる。レイアウトはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2連覇を決めた2022年と似通っており、獲得標高差が4,800mに迫る名のついた8つの丘を越えながらコモの終着地点に向かう。
序盤25kmの平坦路を進み、フォルチェリーノ・ディ・ビアンツァーノから4連続の丘が登場する。特に4つ目のバルピアーナ(距離10.1km/平均6.2%)は最大勾配10%と険しく、この頃には逃げとメイン集団という構図になっているだろう。その後は約15kmに及ぶ下りを経て、コモ湖へと向かう平坦区間にたどり着く。
勝利を左右する動きが予想されるのは、サイクリストの聖地マドンナ・デル・ギザッロ(距離8.6km/平均6.2%)から。同名の教会の鐘の音を聴いた選手たちは、一度下ってから今大会最大の勝負所であるコルマ・ディ・ソルマノ(距離12.9km/平均6.4%)を駆け上がる。最大勾配13%の登りは道が狭く、多数のヘアピンカーブがアタックを誘発するだろう。
残り41.9km地点の頂上からフィニッシュまでは下りと平坦路、そしてサンフェルモ・デッラ・バッターリア(距離2.7km/平均7.2%/最大10%)を残すのみ。そししてラスト5.3kmの緩い下り&平坦路の先に、栄光のフィニッシュラインが待っている。
大本命ポガチャルが75年振りの4連覇に挑む
優勝候補の筆頭は今年トリプルクラウン(ジロ、ツール、世界選手権)を達成したポガチャル。初優勝した2021年から3連覇中で、4連覇となればファウスト・コッピ(イタリア、1946〜49年)以来75年振りの快挙となる。
9月にアルカンシエルを獲得したロード世界選手権後、ジロ・デッレミリアでは38kmの独走勝利を決めるなどコンディションはこの上ないポガチャル。本人は「勝利を数えることを止め、レースからレースへ、流れに身を任せるように走りたい。いまはチームと共に良い時間を過ごしたいと思っているよ」と試走後に語り、昨年の31km独走の再現なるか。
またポガチャルの優勝予想が高まるのは本人の実力はもちろん、アルカンシエルを脅かすライバルが多くないこともある。リハビリ中のワウト・ファンアールト(ベルギー)はもちろんヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は先にシーズンを終え、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)も不出場。またイネオス・グレナディアーズとの不和が報じられているトーマス・ピドコック(イギリス)は直前で出場メンバーから外された。
エヴェネプールは因縁あるレースで初勝利なるか
そのため事前予想ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との一騎打ちの様相を呈している。昨年は9位と勝利に絡むことができなかったエヴェネプールは「いまだ良いコンディションにあるものの、それが勝利に足るレベルかどうかは分からない」とコメント。また2020年大会で落車し、選手生命の危機に瀕した場所について「昨年のレース後にそこを訪れ、何が悪かったのかを分析したんだ」と、精神的な死角はない。
2人の他にもジャパンカップに参戦予定のサイモン・イェーツ(イギリス)はジェイコ・アルウラーで走るヨーロッパでのラストレース。またコモでフィニッシュした2022年はポガチャルにスプリントで敗れたエンリク・マス(スペイン、モビスター)、前哨戦グラン・ピエモンテで42kmの独走勝利を飾ったニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)の走りにも注目だ。
またヴィスマ・リースアバイクのマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)がエースを務め、若手のアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)も勝負に絡んでくるだろう。そしてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)は、20年の現役生活を締めくくるラストレースとなる。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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